12 / 39
12話
しおりを挟む
「冥!、冥王星!」
声を上げた天王星は、周りを見ることなく駆け出した。その後を海王星も追う。
「待って!そっちは……」
慌てて声を張り上げたルミナスだったが、双子は聞く耳を持たず、先先と進んでいく。
双子が自殺行為に走ることがないように、置いていかれた3人も後を追う。
双子は、しばらくしてから通路の先に立つ冥王星の姿を見つけた。
同時に冥王星も兄2人に気付いた。
冥王星と天王星、海王星は少しの間黙って向き合っていたが、さみしさと申し訳なさのようなものを顔に貼り付けた冥王星が、兄2人が何か言う前に振り返り、2人から離れようとするかのように進み始めた。
足におもりが付けられているため、ゆっくりと進む冥王星の後を、双子も速度を合わせて進んだ。
ルミナス達3人も追いついたが、――気配は感じていたものの――こんな所にはいないだろうと思っていた冥王星の姿に3人とも絶句した。
5人は、長い通路をゆっくり進む冥王星の後についていった。
そのようにして付いた先は、大きく、深い穴が口を開けている広場のような場所だった。
「幻影の間…」
ルミナスが小声でつぶやいた。その顔は少し青ざめている。
幻影の間、それは迷宮の中で、決して入っては行けない場所だと、繰り返し言われてきた場所だ。ルミナスも他の人の話に聞いたことがあるだけで、実際に見るのはこれが初めてである。
名前の通り、見る人に幻影を見せると言われるこの場所の、最も恐ろしいと言われるところは、見せる幻影が、見る人が最も見たい、だが同時に見たくないと思う光景を見せる。
何を見たのか、天王星が身を硬直させた。だが、その少し後ろにいる海王星は天王星が見ている物が見えないのか、それでも尋常でない天王星の様子に多少の不安を覚えたようで、何事か、とルミナスに目を向ける。
だが、ルミナスが何かを言う前に、硬直していた天王星が絞り出すような声で言った。
「地球だったんだ」
消え入るような小声だったが、静かな広場ではヤケの大きく響いた。
「え?」
土星の間向けた声が響いた。最もそれは、その場にいた全員の心の声を代弁したかのようなものだったが。
ふと、ルミナスは気付いた。辺りを漂う不自然な甘い香りに。あまり強い香りではなく、ほんの少しの残り香だった。覚えのある香りだった。ルミナスもこのような香りの物を調薬に使ったことがある。
ここにいては危ない。そう悟った。
声を上げた天王星は、周りを見ることなく駆け出した。その後を海王星も追う。
「待って!そっちは……」
慌てて声を張り上げたルミナスだったが、双子は聞く耳を持たず、先先と進んでいく。
双子が自殺行為に走ることがないように、置いていかれた3人も後を追う。
双子は、しばらくしてから通路の先に立つ冥王星の姿を見つけた。
同時に冥王星も兄2人に気付いた。
冥王星と天王星、海王星は少しの間黙って向き合っていたが、さみしさと申し訳なさのようなものを顔に貼り付けた冥王星が、兄2人が何か言う前に振り返り、2人から離れようとするかのように進み始めた。
足におもりが付けられているため、ゆっくりと進む冥王星の後を、双子も速度を合わせて進んだ。
ルミナス達3人も追いついたが、――気配は感じていたものの――こんな所にはいないだろうと思っていた冥王星の姿に3人とも絶句した。
5人は、長い通路をゆっくり進む冥王星の後についていった。
そのようにして付いた先は、大きく、深い穴が口を開けている広場のような場所だった。
「幻影の間…」
ルミナスが小声でつぶやいた。その顔は少し青ざめている。
幻影の間、それは迷宮の中で、決して入っては行けない場所だと、繰り返し言われてきた場所だ。ルミナスも他の人の話に聞いたことがあるだけで、実際に見るのはこれが初めてである。
名前の通り、見る人に幻影を見せると言われるこの場所の、最も恐ろしいと言われるところは、見せる幻影が、見る人が最も見たい、だが同時に見たくないと思う光景を見せる。
何を見たのか、天王星が身を硬直させた。だが、その少し後ろにいる海王星は天王星が見ている物が見えないのか、それでも尋常でない天王星の様子に多少の不安を覚えたようで、何事か、とルミナスに目を向ける。
だが、ルミナスが何かを言う前に、硬直していた天王星が絞り出すような声で言った。
「地球だったんだ」
消え入るような小声だったが、静かな広場ではヤケの大きく響いた。
「え?」
土星の間向けた声が響いた。最もそれは、その場にいた全員の心の声を代弁したかのようなものだったが。
ふと、ルミナスは気付いた。辺りを漂う不自然な甘い香りに。あまり強い香りではなく、ほんの少しの残り香だった。覚えのある香りだった。ルミナスもこのような香りの物を調薬に使ったことがある。
ここにいては危ない。そう悟った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる