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8(中学編)
夕陽
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「きれいだねー……きれいだけど、うう」
「大丈夫ハナ? 無理しないほうがいいよ」
家の庭で、水平線に沈もうとする夕陽を冷や汗を垂らしながら私は見つめていた。空の色は赤と紺の不思議なグラデーション。
本来美しい夕陽を、そんな風に見つめるべきではない、と思うんだけど。
(でも)
いい加減、そろそろ克服すべきなのだ。前世からのトラウマ、夕方以降屋外が怖い、というトラウマを。
そんなわけで、病院の先生と相談して、半年ほど、お庭でリハビリを繰り返している。圭くんが付き添ってくれて、手をぎゅうっと繋いでくれている。おかげで、辺りが真っ暗でない限りなんとか大丈夫(ただし圭くんが手を繋いでくれていないと無理)まで持ってくることができた。
「ハナ手汗すごい、大丈夫?」
「え、ごめ、離す」
「ううん、おれは平気。ハナが大丈夫かなって思っただけ」
ほんの少しだけ低いところから私を優しく見つめる翠の目。夕陽を反射して、不思議な色になっている。
「なに?」
「あ、ごめん」
私は笑う。
「きれいな目だなって」
「いつも言うね」
圭くんは首を傾げて笑った。
「そろそろ戻ろうか、過呼吸なっちゃうと大変」
「あ、うん」
無理をしすぎて、過呼吸発作を起こしたことが数度。あれ、そう簡単には死なないと分かってても苦しいし「あ、これ死ぬわ」ってなっちゃうんだよなぁ。気をつけないと。
部屋に戻って、窓ガラス越しに空を見つめる。全然平気。濃紺が空の大半を占めはじめていた。
「おつかれさま」
八重子さんがアイスティーをテーブルに置いてくれた。ジュースと割って二色に分かれた可愛らしいアイスティー!
「うわ、可愛い、ありがとう」
「ありがと! あ、ね、晩御飯なぁにヤエコさん。いい匂いするけど」
アイスティーにはほとんど興味を示さず、圭くんは可愛らしく首をかしげた。
「今日はトンカツですよ、食べ盛りさんたち」
「「わーーーーーい」」
私たちはハイタッチした。揚げ物大好き!
(転生してなにが良かったって、胃が若返ったから油モノ食べても胃がもたれないことよね!)
あと、圭くんって意外にたくさん食べる。細いのに。常盤の血筋かもしれない。まぁ私は前世から食べてばかりいたけども。
「そんなに喜んでもらえると、作りがいがあるわねぇ」
八重子さんはニコニコだ。
「……トンカツはキツイんだけど」
リビングのドアを開けたのは敦子さん。
「あ、おかえりなさい」
「おかえりアツコさん」
「ただいま」
微笑みながらそう言って、それから「あたしの冷しゃぶとかにできない?」と口を尖らせた。
「還暦過ぎの胃にトンカツはキツイってー…」
「え、敦子さん還暦!?」
私は思わず問い返した。というか、過ぎてるの!?
敦子さんは明らかに「しまった」という顔をしてほほほ、と上品に笑う。
「なんのこと?」
「いや、いま還暦過ぎって」
「カンレキてなぁに、ハナ?」
「えっとね、」
「さー!!! 晩御飯にしましょ!」
敦子さんは、ぱん! と大きく手を叩くと「着替えてくるわね」とリビングを出て行ってしまった。
「カンレキ?」
「えーと」
「華ちゃん圭くん、ソースどれにする?」
「選べるの!?」
ヤエコさんの言葉に、圭くんはカンレキを忘れたように台所へ飛んでいく。
やがてテーブルにトンカツが2つと、冷しゃぶ2つが並んで(今日は八重子さんも一緒)全員で手を合わせる。プロテスタントな圭くんも、特に手を合わせることは気にしていない、というかお父さんもされていたそう。「イタダキマスは食べ物に、ゴチソウサマは作ってくれた人にって言ってたよ」とのことだ。
「と、ゆーかね」
圭くんはぽつり、と口を開いた。
「カンレキが年齢のことかなってのは何となく分かるんだけど」
「ごほごほごほ」
敦子さんはお米を飲み込んじゃってむせた。
「アツコさんはキレイなんだから、何歳でもよくない?」
圭くんは首をかしげた。
「女の人って、なんとなく、年を気にし過ぎてると思う」
