私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第4章 王立魔法学校一年目

293 お茶会③

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前回お騒がせしたものもらいですが、すっかりよくなりました!
石みたいに固い謎の塊が取れたら、痛みが大分和らぎまして、それからはあっという間でした。
昔からものもらいができると、必ずポロッと出てくるんですが、周りの人に聞いてもそんな人全くいないんですよね。
気になったので、眼科の先生に聞いことがあるのですが、たまにいるとのことでした。とりあえず、一人じゃなくってよかったと安堵したものです。
前置きが長くなってしまいましたが、本編をどうぞ!




---


「殿下方、そろそろ刻限でございます」

 話も尽きかけたところで、エンゲラさんよりタイミングよくお茶会の終了が告げられた。

「もうそんなに時間がたっていたのね」

 ラミエル王女様が驚いたように空を見る。来た時には真上辺りにあったお日様が、いつの間にか傾いていた。
 ドレスの着替えは別にして、お茶会自体は時間にして二時間もなかったと思う。でも、それ以上に感じられる濃密な時間だった。
 しかし、そう感じたのはどうやら私だけのようだ。
 フェアリス王女様とフェアレイ王子様は前触れなく席を立つと、私の傍までトテトテと走って来た。どうしたのかな?と見つめていると、二人は両サイドから私の腕を掴み、うるうるのお目目で見上げてきた。
 
「もう帰っちゃうの?」
「まだここにいなよ」

 か、かわいい!!
 二人のあまりのかわいらしさに、「まだここにいます!」とうっかり言ってしまうところだった。それを救ってくれたのはラミエル王女様だ。
 
「二人とも、サラを困らせないでちょうだいな」
「「だってぇ~」」
「二人がそんな調子では、今後サラを呼ぶのは諦めるしかないわね」

 「残念だわ」と悲しそうに眉をひそませるラミエル王女に、二人は同時に「「やだ!!」」と叫んだ。

「じゃあ、今日は大人しくお別れを言いましょうね」
「「はーい…」」

 ラミエル王女様の見事な手際に思わず拍手を送ろうとしたところで、はたと気づく。

「サラ、今度はおままごとしましょ!!」
「またきてね」

 …あれ、次もあるの?
 ラミエル王女様のおかげで問題なく帰れることになったのだけど、新たな問題が増えたように思うのは気のせいだろうか?
 ポンと肩に手を置かれ、振り向くと王太子様がにっこりと笑っていた。

「サラ、そういうわけだから」

 どうやら拒否権はないようです。


◇◇◇


 フェアリス様とフェアレイ王女様はあの後すぐに、二人を呼びに来た侍女さん達に連れられ、去っていった。
 ラミエル王女様とエンゲラさんは私が制服に着替え終わるまでは一緒にいたのだけれど、衣裳部屋の前で別れた。王女様はこれから夕飯の時間までお勉強だそうだ。まだまだ勉強することがいっぱいなのだと微笑むラミエル王女様は本当にご立派な方だと思う。

「今日は本当にありがとう」
「こちらこそありがとうございます」

 王太子様と今日最初にあった場所でお別れの挨拶をする。今ここにいるのは王太子様とジーク、私の三人のみだ。
 「本当は門まで見送ってあげたいんだけど」と王太子様は申し訳なさそうだけれど、そんな事をしたら注目の的になるのは確実なので、お断りさせてもらう。
 王太子様はジークからも「絶対におやめください」と咎められていた。
 後から聞いたんだけど、その場合はたくさんの護衛が必要になるので、お茶会の許可にもっと時間がかかったかもしれないんだって。まして、当日に予定を変更するなんてもっての外なのだそうだ。
 一つの行動にいちいち許可が必要なんて、王族の人達って本当に大変なんだなぁ。

「ラミエル王女様とアリス王女様、レイ王子様にもよろしくお伝えください」
 
 三人にもお別れの挨拶はきちんとしているのだけれど、最後は少し慌ただしくなってしまったので、改めてそう伝える。
 ちなみにだけれど、フェアリス王女様とフェアレイ王子様の呼び名が変わっていることに気づいただろうか。
 実はお茶会の最初の方で、二人からは「アリス」「レイ」と呼んでほしいとお願いされたのだ。王女様と王子様に恐れ多いと最初は断っていたのだけれど、王太子様とラミエル王女様からも二人の好きなように呼んであげてほしいと言われてしまい、でもさすがに呼び捨てにするのはどうかと悩んだ結果の「アリス王女様」と「レイ王子様」呼びだ。

「三人には必ず伝えるよ」
「よろしくお願いいたします」

 最後に深々とお辞儀をする。あとは王太子様が立ち去るのを待つだけだ。でも、不思議なことにいつまでたっても王太子様が立ち去る気配はない。
 あれ?ここは私が先に立ち去るのが正解だったのかなと、おそるおそる顔を上げてみる。すると、思ったよりも近い位置に王太子様がいて、驚きで心臓が止まるかと思った。
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