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2章 いざ王都。そして学園へ
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「まだ、18か…。ここ最近は獲物も少なかったし、ちょいギリだとは思ってたけど、ちぃとヤバいかもな…」
どうしてか質問すると、逆に驚かれてしまった。
「ディーンから、なんも説明聞ぃてねーのか?…あのな、レベル19問題ってのがあんだよ」
なんでも…基礎レベルは、19まではスムーズに上がるらしい。ただ、19から20に上がる、この間に必要な経験値が半端ないらしく…、受験の基準にレベル20以上とされているのもそれ故、なんだそうだ。
「ルドルクも20に上がるのに、大体1ヶ月かかった。普通に特訓してたら半年は最低かかんだよ。ここを乗り越えれるかが、いわば試験の一環でもあるな」
半年を1ヶ月でという所に驚けばいいのか、ディーンさん達は何故このことを言ってくれなかったのかと疑問に思うべきなのか…。とにかく、自分がかなりギリギリな状況だということだけは分かる。
『間に…合うんですか…?』
う~ん、と腕を組んで悩んでいたガルボさんだが、パッと顔を上げる。
「分からん!」
ばっさりと言い切られた。
「少なくとも今のペースじゃ間に合わん。あと3週間、とにかくジオは狩って狩って狩りまくれ!
俺も仕事で手が空いたら同伴するが、ルドルクと二人でも森の浅いとこくらいなら行っても大丈夫だろ。ここが踏ん張り時だ!やれるだけやってこい」
そして、正に狩りまくる毎日が始まった。いつも行く西門付近だけで狩り続けるわけにもいかず、王都にある別の門にも足を運ぶ。
王都には、全部で門が5つある。ボトム家から一番近い住宅街側の西門、私が初めてきた教会近くの賑やかなメインストリート沿いにある南門、お城の敷地に面した北門。そして、北門と南門の間に騎士養成学校側の騎士門、魔法使いを育てる為のマジックアカデミー側の魔女門がある。北、西、南門は利用頻度も高く、その分定期的に討伐も行われ、比較的安全と言われている。
私も主にこの3門近くで、時にはガルボさんの付き添いの下、時にはルドルクと二人だけで正午から夕方前の間は森に入っていた。
毎日続けていると、最初は持っていた緊張感とか警戒心とかが、徐々に薄れていく。それくらい、危険も少なく順調に経験値を稼いでいたのだ。
▪▪▪
その日も北門近くの森に、ルドルクと二人で来ていた。ここ数日は、ガルボさんの仕事が忙しいみたいで二人で来ることも多く、特になんとも思ってなかった。
モンスターを見つける効率を上げる為、ルドルクと分かれて森を探索していた時、遠くから微かに声が聞こえた。
「……ゃー!…れか、助け……~」
(ん?れかた…?たすけ……助けて!?)
聞こえてきた声が、助けを求めている。私は急いで声のする方へ走り出した。木々の合間をぬって進んでいくと、ギリギリ目視出来る先に動く、黒い物体を発見する。
この木を通り過ぎれば、はっきり見えるという場所まで来て、思わずピタリと足が止まる。見えていた黒い物体が大きな生き物の後ろ姿だとわかったからだ。
ブラックベア。ガルボさんに、森の奥にいる高レベルモンスターについて教えてもらった中にいたのと特徴が一致する。2mを超すその巨体に思わず後退ろうとする…が、しかし見えてしまった。ベアの足の間から、水色のスカートの裾、そして微かに震える小さな白い足が。
(子供が襲われてる!?)
『っやめろ!!』
ブラックベアは私の声にゆっくりとこちらを振り向いたかと思うと、突然飛びかかってきた。
『っ!!』
咄嗟に左に飛ぶが、振りかぶったベアの鋭い爪が右腕の服にかすり、引き裂いていく。ほんの少し痛かった気はしたが、そのまま転がるように先ほどベアがいた位置、子供の所までなんとかたどり着く。赤い血の色だけないことを視界の隅で確認し、子供を背にかばうように剣を構えた。
『だ、大丈夫っ!?動けるなら早く逃げて!!』
「…ぅにゃー、死ぬかと思ったにゃー。おにぃさんナイスタイミングにゃ」
(はい?)