「そうは言ってもね、圭、気になるのよ」
「どーして?」
「どうして」
敦子さんは八重子さんと顔を見合わせた。
「若いのはエライ?」
「偉くはないけど、素敵じゃない?」
「年を重ねることの方がステキなことだと思う、おれは」
「それはあなたが若いから」
「そうかなぁ。でも、アツコさんは若くみられたいの? キレイでいたいの?」
「……、キレイでいたいのかしら」
「じゃあネンレーなんか気にしないでいいじゃん、おれはアツコさん、キレイだと思う。だから堂々とカンレキですって言えばいいよ」
「……そう?」
「おれの自慢の家族だよ」
圭くんはぱくり、とトンカツ一切れを一口で食べて「ね?」と微笑んだ。
圭くんのこういう微笑みはたいそう可愛らしく、なんというか世界の可愛いを集めて煮詰めたような感じになるので、敦子さんもほにゃりと笑って「そーうー?」と言っていた。
「ヤエコさんもだよ。2人ともキレイなんだから、男からどうみられてるとか、あんま気にしちゃダメ」
「男?」
「女性が若い方がいい、なんて一部のオッサンの考え方だよ。そんな価値観に自分から乗ってっちゃダメ」
「そう、ねぇ」
「キレイなヒトはキレイ、というか、女性はみんなキレイだよ。おれはそう思う。それでいいの」
「いいの?」
横から会話に入って、私も聞く。
「いいの」
「キレイじゃない人は?」
「キレイでいよう、としてる人はみんなキレイでしょ?」
圭くんは不思議そうにいう。
「け、圭くん……!」
世界中の男性が圭くんみたいに考えてくれてたらいいのに……!
「ハナもキレイだよ」
いちおう(?)私も褒めてくれる。
「あんまキレイでいようとかしてないんだけど」
「あは、それはアレだね、美に対するボートクだね」
「う」
小学生のころ、別の人にも言われたぞ、それ。美意識足りてないな、やっぱ。中学生男子にも指摘されるとは……。
「まぁ、ハナの良いところは、ナイメンテキなところが大きいから」
「そ、そう?」
ゆるゆるアラサー魂をお褒めいただきました。あは。
「圭、そうはいってもね、この子いい加減オコサマ過ぎると思うわ」
敦子さんからは苦言をいただきました……え、私は中身は大人のつもりで生きていたのですが……えっ!?
「おれもそー思うけど」
「思うの!?」
「うん」
圭くんがそう言って、皆が笑った。まったく失礼な。でも私も笑う。トンカツは美味しい。とても幸せだ。
八重子さんが帰って行って、敦子さんがお風呂に入っている間に、圭くんが紅茶を淹れてくれた。
「うーん……アッサム」
ソファで紅茶を受け取る。香りをかいで、カンでそう言う。
「プリンスオブウェールズ。まぁこれアッサム混じってるけど」
「じゃあほぼ正解だね」
「うんまぁ、そういうことにしておこうか」
紅茶とコーヒーを間違えないだけ良しとしよう、と圭くんは呟いて、それから私の横にぽすり、と座った。
「ねぇ、ハナ」
「なぁに?」
甘えるような声に、思わずにまにま笑いながら圭くんを見る。
「おれね、ハナがオコサマで良かったと思ってる」
「? なんで?」
「だって、オコサマじゃなかったらとっくの昔にイツキのこと好きになってたと思うから」
「樹くん?」
「うん」
相変わらず圭くんは微笑んでいる。
「カッコいいでしょ」
「うん、まぁ……そう思うけど」
「ね、だから」
圭くんは、私の頬にキスをした。
「どうしたの?」
圭くんは外国育ちなのもあって、そういうことは照れずにするけど、今のはすこし唐突だったので私はちょっと不思議に思う。
「ハナ、おれがオトナになるまで、オコサマでいて」
「オトナ? 背だったら、高校生くらいになったら抜かれるんじゃないかな、さすがに」
「まぁ、背はね、抜けなくても、別にいいんだけど。おれはおれだから」
圭くんは至近距離で私を見つめる。
きれいなきれいな、翠色の瞳。
「ね、ヤクソクして」
「え、あ、うん」
なんとなく頷く。オコサマねぇ。中身アラサーなんですけど。
「ふふ、ヤクソクヤクソク。じゃ、おれ次お風呂はいろーっと。準備してくる」
ご機嫌なかんじで、圭くんはリビングから出て行く。
私は首を傾げて、紅茶を飲んで「大人っていつだろー」とぼんやりと呟くのだった。
