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第29章 死の舞踏
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王宮まであと少しというところで、リンが突如右に折れたので、キルステンは一体何事かと思いました。しかしリンは道を逸れ、庭をずんずん進んでいきます。
「宮殿まであと少しだったのに!」
キルステンはリンを責めました。しかしすぐ耳元で話しているのに、リンはまったく聞こえていない様子です。それどころか彼は、綺麗に作り込まれた庭園を見回して、違うなとか、あれではだめだとか独り言を言いました。
「ちょっとリンたら聞いているの? すぐそこまで地下のものたちが迫っているのよ!」
リンがあまりに話を聞かないので、キルステンはリンの背中から下りて、目の前に立ちはだかってもみました。しかしその甲斐はまったくなく、まもなくひょいと横抱きにされただけでした。
暴れるキルステンがやっと下ろされたのは、庭の外れの、忘れ去られたガゼボの中。そこは比較的鬱蒼とした木々に囲まれているのに、ガゼボ自体に蔦が覆い茂っていて、よほどのことがない限り、見つからないような場所でした。
「こんなところに隠れたって、太古のものたちが来たらひと踏みでぺっちゃんこよ」
キルステンは憤慨していました。しかしリンがポケットから銀のナイフを取り出して、唇に指を当てたので、キルステンは口をつぐまないわけにはいかなくなりました。殺される。キルステンがぎくりとしたそのとき、リンはナイフをキルステンに握らせました。
「いいかい。君はすべてが終わるまでここにいるんだ。何が起きても絶対に出てきちゃいけないし、声を出してもいけない。ただ息を潜めてじっとしているんだ。しかし万が一、身に危険が迫ったら全力で逃げなければいけないし、追いつかれたらこのナイフで身を守るんだ」
キルステンはナイフを見ました。それはキルステンがフラッフィを脅したあのナイフでした。美しい模様が彫られた品ですが、身を守るにはまったく適していません。
「リンの言っていること、全然分からないわ。こんなナイフじゃ何の役にも立たないし、そもそもあなた、何をする気なの? すべてが終わるまでってどういう意味?」
しかしリンはその質問にはまるで答えず、何も心配することはない、ここにいてほしいと繰り返すばかりです。
「僕はもう行かなきゃならない。お願いだから聞き分けよくしておくれ」
「嫌よ、私も一緒に行く。あなたが駄目だと言っても勝手について行くんだから!」
キルステンは強情を張りました。するとリンは急にぴしゃりとこう言いました。
「迷惑なんだよ」
キルステンは耳を疑いました。
「嘘よ。そんな嘘、信じない。いつだってリンは優しかったじゃない」
しかしリンは目を合わせてくれません。
「初めて会ったときに振ったのに、まだ分かっていないの。僕が君に優しいのは決して好意があるからじゃない。一国の王を動かせる君を利用しようとしたんだ。わがままな君のおもりをしたら、気前のいい王様のことだ。きっと褒美をくださるに違いないと踏んだのさ。僕は褒美として結婚相手を紹介してもらうつもりさ。王様の力添えがあれば、さぞいい縁談を組んでもらえるからね」
「どうしてそんな心にもないことを言うの。リンはそんな人じゃない」
キルステンは自分の声が震えているとは思ってもみませんでした。
