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【高校編】分岐・鹿王院樹
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「ドレス見に来たの?」
背後から突然話しかけられて、私はびくりと振り向いた。
コンシェルジュさんが他のお店にドレスを見繕いに行ってくれてて、私はひとりでああでもない、こうでもないとドレス選びに熱中していた時だ。
「……真さん」
「やほ」
真さんが楽しそうに私の後ろからドレスを覗き込んだ。見ていたのはパステル系の色味のドレス。
「あ、だめだめ、華チャン顔立ち的に淡いのは似合わない」
はっきり言われて、私は苦笑いしながら真さんを見上げる。
「千晶ちゃんの買い物ですか?」
「そーそー、ドレス見に来たんだけど、まかれちゃって」
「ざまあ」
「おや心の声が聞こえてるよ」
クスクス、と真さんは笑った。
「こっちは?」
真さんが手に取ったのは、真紅のドレス。
「うわ、派手、ムリです」
「似合うのに?」
真さんは私を鏡の前に連れて行った。そしてドレスをあてがった。
「ほら」
「……、むう」
色白だし、無駄に整ってるので(悪役令嬢的ポテンシャル)ふつうに似合う、と思う……。
「色は派手だけど、デザインがシンプルだからキレイに着れるよ」
「……ありがとうございます」
「わあ素直。雪でも降るかも」
真さんは両手を挙げて、驚いた顔をしてみせてくる。
「パーティーは樹クンとだよね?」
「……まぁ」
「ほんとは一緒に参加したい人、別にいたかもねぇ?」
私は真さんをにらんだ。
(そんなの、分かってるし!)
わかってるけど、樹くんが今年は一緒にすごそうって言ってくれたんだ。
ぷい、と顔を背けると真さんはくっくっと笑った。
「ごめんごめん、でも中等部の時から樹クンはパーティーに参加してなかったよ。女の子たちが寂しがってた」
「らしいですね」
サボってた、って本人から聞いたし。
「誰かに遠慮してたのかな? 他の女の子と参加するのを」
私はほんの少し、嬉しくなってしまう。嫌な子、かなぁ。
「でも可哀想だねぇ、樹クンは。好きな子誘えないねぇキミがいると。今年はいいとしても、来年再来年」
「……っ」
私は服の裾を握りしめた。
(来年はヒロインちゃんが入学してくる)
他のヒロインちゃんと違って、"ゲーム"の通りにとてもいい子だったら?
樹くんが、その子に惹かれたら?
私は、素直に身を引かなきゃいけない。だって。
「忘れないでね」
真さんは少しかがんで、私と目線を合わせた。
「樹クンは地獄だって言ったんだよ」
私は息を飲む。
「好きな人ができたら、許婚でいることは地獄だって」
忘れてないよね? と言う真さんの目が上品に細くなる。
「ふふ、華チャンたら。自分のことを好きになってくれたらって思ってる? 好きなんじゃないかなって思う?」
「それ、は」
願望だって分かってる。でも、そうなればいいと、……ううん、もしかしたらそうなんじゃないかなって。
「ねえそんなことあると思う?」
「え」
「無理矢理オトナに"ハイ今日からこの子が未来のお嫁さんです"って決められて、その相手を好きになる? ふつう」
「で、も私は」
好きになりました。
私の声は掠れて、うまく言葉にできない。
「キミは、ね。キミは」
真さんは笑う。
「恋してると、よく錯覚するよね、目があっただけでも」
真さんの笑みが深くなる。
「"私のこと、好きなんじゃないか"って」
「……分かってますよ」
思ったより低い声が出た。
「気をつけます。思い上がらないように」
目線があげられない。
「ごめんね? 僕、キミみると意地悪したくなるんだ」
「……嫌われてますね、私」
あはは、と乾いた笑い声で見上げると、ものすごく意外そうな顔をされた。
「嫌う? とんでもない」
「じゃあなんで」
こんな酷いこと、会うたびに言うんですか。
私は酷い顔をしていたと思う。
「好きだから」
きょとんとして言われる。
「キミが樹クンのものになるのが業腹だから」
「……そうですか」
ため息をつきつつ答えた。
「お兄様ッ!」
その時、千晶ちゃんの声。半分くらい悲鳴に近かった。
「近い! 華ちゃんに近いですっ!」
「千晶」
ゆっくりと真さんは私から離れた。
千晶ちゃんは私と真さんの間にすっと入る。
「華ちゃんにちょっかい出すの、やめてください」
真さんは肩をすくめる。
「変な話はしてなかったよね?」
「うそ」
千晶ちゃんは私の顔を見る。
「何されたの?」
「……なんにもないよ、千晶ちゃん」
私は微笑んだ。
「世間話」
「……」
千晶ちゃんは真さんを睨む。
真さんは肩をすくめて、「ねぇそのドレス華チャンに合うと思わない?」と話を戻した。
「え、あ、はい、それは」
千晶ちゃんはドレスを見る。
「とても似合う、と思いますけど」
「ほら」
真さんは目を細めた。
「華チャンには赤。それも真紅」
「……考えときます」
私はそのドレスを戻した。目線を伏せて、口だけで笑う。
「華さま」
ちょうど、コンシェルジュさんが戻ってきた。
「あら、鍋島様」
「どーもー」
真さんは笑って、千晶ちゃんの手を引いた。
「お邪魔するのもなんだから、行こう。千晶もドレス選ばなきゃ」
「もう買いました」
「エッ」
真さんは本気でショックな顔つきで言う。
「選びたかったのに……」
「選ばせたくないんですっ」
「僕の審美眼確実なのに」
ちらり、と私を見る真さん。
「じゃーね、華チャン」
「華ちゃん、またお茶しよう」
アホ兄貴が言ったことは気にしないでね、と言いながら2人は歩いていく。
「ふふ、相変わらず仲がよろしいですね、あのご兄妹は」
「エッ!?」
な、仲良く見えるのアレ?
