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第二章
第二十四話
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テーロン山で霊峰の神ゲンブの助力を得た、クラウス達を乗せたホウオウは、鈍色の雲に覆われた千里の天を、流星のような光の尾を引き飛んでいく。陽光こそないが、鏤金螺鈿の鋲乗物のようなホウオウは羽音もさせずに天を滑っていく。
目指すは最後の霊峰ウーメイ山である。先のテーロン山からは少し離れているので、ホウオウでも五日ほど掛かる。その間、クラウス達には細やかな休息が与えられた。
颯々と剣が風を切る音がする。時折、戛然と刃金の交わる音がする。手持ち無沙汰なので、クラウスとセルジュが真剣で稽古をしているのだ。
セルジュは、急に稽古を持ち掛けてきたクラウスを訝しんだが、自身の剣技を自負しているので、退屈しのぎに遊んでやろう、くらいの気持ちで挑んだが、一合、二合と斬り合う内に、思わぬ苦戦に歯噛みする。
案に相違した相手の剣、受け身になるはセルジュの剣。次第に彼も本気になり、上段構えに振りかぶり、鍔も届けと踏み込んだ。ぱっと外したクラウスは、下段から一気に斬り上げた。
「おのれっ」
セルジュも一段鋭さ増して、烈電の如く斬り込んだ。こはいかに、クラウスの剣は銀蛇のよう、構えた剣は八面鉄壁、碧眼光らせ隙も無い。十年磨剣のセルジュとも、クラウスの剣は退け取らない。
互いに譲らずまた退かず、竜虎相搏つの文字通り、見ている方の気が揉める。ガッキと眼を灼く鍔迫り合い、お互い柄手に気を込める。やっ、とセルジュが跳び退いて、脇構えから横斬り一閃! 咄嗟にクラウスは身を捻り、自分の剣を縦翳し。
発止と高い金属音、燦と刃交が光るや否、二人の剣は彼方にズンと立っていた。
「引き分けだな…」
セルジュが肩で息をしながらそう言うと、クラウスは茫然とした様子で、額に流れる汗を拭おうともしない。
ヴァークリヒラントでも指折りの剣士アンセルから剣を学んだセルジュと、互角に渡り合った自分が信じられなかった。彼を綾なしていた時、自分でも不思議なほど五体が良く動いた。こう来るな、こう外すな、という手元が一々はっきり予想でき、また考えるよりも先に足が動いた。
誰にも師事していない、自己流剣術の自分にいつ、こういう力が付いたのかと怪しまれるばかり。セルジュが横から、
「初めてお前と勝負したが、思ったよりもやるな。だが、どうしていきなり勝負なんて? 」
「ああ…俺だって、いつまでもこのままじゃいられないからな。せめて剣の腕だけでも上げとかないと」
「そうか。だが、初めて会ったときより、確実に上達している筈だ。何せこんな過酷な旅をして何回も死にかけてるんだからな。この旅は、何十年経っても覚えてるだろうな」
「暢気に思い出せる日がくると良いけどな」
クラウスは苦笑し、セルジュと並んで剣を拾いにいった。二人が並んで歩く様子は邂逅当初の嫌悪さは何処へやら、すっかり打ち解けた様子である。
セルジュは相変わらずの仏頂面ではあるが、何処か表情が柔らかくなった印象である。クラウスも彼に話し掛けるのに最早躊躇いは感じず、軽口など叩きながら歩いている。
ふと、セルジュはランレイを見た。彼女は膝を抱えて憮然としている。常の元気が嘘のように、むっと何処か不機嫌そう。偶に魘される悪夢とは別に、定期的にそうなるので、セルジュはその度、不思議に思っていたのだが、今日は何思ったか、ランレイに近付き、どうした、と尋ねた。
ランレイはじろりとセルジュを睥睨した。笑顔も向けず溜息を付いて気怠そうである。しかし、今日のセルジュは思わぬ良い鍛錬の満足で、余程どうかしているらしい。彼女の姿が心配になったのか、彼は、
「どうしたんだ。前から思っていたが、お前らしくも無い」
「…何でもない。ランレイ、今ご機嫌ナナメ。今日は話し掛けないで欲しいよ」
「どういう事だ? 」
「だから話し掛けないで欲しいっ。今日はセルジュの事、嫌い! 」
そこまで聞いてクラウスが、成る程と理解した様子。そっとセルジュに何か耳打ちした。
