私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第5章 遅れてきた新入生

300 新入生の正体は…

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今回の更新で300話になりました!
閑話も含めると300話以上になるわけですが(笑)
皆様の応援のお陰でここまで連載を続けることができました。
ありがとうございます!
これからも、よろしくお願いします。
では、本編をどうぞ。





---


「え?」
「嘘っ!?」
「なんで!?」
「マジかっ!」
「えっ?えっ?みんな、どうしたの」

 教室に入ってきた新入生を見た私達は、驚きの声を上げる。フィン君が戸惑いの声を上げているけれど、それに答える余裕はなかった。
 なぜなら、新入生は私達が知っている相手だったからだ。
 王都までの道のりで出会った私達の友達。そう、彼は…

「四人とも久しぶりだね」
「「「「ルーク」君!!」」」

 以前に会った時よりも血色の良い顔でルーク君がにこりと笑った。


「なんだ、四人と知り合いなのか?」

 モニカ先生は意外だったのか、私達とルーク君を交互に見ている。先生ならそれぞれの出身地を知っているはずだから、不思議に思うのは当然だろう。
 私達とルーク君では普通に暮らしていたら、まず出会わないはずだもんね。
 のん気にモニカ先生の思考を推測していた私だったのだけれど、それをすぐに後悔することになる。
 友達なんですと私が答えていれば、ルーク君の回答に度肝を抜かれることもなかったのに!!

「はい。彼らは僕達家族の恩人なんです」

 えっ!!恩人!?
 一瞬、ルーク君の病気を治したのが私だってばれたのかと、ドキリとした。でも、すぐにアデーレの花のおかげだと思われているはずだと思い直す。
 じゃあ、なんでルーク君は恩人なんて言ったんだろう?
 首をかしげる私だったけれど、アミーちゃん達はわかったようだ。

「ルークの話には少し語弊があるわね」
「俺とキャシーとアミーは何もしてないしな」
「盗賊退治したのは、サラだけだしね」
「「「「「「「「「盗賊退治!?」」」」」」」」」

 アミーちゃんの「少し」と言う言葉に、違和感を感じた私が更に首をかしげていると、ハル君とキャシーちゃんが、私こそがルーク君親子の命の恩人だと、ルーク君の発言を見つめてしまったのだ!
 ええ~っ!!た、確かに、盗賊退治に協力したのは私だけかもだけど、クラウジアさんの護衛さん達の治療をしたり、盗賊たちを捕まえたりしただけで、戦闘自体には直接かかわったわけじゃないから!!
それを言うなら、命の恩人はアランさん達のはず!!だからみんな、そんなキラキラした目で私を見ないでっ!!
 そう言いたかったのだけど、実際はあうあうと言葉にならない声を上げることしかできなかった。
 そんな私を救ってくれたのはモニカ先生だった。

「みんな、気になるのはとてもよくわかるが、今は彼を紹介している最中だ」

 モニカ先生はそう言って、みんなの視線をルーク君に向けさせたことで、ようやく息をつくことができた。
 …授業が終わった後が怖い気がするけれど、今は考えないでおこう。
 

「さあ、君も知り合いがいてうれしかったのはわかるが、自己紹介がまだ終わっていないぞ」
「はい」

 モニカ先生の指摘に、ルーク君は少し気恥しそうに頷くと、自己紹介を始めた。

「フィッツ町から来た、ルークです。入学式の直前まで病気を患っていたため、みんなよりも数か月遅れの入学となりました。左も右もわからない僕ですが、仲良くしてくれると嬉しいです。これから、よろしくお願いします」
「ルーク君は病を克服してすっかり健康体になったそうだが、何分完治したのは数か月前で、体力面では少し心配が残る。一緒の授業を受ける場合は、ぜひ彼を気にかけてほしい」
「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」

 モニカ先生からのお願いに、みんなで一斉に頷く。

「では、授業を始めようか」

 モニカ先生に好きな席に座っていいと言われたルーク君は、まっすぐこちらに向かってやって来た。

「隣いいかな?」

はにかみながら聞くルーク君に、かける言葉は決まっていた。

「「「「「もちろんっ!!」」」」」



‐‐‐
オマケ
みんなの認識
サラ→盗賊退治したのは自分だけじゃないから、命の恩人は言い過ぎ。ルークの病気を治したのはサラと精霊達だけが知っていることだから、それこそ対象外。

ルーク→父親の命も、自分の命も救ってくれた恩人。

アミー&キャシー&ハル→ルーク父をサラが助けたことで、アデーレの開花に間に合って、ルークの病気も治ったのだから、命の恩人と言えるのはサラだけ。
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