(で、でも真さんの外面しか知らなければそう見えるのか)
完璧な仮面。
「華さまと樹さまも、仲睦まじくて」
にこりと他意なく続けるコンシェルジュさんの言葉に、私はほんの少し傷つく。
(あ、やっぱ、ハタから見ててキョウダイみたいなんだ)
樹くんからは、家族的な空気感しかないのかな。やっぱり。わかってたけど。
「あら、このドレス」
コンシェルジュさんは微笑んだ。
「気に入っていただけました? 絶対お似合いになると思ってこちらに」
「あ、そう、なんですか……」
真紅のドレス。
「派手じゃないですか?」
「そんなことありませんよ、それに」
コンシェルジュさんは笑う。
「樹様も、驚かれるんじゃないですか」
「? 驚く?」
「華様にお似合いで。多分、思っているよりエレガントな雰囲気ですよ」
要は大人っぽい雰囲気になれるってことかな。
普段から(中身がオトナと思えないくらい)子供みたいに甘えたりしちゃってるし、うん、ここはちょっと頑張ってみよう。
(……コンシェルジュさんがここに置いてくれてたってことは、別に真さんが選んだって訳じゃないんだし?)
私は気を取り直す。
「試着、してみます」
ちょっとでも魅力的な女の子になりたい。たとえ、樹くんが私のこと家族としてしか考えてなくても。
背後から突然話しかけられて、私はびくりと振り向いた。
コンシェルジュさんが他のお店にドレスを見繕いに行ってくれてて、私はひとりでああでもない、こうでもないとドレス選びに熱中していた時だ。
「……真さん」
「やほ」
真さんが楽しそうに私の後ろからドレスを覗き込んだ。見ていたのはパステル系の色味のドレス。
「あ、だめだめ、華チャン顔立ち的に淡いのは似合わない」
はっきり言われて、私は苦笑いしながら真さんを見上げる。
「千晶ちゃんの買い物ですか?」
「そーそー、ドレス見に来たんだけど、まかれちゃって」
「ざまあ」
「おや心の声が聞こえてるよ」
クスクス、と真さんは笑った。
「こっちは?」
真さんが手に取ったのは、真紅のドレス。
「うわ、派手、ムリです」
「似合うのに?」
真さんは私を鏡の前に連れて行った。そしてドレスをあてがった。
「ほら」
「……、むう」
色白だし、無駄に整ってるので(悪役令嬢的ポテンシャル)ふつうに似合う、と思う……。
「色は派手だけど、デザインがシンプルだからキレイに着れるよ」
「……ありがとうございます」
「わあ素直。雪でも降るかも」
真さんは両手を挙げて、驚いた顔をしてみせてくる。
「パーティーは樹クンとだよね?」
「……まぁ」
「ほんとは一緒に参加したい人、別にいたかもねぇ?」
私は真さんをにらんだ。
(そんなの、分かってるし!)
わかってるけど、樹くんが今年は一緒にすごそうって言ってくれたんだ。
ぷい、と顔を背けると真さんはくっくっと笑った。
「ごめんごめん、でも中等部の時から樹クンはパーティーに参加してなかったよ。女の子たちが寂しがってた」
「らしいですね」
サボってた、って本人から聞いたし。
「誰かに遠慮してたのかな? 他の女の子と参加するのを」
私はほんの少し、嬉しくなってしまう。嫌な子、かなぁ。
「でも可哀想だねぇ、樹クンは。好きな子誘えないねぇキミがいると。今年はいいとしても、来年再来年」
「……っ」
私は服の裾を握りしめた。
(来年はヒロインちゃんが入学してくる)
他のヒロインちゃんと違って、"ゲーム"の通りにとてもいい子だったら?
