34 / 39
34話
しおりを挟む
飛び散った血の源に恐る恐る目を向けると、冥王星と地球をつなぐ直線上に月が立っていて、その右手が差し出されていた。
ポタリ、と血の滴る手の中には、針のような物が握られていた。
月は、今度こそ一切迷うことなく刀を抜ききった。
そのまま、風を連想させる速さで冥王星に斬りかかった。
地球に針を投げつけた時点で、気絶する程度に攻撃を抑えておくなどという優しい考えは一切なかったのだろう。
刀身し流している電流ですらかなりのものだ。
ただ、地球は、刀を持つ月の様子に、少しの違和感を覚えた。
月は、かなりの速さで斬りかかったのだが、地面から立ち上がった3本のツタが、冥王星を守った。そして、更に1本、生えてきたツタが、月の右腕に切り傷を残した。
「あれぇ~?どーしたのっ?こんな分かりやすい攻撃、月さんなら簡単によけれたよね?」
どこかうごめく物を感じさせるような笑顔を作った冥王星が言った。
そこで、地球は先ほど感じた違和感の正体を知った。
月の力は雷だ。この力は、少しの力で大きな威力を発揮する。ただ、その威力の分、副作用も大きい。
「でも凄いよね~♪雷の力の副作用って、たしか体がしびれて動けなくなるんだよね?なのにまだ動けるんだ!本当に凄いよね♪」
冥王星は嬉しそうに手を胸の前で合わせて言っているが、当の月は、思い通りに体が動かせないことに困惑しているようだった。なんせ副作用を経験するのもこれが初めてなのだ。
もちろん、副作用について知ってはいた。だが、まさか3回使うだけでこれほどまでに動けなくなる物だとは思ってもみなかった。
「まあでも、月さんが動けないなら、ボクは本命に取りかかりとするよ」
最初の歌うような声色とも、無邪気な声色とも異なる、重い声色で冥王星が言った。声の高さや、しゃべる速さは変わらないのに、声の調子だけが変わっているのはかなり不気味だ。
冥王星がゆっくりと、月から視線を外して地球達の方を向いた直後、何か金色に光る物が飛んで、コンッと、軽い音を立てて天井に当たった。
ポタリ、と血の滴る手の中には、針のような物が握られていた。
月は、今度こそ一切迷うことなく刀を抜ききった。
そのまま、風を連想させる速さで冥王星に斬りかかった。
地球に針を投げつけた時点で、気絶する程度に攻撃を抑えておくなどという優しい考えは一切なかったのだろう。
刀身し流している電流ですらかなりのものだ。
ただ、地球は、刀を持つ月の様子に、少しの違和感を覚えた。
月は、かなりの速さで斬りかかったのだが、地面から立ち上がった3本のツタが、冥王星を守った。そして、更に1本、生えてきたツタが、月の右腕に切り傷を残した。
「あれぇ~?どーしたのっ?こんな分かりやすい攻撃、月さんなら簡単によけれたよね?」
どこかうごめく物を感じさせるような笑顔を作った冥王星が言った。
そこで、地球は先ほど感じた違和感の正体を知った。
月の力は雷だ。この力は、少しの力で大きな威力を発揮する。ただ、その威力の分、副作用も大きい。
「でも凄いよね~♪雷の力の副作用って、たしか体がしびれて動けなくなるんだよね?なのにまだ動けるんだ!本当に凄いよね♪」
冥王星は嬉しそうに手を胸の前で合わせて言っているが、当の月は、思い通りに体が動かせないことに困惑しているようだった。なんせ副作用を経験するのもこれが初めてなのだ。
もちろん、副作用について知ってはいた。だが、まさか3回使うだけでこれほどまでに動けなくなる物だとは思ってもみなかった。
「まあでも、月さんが動けないなら、ボクは本命に取りかかりとするよ」
最初の歌うような声色とも、無邪気な声色とも異なる、重い声色で冥王星が言った。声の高さや、しゃべる速さは変わらないのに、声の調子だけが変わっているのはかなり不気味だ。
冥王星がゆっくりと、月から視線を外して地球達の方を向いた直後、何か金色に光る物が飛んで、コンッと、軽い音を立てて天井に当たった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる