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第4章 王立魔法学校一年目
263 反省
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レベッカ先生から衝撃な事実を聞いた後、召喚獣に暴力をふるおうとした生徒はと言うと、自分の行動を振り返って反省したのか、自分の召喚獣に謝った。
スピカがハル君の指示で何度もキャッチボールを成功させていたのが羨ましかったのだと彼は言う。
彼は自分の召喚獣が一回もボールを取ってこなかったことや、ハル君達ばかりが周りに称賛されているのを見て、自分の召喚獣に苛立ちをぶつけてしまったのだ。
青い顔で何度も謝まる彼を見て、召喚獣は許すことにしたようだ。
実際には殴らなかったことも、良かったのかもしれない。
でも、許されたと喜んだ彼が召喚獣を抱き上げようとしたところ、召喚獣は怯えたように後ずさった。
手を上げようとした事実は消すことができない、そう言っているようだった。
召喚獣を呆然と見つめる彼の背を、レベッカ先生は優しく支える。
「その子の失った信頼を取り戻すのは容易ではないでしょう。でも、諦めてはだめ。根気よく頑張りましょう」
「はい…」
彼は一時の感情で、召喚獣の信頼を失うと言う取り返しのつかない事態を招いてしまった。
これから困難な道のりを歩むこととなるだろう。
だけれど、今にも泣きだしてしまいそうな彼の顔を、彼の召喚獣は心配そうに見ているから、彼らはきっと大丈夫だろう。
今はだめでも、きっといつかは召喚獣を抱き上げることができるようになるに違いない。
そう思うことができる一コマだった。
この騒動の後、召喚獣に対して傲慢な態度を取っていた一部の生徒達に変化があった。
きっと他人ごとではないと感じたのだと思う。
召喚学の授業は始まった時とは打って変わって、とてもいい雰囲気の中で終わった。
◇◇◇
「待っていたよ、サラ君!!」
「え!?」
詠唱学の教室に入ってすぐに、私はケリー先生から熱烈な歓迎を受けることになった。
「君に聞きたいことがいっぱいあるんだっ」
熱烈歓迎の理由は私がモニカ先生達にかけた回復魔法についてだった。
ケリー先生は私の手を掴むと、早足で教室の中に向かい、私を椅子に座らせ、自分はその対面に座った。
どうやら、私に拒否権はないようだ。
非常にワクワクした様子のケリー先生に、私は諦めて質問を待つ。
「モニカ先生達の怪我の程度はどのくらいだったのかわかるかい?」
「君は光の精霊様の好意持ちだった?」
「好意持ちでもないのに、中級の回復魔法が使えるの?」
息をつく間もない質問の嵐に、目を白黒させつつもなんとか答える。
「えっと、しっかり見るのが怖かったので、傷自体はしっかり見てません。でも、血はいっぱい出てました」
「違います」
「初級の回復魔法しか知らないです」
すると私の回答に、ケリー先生が目を見開き「信じられないっ!!」と叫んだ。
え?信じられないって何が?
