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分岐・山ノ内瑛
新神戸にて(side山ノ内光希)
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せっかくの土曜日やのに、丸一日出張で潰れてもうた。絶対代休もぎ取らなあかんわこれ。
まぁ早めに戻れたから良かったわ、そう思いながら新神戸で新幹線を降りつつ確認した腕時計は、午後5時過ぎを指していた。
手には家族へのお土産、名古屋名物のういろうと、きしめん。
(今日はすき焼きや言うてたな)
26にもなって実家暮らしから脱却できない理由は、母さんの美味しいご飯が大きいと思っている。
(すき焼き、すき焼き)
ちょう楽しみ。
ふと反対側のホームが少し慌ただしいような気がしたけど、特に気にせず、ホームからエスカレーターを降りる。そこで騒ぎの正体が分かった。
(東京方面、新大阪から先運休とか)
うーわ、乗る予定やった人かわいそ、とか思いながら改札を出て、そしてあたしはその女の子に気づく。誰かに電話しているらしい、綺麗な女の子。
(え、華ちゃん)
華ちゃんやわ、とそう思う。
(写真でしか見たことないけど、あんな可愛い子見間違えへんよな)
そういや試合見にきてくれんねんとか瑛言うてたな、とそこまで考えて、そしてそこでようやく、華ちゃんが困った顔をしているのに気づく。
(あ、そらそうか)
乗る予定だったはずだ。東京方面の新幹線に。彼女は鎌倉に住んでいるのだから。
近づいて様子を見る。
「うん、でね、復旧いつか分かんないみたい……うん。ホテル? それがね、イベントとアイドルのコンサートあるみたいで軒並み。探してくれるの? うん。待ってます」
そう言って電話を切る。電話の相手は誰だろう、おばあさんだろうか。瑛の話だと、おばあさんと、親戚の子と暮らしているはず。
(でも見つからへんのちゃうかな)
神戸で開催される人気男性アイドルのコンサート、それと被った音楽フェスの大きなイベントがあり、そのせいでほとんどのホテルは満室なんだと話に聞いている。
(うーん)
あたしは少し迷って、それから話しかけた。
「華ちゃん?」
「え?」
華ちゃんは首を傾げた。
「コンニチハ、山ノ内瑛の姉の光希です。一番上」
「あ! お話は聞いてます、設楽華です」
華ちゃんはにこりと笑って頭を下げてくれた。笑顔がまた可愛い。
せやけどアイツ、なんて伝えてるんかなあたしのこと。鬼姉くらいは言うてそうや。
「新幹線、乗る予定やった?」
「はい」
少ししょぼんと頷く華ちゃん。
「今日はもうホテル取ろうかなって。飛行機も満席で」
「うちくる?」
ぽかん、と華ちゃんに見つめられる。
「ホテルこの辺もういっぱいやで」
「あ、いえ、そんな悪いです。あの、家族がその辺知り合いいて、どこかしら取れると思いますんで」
瑛が言うてた、華のばあちゃんセレブなんやでって。まぁなにかしらコネクションもあるんだろう、けど。
(空いてると思えへんし、それに一回ちゃんと話とかしてみたかったんよなぁ~)
飽き性の瑛が夢中になる女の子。どんな子か興味出るに決まってるやん。
「……ウチな、今日すき焼きやねん」
「え」
「すき焼きて大人数で食べた方が美味しいやん?」
「す、すき焼き」
「すき焼きやで。すき焼き。牛肉やで」
「牛肉」
「うちの母さんのすき焼き、美味しいで」
「でっ、でもっ」
誘惑を断ち切るように、華ちゃんは首を振る。
「悪いです、やっぱ、そんな」
「帰りにな、ケーキ買って帰ろおもてんねん」
神戸スイーツの有名店の名前を出すと、いとも簡単に華ちゃんは陥落した。
(ちょろ)
こんな簡単な子、なんで瑛は何年も落とせてへんねん。まったく。
おばあちゃんに電話をかけてもらう。しばらく話した後「すみません」と電話をあたしに差し出してくる。
「祖母が」
「あ、はいはい」
そりゃ簡単に信用はできひんやんな、保護者としては。友達のお姉さんて言われても、そもそも男友達やし、お泊まりなんてなあ。せやけどホテルなんか探してたら真夜中なるで。
「こんにちは、山ノ内と申します」
『お世話になっております、……神戸地検の山ノ内検事のお嬢さんですね』
「あ、はい、ご存知でしたか」
華ちゃんが教えたのか、このおばあさんが調べたのか。
『ええ。……、その、お任せしていいのかしら』
少し迷った口調。あたしは微笑む。
「大丈夫です、弟には指一本、触れさせませんから」
『あら、あは。そう? なら……お願いしようかしら』
電話の向こうで、おばあさんは続けた。
『最後の思い出づくりくらい、許しましょう』
最後?