この緊迫した空気感に似合わない台詞と口調に、思わず子供をチラ見する。
そこにいたのは、水色のワンピースを着た白い…ネコのぬいぐるみ、だった。
『は?』
「あにゃ、おにぃさんお若いにゃ。てか、目、逸らしちゃダメにゃ死ぬにょ?」
瞬間、ゾワリと背後に危機を感じ、ネコのぬいぐるみを突飛ばしながら避ける。寸での所にざっくりと爪痕が残った。避ける際に剣を振るったつもりだったが、分厚い毛に阻まれ、傷一つ付けれていないようだ。
間合いをとりつつ、叫ぶ。
『と、とりあえず逃げて!喋れるなら応援呼べるよね!?』
今は、ぬいぐるみが喋るなんてこと気にしてられない。一薙ぎで簡単に人を殺せる生き物が目の前にいるのだから。避けなければ死ぬ。そう思って、ベアと正面からにらみ合った瞬間に、悟った。
(違う…避けなければ、じゃない。次の攻撃で…殺される)
向けられた殺気に息が詰まる。遊びだったのだ。さっきまでは。
「血の匂いで本気になったにゃ!ヤバいにゃ~」
(死にたくない。こんなところで…)
自然と左手から指輪を外していた。ぶわりと空気が熱を持ち、脈が段々速くなっていく。
(大丈夫。魔法は、イメージ…。魔力をちゃんと感じ取って。最初の戦闘のときみたいに。風のように…風の、ように……)
ブラックベアの目に一瞬、戸惑いが浮かぶ。しかし、さっきとは比べ物にならないスピードで突進してきた。
地面を蹴る。視界がスライドし次に見えたのは、少し遠くなったベアの背中。まだ、後ろを取られたことに気づかず困惑しているベアに向かって、両手をかかげた。
(風を…切り裂くようなつむじ風をっ!!)
周りの空気が渦巻いていく。ベアがこちらに気づいて向かってくるところに、幾筋もの風の刃が乱れ飛んだ。断末魔の叫びと共に、巨体がズシンと倒れる。
しかし、私の意識も朦朧としていた。
(いけない…、指輪、しなくちゃ、)
心臓がバクバクと脈うっている。苦しくなる胸を抑えながら、震える手でなんとか指輪を取り出した。霞む視界と今にも飛びそうな意識を奮い立たせ、指輪をはめようとするが、うまくいかない。
そのまま…、プツリと、記憶が途絶えた。
♢♢♢???視点♢♢♢
「にゃーにゃーにゃ~♪あ、ご主人様!」
目の前の愛しい後ろ姿に、とぅっと飛びつく。
「ひどいにゃ!にゃーだけ行かせるなんてっ。お蔭で死にそーになったにゃ」
グリグリと頭を擦り付けながら訴える。でもご主人様の顔色は全く変わらない。
「うざい。生き物じゃないんだから死なないじゃん。てかお前、風魔法使ったの?」
ひょいと首根っこ持たれてぶら下がる。そんなにゃーをご主人様は感情のない目でじーと見つめてきた。
「にゃーじゃにゃいよ。あんにゃん使ったら充電切れちゃうにゃ。助けてくれたイケメンのおにぃさんだにゃ!あ、イケメンって言ってもご主人様の方がにゃん倍もカッコいーにゃ!」
足をパタパタしながら必死にアピールするけど、ご主人様の反応はふーんの一言。流石、クールビューティにゃ。
「まぁ詠唱もせずに魔法使ってにゃけど、暴走してたし、あんま強そーでもにゃかったにゃ。やっぱりご主人様が一番にゃ!!」
「へぇ、無詠唱で…。ここにもちょっとは面白そうなやついるんじゃん。今度、暇な時に会ったら遊んでやるか」
そう言って、ニヤリと笑うご主人様。あのおにぃさんは助けてくれたけど、にゃーはご主人様が楽しいのが一番にゃ。
(おにぃさん、また会ったら御愁傷様にゃ)
ぽいっと投げられたにゃーは、ご主人様の足元にじゃれつきながらアジトへ一緒に帰ったのにゃ。
どうしてか質問すると、逆に驚かれてしまった。
「ディーンから、なんも説明聞ぃてねーのか?…あのな、レベル19問題ってのがあんだよ」
