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緊急事態宣言発出 13

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「お疲れ様。今日は急に悪いね。でも、今、大変な時だからみんなの意見を聞きたくて・・・」
 私は2号店のスタッフ全員に声をかけた。
「社長、店長から概要は伺いました。久しぶりに1号店のみんなと会えて嬉しいです。今日は良いミーティングにしましょう」
 2号店チーフの中村が言った。私たちがやっている居酒屋は会社組織になっていて、私は社長という立場だ。美津子は副社長だが、それぞれの店では店長と呼ぶようになっている。だが、中村にとって自分が勤める店の店長は美津子なので、1号店に来た時、私は社長と呼ばれている。2号店と1号店の規模はほぼ同じなので、スタッフの数も同じだ。最近の状況で多少調整してあるが、今日はたまたま同じ人数だった。だから全部で8名になるが、テーブルは問題ない。極力スペースを開けるようにするし、おつまみ系は全員個別に分けることにした。今はちょっとしたことに気を付け、私たちの店から感染者を出さないようにしたい。最近は客にもこのことを理解してもらっているので、私たちがそのルールを破るわけにはいかないのだ。
「矢島君、久しぶり」
 美津子が声をかけた。店が違うのでなかなか顔を合わせる機会は少ないが、矢島のことは私から聞いている。矢島からすれば少し遠い存在かもしれないが、美津子からすれば様子が分かっている分、近しい感じを持っている。
「お久しぶりです。さっき店長にもお話ししたんですが、今日はいろいろお話しできそうなので聞いてください」
 大変なテーマなのになぜか矢島の顔を明るかった。おそらく、さっき私に話したことがベースになっているのだろう。
「矢島さん、お久しぶりです」
 今度は中村が矢島に話しかけた。中村は矢島よりも年下で、チーフになったのも矢島よりも遅い。だから私の会社では後輩になる。もちろん、2号店ではチーフとして美津子をサポートしている頼もしい存在だ。
 ただ、他のアルバイトはこのような人間関係は知らない。だから全員黙って何も言わない。その輪の中に入っていけないような表情にもなっている。だから私はすかさず2号店のアルバイトのメンバーにも言った。
「今日は急に予定を変更して悪かったね。アルコールはだめだけど、ノンアルコールなら何でも飲んで良いし、食べ物も自由だ。それから1号店のみんなには言ったけれど、今日の分のバイト代、全部出すから心配しないで。それよりも良いミーティングにしたいんで、みんな協力してほしい」
 私はアルバイト全員の顔を見ながら言った。1号店のみんなには言ったことだが、2号店には話が届いているかどうか分からなかったので、改めて全員に言った。
 それを聞いた2号店のアルバイトにはちょっと安堵の表情が見られた。
 話の前の確認ができたところで、全員飲み物や食べ物の用意を各自でやってもらい、準備ができたところでミーティングをスタートした。
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