最後てなんやろ。
首を傾げつつ「あとでうちの母からも連絡させます」と答える。
電話を返すと、ひとことふたこと、話して華ちゃんは電話を切った。
「ほないこか」
「はい、お願いします」
ぺこりと頭を下げる華ちゃんは、やっぱり大変かぁいらしい。
地下鉄に乗って、母さんと妹たちにメッセージを送る。妹たちからはスタンプ連打で返信が来た。せやろ、グッジョブやろ?
で、地下鉄、ほんまは一本やけどいったん三宮で降りてそのままデパ地下へ向かう。
「お世話になるので、払います」
「あかんあかんあかん、中学生におごってもらうとか恥ずかしすぎる」
ケーキ屋の前で財布を取り出そうとする華ちゃんをなだめつつ、なんとか人数分ケーキを買う。華ちゃん含めて10個。申し訳なさそうな華ちゃんを引き連れて、また地下鉄へ。ケーキの箱は持ってくれた。
「なんや結構来てくれてるんやな」
「あ、はい、楽しいんで」
「ほんまにぃ? 瑛うるさくない?」
「え、そんなことないです」
華ちゃんは笑う。
「いつも明るくて、助けられてます」
「へー」
助けられてる、ねぇ。ふうん。
(華ちゃんは瑛のことどう思ってんのやろ)
完全に脈なしってことはないやんな?
せやったら、たびたびこっち来てくれるなんてせえへんやろ。
「あ、ここやで」
最寄りで降りて、ロータリーにウチの車があることを確認する。どっちが来てくれたんやろ、と2人の妹を想像して、意外にも母さんやったから驚いた。
「久しぶりやねぇ華ちゃん」
「ご無沙汰してます、突然すみません」
「ええねんええねん、大変やったなぁ」
助手席には大量のスーパーの袋。気合い入ってるやん、母さん。
「あ」
「どないしたん?」
「すみません、私、替えの服も下着もなくて。どこか寄ってもらっていいでしょうか」
「あ、そらそか。三宮で買えばよかったな、忘れてた」
日帰りのつもりだったのだから、何も持ってきていないだろう。
「服は何かしらあるから、貸すわ」
「えっでもサイズが……残念ながら私、背が」
華ちゃん、ちょっと小柄なん気にしてるらしい。そんな小さいって訳じゃないと思うけど、あたし、ヒール履いたら170ヨユーで超えるからなぁ。そらサイズ合わへんわ。
「伊希がサイズちょうどええんちゃう?」
あの子は150ちょっとやから、と言いそえる。
「せやね、そうしぃ、華ちゃん。余計なお金使うことないで」
あたしと母の会話に、申し訳なさそうに頷く華ちゃん。誘ったんこっちやねんから、そんな恐縮せんでええのに。
「下着もなにかしら使ってないんがあるやろ」
ジムに行った時用の、未開封の肌着のセットがあったはずだ。カップ付き肌着とショーツのセット。まぁサイズはMで大丈夫だろうと思う。華ちゃん細いし。
家に着くと、ハイテンションな妹2人に玄関で出迎えられた。
「瑛には内緒にしてんねんー」
「まだ帰ってないねんけどな」
「おどろかせよー」
「つか可愛いっ」
「せやろ!? 華ちゃん久しぶりぃ」
ハイテンションの伊希と皐(皐は会うん2回目らしい)に押されつつ、華ちゃんは「今日よろしくおねがいします」と頭を下げた。
一応「次女の伊希と三女の皐」と横から伝える。
リビングから一番下の弟、優希も顔を少し出して、ぺこりと頭を下げていた。人見知りか。
華ちゃんも「よろしくね」と首をかしげた。優希はすこし赤くなって、リビングに引っ込んだ。
「伊希、パジャマと明日の服貸したって」
「ん? おーけーおーけー、なら試着しよ」
「せやね色々着せよ」
