破産した令嬢は復讐する

3話

　この自分を自分に都合の良いキャラや人物だと思い込むというやりかたは彼女が中学時代、吹奏楽部に在籍していたころにいくら練習してもどの楽器もまともに演奏できなかったことからしかたなく指揮者にされただけなのに、自分は吹奏楽部を指揮するもっとも優秀で崇高で偉い人間なんだと考えることで自我を保った経験によるものである。

そうこうしてるうちに、とうとう親の建築事務所が倒産することになり、生活費だった仕送りが途絶える。これを悪の組織＝アニメ会社＆自分の作品に少しでも批判的意見をしたアニメオタクによる妨害＝侵略であると認識した令嬢は魔法（警棒、ナイフ、ガソリン入りポリタンク３0リットル×４）を準備し、魔法界の乗り物（フルエアロ改造キモオタ御用達スポーツタイプ車）に乗り込んで悪（と勝手に令嬢が思い込んでいる）の組織との決戦に向かうのであった……。

台車を引いて運んできたタンクを持ち上げると
「おりゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！」

ボォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッツ！！