クラウスの耳打ちを聞いた彼は瞠目したが、すぐに事情を飲み込んだ。彼も無智では無いどころか、ここにいる四人の中では一番教養のある人物である。王室専属の教師から色々と知識は仕込まれている。
納得したように頷いて、クラウスに
「ああ…一応知ってはいたが本当だったんだな。そう言えば、こいつも女だったな」
「うんうん。そういう所も配慮してこそ、友達ってもんだ。ソフィアもその時は凄く不機嫌で」
「さっきから何話してるかっ。ランレイの事、バカにしてるかっ」
ランレイが俄に怒りだし、満面に朱泥を注いだようになり、やおら立ち上がって、逃げる二人を追い回す。気が立っているので、些細な事でも気に障るらしい。クラウス達は思わぬ逆鱗に胆を冷やして逃げまくった。
いくら友人でも機嫌の悪いときには、どんな言動でも悪い方向に捉えてしまうらしい。
その時、それを見ていたもう一人。ソフィアはすっかり打ち解けた様子のクラウスとセルジュを見、ぽつねんと座り込んで溜息を付いていた。
(皆凄いなぁ…)と内心、彼らの適応の速さを羨ましく思っているのだ。考えてみると、このソフィアという人は、以前まで明朗快活を絵に描いたような性格だったのだが、最近、特にシュピーゲルラントに渡って以来、一人で沈思することが多くなった。
自分が守っていると思い込んでいたランレイは、今ではセルジュと相棒のような関係となり、すっかり彼に懐いて阿吽之息、二人で背中を守り合っている。詳しい理由は解らぬが、故郷を救う為、徒手空拳で異世界までやって来たランレイの決意の固さを、ソフィアは羨ましく思っているのだ。
セルジュは後から来たにも関わらず、今では他の者達と打ち解け、ランレイとは殊に親密である。ソフィアには、自分の方が先に会ったのに、という嫉妬の思いもあるが、彼が咄嗟にランレイを守る為に命を賭けたのを見て、果たして自分がそこまでして他人を守る事が出来るのかという懊悩と無聊に苛まれる。
そしてクラウス――故郷の村にいた頃は変化を望まず、その日その日を極めて懶惰に生きていた幼馴染み。ソフィアは、彼を世話してその放恣な生活を諫めながら禽息鳥視な生涯を送るものだと思っていたのだが、最近の彼は、二つの世界を守る神子としての自覚が芽生えたのか、それとも別な理由からか、とにかくクラウスは、以前とはまるで別人のように頼れる青年となった。
(あたしは…? )ソフィアは、ふと自分の事を省みた。とある事件を契機に、幼い頃から他人を優先する事こそ自分の生きる道だと信じてきた。
しかし、決して同意こそ出来ないがアンセルの確固たる理念、シュピーゲルラントに来て以来出会ってきた人々の信念。加えて、少しずつ変化を試み、心を成長させていく仲間達の姿。
それらと今の自分を比べると、一人変化も心の成長も出来ず、かといって胸を張れるような確固たる信念も無い。そして自分の過去と向き合う勇気も無く、今はただ、中途半端な自分の姿と仲間達とを対比して煩悶しているのが今の境遇。
寂然と俯いているソフィアを横目に見たクラウスは、ランレイに捻じ伏せられているセルジュを見捨て、彼女の横に静かに座った。
「この間からどうした? 」
「…何でもないって言ってるでしょ…」
「何もないわけ無いだろ。何年一緒にいると思ってるんだ。お前の様子くらい解るよ。何か悩みがあるなら言ってみろ、少しは楽になるかもしれないだろ。…まあどうしても俺に言いたくないなら言わなくて良いけどよ」
「ねえクラウス…クラウスは何で戦おうと思ったの? あんなに大変な事を嫌ってたじゃない。それなのにこんな大変な事を」
クラウスは少し考えた。尋常ならば、『世界を守る』という通り一遍の答えを返すのであろうが、どうも今日のソフィアはそれでは納得しなさそうである。
クラウス自身も、このままではいられない、そう思っているところではあるが、いざ戦う理由を尋ねられると、はっきりとした自分から発せられる答えが無い。
考えてみれば、彼もまた流されるままに、ここまで来たといえよう。
「…解らねえよ。でも、戦わないわけにはいかないだろ。そんなこと考えてる内にも世界はぶつかりそうになってるんだから。変わるかどうかは、終わったら考えるよ」
「そっか…そうだよね。ウジウジしてても仕方無いよね」