あんまりにも可愛い華ちゃんを目の前にして、妹が欲しかった皐は特にやけど、伊希も眼の色が変わっている。着せ替えして遊びたいみたいや。分かる。華ちゃんはびっくりしてる。ふふふ。
華ちゃんが伊希の部屋に引きずられて行っている間に、あたしは着替えてじいちゃんとばあちゃんの部屋に行く。
「瑛の彼女候補、来てんで」
「お嫁に?」
「なんでやねん、泊まりにや」
なんで彼女飛び越えて嫁に来んねん。ばあちゃんの良く分からんボケに突っ込んで、それから伊希の部屋に肌着のセットを持っていった。
「華ちゃん、これ」
「かーわーいーいー」
「次これ着よ、これ」
華ちゃんは戸惑いつつもこの2人になんとなく慣れてきているみたいで、つまり抵抗しても無駄だと分かったみたいで、なすがままになっていた。
「あ、光希。それあかんで多分」
「え、なんでや」
「見てやこれ見て」
華ちゃんはする、っと着せられていたフリフリのミニワンピースを脱がされる。もうどうにでもしてくれって顔をしていた。ふふふ。
「あら」
「Mやとあかん」
「え、大丈夫ですよ」
不思議そうな華ちゃん。やけどそのお胸でMはキツイと思うで。入るのは入るやろうけど。
つか、肌、白ー。きれー。思わず見とれてしまう。
「光希、見過ぎ」
「あ、ごめん。つか、せやな、ブラ買いに行こか。車出すわ」
華ちゃんはまた少し申し訳なさそうに眉を下げた。
「華ちゃんな、あたしが誘ってんから、気にせんといて」
「せやで、光希さあ、強引やったやろ? 半分誘拐やでこんなん」
皐が笑いながら言う。着せ替え人形にしちゃってたアンタらに言われたくないねんけどなぁ。
まぁ早めに戻れたから良かったわ、そう思いながら新神戸で新幹線を降りつつ確認した腕時計は、午後5時過ぎを指していた。
手には家族へのお土産、名古屋名物のういろうと、きしめん。
(今日はすき焼きや言うてたな)
26にもなって実家暮らしから脱却できない理由は、母さんの美味しいご飯が大きいと思っている。
(すき焼き、すき焼き)
ちょう楽しみ。
ふと反対側のホームが少し慌ただしいような気がしたけど、特に気にせず、ホームからエスカレーターを降りる。そこで騒ぎの正体が分かった。
(東京方面、新大阪から先運休とか)
うーわ、乗る予定やった人かわいそ、とか思いながら改札を出て、そしてあたしはその女の子に気づく。誰かに電話しているらしい、綺麗な女の子。
(え、華ちゃん)
華ちゃんやわ、とそう思う。
(写真でしか見たことないけど、あんな可愛い子見間違えへんよな)
そういや試合見にきてくれんねんとか瑛言うてたな、とそこまで考えて、そしてそこでようやく、華ちゃんが困った顔をしているのに気づく。
(あ、そらそうか)
乗る予定だったはずだ。東京方面の新幹線に。彼女は鎌倉に住んでいるのだから。
近づいて様子を見る。
「うん、でね、復旧いつか分かんないみたい……うん。ホテル? それがね、イベントとアイドルのコンサートあるみたいで軒並み。探してくれるの? うん。待ってます」
そう言って電話を切る。電話の相手は誰だろう、おばあさんだろうか。瑛の話だと、おばあさんと、親戚の子と暮らしているはず。
(でも見つからへんのちゃうかな)
神戸で開催される人気男性アイドルのコンサート、それと被った音楽フェスの大きなイベントがあり、そのせいでほとんどのホテルは満室なんだと話に聞いている。
(うーん)
あたしは少し迷って、それから話しかけた。
「華ちゃん?」
「え?」
華ちゃんは首を傾げた。
「コンニチハ、山ノ内瑛の姉の光希です。一番上」
