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内弟子物語 第Ⅱ話 稽古7
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最初から場が盛り上がったが、ここで藤堂が他の内弟子の自己紹介を促した。最初は内弟子の中では最年長で今、龍田の言葉に一言注意した内弟子第一号の御岳から挨拶を始めた。
「えー、自分は御岳信平と言います。出身は北海道で、元自衛官でした。最初は整体の一般生として先生に教えていただいていましたが、教えていただくうちにその奥が知りたくて内弟子にしていただきました。自衛隊時代、格技もやっていた関係で、内弟子として学ぶ武道のほうも意外とスンナリと入れました。いろいろ教わっていくうちに、先生の技術の深さを知り、ますます意欲が湧いてきています」
自衛隊時代の名残か、直立不動の姿勢で話す御岳。高山のほうを見ながら、周りも見て話した。
「いいぞ、兄貴!」
龍田が囃し立てる。人懐っこく、陽気な龍田は宴会などを盛り上げ役にはうってつけの性格だ。その龍田が立ち上がり、次の挨拶をした。
「さっき高山さんとちょっとだけお話しした龍田です。名前は慎吾と言います。よろしくお願いします」
龍田は名前だけ言って、すぐに座った。どうでも良い話はいろいろするが、改まった話は苦手としている。いつもこういう場では、短い話になってしまう。
そんな龍田に今度は御岳があおった。
「龍田、それだけか? お前、もっといろいろあるだろう。言っちゃえよ」
龍田は頭をかきながら、また立ち上がった。その表情は照れくささを含んでいた。
「言っていいですか?」
「いいよ」
御岳が言った。
「じゃあ、言います。実は俺、昔暴走族だったんですよ。頭(アタマ)張っていて、ちょっとは名前も知られていて、当時は喧嘩三昧でした。その役に立てようと、近所の空手の道場にも通っていたことがあります。そこは地元でも強いって評判だったけど、組手では一回も負けたことはありません。喧嘩と同じで、度胸で勝っていました。その時は喧嘩だったら世界一、くらいの気持ちがありました。雑誌で藤堂先生のことを知り、一般の入門生のふりして見学に来た時、ゾクッとしたんです。最初は道場破りでもしようかなんて、今にして思えば無謀なんですけど思ってました。でも、結局は稽古の様子を見てびびっちゃいました。そこから内弟子になりたいと思ったんですが、高山さん以上に何回も断られました。だけど何度もお願いし、やっと許してもらえました。だから高山さんの気持ち、よく分かります。それに、ウチの親父も実は整体の仕事をしていて、そこからも先生のところで勉強したいって強く思いました」
言ってしまった、という気持ちになったのか、最後は舌をペロッと出し、少し俯き加減になり席に座った。
内容は違うが、何度も断られたという話を聞いて、高山は自分だけ断られたのではなかったのだと改めて理解した。
「えー、自分は御岳信平と言います。出身は北海道で、元自衛官でした。最初は整体の一般生として先生に教えていただいていましたが、教えていただくうちにその奥が知りたくて内弟子にしていただきました。自衛隊時代、格技もやっていた関係で、内弟子として学ぶ武道のほうも意外とスンナリと入れました。いろいろ教わっていくうちに、先生の技術の深さを知り、ますます意欲が湧いてきています」
自衛隊時代の名残か、直立不動の姿勢で話す御岳。高山のほうを見ながら、周りも見て話した。
「いいぞ、兄貴!」
龍田が囃し立てる。人懐っこく、陽気な龍田は宴会などを盛り上げ役にはうってつけの性格だ。その龍田が立ち上がり、次の挨拶をした。
「さっき高山さんとちょっとだけお話しした龍田です。名前は慎吾と言います。よろしくお願いします」
龍田は名前だけ言って、すぐに座った。どうでも良い話はいろいろするが、改まった話は苦手としている。いつもこういう場では、短い話になってしまう。
そんな龍田に今度は御岳があおった。
「龍田、それだけか? お前、もっといろいろあるだろう。言っちゃえよ」
龍田は頭をかきながら、また立ち上がった。その表情は照れくささを含んでいた。
「言っていいですか?」
「いいよ」
御岳が言った。
「じゃあ、言います。実は俺、昔暴走族だったんですよ。頭(アタマ)張っていて、ちょっとは名前も知られていて、当時は喧嘩三昧でした。その役に立てようと、近所の空手の道場にも通っていたことがあります。そこは地元でも強いって評判だったけど、組手では一回も負けたことはありません。喧嘩と同じで、度胸で勝っていました。その時は喧嘩だったら世界一、くらいの気持ちがありました。雑誌で藤堂先生のことを知り、一般の入門生のふりして見学に来た時、ゾクッとしたんです。最初は道場破りでもしようかなんて、今にして思えば無謀なんですけど思ってました。でも、結局は稽古の様子を見てびびっちゃいました。そこから内弟子になりたいと思ったんですが、高山さん以上に何回も断られました。だけど何度もお願いし、やっと許してもらえました。だから高山さんの気持ち、よく分かります。それに、ウチの親父も実は整体の仕事をしていて、そこからも先生のところで勉強したいって強く思いました」
言ってしまった、という気持ちになったのか、最後は舌をペロッと出し、少し俯き加減になり席に座った。
内容は違うが、何度も断られたという話を聞いて、高山は自分だけ断られたのではなかったのだと改めて理解した。
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