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序章
第四話
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レンツ山から出立して十日後、クラウス達は王都ウンデルベルクに辿り着いた。そこは人口百万を超える大都市で、国王のお膝元という事で、王国中の産物や文化が集まる一大都市である。
クラウス達は街に入って、初めて見る都会の雰囲気に当てられ、彼方此方眼を動かしているのみであった。それを見て、道行く市民達は、お上りさんだ、と笑い合う。ランレイは、周りの露天や飲食店に飛び付いて眼を輝かせる。
彼女は勝手に果実を一つ取って、口に頬張りつつ、
「これ美味しい、全部頂戴」
「わっ。何だ嬢ちゃん、金も払わずにっ。おい、親か友達はいないのかっ」
「金…金って何? お礼にこれ、美味しいからあげるよ」
と、ランレイは、ヴァークリヒラントの通貨である金貨または銀貨、或いは銅貨でもない、虫の死骸を幾つか取り出し、店主の前に置いた。当然、店主は仰天して何か喚いているが、ランレイは不思議そうに首を傾げ、お前も食べると良いよ、と一匹口に入れた。
店主は烈火の如く怒って、衛兵を呼べっ、と雑多な通行人が思わず振り返る大声を上げる。誰言うともなく、露店を中心に人垣が形成され、ランレイもようやく相手の機嫌を損ねたと知った様子。慌てて、
「ご、ごめんな。ランレイ謝るよ、悪かったよ」
「ごめんで済むなら衛兵はいらねえんだよっ。しかも見たところ平民でも無さそうだな、奴隷風情がっ。それなら裁判するまでも無く、すぐに打ち首だな、この売女めっ」
口を極めて罵る店主を見て、蝟集して誰が誰だが解らないので、発言の責任を取らなくて良い周囲の者共は、ぶん殴れだの、身包み剥いじまえだの、と思い思いに罵詈雑言を吐き散らす。
クラウスとソフィアは、人集りを見、その中からランレイの声がするのを聞いて、まさかと人垣を掻き分け掻き分け、中心に出ると店主に詰め寄られているランレイがいた。
ソフィアは、事情を聞くと、
「す、すみませんっ。どうか許してください。お金は払いますから」
「君はこの泥棒猫のお姉さんか。ちゃんと見ていろ」
「本当にすみません」
群衆共は、なんだつまらん、と一人また一人と離れていき、無責任包囲は瞬く間に解散した。
クラウスは革袋を振って溜息をつき、ソフィアはランレイに、
「ランレイ、大丈夫? 叩かれたりしなかった? 駄目だよ、勝手に食べたりしたら」
「ごめんな二人とも」
「全く…ただでさえ金が無いのに、余計な金を使っちまったよ。こんな調子で、これから不安だよ俺は」
「ちょっとクラウスッ。ランレイは違う世界から来たんだから、そんな事言わないでよ。取り敢えず王様の城に行こう行こう」
「へいへい。…でも、いくら異世界から来たって言っても、金を払う事を知らないなんてあるのか…? 」
クラウスは呟いたが、もうソフィアとランレイは、連れだって王城に向かっていた。クラウスは疑問と、一抹の不安を胸に抱きながら、彼女達を追い掛けていった。
ウンデルベルクの北端にある王城に着くと、門の前には、厳しく鎧った衛兵が四人いる。落とし格子で塞がれた門は部外者通さぬ、とでも言っているようである。
ソフィアが国王への面会を申し出ると、衛兵が一人、傲然と彼女を突き飛ばし、
「何を言うのだ、下賤な平民風情が。確かに、奴隷でなければ、平時に面会を申し出て許される事もあろう。しかし今は、ケルバー村に怪しい者達が現れたというので、神官以外、面会する事は相成らぬ。去れ、穢らわしい」
「でも、世界の危機なんです。此処にいる女の子が」
「黙れっ。これ以上言うのであれば、斬り捨て御免だぞっ」
この世界では、上の身分の者が下の身分の者を理不尽に殺しても、一切のお咎めが無いので、是非無くクラウス達は門から離れた。
クラウスはソフィアに、どうするよ、と尋ねた。自分から王都に行こうと言ったものの、面会する事すら出来ないのは想定外であったらしい。一行が額を向け合って悩んでいると、彼らを見ていた童子がやって来て、
