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第4章 王立魔法学校一年目
261 「ぶー!」
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「マーブル、気持ちいい?」
「にゃふー…」
私の質問に、マーブルの口から気持ちよさそうなため息がこぼれる。
「ふふっ。じゃあ、今度はお腹ね?はい、ごろーん」
マーブルは抵抗することなくお腹をさらすと、好きにしてとばかりに全身の力を抜く。
あまりのかわいらしさに、ブラシを持つ手にも自然と力が入る。
そう、私は今まさにマーブルのブラッシング中なのだ。
まさか、授業中にマーブルと遊べるとは思わなかったなぁと、感慨深い思いでマーブルの全身をブラッシングする。
ちなみに、今私が手にしているブラシはレベッカ先生が用意してくれたものではない。
自分の家から持ってきたマーブル専用のブラシだ。
レベッカ先生が用意してくれたブラシは、私のような庶民には一生手にすることができないような高級品ばかりだった。
片や私が手にしているのはお父さん自作のブラシ。
いそいそとポシェットから取り出した自分のブラシと、キャシーちゃん達がレベッカ先生から受け取ったブラシとのあまりの違いに、お父さんには悪いけれど羨ましいって思ってしまった。
でも、マーブルには何の不満もないようで、ブラシを見た瞬間にキラキラした目でブラシを見つめてくれたから、すぐにそんな気持ちはどこかに行ってしまったんだよね。
うん、そうだよ。これはお父さんがマーブルのために作ってくれた世界に一つしかないブラシだもん。
これからも、大切に使おう。
「さすが、サラちゃん。手慣れてるねー」
フィン君がこちらを見ながら感心したように言った。
フィン君自身もリプカをブラッシング中だったのだけど、慣れない作業に苦戦中のようで、本来ならきれいになるはずのリプカの毛が、どんどん毛羽だっていくのが気になった。
「けーん…」
だけど、フィン君がふざけているわけではないのは、その真剣な眼差しからよくわかる。
リプカもそれがわかっているからか、フィン君の手を嫌がる様子はない。
時折、心なしか萎んだように見えるしっぽを、悲し気に見つめるのみだ。
「フィン君って思ったより不器用なのね」
「だね」
キャシーちゃん言葉に思わず頷いてしまう。
すると、キャシーちゃんの膝の上で眠っていたはずのソルテから「ぶーっ!」と今まで聞いたことのない低い声が飛び出した。
「ソ、ソルテ?どうしたの?」
キャシーちゃんの呼びかけに答えることなく、膝から飛び降りると、テコテコとフィン君達の元へ向かうソルテ。
「ぶー、ぶー、ぶーっ!」
そして、フィン君になにやら訴えるように鳴きだし始める。
「え?どういうことーっ?」
突然のソルテの行動に、フィン君は理由がわからず、キャシーちゃんの方を救いを求めるように見る。
「…多分だけど、フィン君のブラシの仕方に文句を言っているみたい。ほらその子、リプカのしっぽがお気に入りだから」
「「あー」」
キャシーちゃんが自信なさげに通訳をしてくれた内容に、アミーちゃんと二人で思わず納得の声をあげる。
「そうなの!?」
「ぷうっ!」
驚きの声を上げるフィン君に、ソルテが「その通り!」とばかりに返事をする。
そしてそのまま、フィン君達の前にポテリと座った。
「ぷ、ぷ、ぷぅ」
「どうやら、リプカのしっぽが元のふかふかに戻るまで、しっかり観察するつもりみたいね」
「えっとー、よ、よろしく?」
「ぷーっ」
フィン君とソルテのやり取りに、シフォンとマカロンがアミーちゃんの手のひらで、「やれやれ」と言うように首を振るのが見えた。
---
ソルテの鳴き声は、読者様から以前お聞きしたものを参考にしました。
ウサギってあまり鳴かないイメージだったので、怒ったときや甘えときに鳴き方が変わるときいて、驚きでした。
ここでも、改めてお礼を言わせてください。
ありがとうございます!
