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緊急事態宣言解除 14
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その夜、自宅でランチタイムのことを美津子に話した。
相沢の言葉に勇気づけられたこと、そして今後のアドバイスなど、私にとってはとても心に響いたので、そのことを共有したかったのだ。
2号店には相沢のような常連客はいなかったが、それでもよく来店する人はいるし、ランチタイムをスタートしてから昼に訪れる客も少しずつ増えてている。
これまで美津子はそういう話をすることは無かったが、1号店での相沢の話を聞いて、実は、といった感じで話し始めた。
「ウチの場合、アドバイスしてくれるようなお客様はいないな。でも、よく来店される方がいるの。よく日替わりメニューを注文されて、新企画のサイドメニューにも喜んでいらっしゃるわ。たぶん、有料になっても変わらずオーダーしていただけると思うけれど、たまたま今日、レジでちょっと立ち話ができたの。やはり以前話していたように、居酒屋らしくないメニュー構成と味が気に入った、とおっしゃっていた。そういう意味では私たちの狙いが当たったと思う。きちんとみんなでミーティングをやり、一緒に考えたことを評価してくれるお客様がいらして嬉しかったわ。相沢さんの話がなかったらこの話はしなかったかもしれないけれど、この路線は間違いないのよ。まだまだ改善点や工夫するところはあるでしょうけど、近々またみんなで集まって話し合いましょう」
東京の場合、夜の営業については6月1日から午後10時まで可能になる。逆に言えば、それまではこれまで通りなので、ミーティングをするとなれば、それまでの間が望ましい。通常であれば12時までなので、それを考えれば時間的な余裕はあるが、緊急事態宣言期間中のストレスもあるだろうから、慰労も兼ね、9時くらいに主だったメンバーで集まり、今後のことも含めて話し合ったらどうだろう、ということになった。そして、慰労ということであればアルバイトスタッフにも声をかけようということになり、そこから再出発を図ろうと決めた。
そこで良いアイデアが出てくるかどうかは分からないが、閉塞感を感じていた期間のモヤモヤが少しでも晴れることを期待した。
全員への告知もあるので、2日後が良いのではとなったので、明日、それぞれの店から全員に連絡をすることになった。会場は前回通り1号店で、飲み放題、食べ放題ということにした。ミーティング企画については矢島も中村も知らないことなので、店に着いたらすぐに話すことにした。
「俺、明日、枠があれば奥田先生のところに行ってくるよ」
私は唐突に美津子に言った。心身をリフレッシュしたかったのだ。
「良いわね。じゃあ、私も明後日、行こうかしら。もちろん空きがあればだけど・・・」
「明日の朝電話するけど、聞いてみよう。もし空いていたら、明日はお前が行って来いよ。俺は明後日でも良いから」
「ありがとう。でもまず電話して、それから決めましょうよ。奥田先生の話が出たのは、疲れているからでしょう? 私はそれほどでもないから、明後日でも構わないわ」
「・・・そうか。じゃあ、そうさせてもらうか」
相沢の言葉に勇気づけられたこと、そして今後のアドバイスなど、私にとってはとても心に響いたので、そのことを共有したかったのだ。
2号店には相沢のような常連客はいなかったが、それでもよく来店する人はいるし、ランチタイムをスタートしてから昼に訪れる客も少しずつ増えてている。
これまで美津子はそういう話をすることは無かったが、1号店での相沢の話を聞いて、実は、といった感じで話し始めた。
「ウチの場合、アドバイスしてくれるようなお客様はいないな。でも、よく来店される方がいるの。よく日替わりメニューを注文されて、新企画のサイドメニューにも喜んでいらっしゃるわ。たぶん、有料になっても変わらずオーダーしていただけると思うけれど、たまたま今日、レジでちょっと立ち話ができたの。やはり以前話していたように、居酒屋らしくないメニュー構成と味が気に入った、とおっしゃっていた。そういう意味では私たちの狙いが当たったと思う。きちんとみんなでミーティングをやり、一緒に考えたことを評価してくれるお客様がいらして嬉しかったわ。相沢さんの話がなかったらこの話はしなかったかもしれないけれど、この路線は間違いないのよ。まだまだ改善点や工夫するところはあるでしょうけど、近々またみんなで集まって話し合いましょう」
東京の場合、夜の営業については6月1日から午後10時まで可能になる。逆に言えば、それまではこれまで通りなので、ミーティングをするとなれば、それまでの間が望ましい。通常であれば12時までなので、それを考えれば時間的な余裕はあるが、緊急事態宣言期間中のストレスもあるだろうから、慰労も兼ね、9時くらいに主だったメンバーで集まり、今後のことも含めて話し合ったらどうだろう、ということになった。そして、慰労ということであればアルバイトスタッフにも声をかけようということになり、そこから再出発を図ろうと決めた。
そこで良いアイデアが出てくるかどうかは分からないが、閉塞感を感じていた期間のモヤモヤが少しでも晴れることを期待した。
全員への告知もあるので、2日後が良いのではとなったので、明日、それぞれの店から全員に連絡をすることになった。会場は前回通り1号店で、飲み放題、食べ放題ということにした。ミーティング企画については矢島も中村も知らないことなので、店に着いたらすぐに話すことにした。
「俺、明日、枠があれば奥田先生のところに行ってくるよ」
私は唐突に美津子に言った。心身をリフレッシュしたかったのだ。
「良いわね。じゃあ、私も明後日、行こうかしら。もちろん空きがあればだけど・・・」
「明日の朝電話するけど、聞いてみよう。もし空いていたら、明日はお前が行って来いよ。俺は明後日でも良いから」
「ありがとう。でもまず電話して、それから決めましょうよ。奥田先生の話が出たのは、疲れているからでしょう? 私はそれほどでもないから、明後日でも構わないわ」
「・・・そうか。じゃあ、そうさせてもらうか」
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