「ねえねえお兄さん、お城に入りたいの? それだったら、助けてあげるから僕に付いて来てよ」
「お前誰だ? どうして俺達を助けようなんて言うんだ? 」
「良いから良いから。お姉さん達も付いて来てよ。ああ、僕はネフって言うんだ」
クラウス達は訝しみながらもネフ少年に付いて行った。彼の服は垢まみれで、所々ほつれ破れ、彼自身も朽葉色に焼け、肉の薄い枯巌枯骨の姿。しかし逞しい笑顔が印象的であった。
ネフに連れられたクラウス達が辿り着いたのは、ウンデルベルクの外、河沿いにある部落であった。朽ち果てた小屋や土作りの荒ら家等が数千戸立ち並び、腹膨れの幼児や餓鬼のように痩せこけた男女がいる。
奴隷よりも劣悪な環境で鼻をつく臭いすらする。しかし、互いに助け合い輝く瞳に笑顔を浮かべている様子。
ソフィアは、信じられないといった顔で、
「この人達、どうして街とか村の中に住んでいないの? こんな河沿いで壁も柵も無いなんて危ないじゃない」
「僕らは、自分達の故郷から逃げ出してきたから、何処も受け入れてくれないんだ。ウンデルベルクの連中は不可触民《パーリヤ》、なんて呼んでるけど。だから此処に住んで、死体を運び出したり下水道の掃除をしたり、動物の肉とか皮を加工してる。ほら、お兄さんが持ってる財布も僕らみたいな人が作った物だよ」
「へーそうか。色んな身分があるんだな、俺達みたいな平民より酷い環境ってあるんだな」
飽くまで他人事であるクラウスとは対照的に、ソフィアは、不可触民達の劣悪な環境に怒っているが、クラウスは、呆れたように、
「でも、いくら怒っても俺達に何が変えられるんだ? 今でさえ、自分達じゃどうしようも出来ない問題を国王に相談しようとしてるのに。これを変えるのは俺達の仕事じゃない」
「そうだけど…。あれ、ランレイは? 」
ソフィアが見渡すと、ランレイはもう幼児達と打ち解け、彼らに混じって遊んでいる。ソフィアが呼ぶと、彼女は枯れ草の根を掘り散らした、薄汚れた姿で駆け寄って来た。
ネフは、一行を連れて河沿いの洞穴に向かった。洞穴からは悪臭が漂い、人間の糞尿が河に流れ込んでいる。顔を顰めるクラウス達を見て、ネフは笑って、
「これは街の下水道だよ。街中の家の厠に繋がっていて、お城にも繋がっているんだ。僕は六歳の頃から三年も此処で働いているから構造は良く解っているよ。案内してあげる」
「あ、ああ。有難いけど、どうして俺達に協力してくれるんだ? まだ会ったばかりなのに」
「気にしないでよ。実を言うと僕、偶にお城に忍び込んで食べ物とか金を盗んでるんだ。そのついでだよ」
「ネフ、泥棒、泥棒猫。さっきのランレイと一緒」
ランレイは仲間でも見つけたように喜んでいるが、ソフィアは彼の悲惨な境遇や飢民の群れを見て何言う気も起きなかった。
下水道の中は薄暗い。所々水の落ちる音、蝙蝠や鼠の鳴き声、啾々と不気味な風の音がする。クラウスが松明を手に、ネフを先頭に、咽せるような悪臭をくぐり抜けて、一行は王城の厠の下に出た。
厠の穴から這い出て、中庭に出た一行が天を仰ぐと、もう西陽であった。空は炎のように赤く、夕陽は丹色の閃光を飛ばす。ネフは、頑張ってね、とだけ言い残して、長い影を伸ばして何処かに去って行った。
クラウスは、
「この時間なら夕方の祈りを済ます為に、国王は教会にいる筈だから、そこに行こう」
「そうだね。教会なら見張りも少ないだろうし」
教会に着くと、入り口には衛兵が二人いる以外、周囲には誰もいない。神の前に出るには、仮に国王といえども、物騒な装いは出来ないのだ。
ランレイは、音も無く物陰から物陰へと移り、黄昏時の薄暗さに隠れる夜叉のように衛兵達に駆け寄って、丹田への流星の如き拳撃! 衛兵達は声を出す前に倒れ、クラウス達は難なく教会に入った。
国王は神官の前で祈っていた。クラウスは、
「国王陛下っ。すみませんが話を聞いてください」
「な、何だお前達はっ。何処から入って来たっ。おい、誰かっ」
「お願いします陛下。あたし達の話を聞いてください」