なんでも…基礎レベルは、19まではスムーズに上がるらしい。ただ、19から20に上がる、この間に必要な経験値が半端ないらしく…、受験の基準にレベル20以上とされているのもそれ故、なんだそうだ。
「ルドルクも20に上がるのに、大体1ヶ月かかった。普通に特訓してたら半年は最低かかんだよ。ここを乗り越えれるかが、いわば試験の一環でもあるな」
半年を1ヶ月でという所に驚けばいいのか、ディーンさん達は何故このことを言ってくれなかったのかと疑問に思うべきなのか…。とにかく、自分がかなりギリギリな状況だということだけは分かる。
『間に…合うんですか…?』
う~ん、と腕を組んで悩んでいたガルボさんだが、パッと顔を上げる。
「分からん!」
ばっさりと言い切られた。
「少なくとも今のペースじゃ間に合わん。あと3週間、とにかくジオは狩って狩って狩りまくれ!
俺も仕事で手が空いたら同伴するが、ルドルクと二人でも森の浅いとこくらいなら行っても大丈夫だろ。ここが踏ん張り時だ!やれるだけやってこい」
そして、正に狩りまくる毎日が始まった。いつも行く西門付近だけで狩り続けるわけにもいかず、王都にある別の門にも足を運ぶ。
王都には、全部で門が5つある。ボトム家から一番近い住宅街側の西門、私が初めてきた教会近くの賑やかなメインストリート沿いにある南門、お城の敷地に面した北門。そして、北門と南門の間に騎士養成学校側の騎士門、魔法使いを育てる為のマジックアカデミー側の魔女門がある。北、西、南門は利用頻度も高く、その分定期的に討伐も行われ、比較的安全と言われている。
私も主にこの3門近くで、時にはガルボさんの付き添いの下、時にはルドルクと二人だけで正午から夕方前の間は森に入っていた。
毎日続けていると、最初は持っていた緊張感とか警戒心とかが、徐々に薄れていく。それくらい、危険も少なく順調に経験値を稼いでいたのだ。
▪▪▪
その日も北門近くの森に、ルドルクと二人で来ていた。ここ数日は、ガルボさんの仕事が忙しいみたいで二人で来ることも多く、特になんとも思ってなかった。
モンスターを見つける効率を上げる為、ルドルクと分かれて森を探索していた時、遠くから微かに声が聞こえた。
「……ゃー!…れか、助け……~」
(ん?れかた…?たすけ……助けて!?)
聞こえてきた声が、助けを求めている。私は急いで声のする方へ走り出した。木々の合間をぬって進んでいくと、ギリギリ目視出来る先に動く、黒い物体を発見する。
この木を通り過ぎれば、はっきり見えるという場所まで来て、思わずピタリと足が止まる。見えていた黒い物体が大きな生き物の後ろ姿だとわかったからだ。
ブラックベア。ガルボさんに、森の奥にいる高レベルモンスターについて教えてもらった中にいたのと特徴が一致する。2mを超すその巨体に思わず後退ろうとする…が、しかし見えてしまった。ベアの足の間から、水色のスカートの裾、そして微かに震える小さな白い足が。
(子供が襲われてる!?)
『っやめろ!!』
ブラックベアは私の声にゆっくりとこちらを振り向いたかと思うと、突然飛びかかってきた。
『っ!!』
咄嗟に左に飛ぶが、振りかぶったベアの鋭い爪が右腕の服にかすり、引き裂いていく。ほんの少し痛かった気はしたが、そのまま転がるように先ほどベアがいた位置、子供の所までなんとかたどり着く。赤い血の色だけないことを視界の隅で確認し、子供を背にかばうように剣を構えた。
『だ、大丈夫っ!?動けるなら早く逃げて!!』
「…ぅにゃー、死ぬかと思ったにゃー。おにぃさんナイスタイミングにゃ」
(はい?)
