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寝息(桔平視点)
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ふ、と目が覚めた。
まだ夜明け前。腕の中で亜沙姫さんが眠っているのを確認して、安心する。規則的な寝息。
こめかみにキスを落として、綺麗な髪を梳いた。
そうしてゾッとする。たまたま出会さなければ、あのまま──。
知らず腕に力がこもって、亜沙姫さんの眉間にシワが寄る。
「んー……?」
慌てて力を抜いて、彼女の表情を見守る。起こしてしまっただろうか?
けれど、すぐにまた穏やかな寝息が聞こえてきて──ほっとして、数日前からこっそりベッド下に隠してあった紙袋を取り出した。
クリスマス用にラッピングされたそれを、亜沙姫さんの枕元にそっと置く。
どんな反応をするだろう。
彼女を抱き抱え直して、俺もまた、眠りに落ちていく。
そうして──。
「わぁ!?」
亜沙姫さんの驚いたような声で、目が覚めた。亜沙姫さんはベッドに座り込み、寝乱れた髪の毛をかき上げて、眼鏡をかけたところだった。
カーテン越しの朝日。
「サンタさん来た!」
冗談めかしてそう言って、それから俺をみて小さく口を笑みの形にする。
「良い子にしていたからですよ」
起き上がって、亜沙姫さんの頭を撫でる。亜沙姫さんは目を細めて、首を傾げた。
「ごめんね、桔平くんも良い子にしてたのにね」
プレゼントがないのを気にしているらしい。亜沙姫さんの額に唇を落としながら答える。
「俺はちっとも良い子ではないので、いいんです」
「そんなことないのに」
亜沙姫さんは紙袋を膝に乗せた。
「ありがとう。開けていいかな?」
「俺ではなくてサンタからですから」
ふふ、と亜沙姫さんはどこか密やかに笑う。
「サンタさん来たの、いつぶりかな。おねぇちゃんが渡仏して以来」
「……割と最近ですね?」
「おねぇちゃん、もしかしたらまだ、私がサンタ信じてると思ってるかも」
いくらなんでも、と思いつつ……あのお姉さんならありえるな、と苦笑した。
「あ、そういえば、おねぇちゃん。年明けに帰国するって。こっちで仕事があるんだって」
「そうなんですか?」
「都内のホテルに二週間くらいいるみたいだけど……ご飯とか誘われるかも。桔平くんも」
「俺も?」
「桔平くんのこと、気に入ってるみたいだよ」
「……そうですか?」
まぁ嫌われるよりはいいかな、と思いながら包装をといていく亜沙姫さんの指先を見つめる。綺麗に切りそろえられた爪先。
「……わ。いいの? ピアス」
「似合いそうだなと」
なんとなく、で開けたらしいピアスの穴。あまり飾り気のない彼女らしく、あまり付けているところは見たことがないけれど。
白い花に模したダイヤ。
「……ありがとう」
亜沙姫さんはピアスを両手に乗せて、ほんの少し頬を赤くして俺を見上げた。
「つけていいですか」
俺の申し出に、亜沙姫さんは僅かに目を大きくして、けれど笑って頷いてくれて。
そうっと、彼女の耳朶に触れる。
やわらかなそこに、少し苦労して(なんせ不慣れだ)ピアスをつけて、手を離した。
まじまじと見つめる。……予想通り、よく似合った。
「お似合いです」
「えへへ、ありがと」
亜沙姫さんが嬉しそうにピアスに触れた。その手を取って、指先にキスをする。
亜沙姫さんは俺の手を握り、そのまま膝立ちするようにして俺の額にキスをする。
「ありがと」
そうして、唇が重なって──。
昨日、あんなことがあったばかりだ。亜沙姫さんに触れるのを躊躇すると、亜沙姫さんが微かに笑う。
「桔平くんなら、大丈夫なんだけれど?」
そうして、眼鏡をはずしてまた、触れるだけのキスが落ちてくる。
「……」
俺はうまく答えられない。言葉にできない。
亜沙姫さんを抱き寄せた。
再び唇を重ねる。角度を変えながら、啄むように、やがてその深度を増していって──。
「んっ、ふ、はあっ」
亜沙姫さんからとろん、と力が抜けて、俺のトレーナーを掴む。亜沙姫さんの後頭部を支えて、熱い口腔を味わった。
(亜沙姫、亜沙姫さん)
頭が彼女でいっぱいだ。
亜沙姫さんの熱さを感じるたびに、胸が痛む。無事で、無事で良かった。
ここにいる。
亜沙姫さんは、ちゃんとここに。
ゆっくりと彼女を横たえて、パジャマをたくし上げる。つん、と勃った乳房の先端をつつき、口に含む。亜沙姫さんから熱い吐息が漏れた。
柔らかな乳房をぐにぐにと揉む。柔らかくて、吸い付いて、揉む手のひらが気持ちいい。
昨日の「桔平くんの好きなおっぱい」を思い出して苦笑いした。
たしかに、ほぼ毎回こんなふうに堪能していたらそう捉えられても仕方ないのかもしれない。
「んっ、ほら、……好きじゃん」
亜沙姫さんも同じことを考えていたらしい。ふ、と笑う。
「柔らかくて心地良いんですよ」
亜沙姫さんのだから。
亜沙姫さんの、鼓動を感じる。
強く吸い付いて、赤い痕を残す。愛おしい。
もじもじと、亜沙姫さんが腰を揺らす。
控えめな動き。欲しいのに、恥ずかしがって隠して。
(可愛い)
それしか、頭にない。
じらすように、ゆっくりと下だけ、下着ごとパジャマを脱がせて──亜沙姫さんははにかんで、少しだけ顔を横に傾けた。
まだ夜明け前。腕の中で亜沙姫さんが眠っているのを確認して、安心する。規則的な寝息。
こめかみにキスを落として、綺麗な髪を梳いた。
そうしてゾッとする。たまたま出会さなければ、あのまま──。
知らず腕に力がこもって、亜沙姫さんの眉間にシワが寄る。
「んー……?」
慌てて力を抜いて、彼女の表情を見守る。起こしてしまっただろうか?