眼を白黒させる国王は、クラウス達の早口での説明と見た事も無い服装のランレイを見て、傍らにいる神官-ヴァークリヒラントにいる神官の長である大神官-の方を振り向いた。
この世界の支配者は国王であるのだが、政策の数々は「神のお告げ」を受けられる神官《バラモン》共の承認が無ければ実行されない。今も、どうしようかと判断を求めたのだ。
大神官は瞑目して、明らかに嫌悪と侮蔑の表情を浮かべてクラウス達を見た。やがて口を開いて、
「誰かっ。この穢らわしい連中を捕らえよっ。平民の分際で王城に忍び込んだばかりか、有りもしない妄言を吐き散らす連中、豈容赦出来ようかっ」
「そ、そうだっ。出合え出合えっ。この者共を牢屋に放り込めっ」
国王が近くにある警鐘を打ち鳴らし、たちまち三十人ばかりの衛兵が殺到してきた。ソフィアはまだ、お願いです信じてください、などと言っているが、クラウスに引っ張られるようにして裏口へ向かう。逃がすな、と衛兵共は縄や鉤爪、木杖を手に追い掛ける。
一人が投げる鉤爪がソフィアの襟を絡め、彼女は背中から転倒した。それを見たランレイ、許さない、とばかりに敵の一人へ峻烈な蹴りを浴びせる。蹴られた者は胸を潰され、血反吐を吐いてどうと斃れる。
ソフィアも八角棒を手に、来なさいっ、と衛兵共に怒鳴る。クラウスも是非無く剣を抜いたが、須臾にして逃げ道を塞がれ、一行は鉄桶の如く取り囲まれて牢屋に放り込まれた。
数時間後、獄卒が一人やって来て、
「お前達の行為は王城を穢し、身分も弁えぬ直談判だ。よって明日の朝、梟首と決まった」
「待ってくださいっ。もう一度だけ国王陛下と話させてくださいっ」
「くどいっ。己の身分も弁えず陛下に直訴など、何たる身の程知らず。斬り捨てられ無かっただけでも感謝しろっ」
にべもなく、獄卒は去って行ってしまった。クラウスはまさか話も出来なかった事に呆然とし、座って溜息をつくばかり。ランレイは状況が理解出来ないのか、啜り泣くソフィアを不思議そうに宥めている。
月光は鉄格子の窓から入り込み、鬱蒼としたひどく静寂で、ソフィアの啜り泣きの声や水滴が石畳を打つ音のみが響く。壁に掛けられた松明の明かりは房を薄く照らし、鉄格子の影が時折揺れる。
「ふふふ。当てが外れたみたいだね。まあ人間は自分が信じたくない事は信じないからね」
不意に後ろから声がした。クラウス達が振り返ると、そこには黒髪を巾でまとめて微笑む青年がいた。歳の頃は二十前後、白皙の面は眉目秀麗、纏う雰囲気は夜空に浮かぶ月のように穏やかで、底知れぬ不可思議さを持っている。
ランレイは、あっと驚いて笑顔を浮かべ、
「フェイロン、また会えた。どうして此処にいるか? 」
「やあランレイ、また会えたね。君達、逃げ出さないと、明日には晒し首だってね」
「どうして俺達が殺されるって知ってるんだ? それにお前はどうやってこの中に」
「君達の事は知っているよ。君はクラウス・ブレマー君だね。そっちはソフィア・シュピッツさん。初めまして、俺がリー・フェイロンだ。俺がどうして此処にいるかなんて、どうでも良いじゃないか。それより、早く逃げ出さないといけないんじゃないかい? 俺が助けてあげても良いよ」
「え? 本当か、でもどうして」
「良いじゃないクラウス。助けてくれるって言ってるんだから。フェイロンさんお願いします」
「話が早くて助かるよ、ソフィアさん。じゃあ」
フェイロンが鉄格子に手を翳し、少しすると、ガチャン、と音がして格子戸の鍵は外れた。
クラウスは眼を皿のようにして驚いているが、女二人は喜んで外に出る。フェイロンは、クラウスに、
「クラウス君、君は国王にランレイを任せて、自分は手を引くつもりだった、違うかい? 君の気持ちは伝わるよ。なるべく危ない事、厄介な事は避けたい。君の過去がそうさせているんだろうけど」
「俺の過去? 俺、そんな辛い過去なんて無いぞ。俺はずっとケルバー村で平和に暮らしてきたんだから」
「ふふふ。君でも気が付いていない過去、蓋をして忘れてしまっている過去があるのさ。でも、忘れてしまうからこそ、人間は生きていけるのかもね」
「それってどういう」
クラウスが言い掛けると、外からソフィア達が自分を呼ぶ声がする。彼がそれに応えてもう一度振り向くと、フェイロンは霧のように、忽然と消えていた。