「にゃふー…」
私の質問に、マーブルの口から気持ちよさそうなため息がこぼれる。
「ふふっ。じゃあ、今度はお腹ね?はい、ごろーん」
マーブルは抵抗することなくお腹をさらすと、好きにしてとばかりに全身の力を抜く。
あまりのかわいらしさに、ブラシを持つ手にも自然と力が入る。
そう、私は今まさにマーブルのブラッシング中なのだ。
まさか、授業中にマーブルと遊べるとは思わなかったなぁと、感慨深い思いでマーブルの全身をブラッシングする。
ちなみに、今私が手にしているブラシはレベッカ先生が用意してくれたものではない。
自分の家から持ってきたマーブル専用のブラシだ。
レベッカ先生が用意してくれたブラシは、私のような庶民には一生手にすることができないような高級品ばかりだった。
片や私が手にしているのはお父さん自作のブラシ。
いそいそとポシェットから取り出した自分のブラシと、キャシーちゃん達がレベッカ先生から受け取ったブラシとのあまりの違いに、お父さんには悪いけれど羨ましいって思ってしまった。
でも、マーブルには何の不満もないようで、ブラシを見た瞬間にキラキラした目でブラシを見つめてくれたから、すぐにそんな気持ちはどこかに行ってしまったんだよね。
うん、そうだよ。これはお父さんがマーブルのために作ってくれた世界に一つしかないブラシだもん。
これからも、大切に使おう。
「さすが、サラちゃん。手慣れてるねー」
フィン君がこちらを見ながら感心したように言った。
フィン君自身もリプカをブラッシング中だったのだけど、慣れない作業に苦戦中のようで、本来ならきれいになるはずのリプカの毛が、どんどん毛羽だっていくのが気になった。
「けーん…」
だけど、フィン君がふざけているわけではないのは、その真剣な眼差しからよくわかる。
リプカもそれがわかっているからか、フィン君の手を嫌がる様子はない。
時折、心なしか萎んだように見えるしっぽを、悲し気に見つめるのみだ。
「フィン君って思ったより不器用なのね」
「だね」
キャシーちゃん言葉に思わず頷いてしまう。
すると、キャシーちゃんの膝の上で眠っていたはずのソルテから「ぶーっ!」と今まで聞いたことのない低い声が飛び出した。
「ソ、ソルテ?どうしたの?」
キャシーちゃんの呼びかけに答えることなく、膝から飛び降りると、テコテコとフィン君達の元へ向かうソルテ。
「ぶー、ぶー、ぶーっ!」
そして、フィン君になにやら訴えるように鳴きだし始める。
「え?どういうことーっ?」
突然のソルテの行動に、フィン君は理由がわからず、キャシーちゃんの方を救いを求めるように見る。
「…多分だけど、フィン君のブラシの仕方に文句を言っているみたい。ほらその子、リプカのしっぽがお気に入りだから」
「「あー」」
キャシーちゃんが自信なさげに通訳をしてくれた内容に、アミーちゃんと二人で思わず納得の声をあげる。
「そうなの!?」
「ぷうっ!」
驚きの声を上げるフィン君に、ソルテが「その通り!」とばかりに返事をする。
そしてそのまま、フィン君達の前にポテリと座った。
「ぷ、ぷ、ぷぅ」
「どうやら、リプカのしっぽが元のふかふかに戻るまで、しっかり観察するつもりみたいね」
「えっとー、よ、よろしく?」
「ぷーっ」
フィン君とソルテのやり取りに、シフォンとマカロンがアミーちゃんの手のひらで、「やれやれ」と言うように首を振るのが見えた。
---
ソルテの鳴き声は、読者様から以前お聞きしたものを参考にしました。
ウサギってあまり鳴かないイメージだったので、怒ったときや甘えときに鳴き方が変わるときいて、驚きでした。
ここでも、改めてお礼を言わせてください。
ありがとうございます!
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