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第4章 王立魔法学校一年目
246 踊る、踊る、職員会議④
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会議室にいるフェビラルとガスト以外の全員が一斉に起立し、王族への礼をとる。
アシュトンに至っては、頭が今にも床に付くのではないかと言うほど、深く腰を折り曲げていた。
先程までのフェビラルに対する自分の態度を思い出してか、アシュトンの顔色は病的なほど青白い。
「みんな立ちなさい。私はすでに王族の席から抜けた身。私に跪く必要はない」
彼らに鷹揚な態度で話しかける姿は、さすがは元王族と言ったところだ。
フェビラルはガストが用意した椅子に悠然と腰を掛けると、皆に着席するように促す。
その時点で会議室はフェビラルの独壇場となっていた。
「さて、アシュトン副校長?」
「は、はひっ!」
フェビラルに話しかけられ、返事をするアシュトンの声は恐怖でひきつっていた。
何を言われるのかと戦々恐々とするアシュトンの様子を気にすることなく、フェビラルは話を続ける。
「話が中断してしまったが、先程の件は納得してもらえたのだろうか?」
「え…?その……」
頭が真っ白になってしまったアシュトンには、フェビラルは何を言っているのか理解することができなかった。
アシュトンは思わず救いを求める目で他の教師達を眺めるが、視線を合わせようとするものはもちろん誰もいない。
「生徒からの情報では納得できないと言うそなたの言い分もよくわかる。あの場にいる教師達も気づかなかったわけであるからな。しかし、先程も言った様にこの情報は精霊様からもたらされたもの。信憑性は高いと思うのだが、それでもまだ不十分だと言うのかね?」
フェビラルはことさらゆっくりとした口調でもう一度説明をすると、アシュトンに再度返事を要求する。
「と、とんでもございませんっ!!十分すぎるほどの証拠でございます!!」
すっかり委縮してしまったアシュトンは一も二もなく頷く。
先程までの傲慢な態度は見る影もなかった。
精霊様からの情報と言うだけでも恐ろしいのに、それをフェビラルから聞かされているのだ。
不興を買わぬよう、ひたすらフェビラルの言葉に頷くアシュトン。
「それはよかった。精霊様も喜ぶことだろう」
「そうでございますね!」
「では、勝手に魔道具を持ち込んだ生徒の処罰は、退学でよいな」
「は…、って、ええっ!」
だが続いて飛び出した退学の言葉に、頷きかけたところで慌ててとめる。
「フェビラル様っ、それはっ」
そこまでの処罰は考えてなかったのか、ガストが勝手なことを言うなというようにフェビラルを咎める。
しかし、フェビラルの考えは変わらなかった。
「彼は最初からケルベロスを召喚させるつもりでいろいろと事前に用意していたのだ。その結果を受け止めるのは当然のことだろう」
「しかし、それはあまりにも……」
「あの場にサラさ…加護持ちの彼女がいなければ、彼の命はなかったことを思えば、退学くらい安いものだろう」
「……待て。サラ君がいなければとは、どういうことだ?」
「今更何を言っている。報告にあっただろう。ケルベロスは彼を本気で殺そうとしていた。それを結界を張って助けたのが彼女だと。彼女はその際に言わなかったようだが、ケルベロスを退けたのも彼女だし、意識不明の教師二人に回復魔法をかけたのも彼女だ」
「そんな報告、受けていないぞっ!!」
「…?サラさ…んは教師に話をしたと言っていたが?」
フェビラルはてっきりガストも聞いているものと思い込んでいたため、この件に関して事前に話をしていなかった。
二人で見つめ合うこと数秒。
「話を聞いた教師は誰だっ!!」
ガストは先ほどまでの落ち着いた態度をかなぐり捨て、怒鳴った。
‐‐‐
いつも読んでいただきありがとうございます。
職員会議の話が長くなってしまいましたが、あともう一話で会議室の話は終わりになると思います。
もう少しだけお付き合いください。
12/29 文章の訂正をしました。
誤:フェビラルはてっきり《アシュトン》も聞いているものと思い込んでいたため、この件に関して事前に話をしていなかった。