武器を取り戻して牢屋の外に出ると、一行を心配していたネフ少年が茂みの中から出て来た。彼の方は成功したらしく、重そうな金貨袋を下げている。
「何ドジ踏んでるんだよ。早く逃げないと。行こうぜっ」
「ごめんなネフ、ランレイ達、偉い人にお話出来なかった」
「良いから早くっ」
夜闇に紛れて一行は下水道目指して駆けに駆けた。すると一行を見つけた夜哨の一人、たちまち大声を上げて応援を呼ぶ。すぐに城内は昼間のように騒がしくなり、金鼓乱鉦、松明を持った捕吏共が殺到する。
ネフは舌打ちして、僕が囮になるから逃げろ、と言う。ソフィアは、駄目だよ、承諾しないが、クラウスに手を引かれて一目散に逃げる。
下手人はあっちだ、と衛兵共はネフを追って走る。クラウス達は喘ぎ喘ぎ厠まで辿り着き、来た時の道を逆行して走った。しかし、彼らの侵入経路を察知していたらしい騎士が一人、三十人ばかりの部下達と共に、クラウス達を追う。
「待てっ。神妙にせいっ」
「クラウス、追い掛けてくるっ。どうしようっ」
「くそ、このままじゃ追い付かれるっ。戦うしかないっ」
クラウスは立ち止まって、振り向きざま、ぎらと剣を抜いて、旋回する横一閃! 飛び掛かってきた衛兵は胴を輪切りにされて斃れた。
ソフィアも八角棒を背中から取り、ランレイも身構える。騎士も長剣を抜き、彼の部下も得物を取る。
騎士は、長剣引っ提げ傲然と、
「おのれ、平民風情がっ。王城を穢してなお飽き足らず、我が部下を斬るとは不届千万っ。この騎士団長アンセルが、今此処で成敗してくれるっ。それ者共、掛かれっ」
途端に、どっと吹雪のような白刃が八方閃々、衛兵共は寄せ波のようにクラウス達へ躍り掛かる。
ぶうん、と唸るは八角棒、寄ったる一人に真っ向満月、発止と骨を砕いて壁に叩きつける。そのまま返す一撃、閃光の輪、反対にいた一人は頭を木っ端微塵に砕かれる。
ランレイも、敵の剣を跳んで躱して、膝蹴り喉突き正拳突き、身を翻せば回し蹴り! 見る間に見る間に死屍累々、修羅に転がる手負いの数、それでも敵は退かない。自棄と猛勇を衆に任せ、新手、新手、また新手。
クラウスは人垣を越え、敵の隊長たるアンセルに斬り掛かる。戛然、刃と刃が火華を散らす。丁々発止、剣風に揺れるは壁松明、火華も散れば火の粉も舞う。
こいつめっ、とアンセルは柄も砕けよと上段の斬り下げ、戛とクラウスは横払い、返す刃は流星の尾を引いて相手に向かう。ひらりと躱したアレクセイ、切っ先鋭く一文字、クラウス目掛けて突き込んだ。
さっと手元に引いたクラウスは、斬り上げ一閃、敵の剣を打ち上げる。あっと驚くその刹那、クラウスの天狗飛び斬り! 盔を発止と鉢金から割られて、アンセルは仰向けに倒れ伏した。
「おのれ小癪な匹夫共っ。追え、追えっ」
アンセルは、血の滴る額を押さえながら命じたが、もうクラウス達は疾風の如く奔り去っていた。後には死骸や重傷者が転がり、動ける者は彼含め、十人ばかりしかいなかった。
クラウス達は下水道から出て、河沿いの部落からも離れて少しでもウンデルベルクから離れようと走った。不意にランレイが、城壁の上を指差して、あれ、と叫んだ。
城壁の上には棒が立てられ、それには黒いものが梟けられている。松明の灯りと月明かりに照らされるそれは、ネフの首であった。
ソフィアは、顔を蒼白にして膝から崩れ落ちた。また啜り泣きながら、
「ごめんね…守ってあげられなかった…」
「おいソフィア、早く行こうぜ。此処だとすぐに見つかる。おいランレイ、手伝ってくれ」
「…はいな」
一行は夜通し逃げまくって、ようやく朝陽が昇った所で一息ついた。今更ながら下の身分から何を言っても聞き入れてもらえないと悟ったクラウスは、
「仕方無いな。こうなったら俺達でヤタノ鏡の欠片を集めよう。アクィナスさんから貰った地図に四つの祠の場所があるから。これを見て行こうぜ」
「そうだね。まずは…この地の精霊がいる洞窟に行こうよ。此処から近いし」
「偉い人達、敵になったか…ごめんな二人とも」
「謝らなくて良いよ、ランレイッ。すぐに集めてシュピーゲルラントに連れて行ってあげる。行こう行こうっ」
と、ソフィアはいつもの調子に戻って歩き出していった。その後ろ姿にクラウスは、何処ととなく虚勢を感じていた。
クラウス達は街に入って、初めて見る都会の雰囲気に当てられ、彼方此方眼を動かしているのみであった。それを見て、道行く市民達は、お上りさんだ、と笑い合う。ランレイは、周りの露天や飲食店に飛び付いて眼を輝かせる。
彼女は勝手に果実を一つ取って、口に頬張りつつ、
「これ美味しい、全部頂戴」
「わっ。何だ嬢ちゃん、金も払わずにっ。おい、親か友達はいないのかっ」
「金…金って何? お礼にこれ、美味しいからあげるよ」
と、ランレイは、ヴァークリヒラントの通貨である金貨または銀貨、或いは銅貨でもない、虫の死骸を幾つか取り出し、店主の前に置いた。当然、店主は仰天して何か喚いているが、ランレイは不思議そうに首を傾げ、お前も食べると良いよ、と一匹口に入れた。
店主は烈火の如く怒って、衛兵を呼べっ、と雑多な通行人が思わず振り返る大声を上げる。誰言うともなく、露店を中心に人垣が形成され、ランレイもようやく相手の機嫌を損ねたと知った様子。慌てて、
「ご、ごめんな。ランレイ謝るよ、悪かったよ」
「ごめんで済むなら衛兵はいらねえんだよっ。しかも見たところ平民でも無さそうだな、奴隷風情がっ。それなら裁判するまでも無く、すぐに打ち首だな、この売女めっ」
口を極めて罵る店主を見て、蝟集して誰が誰だが解らないので、発言の責任を取らなくて良い周囲の者共は、ぶん殴れだの、身包み剥いじまえだの、と思い思いに罵詈雑言を吐き散らす。
クラウスとソフィアは、人集りを見、その中からランレイの声がするのを聞いて、まさかと人垣を掻き分け掻き分け、中心に出ると店主に詰め寄られているランレイがいた。
ソフィアは、事情を聞くと、
「す、すみませんっ。どうか許してください。お金は払いますから」
「君はこの泥棒猫のお姉さんか。ちゃんと見ていろ」
「本当にすみません」
群衆共は、なんだつまらん、と一人また一人と離れていき、無責任包囲は瞬く間に解散した。
クラウスは革袋を振って溜息をつき、ソフィアはランレイに、
「ランレイ、大丈夫? 叩かれたりしなかった? 駄目だよ、勝手に食べたりしたら」
「ごめんな二人とも」
「全く…ただでさえ金が無いのに、余計な金を使っちまったよ。こんな調子で、これから不安だよ俺は」
「ちょっとクラウスッ。ランレイは違う世界から来たんだから、そんな事言わないでよ。取り敢えず王様の城に行こう行こう」
「へいへい。…でも、いくら異世界から来たって言っても、金を払う事を知らないなんてあるのか…? 」
クラウスは呟いたが、もうソフィアとランレイは、連れだって王城に向かっていた。クラウスは疑問と、一抹の不安を胸に抱きながら、彼女達を追い掛けていった。
ウンデルベルクの北端にある王城に着くと、門の前には、厳しく鎧った衛兵が四人いる。落とし格子で塞がれた門は部外者通さぬ、とでも言っているようである。
ソフィアが国王への面会を申し出ると、衛兵が一人、傲然と彼女を突き飛ばし、
「何を言うのだ、下賤な平民風情が。確かに、奴隷でなければ、平時に面会を申し出て許される事もあろう。しかし今は、ケルバー村に怪しい者達が現れたというので、神官以外、面会する事は相成らぬ。去れ、穢らわしい」
「でも、世界の危機なんです。此処にいる女の子が」
「黙れっ。これ以上言うのであれば、斬り捨て御免だぞっ」
この世界では、上の身分の者が下の身分の者を理不尽に殺しても、一切のお咎めが無いので、是非無くクラウス達は門から離れた。
クラウスはソフィアに、どうするよ、と尋ねた。自分から王都に行こうと言ったものの、面会する事すら出来ないのは想定外であったらしい。一行が額を向け合って悩んでいると、彼らを見ていた童子がやって来て、
「ねえねえお兄さん、お城に入りたいの? それだったら、助けてあげるから僕に付いて来てよ」
「お前誰だ? どうして俺達を助けようなんて言うんだ? 」
「良いから良いから。お姉さん達も付いて来てよ。ああ、僕はネフって言うんだ」
クラウス達は訝しみながらもネフ少年に付いて行った。彼の服は垢まみれで、所々ほつれ破れ、彼自身も朽葉色に焼け、肉の薄い枯巌枯骨の姿。しかし逞しい笑顔が印象的であった。
ネフに連れられたクラウス達が辿り着いたのは、ウンデルベルクの外、河沿いにある部落であった。朽ち果てた小屋や土作りの荒ら家等が数千戸立ち並び、腹膨れの幼児や餓鬼のように痩せこけた男女がいる。
奴隷よりも劣悪な環境で鼻をつく臭いすらする。しかし、互いに助け合い輝く瞳に笑顔を浮かべている様子。
ソフィアは、信じられないといった顔で、
「この人達、どうして街とか村の中に住んでいないの? こんな河沿いで壁も柵も無いなんて危ないじゃない」
「僕らは、自分達の故郷から逃げ出してきたから、何処も受け入れてくれないんだ。ウンデルベルクの連中は不可触民《パーリヤ》、なんて呼んでるけど。だから此処に住んで、死体を運び出したり下水道の掃除をしたり、動物の肉とか皮を加工してる。ほら、お兄さんが持ってる財布も僕らみたいな人が作った物だよ」
「へーそうか。色んな身分があるんだな、俺達みたいな平民より酷い環境ってあるんだな」
飽くまで他人事であるクラウスとは対照的に、ソフィアは、不可触民達の劣悪な環境に怒っているが、クラウスは、呆れたように、
「でも、いくら怒っても俺達に何が変えられるんだ? 今でさえ、自分達じゃどうしようも出来ない問題を国王に相談しようとしてるのに。これを変えるのは俺達の仕事じゃない」
「そうだけど…。あれ、ランレイは? 」
ソフィアが見渡すと、ランレイはもう幼児達と打ち解け、彼らに混じって遊んでいる。ソフィアが呼ぶと、彼女は枯れ草の根を掘り散らした、薄汚れた姿で駆け寄って来た。
ネフは、一行を連れて河沿いの洞穴に向かった。洞穴からは悪臭が漂い、人間の糞尿が河に流れ込んでいる。顔を顰めるクラウス達を見て、ネフは笑って、
「これは街の下水道だよ。街中の家の厠に繋がっていて、お城にも繋がっているんだ。僕は六歳の頃から三年も此処で働いているから構造は良く解っているよ。案内してあげる」
「あ、ああ。有難いけど、どうして俺達に協力してくれるんだ? まだ会ったばかりなのに」
「気にしないでよ。実を言うと僕、偶にお城に忍び込んで食べ物とか金を盗んでるんだ。そのついでだよ」
「ネフ、泥棒、泥棒猫。さっきのランレイと一緒」
ランレイは仲間でも見つけたように喜んでいるが、ソフィアは彼の悲惨な境遇や飢民の群れを見て何言う気も起きなかった。
下水道の中は薄暗い。所々水の落ちる音、蝙蝠や鼠の鳴き声、啾々と不気味な風の音がする。クラウスが松明を手に、ネフを先頭に、咽せるような悪臭をくぐり抜けて、一行は王城の厠の下に出た。
厠の穴から這い出て、中庭に出た一行が天を仰ぐと、もう西陽であった。空は炎のように赤く、夕陽は丹色の閃光を飛ばす。ネフは、頑張ってね、とだけ言い残して、長い影を伸ばして何処かに去って行った。
クラウスは、
「この時間なら夕方の祈りを済ます為に、国王は教会にいる筈だから、そこに行こう」
「そうだね。教会なら見張りも少ないだろうし」
教会に着くと、入り口には衛兵が二人いる以外、周囲には誰もいない。神の前に出るには、仮に国王といえども、物騒な装いは出来ないのだ。
ランレイは、音も無く物陰から物陰へと移り、黄昏時の薄暗さに隠れる夜叉のように衛兵達に駆け寄って、丹田への流星の如き拳撃! 衛兵達は声を出す前に倒れ、クラウス達は難なく教会に入った。
国王は神官の前で祈っていた。クラウスは、
「国王陛下っ。すみませんが話を聞いてください」
「な、何だお前達はっ。何処から入って来たっ。おい、誰かっ」
「お願いします陛下。あたし達の話を聞いてください」
眼を白黒させる国王は、クラウス達の早口での説明と見た事も無い服装のランレイを見て、傍らにいる神官-ヴァークリヒラントにいる神官の長である大神官-の方を振り向いた。
この世界の支配者は国王であるのだが、政策の数々は「神のお告げ」を受けられる神官《バラモン》共の承認が無ければ実行されない。今も、どうしようかと判断を求めたのだ。