「あ! お話は聞いてます、設楽華です」
華ちゃんはにこりと笑って頭を下げてくれた。笑顔がまた可愛い。
せやけどアイツ、なんて伝えてるんかなあたしのこと。鬼姉くらいは言うてそうや。
「新幹線、乗る予定やった?」
「はい」
少ししょぼんと頷く華ちゃん。
「今日はもうホテル取ろうかなって。飛行機も満席で」
「うちくる?」
ぽかん、と華ちゃんに見つめられる。
「ホテルこの辺もういっぱいやで」
「あ、いえ、そんな悪いです。あの、家族がその辺知り合いいて、どこかしら取れると思いますんで」
瑛が言うてた、華のばあちゃんセレブなんやでって。まぁなにかしらコネクションもあるんだろう、けど。
(空いてると思えへんし、それに一回ちゃんと話とかしてみたかったんよなぁ~)
飽き性の瑛が夢中になる女の子。どんな子か興味出るに決まってるやん。
「……ウチな、今日すき焼きやねん」
「え」
「すき焼きて大人数で食べた方が美味しいやん?」
「す、すき焼き」
「すき焼きやで。すき焼き。牛肉やで」
「牛肉」
「うちの母さんのすき焼き、美味しいで」
「でっ、でもっ」
誘惑を断ち切るように、華ちゃんは首を振る。
「悪いです、やっぱ、そんな」
「帰りにな、ケーキ買って帰ろおもてんねん」
神戸スイーツの有名店の名前を出すと、いとも簡単に華ちゃんは陥落した。
(ちょろ)
こんな簡単な子、なんで瑛は何年も落とせてへんねん。まったく。
おばあちゃんに電話をかけてもらう。しばらく話した後「すみません」と電話をあたしに差し出してくる。
「祖母が」
「あ、はいはい」
そりゃ簡単に信用はできひんやんな、保護者としては。友達のお姉さんて言われても、そもそも男友達やし、お泊まりなんてなあ。せやけどホテルなんか探してたら真夜中なるで。
「こんにちは、山ノ内と申します」
『お世話になっております、……神戸地検の山ノ内検事のお嬢さんですね』
「あ、はい、ご存知でしたか」
華ちゃんが教えたのか、このおばあさんが調べたのか。
『ええ。……、その、お任せしていいのかしら』
少し迷った口調。あたしは微笑む。
「大丈夫です、弟には指一本、触れさせませんから」
『あら、あは。そう? なら……お願いしようかしら』
電話の向こうで、おばあさんは続けた。
『最後の思い出づくりくらい、許しましょう』
最後?
最後てなんやろ。
首を傾げつつ「あとでうちの母からも連絡させます」と答える。
電話を返すと、ひとことふたこと、話して華ちゃんは電話を切った。
「ほないこか」
「はい、お願いします」
ぺこりと頭を下げる華ちゃんは、やっぱり大変かぁいらしい。
地下鉄に乗って、母さんと妹たちにメッセージを送る。妹たちからはスタンプ連打で返信が来た。せやろ、グッジョブやろ?
で、地下鉄、ほんまは一本やけどいったん三宮で降りてそのままデパ地下へ向かう。
「お世話になるので、払います」
「あかんあかんあかん、中学生におごってもらうとか恥ずかしすぎる」
ケーキ屋の前で財布を取り出そうとする華ちゃんをなだめつつ、なんとか人数分ケーキを買う。華ちゃん含めて10個。申し訳なさそうな華ちゃんを引き連れて、また地下鉄へ。ケーキの箱は持ってくれた。
「なんや結構来てくれてるんやな」
「あ、はい、楽しいんで」
「ほんまにぃ? 瑛うるさくない?」
「え、そんなことないです」
華ちゃんは笑う。
「いつも明るくて、助けられてます」
「へー」
助けられてる、ねぇ。ふうん。
(華ちゃんは瑛のことどう思ってんのやろ)
完全に脈なしってことはないやんな?
