259 / 278
第4章 王立魔法学校一年目
293 お茶会③
しおりを挟む
前回お騒がせしたものもらいですが、すっかりよくなりました!
石みたいに固い謎の塊が取れたら、痛みが大分和らぎまして、それからはあっという間でした。
昔からものもらいができると、必ずポロッと出てくるんですが、周りの人に聞いてもそんな人全くいないんですよね。
気になったので、眼科の先生に聞いことがあるのですが、たまにいるとのことでした。とりあえず、一人じゃなくってよかったと安堵したものです。
前置きが長くなってしまいましたが、本編をどうぞ!
---
「殿下方、そろそろ刻限でございます」
話も尽きかけたところで、エンゲラさんよりタイミングよくお茶会の終了が告げられた。
「もうそんなに時間がたっていたのね」
ラミエル王女様が驚いたように空を見る。来た時には真上辺りにあったお日様が、いつの間にか傾いていた。
ドレスの着替えは別にして、お茶会自体は時間にして二時間もなかったと思う。でも、それ以上に感じられる濃密な時間だった。
しかし、そう感じたのはどうやら私だけのようだ。
フェアリス王女様とフェアレイ王子様は前触れなく席を立つと、私の傍までトテトテと走って来た。どうしたのかな?と見つめていると、二人は両サイドから私の腕を掴み、うるうるのお目目で見上げてきた。
「もう帰っちゃうの?」
「まだここにいなよ」
か、かわいい!!
二人のあまりのかわいらしさに、「まだここにいます!」とうっかり言ってしまうところだった。それを救ってくれたのはラミエル王女様だ。
「二人とも、サラを困らせないでちょうだいな」
「「だってぇ~」」
「二人がそんな調子では、今後サラを呼ぶのは諦めるしかないわね」
「残念だわ」と悲しそうに眉をひそませるラミエル王女に、二人は同時に「「やだ!!」」と叫んだ。
「じゃあ、今日は大人しくお別れを言いましょうね」
「「はーい…」」
ラミエル王女様の見事な手際に思わず拍手を送ろうとしたところで、はたと気づく。
「サラ、今度はおままごとしましょ!!」
「またきてね」
…あれ、次もあるの?
ラミエル王女様のおかげで問題なく帰れることになったのだけど、新たな問題が増えたように思うのは気のせいだろうか?
ポンと肩に手を置かれ、振り向くと王太子様がにっこりと笑っていた。
「サラ、そういうわけだから」
どうやら拒否権はないようです。
◇◇◇
フェアリス様とフェアレイ王女様はあの後すぐに、二人を呼びに来た侍女さん達に連れられ、去っていった。
ラミエル王女様とエンゲラさんは私が制服に着替え終わるまでは一緒にいたのだけれど、衣裳部屋の前で別れた。王女様はこれから夕飯の時間までお勉強だそうだ。まだまだ勉強することがいっぱいなのだと微笑むラミエル王女様は本当にご立派な方だと思う。
「今日は本当にありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
王太子様と今日最初にあった場所でお別れの挨拶をする。今ここにいるのは王太子様とジーク、私の三人のみだ。
「本当は門まで見送ってあげたいんだけど」と王太子様は申し訳なさそうだけれど、そんな事をしたら注目の的になるのは確実なので、お断りさせてもらう。
王太子様はジークからも「絶対におやめください」と咎められていた。
後から聞いたんだけど、その場合はたくさんの護衛が必要になるので、お茶会の許可にもっと時間がかかったかもしれないんだって。まして、当日に予定を変更するなんてもっての外なのだそうだ。
一つの行動にいちいち許可が必要なんて、王族の人達って本当に大変なんだなぁ。
「ラミエル王女様とアリス王女様、レイ王子様にもよろしくお伝えください」
三人にもお別れの挨拶はきちんとしているのだけれど、最後は少し慌ただしくなってしまったので、改めてそう伝える。
ちなみにだけれど、フェアリス王女様とフェアレイ王子様の呼び名が変わっていることに気づいただろうか。
実はお茶会の最初の方で、二人からは「アリス」「レイ」と呼んでほしいとお願いされたのだ。王女様と王子様に恐れ多いと最初は断っていたのだけれど、王太子様とラミエル王女様からも二人の好きなように呼んであげてほしいと言われてしまい、でもさすがに呼び捨てにするのはどうかと悩んだ結果の「アリス王女様」と「レイ王子様」呼びだ。
「三人には必ず伝えるよ」
「よろしくお願いいたします」
最後に深々とお辞儀をする。あとは王太子様が立ち去るのを待つだけだ。でも、不思議なことにいつまでたっても王太子様が立ち去る気配はない。
あれ?ここは私が先に立ち去るのが正解だったのかなと、おそるおそる顔を上げてみる。すると、思ったよりも近い位置に王太子様がいて、驚きで心臓が止まるかと思った。
石みたいに固い謎の塊が取れたら、痛みが大分和らぎまして、それからはあっという間でした。
昔からものもらいができると、必ずポロッと出てくるんですが、周りの人に聞いてもそんな人全くいないんですよね。
気になったので、眼科の先生に聞いことがあるのですが、たまにいるとのことでした。とりあえず、一人じゃなくってよかったと安堵したものです。
前置きが長くなってしまいましたが、本編をどうぞ!
