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人が支配される街⑮~不意打ち~

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「おい! キレがなくなってきたぞ! ぼーっとするな! さっきまですごい戦いやすかった。あの調子で頼む」

 こちらを一瞥してニカッと笑ったかと思うと,ロボットとの距離を一気に詰めて槍を突き出した。全身を使って押し込んだ槍は見事にロボットの腕を貫いた。さっきよりもさらに余裕が出て,相手の動きにみるみる対応している。この差は何なんだろう。
 強くなりたい。自分も一線で戦いたい。でも,今やるべきはサポートだ。ジャンは,戦いやすかった,と言ってくれた。自分も役に立てている。
 自らを奮い立たせて,やるべきことをやる。でも,もう役目が終わったみたいだ。槍が貫通したのを皮切りに,槍を次々と詠唱で出現させては動きの鈍くなった相手に突き刺した。四本目の槍を足ごと地面に突き刺した時,勝負が決まった安堵感が胸の中に広がった。

「やれやれ,痛々しいが,痛みとかはないんだろ? こちとら簡単に命を落とすわけにはいかないんでね。二対一でも容赦なくやらせてもらったよ」

 額に浮いた汗を拭いながら情けをかけるように語りかけてはいるが,決してロボットの攻撃の射程圏内には入らない。いつどこから攻撃が繰り出されるのか分からないから,用心過ぎるに越したことはない。
 しかし,身動きの通れないロボットから無機質ではありながら不気味な雰囲気のある音で言葉が発せられた。

「一人で懲らしめに来たと,誰が言った?」

 その言葉に反応したときにはすでに遅かった。
 突然視界にハンマーのような鈍器が現れ,ジャンを吹き飛ばした。
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