「ちょっと待って、初級魔法で彼らを治したの!?」
「は、はい」
ケリー先生が驚いたのは、私が初級魔法のみでモニカ先生達を治したことが原因だったようだ。
出血の量から考えても、本来なら初級の回復魔法では治せない怪我だったはずだと、ケリー先生が不思議そうに首をかしげるのを見て、自分がやらかしてしまったことを知る。
でも、初級の回復魔法で治したのは本当だし、中級魔法の詠唱も知らないのに、今更「嘘です。中級魔法で治しました」とも言えない。
「何度も初級魔法をかけたのかな。よく魔力切れを起こさなかったね。あっ、でもそうか。君は複数の精霊様から加護を授かっているんだったね。だからこそ、できたことか」
どうしようとグルグル悩んでいる内に、ケリー先生は何やら一人で納得したようだ。
良かった~。
安心したところで授業の開始を知らせる鐘の音が鳴り、質問は終了となった。
「…いや、でも光の精霊様の好意持ちでもないのに、あの怪我を初級の回復魔法で治せるものなのか?」
ケリー先生の呟きは鐘の音に消されて、私の耳に届くことはなかった。
スピカがハル君の指示で何度もキャッチボールを成功させていたのが羨ましかったのだと彼は言う。
彼は自分の召喚獣が一回もボールを取ってこなかったことや、ハル君達ばかりが周りに称賛されているのを見て、自分の召喚獣に苛立ちをぶつけてしまったのだ。
青い顔で何度も謝まる彼を見て、召喚獣は許すことにしたようだ。
実際には殴らなかったことも、良かったのかもしれない。
でも、許されたと喜んだ彼が召喚獣を抱き上げようとしたところ、召喚獣は怯えたように後ずさった。
手を上げようとした事実は消すことができない、そう言っているようだった。
召喚獣を呆然と見つめる彼の背を、レベッカ先生は優しく支える。
「その子の失った信頼を取り戻すのは容易ではないでしょう。でも、諦めてはだめ。根気よく頑張りましょう」
「はい…」
彼は一時の感情で、召喚獣の信頼を失うと言う取り返しのつかない事態を招いてしまった。
これから困難な道のりを歩むこととなるだろう。
だけれど、今にも泣きだしてしまいそうな彼の顔を、彼の召喚獣は心配そうに見ているから、彼らはきっと大丈夫だろう。
今はだめでも、きっといつかは召喚獣を抱き上げることができるようになるに違いない。
そう思うことができる一コマだった。
この騒動の後、召喚獣に対して傲慢な態度を取っていた一部の生徒達に変化があった。
きっと他人ごとではないと感じたのだと思う。
召喚学の授業は始まった時とは打って変わって、とてもいい雰囲気の中で終わった。
◇◇◇
「待っていたよ、サラ君!!」
「え!?」
詠唱学の教室に入ってすぐに、私はケリー先生から熱烈な歓迎を受けることになった。
「君に聞きたいことがいっぱいあるんだっ」
熱烈歓迎の理由は私がモニカ先生達にかけた回復魔法についてだった。
ケリー先生は私の手を掴むと、早足で教室の中に向かい、私を椅子に座らせ、自分はその対面に座った。
どうやら、私に拒否権はないようだ。
非常にワクワクした様子のケリー先生に、私は諦めて質問を待つ。
「モニカ先生達の怪我の程度はどのくらいだったのかわかるかい?」
「君は光の精霊様の好意持ちだった?」
「好意持ちでもないのに、中級の回復魔法が使えるの?」
息をつく間もない質問の嵐に、目を白黒させつつもなんとか答える。
「えっと、しっかり見るのが怖かったので、傷自体はしっかり見てません。でも、血はいっぱい出てました」
「違います」
「初級の回復魔法しか知らないです」
すると私の回答に、ケリー先生が目を見開き「信じられないっ!!」と叫んだ。
え?信じられないって何が?
「ちょっと待って、初級魔法で彼らを治したの!?」
「は、はい」
ケリー先生が驚いたのは、私が初級魔法のみでモニカ先生達を治したことが原因だったようだ。
出血の量から考えても、本来なら初級の回復魔法では治せない怪我だったはずだと、ケリー先生が不思議そうに首をかしげるのを見て、自分がやらかしてしまったことを知る。
でも、初級の回復魔法で治したのは本当だし、中級魔法の詠唱も知らないのに、今更「嘘です。中級魔法で治しました」とも言えない。
「何度も初級魔法をかけたのかな。よく魔力切れを起こさなかったね。あっ、でもそうか。君は複数の精霊様から加護を授かっているんだったね。だからこそ、できたことか」
どうしようとグルグル悩んでいる内に、ケリー先生は何やら一人で納得したようだ。
良かった~。
安心したところで授業の開始を知らせる鐘の音が鳴り、質問は終了となった。
「…いや、でも光の精霊様の好意持ちでもないのに、あの怪我を初級の回復魔法で治せるものなのか?」
ケリー先生の呟きは鐘の音に消されて、私の耳に届くことはなかった。
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