私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第4章 王立魔法学校一年目

270 レッスン終了!

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今回はセリフが少なくて、地の文が多いです。
読みにくかったら、申し訳ありません。


‐‐‐


いつもの日常にカーテシーを教える時間が追加されたことで、私の日常はめまぐるしいものに変化した。
ゴブリンとの邂逅なんてすっかり遠い記憶の彼方に追いやられるほど、日々はあっという間に過ぎて行った。
そして、礼儀作業の授業を翌日に控え、カーテシーの特訓はついに最終日を迎えることとなった。
みんなの前にいつものように立ち、それぞれの顔を順にみる。
その中にはレイラちゃんやエミリちゃんの姿もあった。
初日はアミーちゃん達と数人の生徒だけが参加していた特訓だったけれど、いつの間にやら参加者は増え、数日たつ頃には一年女子生徒のほとんどが参加する結果となっていた。
あまりの人数の多さに、一瞬気が遠くなってしまったのは仕方がないことだと思う。
アクアに来てもらって本当に良かったと思えた瞬間でした。
アクアの姿は私以外誰も見ることができないけれど、私の目が行き届かない子を集中して見てくれたり、どう伝えればよいのかと私が言葉に詰まった時は的確に助言してくれたりと大活躍だった。
それに姿が見えなくてもそばで精霊様が自分のカーテシーを見ていると思うと気が引き締まるらしく、みんなの集中力を高めることに一躍買った。
そして、何よりみんなの熱意がすごかった。
例えば、当初の頃よりは仲良くなったと思うけれど、それでもツンケンした態度が通常のレイラちゃん。
そんなレイラちゃんもイヴァンカ先生には思うところがあるようで、この特訓の時間だけは私の話を素直に聞いてくれた。
後半には他の子にカーテシーを教えれるまでに成長した子まで出てきて、特訓はますます過熱さを増したのだった。
最終的にただ一人も脱落者を出すことなく、一週間を乗り切ることができたのはみんなの熱意のおかげだろう。
これで緊張の日々ともお別れかと思うと感慨深いものがある。
…まあ明日の結果を聞くまでは安心することはできないだろうなぁ。
私の教え方のせいで、みんながイヴァンカ先生に叱られたらどうしよう。
ここ最近常に付きまとう不安が頭をよぎる。
でも、アミーちゃん達のやる気に満ちた顔を見て、そんな弱気な気持ちでどうすると自分を叱咤する。
それに今日はアクア以外にも強力な助っ人を呼んでいるのだ。

「マリアさん、今日はよろしくお願いします」
「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」
「ええ。任されました」

私のカーテシーのお手本はお母さんだ。
お母さんは公爵令嬢だった過去があり、お手本にするにはとっても最適な人だと思うけれど、お母さんが公爵令嬢だったのは既に十年以上前のこと。
謁見の時も特に何も言われなかったけれど、果たして本当に問題がなかったのか不安になった私は、作法に詳しそうな人物、マリアさんにも見てもらおうと考えたのだ。
「一度カーテシーを見てほしい」との私のお願いを、マリアさんは快く引き受けてくれたのだけど…。
都合がつかなくて見てもらうのは結局最終日になってしまった。
それでも、他の人に見てもらえると言う安心感はとてつもなく大きい。

人数が多いので、何グループかに別れてカーテシーを披露してもらう。
みんなの緊張が私にも伝わってきて、自分の心臓がバクバクとうるさいぐらいに音を立てる。
マリアさんは真剣な眼差しで、みんなのカーテシーを見つめていた。
結局、最後までマリアさんは一言も発することなく、全員のカーテシーが終わってしまった。
ど、どうだったのかな?
全員でマリアさんの一挙一動を固唾を飲んで見守る。

「…随分、頑張って練習したのね。みなさん、とても素晴らしかったわよ」

マリアさんからのお褒めの言葉に、みんなで一斉に喜びの声を上げた。

「サラ、やったわねっ!」
「サラちゃん、ありがとうっ!!」
「サラちゃんのおかげよっ」

全員が私に向かって駆け寄ると、笑顔でお礼の言葉を言ってくれた。
みんなに揉みくちゃにさえながらも、これだけは絶対に言いたかったことを言う。

「ううん。みんなが頑張ったからだよ」

私のつたない教え方にもかかわらず、みんな本当に頑張っていた。
「イヴァンカ先生よりもずっと先生らしい」と褒めてさえくれた。
この一週間でアミーちゃん達以外の子達とも随分打ち解けることができたように思う。

「「「「「「「サラ」」」ちゃ~ん!!」」」」
「わわっ!!…ふぐぅっ!!」

まさか、この私からの言葉に、感極まったみんなに押し倒され、危うく押しつぶされかけるとは思いもしなかったけれど。
まあ、無事に終わって良かった!!

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