「一人で悩むなよ。お前が一人で悩み苦しんでる姿なんて、俺、見たくねえよ。それに…俺も聞きたいんだけど、何でお前は自分じゃなく、他人の幸せが第一なんだ? 」
「えっ。そ、それは…」
クラウスの不意な糾問に、ソフィアは言葉に詰まってしまい、悲哀と悔恨に満ちた顔で俯いた。クラウスは何か事情があれば相談に乗るつもりでいたのだが、その事情の深さが、案に相違している事を察し、それ以上は何も言わず、雑談に紛らわした。
やがてランレイの代わりに夕餉を整えたセルジュに呼ばれ、クラウスは居た堪れない場所から、助け船に乗るような気持ちで歩き出していった。ソフィアは生死妄念晴れぬ双眸で、遠ざかっていく彼の背中を見つめながら、小さく呟いた。
「…ごめんね」
――数日後、クラウス達はホウオウから降り、霊峰ウーメイ山を視界の先に臨んでいた。この霊峰は、先のテーロン山とは違い、孔雀石を盛り上げたように山肌の木々が茂り、初冬の空っ風になびいている。
巍峨と聳える霊峰は、太古の春花秋月を残し、曇天が晴れていたのであれば、水平線に立つ雅な緑の壺のようであっただろう。深い渓音水声が喨々と聞こえ、何処からかは虫の啼き声が、長い尾を引いて耳に入り込んでくる。
しかし、クラウス達の周りには集落や人気が無く、蕭々と蘆狄が鳴り、茂盛した松や竹林には、猿や鶴が遊んでいる。山紫水明、と言えば聞こえは良いが、要するに無人の辺境である。クラウスは早速、憂慮せざるを得なかった。
「おいおい…街も村もねえぞ。ここらへんにいる間は野宿かよ」
「俺は構わんが、仮にも霊峰の周りなんだろ? 参拝者を泊める場所くらい無いのか? おい、ランレイ」
「知らないよ。ランレイ、ここらへん聞いた事あるだけで、来た事ない」
「取り敢えず、歩いてみれば小さな村くらいあるかもしれないから、行こうぜ…おい、ソフィア。行くぞ」
ソフィアははっと悄然と俯かせていた顔を上げて、うん、と一声上げて歩き出す。どうもクラウスは、彼女の相談に乗るつもりで、却って新たな懊悩の種を与えてしまったらしい。
しかしそんな事はつゆ知らず、一行は何処か身を落ち着けられる場所を捜すべく、霊峰の周囲を放浪し始めた。
数時間歩いたが、クラウス達は村の影も、人の痕跡すら見つけられないでいた。十方に背の低い草木が茂り、難所には程遠いが、目的地が無いというのも、また別な困難である。陽光が殆ど無い幽寂な四方は、時折谺する鳥の鳴き声以外は、薄ら寒くぞくと肌に粟を生じさせる風ばかり。
しかし、ようやく彼方に朧気な甍が見えだした。先日の事情も解消されたランレイは目聡くそれを見つけ、弾かれたように駆け出した。クラウス達も遅れて走り出し、ようやく少し落ち着ける――と思っていたのだが、須臾にして淡い希望は木っ端微塵に砕かれた。
見渡す限り、古戦場の如く鬼哭啾々たる村落跡であった。岩で造られた家々の土台、焼燬した官衙や民家の残骸が打ち棄てられてある。時折、蘆叢の中に白骨が見受けられ、それらには打撃の跡や鏃があり、この場所が兵乱に遭った事を示している。
折角安臥出来ると思っていたクラウス達は、如何にも力を失ったように惆悵し、殊にランレイは倒れ込んで大の字になり、動けない、と駄々を捏ねて止まない。
セルジュが宥めても説き伏せても、一向に言う事を聞かないので、その日は蕭々と物悲しい風が流れる村落の跡で野営する事となった。
一行が焚火を囲んでいると、不意にクラウスが、書物を読んでいたセルジュに、
「おいセルジュ、何か面白い話でもないか。いくら何でも退屈だぜ。こう黙ってると」
「いきなり言われてもな…。そういうお前は何か無いのか」
「じゃあ、ランレイから怖い話するよ。昔々、とある村に一人の女の子いました。その女の子とても優しい人、皆の事、沢山助けてた。でもある日、知らない軍隊が沢山来て、村を焼いて、皆死んだ。でもじょーぶつ出来ない女の子、夜になると村に現れる。現れて話し掛けてくるらしい」
「お、おいおい…まさか、その村って…」
「そうだよ…。このお話の村は、ここだよ…」
そこまで聞くが早いか、クラウスはもう満顔を蒼白い玲瓏のようにさせ、面に引き攣った笑顔を浮かべ、五体を寒気に当てられたように震えさせている。セルジュも、彼に呆れたような表情ではあるが、内心ではランレイの語り口の妙に、少し怖気を震っていた。