樹くんが、その子に惹かれたら?
私は、素直に身を引かなきゃいけない。だって。
「忘れないでね」
真さんは少しかがんで、私と目線を合わせた。
「樹クンは地獄だって言ったんだよ」
私は息を飲む。
「好きな人ができたら、許婚でいることは地獄だって」
忘れてないよね? と言う真さんの目が上品に細くなる。
「ふふ、華チャンたら。自分のことを好きになってくれたらって思ってる? 好きなんじゃないかなって思う?」
「それ、は」
願望だって分かってる。でも、そうなればいいと、……ううん、もしかしたらそうなんじゃないかなって。
「ねえそんなことあると思う?」
「え」
「無理矢理オトナに"ハイ今日からこの子が未来のお嫁さんです"って決められて、その相手を好きになる? ふつう」
「で、も私は」
好きになりました。
私の声は掠れて、うまく言葉にできない。
「キミは、ね。キミは」
真さんは笑う。
「恋してると、よく錯覚するよね、目があっただけでも」
真さんの笑みが深くなる。
「"私のこと、好きなんじゃないか"って」
「……分かってますよ」
思ったより低い声が出た。
「気をつけます。思い上がらないように」
目線があげられない。
「ごめんね? 僕、キミみると意地悪したくなるんだ」
「……嫌われてますね、私」
あはは、と乾いた笑い声で見上げると、ものすごく意外そうな顔をされた。
「嫌う? とんでもない」
「じゃあなんで」
こんな酷いこと、会うたびに言うんですか。
私は酷い顔をしていたと思う。
「好きだから」
きょとんとして言われる。
「キミが樹クンのものになるのが業腹だから」
「……そうですか」
ため息をつきつつ答えた。
「お兄様ッ!」
その時、千晶ちゃんの声。半分くらい悲鳴に近かった。
「近い! 華ちゃんに近いですっ!」
「千晶」
ゆっくりと真さんは私から離れた。
千晶ちゃんは私と真さんの間にすっと入る。
「華ちゃんにちょっかい出すの、やめてください」
真さんは肩をすくめる。
「変な話はしてなかったよね?」
「うそ」
千晶ちゃんは私の顔を見る。
「何されたの?」
「……なんにもないよ、千晶ちゃん」
私は微笑んだ。
「世間話」
「……」
千晶ちゃんは真さんを睨む。
真さんは肩をすくめて、「ねぇそのドレス華チャンに合うと思わない?」と話を戻した。
「え、あ、はい、それは」
千晶ちゃんはドレスを見る。
「とても似合う、と思いますけど」
「ほら」
真さんは目を細めた。
「華チャンには赤。それも真紅」
「……考えときます」
私はそのドレスを戻した。目線を伏せて、口だけで笑う。
「華さま」
ちょうど、コンシェルジュさんが戻ってきた。
「あら、鍋島様」
「どーもー」
真さんは笑って、千晶ちゃんの手を引いた。
「お邪魔するのもなんだから、行こう。千晶もドレス選ばなきゃ」
「もう買いました」
「エッ」
真さんは本気でショックな顔つきで言う。
「選びたかったのに……」
「選ばせたくないんですっ」
「僕の審美眼確実なのに」
ちらり、と私を見る真さん。
「じゃーね、華チャン」
「華ちゃん、またお茶しよう」
アホ兄貴が言ったことは気にしないでね、と言いながら2人は歩いていく。
「ふふ、相変わらず仲がよろしいですね、あのご兄妹は」
「エッ!?」
な、仲良く見えるのアレ?
(で、でも真さんの外面しか知らなければそう見えるのか)
完璧な仮面。
「華さまと樹さまも、仲睦まじくて」
にこりと他意なく続けるコンシェルジュさんの言葉に、私はほんの少し傷つく。
(あ、やっぱ、ハタから見ててキョウダイみたいなんだ)
樹くんからは、家族的な空気感しかないのかな。やっぱり。わかってたけど。
「あら、このドレス」
コンシェルジュさんは微笑んだ。
「気に入っていただけました? 絶対お似合いになると思ってこちらに」
「あ、そう、なんですか……」
真紅のドレス。
「派手じゃないですか?」
「そんなことありませんよ、それに」
コンシェルジュさんは笑う。
「樹様も、驚かれるんじゃないですか」
「? 驚く?」
「華様にお似合いで。多分、思っているよりエレガントな雰囲気ですよ」
要は大人っぽい雰囲気になれるってことかな。
普段から(中身がオトナと思えないくらい)子供みたいに甘えたりしちゃってるし、うん、ここはちょっと頑張ってみよう。
(……コンシェルジュさんがここに置いてくれてたってことは、別に真さんが選んだって訳じゃないんだし?)
私は気を取り直す。
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