迷宮の星

リーア

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30話

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 月と海王星のにらみ合いはしばらく続いた。

 先に動いたのはどちらだったのだろうか。

 気づけば2人は火花を散らしながら切り結んでいた。

 月はいつも持っている刀を、海王星はいつの間にか作り出していた氷の刃を手に持って。

 火花が飛び、水しぶきが上がる。たまに波がかかっているように見えるのは、欠けた氷の刃を治すためだろうか。

 少し離れた所で見守る地球達には手の出しようがないほど激しい戦いだ。

 水星は、月と海王星の戦いに巻き込まれないように、天王星を引きずっている。

 チビと馬鹿にされるほど小柄な水星には、天王星を引きずりながら戦いから離れるのは重労働なようだが、地球が手伝いを申し出ても断られた。金星と火星には、手伝う気などサラサラないようだ。

 月と海王星の動きに目がついて行けるようになった。

 どちらの動きも止まることがない。相手の攻撃を受け止めることはない。かわすか、受け流すかどちらかだ。

 どちらも分かっているからだろう。攻撃を受け止めるために動きを止めれば、その瞬間に出来る隙を狙われると。

 こんな状況でありながら、2人の戦いは壮観だ。止まることのない2人の動きは、2人1役の舞を思わせる。

 カアンッ、と音がして、月と海王星、2人の距離が離れた。海王星は、両足を踏ん張り、弾き飛ばされた衝撃に耐えている。月は、膝を曲げ、右手を地面について衝撃を吸収していた。

 どちらも肩で息をしていた。
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