しかしソフィアは、ランレイの話が進むにつれ、聞きたくないかの如く、膝に顔を埋めていった。話に怯えているかと思えば、そうではないらしい。
ふと、ランレイが厠に立ちかけた――その時、上を見上げた彼女はぎょっとした。屋根跡の先端に、小さな影が立っている。
「ははは。結局此処まできたんだ。僕はてっきり、君達がとっくに死んでると思っていたよ。中々しぶといね、神子も取り巻きも」
「あ、あれって…」
「お、ワン・ランレイじゃん。いやー君って凄いよね。一体どの面下げて、スイラン様に会えるんだよ」
その声を聞いて、クラウス達も立ち上がった。屋根にいた人影も軽々と体躯の重みを感じさせずに降りて来た。一行は、彼の顔を見て驚いた。
不敵な笑みを浮かべ、夜風に短い漆黒髪を靡かせる少年――トレントと名乗っていたシャオユウであった。
「お、お前は」
「やあセルジュ君。僕も実はこっち側なんだよ。名前はシャオユウ、スイラン様が僕の主さ。君達さ、悪いんだけど、これ以上はちょっとやり過ぎじゃやないかな? 」
「やはりな。前から怪しいと思っていたが…。長生きして何をしたかと思えば、その拳法を身に着けたのか。ふん、道理で強さばかり求める奴だと」
と言い掛けた時、シャオユウが憤激し、俄に鋭い月牙の付いた拳鍔を取り出した。そして早口で、
「煩い煩いっ。強さを求めて何が悪いっ。弱いと何も守れないっ」
同時にセルジュに跳び掛かる。セルジュも間髪ぎらと抜き、居合いで相手を受け流す。不意を喰ったクラウス達、すかさず得物を手に取り跳び別れ、敵を囲繞し身構える。
クラウスは咄嗟、軽燕に身を躍らせて、上段から敵に斬り掛かる。発止とシャオユウ受け払い、左手を真っ直ぐ突き出した。ぱっと跳び退きクラウスは、片手に持った長剣を金剛構え、息もつかせず飛び込んで、肩口目掛けて斬り下げる。途端にシャオユウ身を開き、踏み込んだ剣筋見極めて、咄嗟に繰り出す迎え蹴り! 胸板蹴られたクラウスは、二米も吹っ飛んだ。
すかさずシャオユウ跳び掛かる。仰向けになったクラウスは、閂構えに迎え撃つ。戛と触れ合う二つの鉄、同時に横からセルジュの剣、斜め下しに斬り込んだ。くっとシャオユウ跳び退いて、今度は迂闊に攻めてこない。セルジュも油断なく剣を構え、拇だけを動かして、じりじり距離を詰めていく。
「そっちが来ないなら、僕から行くぞっ」
言うが早いかシャオユウは、タタタッとセルジュに寄って右手を伸ばす。すかさずセルジュも迎え撃ち、烈しく火華を散らして丁々発止、一寸の隙見たシャオユウは、切っ先鋭く一文字、鉄砲弾の如き拳を見舞う。
そこへ割り込んだのはワン・ランレイ。シャオユウの右腕掴むや否、そのまま力一杯投げ飛ばす。クルクルと回ったシャオユウは、見事に着地し不敵な笑み、と思う間に、虚を逃さぬランレイが、その脾腹に左手の一撃! そこへ踏み込んだクラウスが、鍔も届けと刃を落とす。
あっと逃げる間の無いシャオユウは、戛と拳で受け払うが、顳顬から頬にかすり瘡、忽ち鮮血流れ出す。
「喰らえっ」
とクラウスが、下段から斬り上げる二の太刀に、何とかシャオユウ逃げ出した。その先にいたソフィア、八角棒を振りかぶる――が、振り下ろさない。否、振り下ろせない。
(あたしは…)と思う間に、シャオユウは、八角棒を蹴り飛ばし、彼女の利き腕を捻じ上げて、喉元に月牙をぐっと突き付けた。驚いたのは他三人、彼は嘲笑高らかに、クラウス達に向き直り、
「ははは。女の子一人守れない程、君達弱いんだね。安心して、君らもすぐに殺してあげるから」
「うう…クラウス…」
哀れ、ソフィアはそのまま敢え無くシャオユウに喉を斬られるか――そう思われた時である。
「シャオユウッ」
その声に、はっとシャオユウは瞠目した。明らかに動揺した様子でソフィアを突き飛ばし、脱兎の如く跳び上がり、屋根や岩を伝って逃げ出した。
クラウスは彼には眼もくれず、真っ先にソフィアを助け起こし、
「大丈夫か? 何処か怪我は無いか? 」
「う、うん…。ごめんね。ちょっと油断してた」
「気を付けろよ。あいつは俺達を殺すつもりなんだから」
すると、彼らの後ろからまた同じような声がする。クラウス達が振り向くと、そこには何と一人の少女、蘭瞼に涙を浮かべ、白皙に悲哀を込めた表情で、シャオユウの消えた方角を見つめていた。
目指すは最後の霊峰ウーメイ山である。先のテーロン山からは少し離れているので、ホウオウでも五日ほど掛かる。その間、クラウス達には細やかな休息が与えられた。
颯々と剣が風を切る音がする。時折、戛然と刃金の交わる音がする。手持ち無沙汰なので、クラウスとセルジュが真剣で稽古をしているのだ。
セルジュは、急に稽古を持ち掛けてきたクラウスを訝しんだが、自身の剣技を自負しているので、退屈しのぎに遊んでやろう、くらいの気持ちで挑んだが、一合、二合と斬り合う内に、思わぬ苦戦に歯噛みする。
案に相違した相手の剣、受け身になるはセルジュの剣。次第に彼も本気になり、上段構えに振りかぶり、鍔も届けと踏み込んだ。ぱっと外したクラウスは、下段から一気に斬り上げた。
「おのれっ」
セルジュも一段鋭さ増して、烈電の如く斬り込んだ。こはいかに、クラウスの剣は銀蛇のよう、構えた剣は八面鉄壁、碧眼光らせ隙も無い。十年磨剣のセルジュとも、クラウスの剣は退け取らない。
互いに譲らずまた退かず、竜虎相搏つの文字通り、見ている方の気が揉める。ガッキと眼を灼く鍔迫り合い、お互い柄手に気を込める。やっ、とセルジュが跳び退いて、脇構えから横斬り一閃! 咄嗟にクラウスは身を捻り、自分の剣を縦翳し。
発止と高い金属音、燦と刃交が光るや否、二人の剣は彼方にズンと立っていた。
「引き分けだな…」
セルジュが肩で息をしながらそう言うと、クラウスは茫然とした様子で、額に流れる汗を拭おうともしない。
ヴァークリヒラントでも指折りの剣士アンセルから剣を学んだセルジュと、互角に渡り合った自分が信じられなかった。彼を綾なしていた時、自分でも不思議なほど五体が良く動いた。こう来るな、こう外すな、という手元が一々はっきり予想でき、また考えるよりも先に足が動いた。
誰にも師事していない、自己流剣術の自分にいつ、こういう力が付いたのかと怪しまれるばかり。セルジュが横から、
「初めてお前と勝負したが、思ったよりもやるな。だが、どうしていきなり勝負なんて? 」
「ああ…俺だって、いつまでもこのままじゃいられないからな。せめて剣の腕だけでも上げとかないと」
「そうか。だが、初めて会ったときより、確実に上達している筈だ。何せこんな過酷な旅をして何回も死にかけてるんだからな。この旅は、何十年経っても覚えてるだろうな」
「暢気に思い出せる日がくると良いけどな」
クラウスは苦笑し、セルジュと並んで剣を拾いにいった。二人が並んで歩く様子は邂逅当初の嫌悪さは何処へやら、すっかり打ち解けた様子である。
セルジュは相変わらずの仏頂面ではあるが、何処か表情が柔らかくなった印象である。クラウスも彼に話し掛けるのに最早躊躇いは感じず、軽口など叩きながら歩いている。
ふと、セルジュはランレイを見た。彼女は膝を抱えて憮然としている。常の元気が嘘のように、むっと何処か不機嫌そう。偶に魘される悪夢とは別に、定期的にそうなるので、セルジュはその度、不思議に思っていたのだが、今日は何思ったか、ランレイに近付き、どうした、と尋ねた。
ランレイはじろりとセルジュを睥睨した。笑顔も向けず溜息を付いて気怠そうである。しかし、今日のセルジュは思わぬ良い鍛錬の満足で、余程どうかしているらしい。彼女の姿が心配になったのか、彼は、
「どうしたんだ。前から思っていたが、お前らしくも無い」
「…何でもない。ランレイ、今ご機嫌ナナメ。今日は話し掛けないで欲しいよ」
「どういう事だ? 」
「だから話し掛けないで欲しいっ。今日はセルジュの事、嫌い! 」
そこまで聞いてクラウスが、成る程と理解した様子。そっとセルジュに何か耳打ちした。
クラウスの耳打ちを聞いた彼は瞠目したが、すぐに事情を飲み込んだ。彼も無智では無いどころか、ここにいる四人の中では一番教養のある人物である。王室専属の教師から色々と知識は仕込まれている。
納得したように頷いて、クラウスに
「ああ…一応知ってはいたが本当だったんだな。そう言えば、こいつも女だったな」
