258 / 278
第4章 王立魔法学校一年目
292 お茶会②
しおりを挟む
最初は誰のことを言っているのか、わからなかった。首をかしげていると、私に心当たりがないことが王太子様にもわかったようだ。「あれ?この間も一緒にいたよね?」と不思議そうに聞かれる。そこでようやく誰のことを言っているのかがわかった。
そう言えば、王太子様に出会ったあの場所に彼らはいたんだった。
ランディー君達と一緒になって礼儀作法の授業を覗いていたところを王太子様にはバッチリ目撃されていたのは記憶に新しい。ランディー君達が一緒に来た理由は話していなかったから、あの場だけを見れば仲良くなったと思うのは当然なのかもしれない。
「ランディー君とスタンリー君のことですか?」
二人の名前を出してみると、それで正解だったようで、王太子様が力強く頷いた。
「そう!ランディー・ダフィルとスタンリー・クーパーのことだよ。ランディーに会ったのはあの時が初めてだけれど、彼のことは以前から知っていて…ってジークどうかしたのか?」
「――いえ。特に何もありませんが」
王太子様は話の途中で驚いたようにジークを見る。つられて私もジークの方を見るけれど、特に変わった様子は見られなかった。
「なんだか、驚いていたように見えたから…僕の気のせいだったのかな?」
王太子様はまだ納得できていない様子だったのだけど、ラミエル王女からも「いつもと同じに見えるけれど」と言われて、それ以上ジークを問い詰めることはなかった。
「それにしても、サラがダフィル伯爵の一人息子と仲が良かったなんて、とても驚きましたわ」
ラミエル王女様は私が貴族科の生徒と仲が良いことよりも、その生徒がランディー君ということに驚いているようだった。そう言えばすっかり忘れていたけれど、ランディー君のお父さんは謁見の際にフェ様に詰め寄っていた貴族の人なんだよね?ラミエル王女様はその場にいたわけだし、それで驚いているのかな。
「彼の父親は確かに典型的な貴族だけれど、彼は祖父であるラッセルと考えが一緒のようだし、そう心配することはないと思うよ」
「そうなの」
王太子様の言葉に安心したように微笑むラミエル王女様を見て、思うのは一つ。「どうしよう」だった。
私がランディー君と仲よし、という体でどんどん話が進んでしまって、今更違いますとは言いだし辛くなってしまった。
いや、別にランディー君が嫌いな訳じゃないし、仲良くなれるのならなりたいとは思う。ランディー君が初めて話しかけてくれた時、私達は決して友好的とは言えなかったのに、怒ることもなくローズさんについて忠告をしてくれたのだ。結局は忠告は間に合わなかったのだけれど、それでも彼が困っている時に、私が力になれるのであればなりたいと思う。けれど、友達かと言われれば首をかしげてしまうのが現状だ。ランディー君と話したのは数えるほどだし、それで友達面されても、ランディー君だって迷惑に思うかもしれない。
やっぱりここはランディー君のためにも正直に話そう。
「えっと、ランディー君達とはまだそこまで親しくないんです」
思い切ってそう伝えると、王太子様にはランディー君達がなぜあの時あの場所にいたのか不思議に思ったようだ。
結局、あの時に説明しなかったことまで話すことになってしまった。
ケリー先生が授業を早々に切り上げ、野次馬よろしくついてこようとしたこと、興味を持った生徒達に引き留められて、じゃんけんで勝った数人を連れて行くと言ったことで、勝ったランディー君達が一緒に行くことになったことを説明する。全てを聞いた王太子様は「ケリー先生らしい」と苦笑いをしていた。
話がひと段落したところで、今までずっと黙っていたフェアリス王女様が口を開いた。
「兄さまと姉さまだけサラと話してずるい!!」
フェアリス王女様がぷくりと頬を膨らませる。いつの間にかお菓子はすっかり食べ終わっていて、自分の知らない話ばかりをする私達に、すっかりへそを曲げてしまったようだ。
「アリスだって、サラに聞きたいことがいっぱいあるのよっ!」
「ぼくもっ!!」
「ごめんな。僕が悪かったよ」
「姉様もごめんなさいね」
「…じゃあ、アリス達がサラとお話ししてもいい?」
ツンとそっぽを向いていたフェアリス王女様だったけれど、王太子様とラミエル王女様が謝ると、すぐに機嫌を直して上目遣いでお願いをする。瞳を潤ませてお願いされては、頷くしかなかった。
「精霊様達がサラに加護を授ける順番をめぐって争っていたって本当?」
「うぐっ」
でも、まさかそんな質問をされるとは思いもしなかったよ!言葉に詰まる私だったけれど、フェアリス王女様は気にすることなく、次々と質問を浴びせる。
「わたし知ってるんだから!そう言うのって、ハーレムって言うんでしょう?」
「アリス!?そんな言葉どこで聞いたの!」
無邪気な子供の質問ほど恐ろしいものはないのだった。
‐‐‐
更新が遅れてすみません(汗)
実は朝起きたら、ものもらいができていまて、文字は見にくいし、瞬きすると目が痛いしで、散々でした。
ですが、用事があったため病院にはいかずじまいで、休み休み小説を書いていたらこんな時間になってしまいました。申し訳ありませんm(_ _)m
少し膿も出たので、朝起きたら治ってないかなと期待しつつ、今日はこのまま寝ようかと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