「君は僕を勘違いしている。だからそんな風に見えるんだ。でもいい加減にしてくれよ。僕は君を愛したりしない」
最後のことばが頭の中でリフレインするので、キルステンは思わず耳を覆いました。リンにはとっくに失恋していたけれど、こんな残酷なことがありえるなんて。キルステンは泣くことはおろか、声すら出ませんでした。
リンの足音が遠くなっていくのを聞きながら、キルステンは初めて本当に失恋したのだと知りました。これまでは心のどこかに淡い期待がありましたが、さっきのことばではっきりしました。たとえ呪いが解けたとしても、心がない以上、リンとは結ばれない運命なのです。キルステンは心臓をこのナイフで刺された方がよっぽどましだと思いました。
キルステンが打ち拉がれていたそのとき、あたりがうっすら明るくなりました。まだまだ放心状態ではありましたが、夏の火に誘われる虫のように、キルステンは蔦の茂みから外を窺いました。ガゼボからそう遠くない、リンの行く手に何者かががやってきます。キルステンは胸騒ぎがしました。
身の毛もよだつラッパ音で入場したのは、モノクロの骸骨たち。先頭をつとめるのは、玉の上で飛んだり跳ねたりに忙しい道化の骸骨で、彼は途中で転ぶと、バラバラになった自分の骨と玉をでたらめに組み合わせるという芸当をやってのけました。
道化に続くのは、鍬や鎌を握った白骨農夫たちで、彼らは声帯のない喉で嗄れた労働歌を歌いながら練り歩きます。続いてパレードに花を添えるのは、骸骨たちの華麗な舞踏。恋人たちの幻想的な群舞は、かつてはさぞ妖艶であったに違いありませんが、いまではその服の色も形もほとんど失われ、男女の区別はつきません。
最後にやってきたのは聖俗最高権力者二人の骸骨。先の尖った五角形の布の冠を被った教皇と、白テンの毛皮を惜しげもなく使った深紅のマントの皇帝の髑髏は、それぞれ肉のない人差し指で上下を指しながら、顎をカタカタ鳴らして議論を交わしています。
教皇と皇帝の干涸びた舌戦が終わらぬうちに、青白い死を知らぬものたちは、黒い不気味な行進を蹴散らしました。それは白骨馬に跨がった、耳の尖がった美しい男たちで組織された騎馬兵で、骸骨たちが薙ぎ倒されるのを気にも止めず、颯爽と駆け抜けていきます。
不可思議な一団にリンがすっかり取り囲まれたころ、整列していた騎馬兵たちは、ぱっと陣形を変えました。すると開けた道の奥から、ある人物がリンの前に進みでました。それは黒馬に跨がった背の高い女の人でした。
「お久しぶりね。妖精の騎士、タム・リン」
王女のキルステンでも息を飲むような見事な衣服をまとったその女は、冷たく微笑みました。しかしリンは根が生えたみたいにその場に立ち尽くすばかりです。
「なんて美しい夜なのかしら。私のほかに輝くものは何もないのよ」
「・・・妖精の女王」
リンが呟くと、その女は意外だというように、海のグレーの瞳を見開きました。
「随分他人行儀だこと! かつては私にかしずいていたというのに。それとももうシンシアと呼んでくれることはないのかしら?」
リンがぎりっと睨むと、妖精の女王の甲高い笑い声が響き渡ります。
「そんなに顔を強ばらせて! でも感謝すべきなのよ、タム・リン。あなたはこれから妖精の女王の中で生きられるのだから。その血となって!」
あの女はいまなんと言った? リンの血がどうとか。キルステンは手が冷たくなりました。あの女はリンを殺すつもりなのです!
