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(桔平視点)

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 俺に背を向けて横になっている亜沙姫さんを、後ろから抱きしめて堪能する。

(亜沙姫さんのにおい)

 うなじをすん、と嗅いで、それからキスを落とした。

「桔平、くん」

 亜沙姫さんが、細い声で言う。

「電気……」
「いやです」

 ちゅ、と頸に吸い付いて、それから甘噛みした。
 食べてしまいたいほど可愛い、ってこういうことなんだろう。

(亜沙姫さんは、もしかしたら──誰からも、そうなのかもしれない)

 食べたくて堪らなくなるような、そんなひと。実のお姉さんからの溺愛っぷりが、それを物語っているような。

(食べたくなるのは……惚れてるから、だろうか?)

 お姉さんも、食べてしまいたいと思っているのだろうか。
 重い愛情──亜沙姫さんがそう言う、お姉さんからの愛情で。

(でも、多分、もっと──)

 俺からの亜沙姫さんへの愛情は、お姉さん以上に重い。
 独占欲と執着で、雁字搦め。
 亜沙姫さんは知らない、俺だけの感情。
 かぷかぷと更に頸を噛むと、びくりと亜沙姫さんの身体が揺れる。
 普段は髪に隠れている白いうなじが、ぽうと色づいた。

「っ、ふ……ぅ、っ」

 嬌声を我慢して、シーツを握りしめる亜沙姫さんの手は、力を入れているからか白くなっている。
 やわやわと亜沙姫さんの柔らかな胸を揉む。手に余るそれは、本当に触り心地がよくて一生触っていたくなる。

「っ、んっく、ふ、ぁ、」

 亜沙姫さんの耐えるような声。
 ただでさえガチガチに膨張している自分が、さらに硬くなるのを覚えた。
 亜沙姫さんのパジャマを、ショーツごとずり下ろした。

「ぁ、」
「濡れてますね」
「言わないで」

 耳まで真っ赤だ。
 正面から顔が見たい。どんな顔でいるんだろうか。
 組み敷こうかしばし悩んで、止めた。
 横になって抱きしめているのは暖かくて、それに亜沙姫さんの柔らかさが堪能できて。
 今日は、こうしていたい。
 自分のスウェットも脱ぎ捨てて、足で蹴ってベッドの下に落とした。とさり、という音。
 亜沙姫さんの腰あたりに、直に俺のがあたる。亜沙姫さんがほんの少し、息を詰める。
 片手で胸を揉みしだいたまま、もう片方の手を亜沙姫さんの柔毛に伸ばした。
 すでに勃っている、亜沙姫さんの肉芽を、軽く潰す。

「ん、っ……ふぁ、……っ」

 亜沙姫さんが両手で口を隠す。
 ふー、ふー、と荒い息で身体全体で呼吸をして、快楽を逃そうと必死だ。可愛すぎる。
 親指でソコをくりくりと刺激したまま、中指をすっかり蕩け切ったナカに差し入れる。
 柔らかくて、熱くて、きゅんきゅん吸い付いてくる、ナカの肉襞。

「ぁ、……!」

 亜沙姫さんが──おそらくは無意識に──俺の指が奥まで入りやすいように腰を動かす。その健気な行動が、愛おしすぎてヤバイ。
 指をほんの少し動かしただけで、くちゅ、と音がした。

「解さなくても入りそうですね」
「っ、そんな、ことっ」

 そうは言い返されるけれど、緩やかに動く彼女の腰は、指ではないモノを欲しがっていることは明白で。
 その腰が俺の先端に触れて、俺から溢れた先走りでヌルヌルと気持ちいい。

「挿れて、いいですか」

 指を抜きながら、亜沙姫さんの真っ赤な耳、その軟骨をかり、と噛んで聞いてみる。
 亜沙姫さんがコクリ、と小さく頷いた。
 亜沙姫さんの腰を支え、彼女のナカにぬぷりと挿し入る。

(……あ、やばい)

 この体勢で挿れるのは、初めてだった。
 密着感で、ただでさえ幸せなのに──亜沙姫さんが足を閉じているから、いつも狭く感じる亜沙姫さんのナカが、余計にキツくて──ヤバイ。

「は、ぁ」

 思わず低くため息をつく。やばい。イきそう。挿れただけなのに。

「ゃ、……っ」

 亜沙姫さんの震える、か細い声。

(ずるい)

 そんな声をあげるのは、本当にずるい。可愛すぎか。
 誤魔化しの意味もあるけれど、この姿勢だとすぐ抜けてしまいそうだから、お互いの足を絡ませるようにして、亜沙姫さんをぐっと抱きしめ直す。
 ずぷりと更に奥、亜沙姫さんのいちばん柔らかなところに先端が埋まる。

「亜沙姫さん──奥、じゅくじゅくになってるの、分かりますか」

 亜沙姫さんの頭にキスを落としながら聞くけれど、亜沙姫さんからの返事はない。
 ただ、快楽に耐える声だけが漏れる。

「は、ぁ、ぁっ、く……っ」

 トロトロに柔らかなくせに、キュッと締まるソコの心地良さ。
 軽く腰を動かすと、とん、と奥の柔らかな壁に当たる。
 いちばん奥に入ったせいか、亜沙姫さんが俺の手をぎゅっと握りしめて、体を痙攣させた。
 ナカが呼応するようにキツく締まる。

「あ、ぁあ……」

 亜沙姫さんの淫らな声。
 弓形になって、逃げようとする身体を強く抱き留める。亜沙姫さんは俺の片手を、両手で表裏からはさむようにして握りしめ、声にならない声で、身体を震わせる。

「イきましたか」

 聞かなくても分かってることを、いちいち聞いた。
 亜沙姫さんから、がくりと力が抜ける。
 握られていない方の手で、少しだけ強く亜沙姫さんの胸の先端を抓る。

「っ、く、はぁ、っ!?」
「亜沙姫さん、聞いてますか」
「聞いて、るぅっ」

 亜沙姫さんの声が少し涙声。
 ……可愛すぎて、苛めたくなってしまう。

(なぜだろう)

 分からない。愛おしくて、なにより大切にしたいひとで、なのに苛めたくて仕方ない。
 腰が痺れるような吐精感を耐えながら、ゆるゆると腰を動かす。

「っ、ふぁ、ぁっ、」

 小声で、でも明らかに蕩けた声で、亜沙姫さんは啼く。

「さっき──イったんですか? 奥まで挿れただけで」
「ぁ、っ、言わないで……」

 羞恥を声に滲ませる亜沙姫さん。
 初めて抱いたときより、余程恥ずかしがるようになってきた亜沙姫さんに、俺は仄暗い満足感を覚える。
 なんとなく──「俺の」になってきたような気がして。……調教、ではないけれど。

「あー、……めちゃくちゃ大声で喘がせたいです」
「っ、! だめ、だめっ」

 おねぇちゃん乗り込んでくるよ!? と亜沙姫さんが慌てたように言う。
 その癖ナカはきゅきゅ、と締まって……亜沙姫さんは実は結構被虐趣味があるよぁ、なんて頭のどこかでそう思った。
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