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幼馴染がカナヅチだった
しおりを挟む「忍!プール行こう!!俺はこの暑さに耐えられない!!!だから逃げようこの大気から!!!!」
「いや…大気はどう考えても無理じゃね?」
「あ、うん。」
前回行った時は空いてなくて営業時間調べたから、今日は行けるはず!だと思う!!
「まぁ、行くか。市営なら歩いていけるだろ。」
水着あったか…?去年のは…黒のスポーツブランドのやつだな。それ着ていきゃいいか。
「え~、ウォータースライダーは~???」
「市民プールだぞ?(無ぇに決まってんだろ。)」
「いや無駄に格好良く言うなって。」
という訳で、市営プールに向かった。
市営プールまでは自転車で片道15分といったところで、どんどん日が高くなるのがわかった。
たぶん、帰りはもっと暑くなるのだろう。
俺の前を、弾むように歩く暁斗に目を奪われる。藍色に白でヤシの葉が印刷された海パンは、やたらと暁斗に似合っていた。
軽くシャワーを浴びてプールに入ってみる。冷たい。それはわざわざ自転車に乗って来たかいがあると思えるレベルだった。
ノリノリで来たわりに歩いてばかりいる暁斗を見て、思い出した。
―そういや待てよ?こいつ、カナヅチじゃん…―
そして俺は使命感に駆られた。こいつが泳げるようになるまで特訓する…!!!…と。
「始めるか。」
「えっ何怖い。目が怖い。何が始まるの?え?」
「泳ぎの練習。」
「ヒィィッッッ!」
こいつも一応顔を水につけるレベルならいける。浮くのは…浮くのからか。
「暁斗、今から浮く練習するぞ。足持ち上げるからな。せーの!」
「やっ、待って!!怖い怖い怖い!!」
「大丈夫、怖くない怖くない。案外沈まないから。とりあえず肩持ってるから脚から力抜け。沈むのは変に力んでるからだと思う。ほら、目ぇ閉じてみ。」
「え、目ぇ閉じんの?」
「寝てる時とおんなじと思っていい。」
「………うん、わかった…。」
「ほらできた。」
そういって手を離すと、暁斗は暴れ出した。
「えっうわ、無理無理無っぶっ!」
沈む!と思って腕を掴んで引き上げる。勢い余って暁斗の顔が俺の胸辺りにぶつかった。
「大丈夫か!!」
気がついたら抱き寄せるような形になっていた。
「っ…全っっっ然大丈夫じゃねーし!!忍の馬鹿!!阿呆!!最後まで離すな!!というか離す前に一言声掛けるとかしろ!!」
俺にしがみつきながら上目遣いで涙目になりながら訴えてくる暁斗に庇護欲と罪悪感を覚えながら、その日は終わったのだった。
ちなみになんだかんだ頑張ったご褒美とお詫びの意味を込め、300円以内で帰りにアイスを奢った。
帰りに食べていたが、食べてたら思っていたより寒くなってきたと言って半分くれた。
ちなみに俺も食べていたら思っていたより寒くなった。うまいからいいけど。
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