「うんうん。そういう所も配慮してこそ、友達ってもんだ。ソフィアもその時は凄く不機嫌で」
「さっきから何話してるかっ。ランレイの事、バカにしてるかっ」
ランレイが俄に怒りだし、満面に朱泥を注いだようになり、やおら立ち上がって、逃げる二人を追い回す。気が立っているので、些細な事でも気に障るらしい。クラウス達は思わぬ逆鱗に胆を冷やして逃げまくった。
いくら友人でも機嫌の悪いときには、どんな言動でも悪い方向に捉えてしまうらしい。
その時、それを見ていたもう一人。ソフィアはすっかり打ち解けた様子のクラウスとセルジュを見、ぽつねんと座り込んで溜息を付いていた。
(皆凄いなぁ…)と内心、彼らの適応の速さを羨ましく思っているのだ。考えてみると、このソフィアという人は、以前まで明朗快活を絵に描いたような性格だったのだが、最近、特にシュピーゲルラントに渡って以来、一人で沈思することが多くなった。
自分が守っていると思い込んでいたランレイは、今ではセルジュと相棒のような関係となり、すっかり彼に懐いて阿吽之息、二人で背中を守り合っている。詳しい理由は解らぬが、故郷を救う為、徒手空拳で異世界までやって来たランレイの決意の固さを、ソフィアは羨ましく思っているのだ。
セルジュは後から来たにも関わらず、今では他の者達と打ち解け、ランレイとは殊に親密である。ソフィアには、自分の方が先に会ったのに、という嫉妬の思いもあるが、彼が咄嗟にランレイを守る為に命を賭けたのを見て、果たして自分がそこまでして他人を守る事が出来るのかという懊悩と無聊に苛まれる。
そしてクラウス――故郷の村にいた頃は変化を望まず、その日その日を極めて懶惰に生きていた幼馴染み。ソフィアは、彼を世話してその放恣な生活を諫めながら禽息鳥視な生涯を送るものだと思っていたのだが、最近の彼は、二つの世界を守る神子としての自覚が芽生えたのか、それとも別な理由からか、とにかくクラウスは、以前とはまるで別人のように頼れる青年となった。
(あたしは…? )ソフィアは、ふと自分の事を省みた。とある事件を契機に、幼い頃から他人を優先する事こそ自分の生きる道だと信じてきた。
しかし、決して同意こそ出来ないがアンセルの確固たる理念、シュピーゲルラントに来て以来出会ってきた人々の信念。加えて、少しずつ変化を試み、心を成長させていく仲間達の姿。
それらと今の自分を比べると、一人変化も心の成長も出来ず、かといって胸を張れるような確固たる信念も無い。そして自分の過去と向き合う勇気も無く、今はただ、中途半端な自分の姿と仲間達とを対比して煩悶しているのが今の境遇。
寂然と俯いているソフィアを横目に見たクラウスは、ランレイに捻じ伏せられているセルジュを見捨て、彼女の横に静かに座った。
「この間からどうした? 」
「…何でもないって言ってるでしょ…」
「何もないわけ無いだろ。何年一緒にいると思ってるんだ。お前の様子くらい解るよ。何か悩みがあるなら言ってみろ、少しは楽になるかもしれないだろ。…まあどうしても俺に言いたくないなら言わなくて良いけどよ」
「ねえクラウス…クラウスは何で戦おうと思ったの? あんなに大変な事を嫌ってたじゃない。それなのにこんな大変な事を」
クラウスは少し考えた。尋常ならば、『世界を守る』という通り一遍の答えを返すのであろうが、どうも今日のソフィアはそれでは納得しなさそうである。
クラウス自身も、このままではいられない、そう思っているところではあるが、いざ戦う理由を尋ねられると、はっきりとした自分から発せられる答えが無い。
考えてみれば、彼もまた流されるままに、ここまで来たといえよう。
「…解らねえよ。でも、戦わないわけにはいかないだろ。そんなこと考えてる内にも世界はぶつかりそうになってるんだから。変わるかどうかは、終わったら考えるよ」
「そっか…そうだよね。ウジウジしてても仕方無いよね」
「一人で悩むなよ。お前が一人で悩み苦しんでる姿なんて、俺、見たくねえよ。それに…俺も聞きたいんだけど、何でお前は自分じゃなく、他人の幸せが第一なんだ? 」
「えっ。そ、それは…」