荒くなった呼吸を整えようと、キルステンが胸に手を当てようとしたそのとき、突然リンに動きがありました。彼が逃げ出すのだと思い、キルステンは蔦をぐっと握りしめました。しかし彼は着ていたジャケットを脱ぐと、裏返したではありませんか。しかも袖が詰まってしまって、腕を通すことができません。リンは女王から目を離さないまま、手探りを続けています。
「おやおや、どこでそんなことを覚えたのかしら。でも今宵の私にはどうということもない」
銀色の髪の女が目を細めると、ジャケットはぱっと燃え上がり、あっという間に灰になりました。
「死の行進でお披露目しないと、かつて死にきれず、薔薇を手折ったあなたでも生贄にすることはできないの。あまり手こずらせず、大人しくしてちょうだい。それとも銀のナイフもあるのかしら?」
女王は、一歩後ずさりしたリンをせせら笑いました。しかしどこから降って湧いたのか、リンをかばうように、一人の少女が立ちはだかりました。
「なんだい、この小娘は」
妖精の女王は遠慮なく不快感を示しました。
「銀のナイフならここにあるわ。リンをいますぐ解放しなさい」
キルステンの声は震えていました。すると女王はその花冠が揺れるほど、意地悪く笑いました。
「まさかお前が呪いを解こうというのかい。リン。いくら切羽詰まっているとはいえ、かつて妖精の騎士と呼ばれたお前が情けないこと。しかし資格もないのに、健気じゃないか」
「彼女は関係ない! 彼女に手を出すな!」
リンがこう叫ぶと、女王は目の色を変えました。するとキルステンが握っていたナイフはふわりと宙に浮かんで、次の瞬間には粉々に砕け散りました。
「覚えておきなさい。きちんと捕まえておかないと失うことになるの。さあ遊びは終わりよ。リン、こちらへ来なさい!」
妖精の女王が目を見開くと、リンは吸い寄せられるように、歩き出しました。しかしそれがリンの意思でないことは明らかで、それはさながら見えない糸で繋がれた操り人形のようでした。
「リン、行っちゃだめ!」
キルステンはリンに抱きついて、その体を抑えようとしました。しかしその力は凄まじく、キルステンの努力など焼け石に水です。
「おやおや、お嬢さん。少しは学習できるみたいね。でももっと考えて行動しなさい。極夜の私に勝てるものなどないのだから」
「嫌よ。絶対に離さない。死んでも離さないんだから」
キルステンがこう言うと、また少し体が大きくなりました。しかしこのことは女王の逆鱗に触れたらしく、彼女は空気をひと掴みすると、ふうっと息を吹きかけました。するとリンの体はあっという間に蛇になり、その毒牙はキルステンに向けられました。しかしキルステンはのたうちまわる蛇から離れません。
すると今度は、リンは低く唸るライオンになって、鋭い爪でキルステンを引っ掻きました。しかしキルステンは手を離しません。 それどころか、一層強くリンにしがみつくのでした。
「宮殿まであと少しだったのに!」
キルステンはリンを責めました。しかしすぐ耳元で話しているのに、リンはまったく聞こえていない様子です。それどころか彼は、綺麗に作り込まれた庭園を見回して、違うなとか、あれではだめだとか独り言を言いました。
「ちょっとリンたら聞いているの? すぐそこまで地下のものたちが迫っているのよ!」
リンがあまりに話を聞かないので、キルステンはリンの背中から下りて、目の前に立ちはだかってもみました。しかしその甲斐はまったくなく、まもなくひょいと横抱きにされただけでした。
暴れるキルステンがやっと下ろされたのは、庭の外れの、忘れ去られたガゼボの中。そこは比較的鬱蒼とした木々に囲まれているのに、ガゼボ自体に蔦が覆い茂っていて、よほどのことがない限り、見つからないような場所でした。
「こんなところに隠れたって、太古のものたちが来たらひと踏みでぺっちゃんこよ」
キルステンは憤慨していました。しかしリンがポケットから銀のナイフを取り出して、唇に指を当てたので、キルステンは口をつぐまないわけにはいかなくなりました。殺される。キルステンがぎくりとしたそのとき、リンはナイフをキルステンに握らせました。
「いいかい。君はすべてが終わるまでここにいるんだ。何が起きても絶対に出てきちゃいけないし、声を出してもいけない。ただ息を潜めてじっとしているんだ。しかし万が一、身に危険が迫ったら全力で逃げなければいけないし、追いつかれたらこのナイフで身を守るんだ」
キルステンはナイフを見ました。それはキルステンがフラッフィを脅したあのナイフでした。美しい模様が彫られた品ですが、身を守るにはまったく適していません。
「リンの言っていること、全然分からないわ。こんなナイフじゃ何の役にも立たないし、そもそもあなた、何をする気なの? すべてが終わるまでってどういう意味?」
しかしリンはその質問にはまるで答えず、何も心配することはない、ここにいてほしいと繰り返すばかりです。
「僕はもう行かなきゃならない。お願いだから聞き分けよくしておくれ」
「嫌よ、私も一緒に行く。あなたが駄目だと言っても勝手について行くんだから!」
キルステンは強情を張りました。するとリンは急にぴしゃりとこう言いました。
「迷惑なんだよ」
キルステンは耳を疑いました。
「嘘よ。そんな嘘、信じない。いつだってリンは優しかったじゃない」
しかしリンは目を合わせてくれません。
「初めて会ったときに振ったのに、まだ分かっていないの。僕が君に優しいのは決して好意があるからじゃない。一国の王を動かせる君を利用しようとしたんだ。わがままな君のおもりをしたら、気前のいい王様のことだ。きっと褒美をくださるに違いないと踏んだのさ。僕は褒美として結婚相手を紹介してもらうつもりさ。王様の力添えがあれば、さぞいい縁談を組んでもらえるからね」
「どうしてそんな心にもないことを言うの。リンはそんな人じゃない」
キルステンは自分の声が震えているとは思ってもみませんでした。
「君は僕を勘違いしている。だからそんな風に見えるんだ。でもいい加減にしてくれよ。僕は君を愛したりしない」
最後のことばが頭の中でリフレインするので、キルステンは思わず耳を覆いました。リンにはとっくに失恋していたけれど、こんな残酷なことがありえるなんて。キルステンは泣くことはおろか、声すら出ませんでした。
リンの足音が遠くなっていくのを聞きながら、キルステンは初めて本当に失恋したのだと知りました。これまでは心のどこかに淡い期待がありましたが、さっきのことばではっきりしました。たとえ呪いが解けたとしても、心がない以上、リンとは結ばれない運命なのです。キルステンは心臓をこのナイフで刺された方がよっぽどましだと思いました。
キルステンが打ち拉がれていたそのとき、あたりがうっすら明るくなりました。まだまだ放心状態ではありましたが、夏の火に誘われる虫のように、キルステンは蔦の茂みから外を窺いました。ガゼボからそう遠くない、リンの行く手に何者かががやってきます。キルステンは胸騒ぎがしました。
身の毛もよだつラッパ音で入場したのは、モノクロの骸骨たち。先頭をつとめるのは、玉の上で飛んだり跳ねたりに忙しい道化の骸骨で、彼は途中で転ぶと、バラバラになった自分の骨と玉をでたらめに組み合わせるという芸当をやってのけました。
道化に続くのは、鍬や鎌を握った白骨農夫たちで、彼らは声帯のない喉で嗄れた労働歌を歌いながら練り歩きます。続いてパレードに花を添えるのは、骸骨たちの華麗な舞踏。恋人たちの幻想的な群舞は、かつてはさぞ妖艶であったに違いありませんが、いまではその服の色も形もほとんど失われ、男女の区別はつきません。
最後にやってきたのは聖俗最高権力者二人の骸骨。先の尖った五角形の布の冠を被った教皇と、白テンの毛皮を惜しげもなく使った深紅のマントの皇帝の髑髏は、それぞれ肉のない人差し指で上下を指しながら、顎をカタカタ鳴らして議論を交わしています。
教皇と皇帝の干涸びた舌戦が終わらぬうちに、青白い死を知らぬものたちは、黒い不気味な行進を蹴散らしました。それは白骨馬に跨がった、耳の尖がった美しい男たちで組織された騎馬兵で、骸骨たちが薙ぎ倒されるのを気にも止めず、颯爽と駆け抜けていきます。
不可思議な一団にリンがすっかり取り囲まれたころ、整列していた騎馬兵たちは、ぱっと陣形を変えました。すると開けた道の奥から、ある人物がリンの前に進みでました。それは黒馬に跨がった背の高い女の人でした。
「お久しぶりね。妖精の騎士、タム・リン」
王女のキルステンでも息を飲むような見事な衣服をまとったその女は、冷たく微笑みました。しかしリンは根が生えたみたいにその場に立ち尽くすばかりです。
「なんて美しい夜なのかしら。私のほかに輝くものは何もないのよ」
「・・・妖精の女王」
リンが呟くと、その女は意外だというように、海のグレーの瞳を見開きました。
「随分他人行儀だこと! かつては私にかしずいていたというのに。それとももうシンシアと呼んでくれることはないのかしら?」
リンがぎりっと睨むと、妖精の女王の甲高い笑い声が響き渡ります。
「そんなに顔を強ばらせて! でも感謝すべきなのよ、タム・リン。あなたはこれから妖精の女王の中で生きられるのだから。その血となって!」
あの女はいまなんと言った? リンの血がどうとか。キルステンは手が冷たくなりました。あの女はリンを殺すつもりなのです!