けれど、すぐにまた穏やかな寝息が聞こえてきて──ほっとして、数日前からこっそりベッド下に隠してあった紙袋を取り出した。
クリスマス用にラッピングされたそれを、亜沙姫さんの枕元にそっと置く。
どんな反応をするだろう。
彼女を抱き抱え直して、俺もまた、眠りに落ちていく。
そうして──。
「わぁ!?」
亜沙姫さんの驚いたような声で、目が覚めた。亜沙姫さんはベッドに座り込み、寝乱れた髪の毛をかき上げて、眼鏡をかけたところだった。
カーテン越しの朝日。
「サンタさん来た!」
冗談めかしてそう言って、それから俺をみて小さく口を笑みの形にする。
「良い子にしていたからですよ」
起き上がって、亜沙姫さんの頭を撫でる。亜沙姫さんは目を細めて、首を傾げた。
「ごめんね、桔平くんも良い子にしてたのにね」
プレゼントがないのを気にしているらしい。亜沙姫さんの額に唇を落としながら答える。
「俺はちっとも良い子ではないので、いいんです」
「そんなことないのに」
亜沙姫さんは紙袋を膝に乗せた。
「ありがとう。開けていいかな?」
「俺ではなくてサンタからですから」
ふふ、と亜沙姫さんはどこか密やかに笑う。
「サンタさん来たの、いつぶりかな。おねぇちゃんが渡仏して以来」
「……割と最近ですね?」
「おねぇちゃん、もしかしたらまだ、私がサンタ信じてると思ってるかも」
いくらなんでも、と思いつつ……あのお姉さんならありえるな、と苦笑した。
「あ、そういえば、おねぇちゃん。年明けに帰国するって。こっちで仕事があるんだって」
「そうなんですか?」
「都内のホテルに二週間くらいいるみたいだけど……ご飯とか誘われるかも。桔平くんも」
「俺も?」
「桔平くんのこと、気に入ってるみたいだよ」
「……そうですか?」
まぁ嫌われるよりはいいかな、と思いながら包装をといていく亜沙姫さんの指先を見つめる。綺麗に切りそろえられた爪先。
「……わ。いいの? ピアス」
「似合いそうだなと」
なんとなく、で開けたらしいピアスの穴。あまり飾り気のない彼女らしく、あまり付けているところは見たことがないけれど。
白い花に模したダイヤ。
「……ありがとう」
亜沙姫さんはピアスを両手に乗せて、ほんの少し頬を赤くして俺を見上げた。
「つけていいですか」
俺の申し出に、亜沙姫さんは僅かに目を大きくして、けれど笑って頷いてくれて。
そうっと、彼女の耳朶に触れる。
やわらかなそこに、少し苦労して(なんせ不慣れだ)ピアスをつけて、手を離した。
まじまじと見つめる。……予想通り、よく似合った。
「お似合いです」
「えへへ、ありがと」
亜沙姫さんが嬉しそうにピアスに触れた。その手を取って、指先にキスをする。
亜沙姫さんは俺の手を握り、そのまま膝立ちするようにして俺の額にキスをする。
「ありがと」
そうして、唇が重なって──。
昨日、あんなことがあったばかりだ。亜沙姫さんに触れるのを躊躇すると、亜沙姫さんが微かに笑う。
「桔平くんなら、大丈夫なんだけれど?」
そうして、眼鏡をはずしてまた、触れるだけのキスが落ちてくる。
「……」
俺はうまく答えられない。言葉にできない。
亜沙姫さんを抱き寄せた。
再び唇を重ねる。角度を変えながら、啄むように、やがてその深度を増していって──。
「んっ、ふ、はあっ」
亜沙姫さんからとろん、と力が抜けて、俺のトレーナーを掴む。亜沙姫さんの後頭部を支えて、熱い口腔を味わった。
(亜沙姫、亜沙姫さん)
頭が彼女でいっぱいだ。
亜沙姫さんの熱さを感じるたびに、胸が痛む。無事で、無事で良かった。
ここにいる。
亜沙姫さんは、ちゃんとここに。
ゆっくりと彼女を横たえて、パジャマをたくし上げる。つん、と勃った乳房の先端をつつき、口に含む。亜沙姫さんから熱い吐息が漏れた。
柔らかな乳房をぐにぐにと揉む。柔らかくて、吸い付いて、揉む手のひらが気持ちいい。
昨日の「桔平くんの好きなおっぱい」を思い出して苦笑いした。
たしかに、ほぼ毎回こんなふうに堪能していたらそう捉えられても仕方ないのかもしれない。
「んっ、ほら、……好きじゃん」
亜沙姫さんも同じことを考えていたらしい。ふ、と笑う。
「柔らかくて心地良いんですよ」
亜沙姫さんのだから。
亜沙姫さんの、鼓動を感じる。
強く吸い付いて、赤い痕を残す。愛おしい。
もじもじと、亜沙姫さんが腰を揺らす。
控えめな動き。欲しいのに、恥ずかしがって隠して。
(可愛い)
それしか、頭にない。
じらすように、ゆっくりと下だけ、下着ごとパジャマを脱がせて──亜沙姫さんははにかんで、少しだけ顔を横に傾けた。
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