クラウスの不意な糾問に、ソフィアは言葉に詰まってしまい、悲哀と悔恨に満ちた顔で俯いた。クラウスは何か事情があれば相談に乗るつもりでいたのだが、その事情の深さが、案に相違している事を察し、それ以上は何も言わず、雑談に紛らわした。
やがてランレイの代わりに夕餉を整えたセルジュに呼ばれ、クラウスは居た堪れない場所から、助け船に乗るような気持ちで歩き出していった。ソフィアは生死妄念晴れぬ双眸で、遠ざかっていく彼の背中を見つめながら、小さく呟いた。
「…ごめんね」
――数日後、クラウス達はホウオウから降り、霊峰ウーメイ山を視界の先に臨んでいた。この霊峰は、先のテーロン山とは違い、孔雀石を盛り上げたように山肌の木々が茂り、初冬の空っ風になびいている。
巍峨と聳える霊峰は、太古の春花秋月を残し、曇天が晴れていたのであれば、水平線に立つ雅な緑の壺のようであっただろう。深い渓音水声が喨々と聞こえ、何処からかは虫の啼き声が、長い尾を引いて耳に入り込んでくる。
しかし、クラウス達の周りには集落や人気が無く、蕭々と蘆狄が鳴り、茂盛した松や竹林には、猿や鶴が遊んでいる。山紫水明、と言えば聞こえは良いが、要するに無人の辺境である。クラウスは早速、憂慮せざるを得なかった。
「おいおい…街も村もねえぞ。ここらへんにいる間は野宿かよ」
「俺は構わんが、仮にも霊峰の周りなんだろ? 参拝者を泊める場所くらい無いのか? おい、ランレイ」
「知らないよ。ランレイ、ここらへん聞いた事あるだけで、来た事ない」
「取り敢えず、歩いてみれば小さな村くらいあるかもしれないから、行こうぜ…おい、ソフィア。行くぞ」
ソフィアははっと悄然と俯かせていた顔を上げて、うん、と一声上げて歩き出す。どうもクラウスは、彼女の相談に乗るつもりで、却って新たな懊悩の種を与えてしまったらしい。
しかしそんな事はつゆ知らず、一行は何処か身を落ち着けられる場所を捜すべく、霊峰の周囲を放浪し始めた。
数時間歩いたが、クラウス達は村の影も、人の痕跡すら見つけられないでいた。十方に背の低い草木が茂り、難所には程遠いが、目的地が無いというのも、また別な困難である。陽光が殆ど無い幽寂な四方は、時折谺する鳥の鳴き声以外は、薄ら寒くぞくと肌に粟を生じさせる風ばかり。
しかし、ようやく彼方に朧気な甍が見えだした。先日の事情も解消されたランレイは目聡くそれを見つけ、弾かれたように駆け出した。クラウス達も遅れて走り出し、ようやく少し落ち着ける――と思っていたのだが、須臾にして淡い希望は木っ端微塵に砕かれた。
見渡す限り、古戦場の如く鬼哭啾々たる村落跡であった。岩で造られた家々の土台、焼燬した官衙や民家の残骸が打ち棄てられてある。時折、蘆叢の中に白骨が見受けられ、それらには打撃の跡や鏃があり、この場所が兵乱に遭った事を示している。
折角安臥出来ると思っていたクラウス達は、如何にも力を失ったように惆悵し、殊にランレイは倒れ込んで大の字になり、動けない、と駄々を捏ねて止まない。
セルジュが宥めても説き伏せても、一向に言う事を聞かないので、その日は蕭々と物悲しい風が流れる村落の跡で野営する事となった。
一行が焚火を囲んでいると、不意にクラウスが、書物を読んでいたセルジュに、
「おいセルジュ、何か面白い話でもないか。いくら何でも退屈だぜ。こう黙ってると」
「いきなり言われてもな…。そういうお前は何か無いのか」
「じゃあ、ランレイから怖い話するよ。昔々、とある村に一人の女の子いました。その女の子とても優しい人、皆の事、沢山助けてた。でもある日、知らない軍隊が沢山来て、村を焼いて、皆死んだ。でもじょーぶつ出来ない女の子、夜になると村に現れる。現れて話し掛けてくるらしい」
「お、おいおい…まさか、その村って…」
「そうだよ…。このお話の村は、ここだよ…」
そこまで聞くが早いか、クラウスはもう満顔を蒼白い玲瓏のようにさせ、面に引き攣った笑顔を浮かべ、五体を寒気に当てられたように震えさせている。セルジュも、彼に呆れたような表情ではあるが、内心ではランレイの語り口の妙に、少し怖気を震っていた。
しかしソフィアは、ランレイの話が進むにつれ、聞きたくないかの如く、膝に顔を埋めていった。話に怯えているかと思えば、そうではないらしい。