---
「殿下方、そろそろ刻限でございます」
話も尽きかけたところで、エンゲラさんよりタイミングよくお茶会の終了が告げられた。
「もうそんなに時間がたっていたのね」
ラミエル王女様が驚いたように空を見る。来た時には真上辺りにあったお日様が、いつの間にか傾いていた。
ドレスの着替えは別にして、お茶会自体は時間にして二時間もなかったと思う。でも、それ以上に感じられる濃密な時間だった。
しかし、そう感じたのはどうやら私だけのようだ。
フェアリス王女様とフェアレイ王子様は前触れなく席を立つと、私の傍までトテトテと走って来た。どうしたのかな?と見つめていると、二人は両サイドから私の腕を掴み、うるうるのお目目で見上げてきた。
「もう帰っちゃうの?」
「まだここにいなよ」
か、かわいい!!
二人のあまりのかわいらしさに、「まだここにいます!」とうっかり言ってしまうところだった。それを救ってくれたのはラミエル王女様だ。
「二人とも、サラを困らせないでちょうだいな」
「「だってぇ~」」
「二人がそんな調子では、今後サラを呼ぶのは諦めるしかないわね」
「残念だわ」と悲しそうに眉をひそませるラミエル王女に、二人は同時に「「やだ!!」」と叫んだ。
「じゃあ、今日は大人しくお別れを言いましょうね」
「「はーい…」」
ラミエル王女様の見事な手際に思わず拍手を送ろうとしたところで、はたと気づく。
「サラ、今度はおままごとしましょ!!」
「またきてね」
…あれ、次もあるの?
ラミエル王女様のおかげで問題なく帰れることになったのだけど、新たな問題が増えたように思うのは気のせいだろうか?
ポンと肩に手を置かれ、振り向くと王太子様がにっこりと笑っていた。
「サラ、そういうわけだから」
どうやら拒否権はないようです。
◇◇◇
フェアリス様とフェアレイ王女様はあの後すぐに、二人を呼びに来た侍女さん達に連れられ、去っていった。
ラミエル王女様とエンゲラさんは私が制服に着替え終わるまでは一緒にいたのだけれど、衣裳部屋の前で別れた。王女様はこれから夕飯の時間までお勉強だそうだ。まだまだ勉強することがいっぱいなのだと微笑むラミエル王女様は本当にご立派な方だと思う。
「今日は本当にありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
王太子様と今日最初にあった場所でお別れの挨拶をする。今ここにいるのは王太子様とジーク、私の三人のみだ。
「本当は門まで見送ってあげたいんだけど」と王太子様は申し訳なさそうだけれど、そんな事をしたら注目の的になるのは確実なので、お断りさせてもらう。
王太子様はジークからも「絶対におやめください」と咎められていた。
後から聞いたんだけど、その場合はたくさんの護衛が必要になるので、お茶会の許可にもっと時間がかかったかもしれないんだって。まして、当日に予定を変更するなんてもっての外なのだそうだ。
一つの行動にいちいち許可が必要なんて、王族の人達って本当に大変なんだなぁ。
「ラミエル王女様とアリス王女様、レイ王子様にもよろしくお伝えください」
三人にもお別れの挨拶はきちんとしているのだけれど、最後は少し慌ただしくなってしまったので、改めてそう伝える。
ちなみにだけれど、フェアリス王女様とフェアレイ王子様の呼び名が変わっていることに気づいただろうか。
実はお茶会の最初の方で、二人からは「アリス」「レイ」と呼んでほしいとお願いされたのだ。王女様と王子様に恐れ多いと最初は断っていたのだけれど、王太子様とラミエル王女様からも二人の好きなように呼んであげてほしいと言われてしまい、でもさすがに呼び捨てにするのはどうかと悩んだ結果の「アリス王女様」と「レイ王子様」呼びだ。
「三人には必ず伝えるよ」
「よろしくお願いいたします」
最後に深々とお辞儀をする。あとは王太子様が立ち去るのを待つだけだ。でも、不思議なことにいつまでたっても王太子様が立ち去る気配はない。
あれ?ここは私が先に立ち去るのが正解だったのかなと、おそるおそる顔を上げてみる。すると、思ったよりも近い位置に王太子様がいて、驚きで心臓が止まるかと思った。
12
お気に入りに追加
4,597
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。