中身は大人のつもりだったけど、私はまだオコサマなのだとしたら。
「私はいつ大人になるのかな」
「大丈夫ハナ? 無理しないほうがいいよ」
家の庭で、水平線に沈もうとする夕陽を冷や汗を垂らしながら私は見つめていた。空の色は赤と紺の不思議なグラデーション。
本来美しい夕陽を、そんな風に見つめるべきではない、と思うんだけど。
(でも)
いい加減、そろそろ克服すべきなのだ。前世からのトラウマ、夕方以降屋外が怖い、というトラウマを。
そんなわけで、病院の先生と相談して、半年ほど、お庭でリハビリを繰り返している。圭くんが付き添ってくれて、手をぎゅうっと繋いでくれている。おかげで、辺りが真っ暗でない限りなんとか大丈夫(ただし圭くんが手を繋いでくれていないと無理)まで持ってくることができた。
「ハナ手汗すごい、大丈夫?」
「え、ごめ、離す」
「ううん、おれは平気。ハナが大丈夫かなって思っただけ」
ほんの少しだけ低いところから私を優しく見つめる翠の目。夕陽を反射して、不思議な色になっている。
「なに?」
「あ、ごめん」
私は笑う。
「きれいな目だなって」
「いつも言うね」
圭くんは首を傾げて笑った。
「そろそろ戻ろうか、過呼吸なっちゃうと大変」
「あ、うん」
無理をしすぎて、過呼吸発作を起こしたことが数度。あれ、そう簡単には死なないと分かってても苦しいし「あ、これ死ぬわ」ってなっちゃうんだよなぁ。気をつけないと。
部屋に戻って、窓ガラス越しに空を見つめる。全然平気。濃紺が空の大半を占めはじめていた。
「おつかれさま」
八重子さんがアイスティーをテーブルに置いてくれた。ジュースと割って二色に分かれた可愛らしいアイスティー!
「うわ、可愛い、ありがとう」
「ありがと! あ、ね、晩御飯なぁにヤエコさん。いい匂いするけど」
アイスティーにはほとんど興味を示さず、圭くんは可愛らしく首をかしげた。
「今日はトンカツですよ、食べ盛りさんたち」
「「わーーーーーい」」
私たちはハイタッチした。揚げ物大好き!
(転生してなにが良かったって、胃が若返ったから油モノ食べても胃がもたれないことよね!)
あと、圭くんって意外にたくさん食べる。細いのに。常盤の血筋かもしれない。まぁ私は前世から食べてばかりいたけども。
「そんなに喜んでもらえると、作りがいがあるわねぇ」
八重子さんはニコニコだ。
「……トンカツはキツイんだけど」
リビングのドアを開けたのは敦子さん。
「あ、おかえりなさい」
「おかえりアツコさん」
「ただいま」
微笑みながらそう言って、それから「あたしの冷しゃぶとかにできない?」と口を尖らせた。
「還暦過ぎの胃にトンカツはキツイってー…」
「え、敦子さん還暦!?」
私は思わず問い返した。というか、過ぎてるの!?
敦子さんは明らかに「しまった」という顔をしてほほほ、と上品に笑う。
「なんのこと?」
「いや、いま還暦過ぎって」
「カンレキてなぁに、ハナ?」
「えっとね、」
「さー!!! 晩御飯にしましょ!」
敦子さんは、ぱん! と大きく手を叩くと「着替えてくるわね」とリビングを出て行ってしまった。
「カンレキ?」
「えーと」
「華ちゃん圭くん、ソースどれにする?」
「選べるの!?」
ヤエコさんの言葉に、圭くんはカンレキを忘れたように台所へ飛んでいく。
やがてテーブルにトンカツが2つと、冷しゃぶ2つが並んで(今日は八重子さんも一緒)全員で手を合わせる。プロテスタントな圭くんも、特に手を合わせることは気にしていない、というかお父さんもされていたそう。「イタダキマスは食べ物に、ゴチソウサマは作ってくれた人にって言ってたよ」とのことだ。
「と、ゆーかね」
圭くんはぽつり、と口を開いた。
「カンレキが年齢のことかなってのは何となく分かるんだけど」
「ごほごほごほ」
敦子さんはお米を飲み込んじゃってむせた。
「アツコさんはキレイなんだから、何歳でもよくない?」
圭くんは首をかしげた。
「女の人って、なんとなく、年を気にし過ぎてると思う」
「そうは言ってもね、圭、気になるのよ」
「どーして?」
「どうして」
敦子さんは八重子さんと顔を見合わせた。
「若いのはエライ?」
「偉くはないけど、素敵じゃない?」