荒くなった呼吸を整えようと、キルステンが胸に手を当てようとしたそのとき、突然リンに動きがありました。彼が逃げ出すのだと思い、キルステンは蔦をぐっと握りしめました。しかし彼は着ていたジャケットを脱ぐと、裏返したではありませんか。しかも袖が詰まってしまって、腕を通すことができません。リンは女王から目を離さないまま、手探りを続けています。
「おやおや、どこでそんなことを覚えたのかしら。でも今宵の私にはどうということもない」
銀色の髪の女が目を細めると、ジャケットはぱっと燃え上がり、あっという間に灰になりました。
「死の行進でお披露目しないと、かつて死にきれず、薔薇を手折ったあなたでも生贄にすることはできないの。あまり手こずらせず、大人しくしてちょうだい。それとも銀のナイフもあるのかしら?」
女王は、一歩後ずさりしたリンをせせら笑いました。しかしどこから降って湧いたのか、リンをかばうように、一人の少女が立ちはだかりました。
「なんだい、この小娘は」
妖精の女王は遠慮なく不快感を示しました。
「銀のナイフならここにあるわ。リンをいますぐ解放しなさい」
キルステンの声は震えていました。すると女王はその花冠が揺れるほど、意地悪く笑いました。
「まさかお前が呪いを解こうというのかい。リン。いくら切羽詰まっているとはいえ、かつて妖精の騎士と呼ばれたお前が情けないこと。しかし資格もないのに、健気じゃないか」
「彼女は関係ない! 彼女に手を出すな!」
リンがこう叫ぶと、女王は目の色を変えました。するとキルステンが握っていたナイフはふわりと宙に浮かんで、次の瞬間には粉々に砕け散りました。
「覚えておきなさい。きちんと捕まえておかないと失うことになるの。さあ遊びは終わりよ。リン、こちらへ来なさい!」
妖精の女王が目を見開くと、リンは吸い寄せられるように、歩き出しました。しかしそれがリンの意思でないことは明らかで、それはさながら見えない糸で繋がれた操り人形のようでした。
「リン、行っちゃだめ!」
キルステンはリンに抱きついて、その体を抑えようとしました。しかしその力は凄まじく、キルステンの努力など焼け石に水です。
「おやおや、お嬢さん。少しは学習できるみたいね。でももっと考えて行動しなさい。極夜の私に勝てるものなどないのだから」
「嫌よ。絶対に離さない。死んでも離さないんだから」
キルステンがこう言うと、また少し体が大きくなりました。しかしこのことは女王の逆鱗に触れたらしく、彼女は空気をひと掴みすると、ふうっと息を吹きかけました。するとリンの体はあっという間に蛇になり、その毒牙はキルステンに向けられました。しかしキルステンはのたうちまわる蛇から離れません。
すると今度は、リンは低く唸るライオンになって、鋭い爪でキルステンを引っ掻きました。しかしキルステンは手を離しません。 それどころか、一層強くリンにしがみつくのでした。
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