5/9 誤字の訂正をしました。
ンディー君→ランディー君
あの時説明→あの時に説明
そう言えば、王太子様に出会ったあの場所に彼らはいたんだった。
ランディー君達と一緒になって礼儀作法の授業を覗いていたところを王太子様にはバッチリ目撃されていたのは記憶に新しい。ランディー君達が一緒に来た理由は話していなかったから、あの場だけを見れば仲良くなったと思うのは当然なのかもしれない。
「ランディー君とスタンリー君のことですか?」
二人の名前を出してみると、それで正解だったようで、王太子様が力強く頷いた。
「そう!ランディー・ダフィルとスタンリー・クーパーのことだよ。ランディーに会ったのはあの時が初めてだけれど、彼のことは以前から知っていて…ってジークどうかしたのか?」
「――いえ。特に何もありませんが」
王太子様は話の途中で驚いたようにジークを見る。つられて私もジークの方を見るけれど、特に変わった様子は見られなかった。
「なんだか、驚いていたように見えたから…僕の気のせいだったのかな?」
王太子様はまだ納得できていない様子だったのだけど、ラミエル王女からも「いつもと同じに見えるけれど」と言われて、それ以上ジークを問い詰めることはなかった。
「それにしても、サラがダフィル伯爵の一人息子と仲が良かったなんて、とても驚きましたわ」
ラミエル王女様は私が貴族科の生徒と仲が良いことよりも、その生徒がランディー君ということに驚いているようだった。そう言えばすっかり忘れていたけれど、ランディー君のお父さんは謁見の際にフェ様に詰め寄っていた貴族の人なんだよね?ラミエル王女様はその場にいたわけだし、それで驚いているのかな。
「彼の父親は確かに典型的な貴族だけれど、彼は祖父であるラッセルと考えが一緒のようだし、そう心配することはないと思うよ」
「そうなの」
王太子様の言葉に安心したように微笑むラミエル王女様を見て、思うのは一つ。「どうしよう」だった。
私がランディー君と仲よし、という体でどんどん話が進んでしまって、今更違いますとは言いだし辛くなってしまった。
いや、別にランディー君が嫌いな訳じゃないし、仲良くなれるのならなりたいとは思う。ランディー君が初めて話しかけてくれた時、私達は決して友好的とは言えなかったのに、怒ることもなくローズさんについて忠告をしてくれたのだ。結局は忠告は間に合わなかったのだけれど、それでも彼が困っている時に、私が力になれるのであればなりたいと思う。けれど、友達かと言われれば首をかしげてしまうのが現状だ。ランディー君と話したのは数えるほどだし、それで友達面されても、ランディー君だって迷惑に思うかもしれない。
やっぱりここはランディー君のためにも正直に話そう。
「えっと、ランディー君達とはまだそこまで親しくないんです」
思い切ってそう伝えると、王太子様にはランディー君達がなぜあの時あの場所にいたのか不思議に思ったようだ。
結局、あの時に説明しなかったことまで話すことになってしまった。
ケリー先生が授業を早々に切り上げ、野次馬よろしくついてこようとしたこと、興味を持った生徒達に引き留められて、じゃんけんで勝った数人を連れて行くと言ったことで、勝ったランディー君達が一緒に行くことになったことを説明する。全てを聞いた王太子様は「ケリー先生らしい」と苦笑いをしていた。
話がひと段落したところで、今までずっと黙っていたフェアリス王女様が口を開いた。
「兄さまと姉さまだけサラと話してずるい!!」
フェアリス王女様がぷくりと頬を膨らませる。いつの間にかお菓子はすっかり食べ終わっていて、自分の知らない話ばかりをする私達に、すっかりへそを曲げてしまったようだ。
「アリスだって、サラに聞きたいことがいっぱいあるのよっ!」
「ぼくもっ!!」
「ごめんな。僕が悪かったよ」
「姉様もごめんなさいね」
「…じゃあ、アリス達がサラとお話ししてもいい?」
ツンとそっぽを向いていたフェアリス王女様だったけれど、王太子様とラミエル王女様が謝ると、すぐに機嫌を直して上目遣いでお願いをする。瞳を潤ませてお願いされては、頷くしかなかった。
「精霊様達がサラに加護を授ける順番をめぐって争っていたって本当?」
「うぐっ」
でも、まさかそんな質問をされるとは思いもしなかったよ!言葉に詰まる私だったけれど、フェアリス王女様は気にすることなく、次々と質問を浴びせる。
「わたし知ってるんだから!そう言うのって、ハーレムって言うんでしょう?」
「アリス!?そんな言葉どこで聞いたの!」
無邪気な子供の質問ほど恐ろしいものはないのだった。
‐‐‐
更新が遅れてすみません(汗)
実は朝起きたら、ものもらいができていまて、文字は見にくいし、瞬きすると目が痛いしで、散々でした。
ですが、用事があったため病院にはいかずじまいで、休み休み小説を書いていたらこんな時間になってしまいました。申し訳ありませんm(_ _)m
少し膿も出たので、朝起きたら治ってないかなと期待しつつ、今日はこのまま寝ようかと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
5/9 誤字の訂正をしました。
ンディー君→ランディー君
あの時説明→あの時に説明
13
お気に入りに追加
4,597
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。