せやったら、たびたびこっち来てくれるなんてせえへんやろ。
「あ、ここやで」
最寄りで降りて、ロータリーにウチの車があることを確認する。どっちが来てくれたんやろ、と2人の妹を想像して、意外にも母さんやったから驚いた。
「久しぶりやねぇ華ちゃん」
「ご無沙汰してます、突然すみません」
「ええねんええねん、大変やったなぁ」
助手席には大量のスーパーの袋。気合い入ってるやん、母さん。
「あ」
「どないしたん?」
「すみません、私、替えの服も下着もなくて。どこか寄ってもらっていいでしょうか」
「あ、そらそか。三宮で買えばよかったな、忘れてた」
日帰りのつもりだったのだから、何も持ってきていないだろう。
「服は何かしらあるから、貸すわ」
「えっでもサイズが……残念ながら私、背が」
華ちゃん、ちょっと小柄なん気にしてるらしい。そんな小さいって訳じゃないと思うけど、あたし、ヒール履いたら170ヨユーで超えるからなぁ。そらサイズ合わへんわ。
「伊希がサイズちょうどええんちゃう?」
あの子は150ちょっとやから、と言いそえる。
「せやね、そうしぃ、華ちゃん。余計なお金使うことないで」
あたしと母の会話に、申し訳なさそうに頷く華ちゃん。誘ったんこっちやねんから、そんな恐縮せんでええのに。
「下着もなにかしら使ってないんがあるやろ」
ジムに行った時用の、未開封の肌着のセットがあったはずだ。カップ付き肌着とショーツのセット。まぁサイズはMで大丈夫だろうと思う。華ちゃん細いし。
家に着くと、ハイテンションな妹2人に玄関で出迎えられた。
「瑛には内緒にしてんねんー」
「まだ帰ってないねんけどな」
「おどろかせよー」
「つか可愛いっ」
「せやろ!? 華ちゃん久しぶりぃ」
ハイテンションの伊希と皐(皐は会うん2回目らしい)に押されつつ、華ちゃんは「今日よろしくおねがいします」と頭を下げた。
一応「次女の伊希と三女の皐」と横から伝える。
リビングから一番下の弟、優希も顔を少し出して、ぺこりと頭を下げていた。人見知りか。
華ちゃんも「よろしくね」と首をかしげた。優希はすこし赤くなって、リビングに引っ込んだ。
「伊希、パジャマと明日の服貸したって」
「ん? おーけーおーけー、なら試着しよ」
「せやね色々着せよ」
あんまりにも可愛い華ちゃんを目の前にして、妹が欲しかった皐は特にやけど、伊希も眼の色が変わっている。着せ替えして遊びたいみたいや。分かる。華ちゃんはびっくりしてる。ふふふ。
華ちゃんが伊希の部屋に引きずられて行っている間に、あたしは着替えてじいちゃんとばあちゃんの部屋に行く。
「瑛の彼女候補、来てんで」
「お嫁に?」
「なんでやねん、泊まりにや」
なんで彼女飛び越えて嫁に来んねん。ばあちゃんの良く分からんボケに突っ込んで、それから伊希の部屋に肌着のセットを持っていった。
「華ちゃん、これ」
「かーわーいーいー」
「次これ着よ、これ」
華ちゃんは戸惑いつつもこの2人になんとなく慣れてきているみたいで、つまり抵抗しても無駄だと分かったみたいで、なすがままになっていた。
「あ、光希。それあかんで多分」
「え、なんでや」
「見てやこれ見て」
華ちゃんはする、っと着せられていたフリフリのミニワンピースを脱がされる。もうどうにでもしてくれって顔をしていた。ふふふ。
「あら」
「Mやとあかん」
「え、大丈夫ですよ」
不思議そうな華ちゃん。やけどそのお胸でMはキツイと思うで。入るのは入るやろうけど。
つか、肌、白ー。きれー。思わず見とれてしまう。
「光希、見過ぎ」
「あ、ごめん。つか、せやな、ブラ買いに行こか。車出すわ」
華ちゃんはまた少し申し訳なさそうに眉を下げた。
「華ちゃんな、あたしが誘ってんから、気にせんといて」
「せやで、光希さあ、強引やったやろ? 半分誘拐やでこんなん」
皐が笑いながら言う。着せ替え人形にしちゃってたアンタらに言われたくないねんけどなぁ。
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