「年を重ねることの方がステキなことだと思う、おれは」
「それはあなたが若いから」
「そうかなぁ。でも、アツコさんは若くみられたいの? キレイでいたいの?」
「……、キレイでいたいのかしら」
「じゃあネンレーなんか気にしないでいいじゃん、おれはアツコさん、キレイだと思う。だから堂々とカンレキですって言えばいいよ」
「……そう?」
「おれの自慢の家族だよ」
圭くんはぱくり、とトンカツ一切れを一口で食べて「ね?」と微笑んだ。
圭くんのこういう微笑みはたいそう可愛らしく、なんというか世界の可愛いを集めて煮詰めたような感じになるので、敦子さんもほにゃりと笑って「そーうー?」と言っていた。
「ヤエコさんもだよ。2人ともキレイなんだから、男からどうみられてるとか、あんま気にしちゃダメ」
「男?」
「女性が若い方がいい、なんて一部のオッサンの考え方だよ。そんな価値観に自分から乗ってっちゃダメ」
「そう、ねぇ」
「キレイなヒトはキレイ、というか、女性はみんなキレイだよ。おれはそう思う。それでいいの」
「いいの?」
横から会話に入って、私も聞く。
「いいの」
「キレイじゃない人は?」
「キレイでいよう、としてる人はみんなキレイでしょ?」
圭くんは不思議そうにいう。
「け、圭くん……!」
世界中の男性が圭くんみたいに考えてくれてたらいいのに……!
「ハナもキレイだよ」
いちおう(?)私も褒めてくれる。
「あんまキレイでいようとかしてないんだけど」
「あは、それはアレだね、美に対するボートクだね」
「う」
小学生のころ、別の人にも言われたぞ、それ。美意識足りてないな、やっぱ。中学生男子にも指摘されるとは……。
「まぁ、ハナの良いところは、ナイメンテキなところが大きいから」
「そ、そう?」
ゆるゆるアラサー魂をお褒めいただきました。あは。
「圭、そうはいってもね、この子いい加減オコサマ過ぎると思うわ」
敦子さんからは苦言をいただきました……え、私は中身は大人のつもりで生きていたのですが……えっ!?
「おれもそー思うけど」
「思うの!?」
「うん」
圭くんがそう言って、皆が笑った。まったく失礼な。でも私も笑う。トンカツは美味しい。とても幸せだ。
八重子さんが帰って行って、敦子さんがお風呂に入っている間に、圭くんが紅茶を淹れてくれた。
「うーん……アッサム」
ソファで紅茶を受け取る。香りをかいで、カンでそう言う。
「プリンスオブウェールズ。まぁこれアッサム混じってるけど」
「じゃあほぼ正解だね」
「うんまぁ、そういうことにしておこうか」
紅茶とコーヒーを間違えないだけ良しとしよう、と圭くんは呟いて、それから私の横にぽすり、と座った。
「ねぇ、ハナ」
「なぁに?」
甘えるような声に、思わずにまにま笑いながら圭くんを見る。
「おれね、ハナがオコサマで良かったと思ってる」
「? なんで?」
「だって、オコサマじゃなかったらとっくの昔にイツキのこと好きになってたと思うから」
「樹くん?」
「うん」
相変わらず圭くんは微笑んでいる。
「カッコいいでしょ」
「うん、まぁ……そう思うけど」
「ね、だから」
圭くんは、私の頬にキスをした。
「どうしたの?」
圭くんは外国育ちなのもあって、そういうことは照れずにするけど、今のはすこし唐突だったので私はちょっと不思議に思う。
「ハナ、おれがオトナになるまで、オコサマでいて」
「オトナ? 背だったら、高校生くらいになったら抜かれるんじゃないかな、さすがに」
「まぁ、背はね、抜けなくても、別にいいんだけど。おれはおれだから」
圭くんは至近距離で私を見つめる。
きれいなきれいな、翠色の瞳。
「ね、ヤクソクして」
「え、あ、うん」
なんとなく頷く。オコサマねぇ。中身アラサーなんですけど。
「ふふ、ヤクソクヤクソク。じゃ、おれ次お風呂はいろーっと。準備してくる」
ご機嫌なかんじで、圭くんはリビングから出て行く。
私は首を傾げて、紅茶を飲んで「大人っていつだろー」とぼんやりと呟くのだった。
中身は大人のつもりだったけど、私はまだオコサマなのだとしたら。
「私はいつ大人になるのかな」
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