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内弟子物語 第Ⅶ話 解決24
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両者とも、自分が得意とする構えを取った。普段の組手のスタイルがよく出ている。
郷田は中段に対しては比較的無防備で、上段への攻撃を意識した構えになっている。両手を顔面の高さに挙げ、特に左右からの攻撃に対してガードする形になっている。両手は開手で、掴みも意識しているようだ。中段はがら空きで、お腹や胸はどんどん打ってこい、と言わんばかりの構えだ。中途半端な攻撃の場合、身体で受け止められ、すぐに掴まれてしまうことが想定される状態だ。
それに対して龍田はオーソドックスに中段の構えになっている。左手は開手で前にして、右手は軽く拳を握り、みぞおち付近に構えるといった形だ。もし相手が自分の間合いに入ったら、前手で払う、掴むといった動きが可能になる。また、相手との間合いも測りやすい、といった利点がある。加えて、正中線をしっかり守るにも有効な構えであり、立ち方も基本に沿った正整立ちになっている。場合によっては金的蹴りなどで攻撃される可能性もあるため、武術的に優れた構えを取っているのだ。
その状態でしばらく見合っていたが、郷田が龍田を言葉で挑発した。龍田から攻撃してくるのを待っていたのだ。
というのは、両者の間合いはフルコンの試合でよく見かけるような近い間合いでなく、伝統派の試合で見かける一歩入って行かなければ有効な攻撃ができない間合いだったからだ。郷田にとってはなれない間合いであり、また、こういう場合の間の切り方は稽古していない。つまり、今の間合いであれば、郷田からは攻撃できないのだ。
「ほら、胸、貸してやるよ。どんどん攻撃してこい」
しかし、龍田はそれに対して何も答えなかった。ここは拳で勝負する場だ。口で勝負するのではない。
その後も郷田は二言三言汚い言葉を発したが、龍田は一切反応しなかった。昔だったらすぐに言葉でも返していただろうが、龍田は黒田たちと違って精神的にも強くなっていた。その成長ぶりは、審判をやっている藤堂も感じていた。御岳に次ぐ内弟子期間の長さになるが、よく心も成長したと、こういう場ではあってもその点を嬉しく思っていた。
郷田は中段に対しては比較的無防備で、上段への攻撃を意識した構えになっている。両手を顔面の高さに挙げ、特に左右からの攻撃に対してガードする形になっている。両手は開手で、掴みも意識しているようだ。中段はがら空きで、お腹や胸はどんどん打ってこい、と言わんばかりの構えだ。中途半端な攻撃の場合、身体で受け止められ、すぐに掴まれてしまうことが想定される状態だ。
それに対して龍田はオーソドックスに中段の構えになっている。左手は開手で前にして、右手は軽く拳を握り、みぞおち付近に構えるといった形だ。もし相手が自分の間合いに入ったら、前手で払う、掴むといった動きが可能になる。また、相手との間合いも測りやすい、といった利点がある。加えて、正中線をしっかり守るにも有効な構えであり、立ち方も基本に沿った正整立ちになっている。場合によっては金的蹴りなどで攻撃される可能性もあるため、武術的に優れた構えを取っているのだ。
その状態でしばらく見合っていたが、郷田が龍田を言葉で挑発した。龍田から攻撃してくるのを待っていたのだ。
というのは、両者の間合いはフルコンの試合でよく見かけるような近い間合いでなく、伝統派の試合で見かける一歩入って行かなければ有効な攻撃ができない間合いだったからだ。郷田にとってはなれない間合いであり、また、こういう場合の間の切り方は稽古していない。つまり、今の間合いであれば、郷田からは攻撃できないのだ。
「ほら、胸、貸してやるよ。どんどん攻撃してこい」
しかし、龍田はそれに対して何も答えなかった。ここは拳で勝負する場だ。口で勝負するのではない。
その後も郷田は二言三言汚い言葉を発したが、龍田は一切反応しなかった。昔だったらすぐに言葉でも返していただろうが、龍田は黒田たちと違って精神的にも強くなっていた。その成長ぶりは、審判をやっている藤堂も感じていた。御岳に次ぐ内弟子期間の長さになるが、よく心も成長したと、こういう場ではあってもその点を嬉しく思っていた。
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