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各キャラパート

ペリドットルート

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キャラに似合わず腹黒だな、と気付いたのはいつ頃だったろうか。

なんやかんやあって最終的にじゃんけんで勝敗が決まることになった後、項垂れる4人を押し退けこちらへやってきたのはペリドットだった。

「さ!リディア行こ~?」

コテンとわざとらしく首をかしげ上目遣いのペリドットは、私の袖を摘まんでくる。

(これ女の子がやるやつじゃん。16の男子はギリアウトでしょ)

他所では可愛い小悪魔系ショタとして、女性にチヤホヤされているらしいペリドット。しかし、私にとっては16歳にもなって何やってんだコイツは、としか思えない。

今はまだギリギリ大丈夫だとしても、5年後10年後はどうするつもりなのだろうと心配になることもある。
仮にも共に魔王を討伐した仲間だったのだ。そんな彼が将来痛い子として扱われるのは正直恥ずかしい。

(ん~。でも深く関わりたくもないしなぁー)

どうしたものかと悩んでいると鼻先をチョンとつつかれる。

「リディア~。なーに悩んでるの?僕をぎゅってしたら悩みなんて吹き飛んじゃうよ?ほらどーぞ?」

きゃるるーんという効果音が聞こえてきそうなぶりっ子声に、両手を広げて抱っこをせがむ子供のような仕草をするペリドット。
しかし、私は気付いている。彼の視線が私の胸に釘付けなのを。そして、気持ちちょっと屈んでいるのを。
このまま抱き付かれると、彼の顔は胸にダイブしてくるだろう。

キャラはショタでも、5人の中で一番計算高くてマセている。
意外と一番注意すべき対象者が彼なのだ。

「結構です。てか、特に行きたい所もないしついてこなくていいから」

「えー、なら今僕が通ってるとこに連れてってあげるよ!すっごく楽しい所だからリディアも絶対気に入るよ!」

いくら冷たくあしらってもベタベタまとわりついてくるペリドットに、気付くとあるお店の中に連れてこられていた。

「……ってぇ、ここどう見てもキャバクラじゃんっ!!!」

ギラつく店内。スリットがかなり際どい薄めのドレス。髪もメイクも盛り盛りの女性たち。
そんな女性たちに囲まれてニッコニコのペリドットの手は、両サイドの女性の腰にしっかりとまわっている。なんなら撫で回してないか?あれ。

「やーん。ペリドットくーん。今日も来てくれて嬉し~♡」
「いやん、ソコはくすぐったいってばぁ~」

「オネーさんたち、今日もいーにおいで好きー!ほら、リディアもおいでよ!」

たしかに、15歳以上は飲酒も認められている。こういった所に来るのも禁止されているわけでもない。
が、しかし。馴染み過ぎている。ペリドットが。
そして場違い感が半端ない。私が。

何故か着替えさせられてるし。メイクだけは丁重にお断りしたけど、ペラペラのドレスはスースーして心許ない事この上ない。

「よーし!今日はリディアの歓迎の意味も込めてドンペリ頼んじゃうよ~」

「「きゃーー!ペリちゃんサイコー!!」」

どんどん盛り上がっていく場の雰囲気。それに反して私の心はどんどんと冷えきっていく。

そして、プツンと。切れた。

【─我は願う。時の番人にして均衡を司る者よ。目前に立ちはだかる障害を打ち崩すべく、暫しの沈黙を与えよ!!】

足元に現れた魔法陣から、精霊=クロノスを召喚する。
魔王攻略の為、1000年も眠り続けていた精霊の丘の頂点。時を操る最高クラスの精霊神であるクロノスと契約するのに、仲間と血の滲む試練を受けた記憶が走馬灯のように甦る。

まさか、その仲間の1人に使うことになろうとは。

時間停止ストップ

あの魔王ですら数秒の間、動きを封じることの出来る魔法だ。ペリドットを含む一部の空間が静寂に包まれた。
騒がしくて聞こえていなかった、お店の音楽が耳に届くようになる。

ごっそりとMPを持っていかれた疲労感のまま、お店を立ち去る。

注意すべき対象者から、一番の危険人物というペリドットへの認識を新たにした私は、いろんな意味で感じる疲労感と共に帰路に着くのであった。

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