正:フェビラルはてっきり《ガスト》も聞いているものと思い込んでいたため、この件に関して事前に話をしていなかった。
アシュトンに至っては、頭が今にも床に付くのではないかと言うほど、深く腰を折り曲げていた。
先程までのフェビラルに対する自分の態度を思い出してか、アシュトンの顔色は病的なほど青白い。
「みんな立ちなさい。私はすでに王族の席から抜けた身。私に跪く必要はない」
彼らに鷹揚な態度で話しかける姿は、さすがは元王族と言ったところだ。
フェビラルはガストが用意した椅子に悠然と腰を掛けると、皆に着席するように促す。
その時点で会議室はフェビラルの独壇場となっていた。
「さて、アシュトン副校長?」
「は、はひっ!」
フェビラルに話しかけられ、返事をするアシュトンの声は恐怖でひきつっていた。
何を言われるのかと戦々恐々とするアシュトンの様子を気にすることなく、フェビラルは話を続ける。
「話が中断してしまったが、先程の件は納得してもらえたのだろうか?」
「え…?その……」
頭が真っ白になってしまったアシュトンには、フェビラルは何を言っているのか理解することができなかった。
アシュトンは思わず救いを求める目で他の教師達を眺めるが、視線を合わせようとするものはもちろん誰もいない。
「生徒からの情報では納得できないと言うそなたの言い分もよくわかる。あの場にいる教師達も気づかなかったわけであるからな。しかし、先程も言った様にこの情報は精霊様からもたらされたもの。信憑性は高いと思うのだが、それでもまだ不十分だと言うのかね?」
フェビラルはことさらゆっくりとした口調でもう一度説明をすると、アシュトンに再度返事を要求する。
「と、とんでもございませんっ!!十分すぎるほどの証拠でございます!!」
すっかり委縮してしまったアシュトンは一も二もなく頷く。
先程までの傲慢な態度は見る影もなかった。
精霊様からの情報と言うだけでも恐ろしいのに、それをフェビラルから聞かされているのだ。
不興を買わぬよう、ひたすらフェビラルの言葉に頷くアシュトン。
「それはよかった。精霊様も喜ぶことだろう」
「そうでございますね!」
「では、勝手に魔道具を持ち込んだ生徒の処罰は、退学でよいな」
「は…、って、ええっ!」
だが続いて飛び出した退学の言葉に、頷きかけたところで慌ててとめる。
「フェビラル様っ、それはっ」
そこまでの処罰は考えてなかったのか、ガストが勝手なことを言うなというようにフェビラルを咎める。
しかし、フェビラルの考えは変わらなかった。
「彼は最初からケルベロスを召喚させるつもりでいろいろと事前に用意していたのだ。その結果を受け止めるのは当然のことだろう」
「しかし、それはあまりにも……」
「あの場にサラさ…加護持ちの彼女がいなければ、彼の命はなかったことを思えば、退学くらい安いものだろう」
「……待て。サラ君がいなければとは、どういうことだ?」
「今更何を言っている。報告にあっただろう。ケルベロスは彼を本気で殺そうとしていた。それを結界を張って助けたのが彼女だと。彼女はその際に言わなかったようだが、ケルベロスを退けたのも彼女だし、意識不明の教師二人に回復魔法をかけたのも彼女だ」
「そんな報告、受けていないぞっ!!」
「…?サラさ…んは教師に話をしたと言っていたが?」
フェビラルはてっきりガストも聞いているものと思い込んでいたため、この件に関して事前に話をしていなかった。
二人で見つめ合うこと数秒。
「話を聞いた教師は誰だっ!!」
ガストは先ほどまでの落ち着いた態度をかなぐり捨て、怒鳴った。
‐‐‐
いつも読んでいただきありがとうございます。
職員会議の話が長くなってしまいましたが、あともう一話で会議室の話は終わりになると思います。
もう少しだけお付き合いください。
12/29 文章の訂正をしました。
誤:フェビラルはてっきり《アシュトン》も聞いているものと思い込んでいたため、この件に関して事前に話をしていなかった。
正:フェビラルはてっきり《ガスト》も聞いているものと思い込んでいたため、この件に関して事前に話をしていなかった。
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