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第4章 王立魔法学校一年目
277 大人げない大人達
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イヴァンカ先生の形相はすさまじく、キャシーちゃん達の顔に怯えの色が浮かぶ。
最早イヴァンカ先生のそれは、生徒を見る目つきではなかった。
最初はイヴァンカ先生にアミーちゃん達が叱責される姿を楽しそうに見ていた一部の貴族科の子達も、イヴァンカ先生のあまりの変わり様に、今は不安そうに顔を見合わせている。
キャシーちゃん達があんなに怯えているのに、私はここでただ見ているだけなの?
授業終了の鐘の音が鳴ったのも気にならないほどに、悔しくて、悔しくて、どうにかなりそうだった。
その時、ケリー先生が鐘の音に紛れるようにして、「僕が行こう」と声を上げた。
「僕が良いと言うまで、君達はここで大人しくしてるんだよ。いいね?」
ケリー先生は今まで見たことのないような真剣な表情で私達にそう言うと、教室の中に入っていった。
私はケリー先生の後姿を祈るように見つめる。
「なっ!!いきなりなんなのですか!」
突然の乱入者にイヴァンカ先生は驚いたようだ。
授業中だとわめきたてるイヴァンカ先生を見ることなく、ケリー先生は彼女の横を通り過ぎると、キャシーちゃん達の元へ。
「大丈夫?」
「は、はい」
ケリー先生はキャシーちゃん達に優しく話しかけると、さりげなくイヴァンカ先生から彼女達を隠してくれた。
キャシーちゃん達も突然のことで混乱しているようだったけれど、先程まであった怯えの色は消えていた。
どうやら、ケリー先生は味方だとわかってくれたようだ。
とりあえず、最悪の事態は免れたようだとほっと胸を撫でおろす私達。
でも、それで気が済まないのはイヴァンカ先生だ。
「彼女達は今わたくしが指導している最中ですっ!余計なことをしないでいただきたいわっ」
イヴァンカ先生を無視して、その上キャシーちゃん達を庇ったことで、イヴァンカ先生の怒りに油を注ぐ結果となってしまったようだ。
部外者が口をはさむなとケリー先生に食って掛かる。
「教師としてあるまじき行為をしているのを、止めるのが余計なことだというのかい?」
「なっ!?」
「少し冷静になって、周りを見てごらんよ」
ケリー先生の言葉にイヴァンカ先生が周りを見渡せば、生徒達はイヴァンカ先生と視線を合わせないようにサッと下を向く。
中にはイヴァンカ先生に視線を合わせる強者もいたけれど、その視線は冷ややかなものだった。
そう、教室にはイヴァンカ先生の味方は誰もいなかった。
そこでイヴァンカ先生はようやく我に返ったのか、がっくりと肩を落とす。
「わ、わたくしは…」
「で、何を指導したって?」
先程までの気迫が嘘のように力なくうなだれるイヴァンカ先生に、ケリー先生が問いかける。
「…カーテシーがわたくしが教えたものと違ったので指導をしたまでです」
「ふぅん。それで、廊下にも響くような大声で注意したと?」
「わたくしの授業を真面目に受けなかったにもかかわらず、不合格に不服を申し立てるような生徒達ですもの。叱ることはは当然のことでしょう」
話している内に落ち着きを取り戻したのか、イヴァンカ先生は自分の正当性を高らかに主張し始める。
「それより、あなたもこの時間は授業を受け持っていたのではありませんか?人の授業に口出しする暇があるのでしたら、ご自分ももっと真面目に…」
「僕はあなたと違って生徒から人望があるから心配ないよ」
「わ、わたくしに人望がないと仰るの!?」
「そんなこと誰も言ってないでしょ。それとも何?自覚でもあるの?まあ、今の状況的には否定できないかもしれないけどね」
「っ!!か、勝手に教室に乱入してきたかと思えば、言いたい放題っ!!このことは上に報告させていただきますからねっ」
「あのさぁ、話の趣旨を変えないでほしいんだけど、まだ説明の途中だったよね」
「わたくしはきちんと説明しました。話題を変えたのはあなたの方でしょうっ」
「なら言うけれど、僕は授業はちゃんと教えてきたよ。そのうえで、生徒に頼まれて僕はここにやって来たわけ」
頼まれてきたと言うか、一緒についてきたと言うほうが正しいわけだけど。
イヴァンカ先生に対して、一歩も引かない態度を見せるケリー先生の姿はとても頼りがいがあって、一緒に来てもらって良かったと心からそう思った。
「へへーん。羨ましいだろう」
「なっ!!」
心から…
「いつも馬鹿にする相手が自分よりも生徒に信頼されてるって知ってどんな気持ち?」
「きいいいっ!!」
た、たぶん?
‐‐‐
今回で話が終わると言ったのに、終わらなかった。。。
王太子との茶会を楽しみにしている方には申し訳ありませんm(_ _)m
ですので、いつもは三日後の更新なのですが、このカーテシーの回が終わるまでは連続更新します!