ふと、ランレイが厠に立ちかけた――その時、上を見上げた彼女はぎょっとした。屋根跡の先端に、小さな影が立っている。
「ははは。結局此処まできたんだ。僕はてっきり、君達がとっくに死んでると思っていたよ。中々しぶといね、神子も取り巻きも」
「あ、あれって…」
「お、ワン・ランレイじゃん。いやー君って凄いよね。一体どの面下げて、スイラン様に会えるんだよ」
その声を聞いて、クラウス達も立ち上がった。屋根にいた人影も軽々と体躯の重みを感じさせずに降りて来た。一行は、彼の顔を見て驚いた。
不敵な笑みを浮かべ、夜風に短い漆黒髪を靡かせる少年――トレントと名乗っていたシャオユウであった。
「お、お前は」
「やあセルジュ君。僕も実はこっち側なんだよ。名前はシャオユウ、スイラン様が僕の主さ。君達さ、悪いんだけど、これ以上はちょっとやり過ぎじゃやないかな? 」
「やはりな。前から怪しいと思っていたが…。長生きして何をしたかと思えば、その拳法を身に着けたのか。ふん、道理で強さばかり求める奴だと」
と言い掛けた時、シャオユウが憤激し、俄に鋭い月牙の付いた拳鍔を取り出した。そして早口で、
「煩い煩いっ。強さを求めて何が悪いっ。弱いと何も守れないっ」
同時にセルジュに跳び掛かる。セルジュも間髪ぎらと抜き、居合いで相手を受け流す。不意を喰ったクラウス達、すかさず得物を手に取り跳び別れ、敵を囲繞し身構える。
クラウスは咄嗟、軽燕に身を躍らせて、上段から敵に斬り掛かる。発止とシャオユウ受け払い、左手を真っ直ぐ突き出した。ぱっと跳び退きクラウスは、片手に持った長剣を金剛構え、息もつかせず飛び込んで、肩口目掛けて斬り下げる。途端にシャオユウ身を開き、踏み込んだ剣筋見極めて、咄嗟に繰り出す迎え蹴り! 胸板蹴られたクラウスは、二米も吹っ飛んだ。
すかさずシャオユウ跳び掛かる。仰向けになったクラウスは、閂構えに迎え撃つ。戛と触れ合う二つの鉄、同時に横からセルジュの剣、斜め下しに斬り込んだ。くっとシャオユウ跳び退いて、今度は迂闊に攻めてこない。セルジュも油断なく剣を構え、拇だけを動かして、じりじり距離を詰めていく。
「そっちが来ないなら、僕から行くぞっ」
言うが早いかシャオユウは、タタタッとセルジュに寄って右手を伸ばす。すかさずセルジュも迎え撃ち、烈しく火華を散らして丁々発止、一寸の隙見たシャオユウは、切っ先鋭く一文字、鉄砲弾の如き拳を見舞う。
そこへ割り込んだのはワン・ランレイ。シャオユウの右腕掴むや否、そのまま力一杯投げ飛ばす。クルクルと回ったシャオユウは、見事に着地し不敵な笑み、と思う間に、虚を逃さぬランレイが、その脾腹に左手の一撃! そこへ踏み込んだクラウスが、鍔も届けと刃を落とす。
あっと逃げる間の無いシャオユウは、戛と拳で受け払うが、顳顬から頬にかすり瘡、忽ち鮮血流れ出す。
「喰らえっ」
とクラウスが、下段から斬り上げる二の太刀に、何とかシャオユウ逃げ出した。その先にいたソフィア、八角棒を振りかぶる――が、振り下ろさない。否、振り下ろせない。
(あたしは…)と思う間に、シャオユウは、八角棒を蹴り飛ばし、彼女の利き腕を捻じ上げて、喉元に月牙をぐっと突き付けた。驚いたのは他三人、彼は嘲笑高らかに、クラウス達に向き直り、
「ははは。女の子一人守れない程、君達弱いんだね。安心して、君らもすぐに殺してあげるから」
「うう…クラウス…」
哀れ、ソフィアはそのまま敢え無くシャオユウに喉を斬られるか――そう思われた時である。
「シャオユウッ」
その声に、はっとシャオユウは瞠目した。明らかに動揺した様子でソフィアを突き飛ばし、脱兎の如く跳び上がり、屋根や岩を伝って逃げ出した。
クラウスは彼には眼もくれず、真っ先にソフィアを助け起こし、
「大丈夫か? 何処か怪我は無いか? 」
「う、うん…。ごめんね。ちょっと油断してた」
「気を付けろよ。あいつは俺達を殺すつもりなんだから」
すると、彼らの後ろからまた同じような声がする。クラウス達が振り向くと、そこには何と一人の少女、蘭瞼に涙を浮かべ、白皙に悲哀を込めた表情で、シャオユウの消えた方角を見つめていた。
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