大神官は瞑目して、明らかに嫌悪と侮蔑の表情を浮かべてクラウス達を見た。やがて口を開いて、
「誰かっ。この穢らわしい連中を捕らえよっ。平民の分際で王城に忍び込んだばかりか、有りもしない妄言を吐き散らす連中、豈容赦出来ようかっ」
「そ、そうだっ。出合え出合えっ。この者共を牢屋に放り込めっ」
国王が近くにある警鐘を打ち鳴らし、たちまち三十人ばかりの衛兵が殺到してきた。ソフィアはまだ、お願いです信じてください、などと言っているが、クラウスに引っ張られるようにして裏口へ向かう。逃がすな、と衛兵共は縄や鉤爪、木杖を手に追い掛ける。
一人が投げる鉤爪がソフィアの襟を絡め、彼女は背中から転倒した。それを見たランレイ、許さない、とばかりに敵の一人へ峻烈な蹴りを浴びせる。蹴られた者は胸を潰され、血反吐を吐いてどうと斃れる。
ソフィアも八角棒を手に、来なさいっ、と衛兵共に怒鳴る。クラウスも是非無く剣を抜いたが、須臾にして逃げ道を塞がれ、一行は鉄桶の如く取り囲まれて牢屋に放り込まれた。
数時間後、獄卒が一人やって来て、
「お前達の行為は王城を穢し、身分も弁えぬ直談判だ。よって明日の朝、梟首と決まった」
「待ってくださいっ。もう一度だけ国王陛下と話させてくださいっ」
「くどいっ。己の身分も弁えず陛下に直訴など、何たる身の程知らず。斬り捨てられ無かっただけでも感謝しろっ」
にべもなく、獄卒は去って行ってしまった。クラウスはまさか話も出来なかった事に呆然とし、座って溜息をつくばかり。ランレイは状況が理解出来ないのか、啜り泣くソフィアを不思議そうに宥めている。
月光は鉄格子の窓から入り込み、鬱蒼としたひどく静寂で、ソフィアの啜り泣きの声や水滴が石畳を打つ音のみが響く。壁に掛けられた松明の明かりは房を薄く照らし、鉄格子の影が時折揺れる。
「ふふふ。当てが外れたみたいだね。まあ人間は自分が信じたくない事は信じないからね」
不意に後ろから声がした。クラウス達が振り返ると、そこには黒髪を巾でまとめて微笑む青年がいた。歳の頃は二十前後、白皙の面は眉目秀麗、纏う雰囲気は夜空に浮かぶ月のように穏やかで、底知れぬ不可思議さを持っている。
ランレイは、あっと驚いて笑顔を浮かべ、
「フェイロン、また会えた。どうして此処にいるか? 」
「やあランレイ、また会えたね。君達、逃げ出さないと、明日には晒し首だってね」
「どうして俺達が殺されるって知ってるんだ? それにお前はどうやってこの中に」
「君達の事は知っているよ。君はクラウス・ブレマー君だね。そっちはソフィア・シュピッツさん。初めまして、俺がリー・フェイロンだ。俺がどうして此処にいるかなんて、どうでも良いじゃないか。それより、早く逃げ出さないといけないんじゃないかい? 俺が助けてあげても良いよ」
「え? 本当か、でもどうして」
「良いじゃないクラウス。助けてくれるって言ってるんだから。フェイロンさんお願いします」
「話が早くて助かるよ、ソフィアさん。じゃあ」
フェイロンが鉄格子に手を翳し、少しすると、ガチャン、と音がして格子戸の鍵は外れた。
クラウスは眼を皿のようにして驚いているが、女二人は喜んで外に出る。フェイロンは、クラウスに、
「クラウス君、君は国王にランレイを任せて、自分は手を引くつもりだった、違うかい? 君の気持ちは伝わるよ。なるべく危ない事、厄介な事は避けたい。君の過去がそうさせているんだろうけど」
「俺の過去? 俺、そんな辛い過去なんて無いぞ。俺はずっとケルバー村で平和に暮らしてきたんだから」
「ふふふ。君でも気が付いていない過去、蓋をして忘れてしまっている過去があるのさ。でも、忘れてしまうからこそ、人間は生きていけるのかもね」
「それってどういう」
クラウスが言い掛けると、外からソフィア達が自分を呼ぶ声がする。彼がそれに応えてもう一度振り向くと、フェイロンは霧のように、忽然と消えていた。
武器を取り戻して牢屋の外に出ると、一行を心配していたネフ少年が茂みの中から出て来た。彼の方は成功したらしく、重そうな金貨袋を下げている。
「何ドジ踏んでるんだよ。早く逃げないと。行こうぜっ」
