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ナルシズム
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「みなさんの中に、盗んだ犯人がいます」先生がいった。「目を閉じて、誰にも言わないから正直に手を挙げなさい」
クラスメイトがぎゅっと目をつぶるなか、
Sは潔く手を挙げた。
すると先生が再び口をひらいた。「犯人はいつもホラー小説を読みふけり、眼鏡をかけた顔の黒い奴だ」
「Sくん! なんで盗ったの!!」教室内は大パニックで騒然となった。
「言わないって言ったじゃん……」Sは号泣した。「えーん」
文武両道を体現していた彼は人望も申し分なかった。
が、一瞬、彼の耳元で悪魔がそっと囁いたのだ。
IWGP決勝リーグ戦の決勝戦で、ハルク・ホーガンにわざと失神KO負けしたアントニオ猪木の境地に辿り着きたかった。
この感情は凡人には到底わかるまい――!
Sは涙をぬぐったあと、究極のナルシズムの世界にどっぷりと浸った。
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すると先生が再び口をひらいた。「犯人はいつもホラー小説を読みふけり、眼鏡をかけた顔の黒い奴だ」
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