[完結]飲食店のオーナーはかく戦えり! そして下した決断は?

KASSATSU

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ギックリ腰 14

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 私たちはリビングでくつろぐことにした。ついさっきまではここで痛みに耐えていたわけだが、そのことを考えるとあれが何だったのか、と思えるような大きな変化だった。主観的なところで痛みが引いていることは分かっているわけだが、改めて自宅の同じ場所で時系列に思いを馳せる時、とても不思議な感覚だった。
 美津子はキッチンに行き、冷蔵庫の中からビールを持ってきた。私のギックリ腰の原因はビール瓶が入った箱を持ったことだったが、それは瓶ビールだ。今持ってきてもらったのは缶ビールなので、それを見たからといって悪夢を思い出すような感じにはならない。家に帰った時に飲んでいるわけなので、これはいつもの流れであり、腰の痛みがなくなった今、ビールを飲むというのも普段の日常になる。ただ、奥田からアルコールの摂取は血流にも関係するので、今日はできれば控えるようにと言われた。
 ビールをテーブルに置いた時、その話を思い出し、1本だけ開け、私はほんの一口だけとし、大半は美津子に飲んでもらった。
「一口だけでも今日は旨いな。これだけで今日の疲れが吹き飛んだ感じだよ」
 私はここでも嬉しそうな表情になっていたのは疑う余地が無い。美津子も私のそのような表情に反応して嬉しそうな顔になっている。
「ところで整体についてどう思った。俺は自分の身体で経験したことだから、その効果にとても衝撃を受けた。腰が痛くて自分の思い通りに動かせない時は、もうこれまでの仕事はできないのでは、とすごく落ち込んだ。昔1回ギックリ腰になったけれど、今回は改めて考えるとその時よりも重い感じで、本当に医者から言われた期間内で良くなるのか不安だった。前回も言われたよりも良くなるまでに時間がかかったし、本当に心配だった。それがこんな感じで良い結果を経験した。改めてすごい技術だなという感じと、多分奥田先生はこの仕事にやりがいを感じているんだろうなと思った。だから時間外でも大変だと考えたらきちんと対応してくれると思うし、人間力も感じるよ」
「そうね、今回、私は客観的なところからあなたと奥田先生のことを見ているところがあったけれど、あなたが言う通りだわ。これまで私たち、居酒屋がみんなの心のオアシスになる、という思いで頑張ってきて、それをやりがいにしていたじゃない。でも、今回のことで、視点を変えたり、立場が変われば人のためになると思える仕事は他にもあると考えられるようになったわ。私は今までギックリ腰になったことはないけれど、あなたの様子を見ていたらどんなに不安で辛いかは少し分かったつもりよ。だから、あなたに話や奥田先生の話はすごく沁みてくるわ」
 この時、私は美津子のやりがいに絡めた話の部分に何かしらの引っ掛かりを感じていた。
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