「ごめんなネフ、ランレイ達、偉い人にお話出来なかった」
「良いから早くっ」
夜闇に紛れて一行は下水道目指して駆けに駆けた。すると一行を見つけた夜哨の一人、たちまち大声を上げて応援を呼ぶ。すぐに城内は昼間のように騒がしくなり、金鼓乱鉦、松明を持った捕吏共が殺到する。
ネフは舌打ちして、僕が囮になるから逃げろ、と言う。ソフィアは、駄目だよ、承諾しないが、クラウスに手を引かれて一目散に逃げる。
下手人はあっちだ、と衛兵共はネフを追って走る。クラウス達は喘ぎ喘ぎ厠まで辿り着き、来た時の道を逆行して走った。しかし、彼らの侵入経路を察知していたらしい騎士が一人、三十人ばかりの部下達と共に、クラウス達を追う。
「待てっ。神妙にせいっ」
「クラウス、追い掛けてくるっ。どうしようっ」
「くそ、このままじゃ追い付かれるっ。戦うしかないっ」
クラウスは立ち止まって、振り向きざま、ぎらと剣を抜いて、旋回する横一閃! 飛び掛かってきた衛兵は胴を輪切りにされて斃れた。
ソフィアも八角棒を背中から取り、ランレイも身構える。騎士も長剣を抜き、彼の部下も得物を取る。
騎士は、長剣引っ提げ傲然と、
「おのれ、平民風情がっ。王城を穢してなお飽き足らず、我が部下を斬るとは不届千万っ。この騎士団長アンセルが、今此処で成敗してくれるっ。それ者共、掛かれっ」
途端に、どっと吹雪のような白刃が八方閃々、衛兵共は寄せ波のようにクラウス達へ躍り掛かる。
ぶうん、と唸るは八角棒、寄ったる一人に真っ向満月、発止と骨を砕いて壁に叩きつける。そのまま返す一撃、閃光の輪、反対にいた一人は頭を木っ端微塵に砕かれる。
ランレイも、敵の剣を跳んで躱して、膝蹴り喉突き正拳突き、身を翻せば回し蹴り! 見る間に見る間に死屍累々、修羅に転がる手負いの数、それでも敵は退かない。自棄と猛勇を衆に任せ、新手、新手、また新手。
クラウスは人垣を越え、敵の隊長たるアンセルに斬り掛かる。戛然、刃と刃が火華を散らす。丁々発止、剣風に揺れるは壁松明、火華も散れば火の粉も舞う。
こいつめっ、とアンセルは柄も砕けよと上段の斬り下げ、戛とクラウスは横払い、返す刃は流星の尾を引いて相手に向かう。ひらりと躱したアレクセイ、切っ先鋭く一文字、クラウス目掛けて突き込んだ。
さっと手元に引いたクラウスは、斬り上げ一閃、敵の剣を打ち上げる。あっと驚くその刹那、クラウスの天狗飛び斬り! 盔を発止と鉢金から割られて、アンセルは仰向けに倒れ伏した。
「おのれ小癪な匹夫共っ。追え、追えっ」
アンセルは、血の滴る額を押さえながら命じたが、もうクラウス達は疾風の如く奔り去っていた。後には死骸や重傷者が転がり、動ける者は彼含め、十人ばかりしかいなかった。
クラウス達は下水道から出て、河沿いの部落からも離れて少しでもウンデルベルクから離れようと走った。不意にランレイが、城壁の上を指差して、あれ、と叫んだ。
城壁の上には棒が立てられ、それには黒いものが梟けられている。松明の灯りと月明かりに照らされるそれは、ネフの首であった。
ソフィアは、顔を蒼白にして膝から崩れ落ちた。また啜り泣きながら、
「ごめんね…守ってあげられなかった…」
「おいソフィア、早く行こうぜ。此処だとすぐに見つかる。おいランレイ、手伝ってくれ」
「…はいな」
一行は夜通し逃げまくって、ようやく朝陽が昇った所で一息ついた。今更ながら下の身分から何を言っても聞き入れてもらえないと悟ったクラウスは、
「仕方無いな。こうなったら俺達でヤタノ鏡の欠片を集めよう。アクィナスさんから貰った地図に四つの祠の場所があるから。これを見て行こうぜ」
「そうだね。まずは…この地の精霊がいる洞窟に行こうよ。此処から近いし」
「偉い人達、敵になったか…ごめんな二人とも」
「謝らなくて良いよ、ランレイッ。すぐに集めてシュピーゲルラントに連れて行ってあげる。行こう行こうっ」
と、ソフィアはいつもの調子に戻って歩き出していった。その後ろ姿にクラウスは、何処ととなく虚勢を感じていた。
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