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「さっそくのご返事ありがとうございました。あなたの言う通り,私は親に顔向けできないことをしてしまっています。そして,同じような境遇にあることを驚くと同時に,その立場からの思いを聞かせてくださったことを嬉しく思います。
しかしながら,返事を返すのが遅くなって申し訳ございません。義理もないものと思われそうですが,私は感謝のお返事を書こうと思っていたのです。しかし,そうこうしているうちに時間だけが過ぎて行きました。
好きなら子供でも作って育てろ,そして生まれてくる罪のない子を一緒になって愛情深く育てろ,という言葉を見て,初めは何を無責任なことを言っているのだろうと思っていました。始めは真に受けていませんでしたが,事実,私は彼と愛し合っているうちに新たな命を身に宿したようです。
私は,この子を産んで育てようという決意が固まりつつあります。あなたのおっしゃる通り,生まれてくる子に罪はないのです。今の私には経済力はありません。大切なのはお金ではない,という綺麗ごともドラマの世界では通用するかもしれませんが,現実はそう甘くありません。それは,裕福ではない私の生い立ちが証明しています。私は親に愛情を溢れるほど与えられて生きてきたわけではありません。むしろ,水を求める砂漠の生き物のように愛に飢えていたと思います。しかし,親の愛があったら幸せだったかというとそうとは思いません。やはり,幸せにはお金はつきものなのです。
これから,お腹の子を幸せにするために,水商売でも何でもやって見せます。この度は背中を押していただきありがとうございます。 恋するウサギ より」
読み終わった手紙をテーブルの上に投げて,達也を睨みつける。そして,座布団の下やテーブルの下,ありとあらゆるものをひっくり返して熱心に何かを探し始めた。盗聴器かビデオカメラでも仕込んでいるはずだ,と思ったのだ。
しばらく漁って,何も物が見つからないことに観念し,再び達也を睨みつける。
「お前,何て書いたんだ?」
「悩んでただろ。だから,おれが思ったことを書いたんだ」
「だからなんて書いたんだ!」
イライラが募って声を荒げてしまった。感情的になっても仕方がない。ただ,これ以上自体がこじれることは避けたい。返事を返すのはもちろんありえないが,どんな返事を書いたのかという中身は想像できるものの,そこに自分たちが特定される内容が入り込んでないのかが心配だった。
しかしながら,返事を返すのが遅くなって申し訳ございません。義理もないものと思われそうですが,私は感謝のお返事を書こうと思っていたのです。しかし,そうこうしているうちに時間だけが過ぎて行きました。
好きなら子供でも作って育てろ,そして生まれてくる罪のない子を一緒になって愛情深く育てろ,という言葉を見て,初めは何を無責任なことを言っているのだろうと思っていました。始めは真に受けていませんでしたが,事実,私は彼と愛し合っているうちに新たな命を身に宿したようです。
私は,この子を産んで育てようという決意が固まりつつあります。あなたのおっしゃる通り,生まれてくる子に罪はないのです。今の私には経済力はありません。大切なのはお金ではない,という綺麗ごともドラマの世界では通用するかもしれませんが,現実はそう甘くありません。それは,裕福ではない私の生い立ちが証明しています。私は親に愛情を溢れるほど与えられて生きてきたわけではありません。むしろ,水を求める砂漠の生き物のように愛に飢えていたと思います。しかし,親の愛があったら幸せだったかというとそうとは思いません。やはり,幸せにはお金はつきものなのです。
これから,お腹の子を幸せにするために,水商売でも何でもやって見せます。この度は背中を押していただきありがとうございます。 恋するウサギ より」
読み終わった手紙をテーブルの上に投げて,達也を睨みつける。そして,座布団の下やテーブルの下,ありとあらゆるものをひっくり返して熱心に何かを探し始めた。盗聴器かビデオカメラでも仕込んでいるはずだ,と思ったのだ。
しばらく漁って,何も物が見つからないことに観念し,再び達也を睨みつける。
「お前,何て書いたんだ?」
「悩んでただろ。だから,おれが思ったことを書いたんだ」
「だからなんて書いたんだ!」
イライラが募って声を荒げてしまった。感情的になっても仕方がない。ただ,これ以上自体がこじれることは避けたい。返事を返すのはもちろんありえないが,どんな返事を書いたのかという中身は想像できるものの,そこに自分たちが特定される内容が入り込んでないのかが心配だった。
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