この緊迫した空気感に似合わない台詞と口調に、思わず子供をチラ見する。
そこにいたのは、水色のワンピースを着た白い…ネコのぬいぐるみ、だった。
『は?』
「あにゃ、おにぃさんお若いにゃ。てか、目、逸らしちゃダメにゃ死ぬにょ?」
瞬間、ゾワリと背後に危機を感じ、ネコのぬいぐるみを突飛ばしながら避ける。寸での所にざっくりと爪痕が残った。避ける際に剣を振るったつもりだったが、分厚い毛に阻まれ、傷一つ付けれていないようだ。
間合いをとりつつ、叫ぶ。
『と、とりあえず逃げて!喋れるなら応援呼べるよね!?』
今は、ぬいぐるみが喋るなんてこと気にしてられない。一薙ぎで簡単に人を殺せる生き物が目の前にいるのだから。避けなければ死ぬ。そう思って、ベアと正面からにらみ合った瞬間に、悟った。
(違う…避けなければ、じゃない。次の攻撃で…殺される)
向けられた殺気に息が詰まる。遊びだったのだ。さっきまでは。
「血の匂いで本気になったにゃ!ヤバいにゃ~」
(死にたくない。こんなところで…)
自然と左手から指輪を外していた。ぶわりと空気が熱を持ち、脈が段々速くなっていく。
(大丈夫。魔法は、イメージ…。魔力をちゃんと感じ取って。最初の戦闘のときみたいに。風のように…風の、ように……)
ブラックベアの目に一瞬、戸惑いが浮かぶ。しかし、さっきとは比べ物にならないスピードで突進してきた。
地面を蹴る。視界がスライドし次に見えたのは、少し遠くなったベアの背中。まだ、後ろを取られたことに気づかず困惑しているベアに向かって、両手をかかげた。
(風を…切り裂くようなつむじ風をっ!!)
周りの空気が渦巻いていく。ベアがこちらに気づいて向かってくるところに、幾筋もの風の刃が乱れ飛んだ。断末魔の叫びと共に、巨体がズシンと倒れる。
しかし、私の意識も朦朧としていた。
(いけない…、指輪、しなくちゃ、)
心臓がバクバクと脈うっている。苦しくなる胸を抑えながら、震える手でなんとか指輪を取り出した。霞む視界と今にも飛びそうな意識を奮い立たせ、指輪をはめようとするが、うまくいかない。
そのまま…、プツリと、記憶が途絶えた。
♢♢♢???視点♢♢♢
「にゃーにゃーにゃ~♪あ、ご主人様!」
目の前の愛しい後ろ姿に、とぅっと飛びつく。
「ひどいにゃ!にゃーだけ行かせるなんてっ。お蔭で死にそーになったにゃ」
グリグリと頭を擦り付けながら訴える。でもご主人様の顔色は全く変わらない。
「うざい。生き物じゃないんだから死なないじゃん。てかお前、風魔法使ったの?」
ひょいと首根っこ持たれてぶら下がる。そんなにゃーをご主人様は感情のない目でじーと見つめてきた。
「にゃーじゃにゃいよ。あんにゃん使ったら充電切れちゃうにゃ。助けてくれたイケメンのおにぃさんだにゃ!あ、イケメンって言ってもご主人様の方がにゃん倍もカッコいーにゃ!」
足をパタパタしながら必死にアピールするけど、ご主人様の反応はふーんの一言。流石、クールビューティにゃ。
「まぁ詠唱もせずに魔法使ってにゃけど、暴走してたし、あんま強そーでもにゃかったにゃ。やっぱりご主人様が一番にゃ!!」
「へぇ、無詠唱で…。ここにもちょっとは面白そうなやついるんじゃん。今度、暇な時に会ったら遊んでやるか」
そう言って、ニヤリと笑うご主人様。あのおにぃさんは助けてくれたけど、にゃーはご主人様が楽しいのが一番にゃ。
(おにぃさん、また会ったら御愁傷様にゃ)
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