…明日で終わるといいなぁ
3/31 一部文章を修正しました。
注意→指導
注意するのは→叱ることは
最早イヴァンカ先生のそれは、生徒を見る目つきではなかった。
最初はイヴァンカ先生にアミーちゃん達が叱責される姿を楽しそうに見ていた一部の貴族科の子達も、イヴァンカ先生のあまりの変わり様に、今は不安そうに顔を見合わせている。
キャシーちゃん達があんなに怯えているのに、私はここでただ見ているだけなの?
授業終了の鐘の音が鳴ったのも気にならないほどに、悔しくて、悔しくて、どうにかなりそうだった。
その時、ケリー先生が鐘の音に紛れるようにして、「僕が行こう」と声を上げた。
「僕が良いと言うまで、君達はここで大人しくしてるんだよ。いいね?」
ケリー先生は今まで見たことのないような真剣な表情で私達にそう言うと、教室の中に入っていった。
私はケリー先生の後姿を祈るように見つめる。
「なっ!!いきなりなんなのですか!」
突然の乱入者にイヴァンカ先生は驚いたようだ。
授業中だとわめきたてるイヴァンカ先生を見ることなく、ケリー先生は彼女の横を通り過ぎると、キャシーちゃん達の元へ。
「大丈夫?」
「は、はい」
ケリー先生はキャシーちゃん達に優しく話しかけると、さりげなくイヴァンカ先生から彼女達を隠してくれた。
キャシーちゃん達も突然のことで混乱しているようだったけれど、先程まであった怯えの色は消えていた。
どうやら、ケリー先生は味方だとわかってくれたようだ。
とりあえず、最悪の事態は免れたようだとほっと胸を撫でおろす私達。
でも、それで気が済まないのはイヴァンカ先生だ。
「彼女達は今わたくしが指導している最中ですっ!余計なことをしないでいただきたいわっ」
イヴァンカ先生を無視して、その上キャシーちゃん達を庇ったことで、イヴァンカ先生の怒りに油を注ぐ結果となってしまったようだ。
部外者が口をはさむなとケリー先生に食って掛かる。
「教師としてあるまじき行為をしているのを、止めるのが余計なことだというのかい?」
「なっ!?」
「少し冷静になって、周りを見てごらんよ」
ケリー先生の言葉にイヴァンカ先生が周りを見渡せば、生徒達はイヴァンカ先生と視線を合わせないようにサッと下を向く。
中にはイヴァンカ先生に視線を合わせる強者もいたけれど、その視線は冷ややかなものだった。
そう、教室にはイヴァンカ先生の味方は誰もいなかった。
そこでイヴァンカ先生はようやく我に返ったのか、がっくりと肩を落とす。
「わ、わたくしは…」
「で、何を指導したって?」
先程までの気迫が嘘のように力なくうなだれるイヴァンカ先生に、ケリー先生が問いかける。
「…カーテシーがわたくしが教えたものと違ったので指導をしたまでです」
「ふぅん。それで、廊下にも響くような大声で注意したと?」
「わたくしの授業を真面目に受けなかったにもかかわらず、不合格に不服を申し立てるような生徒達ですもの。叱ることはは当然のことでしょう」
話している内に落ち着きを取り戻したのか、イヴァンカ先生は自分の正当性を高らかに主張し始める。
「それより、あなたもこの時間は授業を受け持っていたのではありませんか?人の授業に口出しする暇があるのでしたら、ご自分ももっと真面目に…」
「僕はあなたと違って生徒から人望があるから心配ないよ」
「わ、わたくしに人望がないと仰るの!?」
「そんなこと誰も言ってないでしょ。それとも何?自覚でもあるの?まあ、今の状況的には否定できないかもしれないけどね」
「っ!!か、勝手に教室に乱入してきたかと思えば、言いたい放題っ!!このことは上に報告させていただきますからねっ」
「あのさぁ、話の趣旨を変えないでほしいんだけど、まだ説明の途中だったよね」
「わたくしはきちんと説明しました。話題を変えたのはあなたの方でしょうっ」
「なら言うけれど、僕は授業はちゃんと教えてきたよ。そのうえで、生徒に頼まれて僕はここにやって来たわけ」
頼まれてきたと言うか、一緒についてきたと言うほうが正しいわけだけど。
イヴァンカ先生に対して、一歩も引かない態度を見せるケリー先生の姿はとても頼りがいがあって、一緒に来てもらって良かったと心からそう思った。
「へへーん。羨ましいだろう」
「なっ!!」
心から…
「いつも馬鹿にする相手が自分よりも生徒に信頼されてるって知ってどんな気持ち?」
「きいいいっ!!」
た、たぶん?
‐‐‐
今回で話が終わると言ったのに、終わらなかった。。。
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ですので、いつもは三日後の更新なのですが、このカーテシーの回が終わるまでは連続更新します!
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