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第4章 王立魔法学校一年目
253 朝礼③
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貴族科の生徒全員が着席すると同時に、「これより朝礼を始める」と号令が聞こえた。
その号令を聞いて、フィン君のお兄さんのカイン先輩から聞いた話を思い出した。
そう言えば、進行役の先生が副校長先生なんだよね。
貴族科の生徒をひいきしていると言う噂の人物は、一体どんな人なんだろうと気になった私は声のする方に顔を向ける。すると、そこにいたのは思いがけない人物だった。
……と言うか、あれってケリー先生だよね?
そこにいたのは私の良く知っている人物、詠唱学のケリー先生だった。
えっ!?ケリー先生が副校長先生だったの!?と混乱する私をよそに、ケリー先生は手に持った紙を面倒そうに読み上げる。
「なお、今回の進行は副校長に変わってこの僕、ケリーが行う。はぁ~っ……僕を進行役にするなんて、みんなひどいよ」
「「「ケリー先生っ!!」」」
後半のセリフは台本にはないケリー先生の心の声だったようで、近くに並んでいた先生達から余計なことは言うなと注意されていた。
相変わらずのマイペースっぷりだ。
それにしても、なんで副校長先生が進行しないのかな?
不思議に思ったのは私だけではないようで、副校長先生はどうしたのかと不思議がる声がそこかしこで広がっていき、静かだった講堂が一気に騒がしくなる。
「静かにっ!もうっ!君達がそんなんじゃ、いつまでたっても朝礼が始まらないよ?」
ケリー先生のその言葉に、誰のせいだと言うように、先生達が一斉にケリー先生を見る。
その先生達の視線は鋭く冷たいものだった。
ケリー先生は体をブルリと震わせた後、「……えーっと、副校長は諸事情により退職しました。詳しい話は朝礼でガスト校長が話すから、今はとにかく静かに」と先程とは違う真面目な顔で説明してくれた。
……先生達の視線がとても怖かったんだろうなぁ。
でも、諸事情ってなんだろう?
首をかしげていると、モスが『知りたいですか?』と聞いてくる。
(モスはどうしてか知っているの?)
『はい。副校長の処分は職員会議で決まったことです』
(そうなの?)
私が知らないのに、ずっと私の傍にいるモスがなんで知っているのかと不思議に思っていると、またまた私の表情で聞きたいことが分かったのか『職員会議にたまたま精霊が忍びこんでいたようで。その精霊から職員会議の様子をすべて聞いたので』と衝撃の事実を教えられる。
たまたまって、そんな偶然あるものなのだろうか。
モスの顔は相変わらずの無表情ながら、なぜかパタパタと振られる尻尾が見える気がする。
『褒めて、褒めて』との心の声が聞こえてくるかのようだった。
本当はそんなことしちゃだめだよ叱るべきなんだろうけれど、そんなモスを見ちゃったら怒るに怒れないよ。
(すっ、すごいね!ありがとう、モス)
結局私は叱ることができなかった。
『副校長の退職理由もお話し致しましょうか?それとも一から説明を…』
(ううんっ。大丈夫!!朝礼で話をしてくれるみたいだし)
でも、それに関しては全力で拒否します。
私が知らないはずの情報をどこかでポロリとこぼしたりなんてしたらと考えると、恐ろしいもんね。
「全員、起立!!」
ケリー先生の号令に、慌てて立ち上がる。
モスとのやり取りに夢中になっている間に、壇上にはいつの間にかガスト校長の姿が。
「みんな、おはよう」
「「「「「おはようございますっ」」」」」
ガスト校長に向かって元気よく挨拶をする。
このまま立って話を聞くと思っていたら、「今日の話は長くなるから」と座って話を聞くことになった。
その号令を聞いて、フィン君のお兄さんのカイン先輩から聞いた話を思い出した。
そう言えば、進行役の先生が副校長先生なんだよね。
貴族科の生徒をひいきしていると言う噂の人物は、一体どんな人なんだろうと気になった私は声のする方に顔を向ける。すると、そこにいたのは思いがけない人物だった。
……と言うか、あれってケリー先生だよね?
そこにいたのは私の良く知っている人物、詠唱学のケリー先生だった。
えっ!?ケリー先生が副校長先生だったの!?と混乱する私をよそに、ケリー先生は手に持った紙を面倒そうに読み上げる。
「なお、今回の進行は副校長に変わってこの僕、ケリーが行う。はぁ~っ……僕を進行役にするなんて、みんなひどいよ」
「「「ケリー先生っ!!」」」
後半のセリフは台本にはないケリー先生の心の声だったようで、近くに並んでいた先生達から余計なことは言うなと注意されていた。
相変わらずのマイペースっぷりだ。
それにしても、なんで副校長先生が進行しないのかな?
不思議に思ったのは私だけではないようで、副校長先生はどうしたのかと不思議がる声がそこかしこで広がっていき、静かだった講堂が一気に騒がしくなる。
「静かにっ!もうっ!君達がそんなんじゃ、いつまでたっても朝礼が始まらないよ?」
ケリー先生のその言葉に、誰のせいだと言うように、先生達が一斉にケリー先生を見る。
その先生達の視線は鋭く冷たいものだった。
ケリー先生は体をブルリと震わせた後、「……えーっと、副校長は諸事情により退職しました。詳しい話は朝礼でガスト校長が話すから、今はとにかく静かに」と先程とは違う真面目な顔で説明してくれた。
……先生達の視線がとても怖かったんだろうなぁ。
でも、諸事情ってなんだろう?
首をかしげていると、モスが『知りたいですか?』と聞いてくる。
(モスはどうしてか知っているの?)
『はい。副校長の処分は職員会議で決まったことです』
(そうなの?)
私が知らないのに、ずっと私の傍にいるモスがなんで知っているのかと不思議に思っていると、またまた私の表情で聞きたいことが分かったのか『職員会議にたまたま精霊が忍びこんでいたようで。その精霊から職員会議の様子をすべて聞いたので』と衝撃の事実を教えられる。
たまたまって、そんな偶然あるものなのだろうか。
モスの顔は相変わらずの無表情ながら、なぜかパタパタと振られる尻尾が見える気がする。
『褒めて、褒めて』との心の声が聞こえてくるかのようだった。
本当はそんなことしちゃだめだよ叱るべきなんだろうけれど、そんなモスを見ちゃったら怒るに怒れないよ。
(すっ、すごいね!ありがとう、モス)
結局私は叱ることができなかった。
『副校長の退職理由もお話し致しましょうか?それとも一から説明を…』
(ううんっ。大丈夫!!朝礼で話をしてくれるみたいだし)
でも、それに関しては全力で拒否します。
私が知らないはずの情報をどこかでポロリとこぼしたりなんてしたらと考えると、恐ろしいもんね。
「全員、起立!!」
ケリー先生の号令に、慌てて立ち上がる。
モスとのやり取りに夢中になっている間に、壇上にはいつの間にかガスト校長の姿が。
「みんな、おはよう」
「「「「「おはようございますっ」」」」」
ガスト校長に向かって元気よく挨拶をする。
このまま立って話を聞くと思っていたら、「今日の話は長くなるから」と座って話を聞くことになった。
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