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第4章 王立魔法学校一年目
244 踊る、踊る、職員会議②
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会議室にいる全員の視線がレベッカに突き刺さる。
そんな中でもレベッカは冷静だ。
レベッカを庇おうとするモニカを眼差し一つで止めると、口を開いた。
「まず初めに申し上げておきますが、わたくしは間違いなく初級の魔法陣を用意いたしました」
「見苦しい言い訳を……」
「副校長は言い訳とおっしゃいますが、魔法陣を確認したうえでの発言なのでしょうか?」
「うっ。そ、それは……」
痛いところを突かれたアシュトンは言葉に詰まる。
実のところ、魔法陣の確認はまだとれていなかった。
魔法陣専門の教師はレベッカと親しかったため、圧力をかけても無駄だと考えたアシュトンは第三者機関に頼むことにしたのだ。
検証が始まる前にどこの機関に頼むかをそれとなく生徒の親に伝えれば、あとは親が勝手にいいように情報を改ざんするだろう。
アシュトンは貴族に恩が売れて、レベッカを学校から追い出せる。まさに一石二鳥だった。
ガストは生徒を安心させるためにも早急に確認する必要があるとアシュトンの意見を一度は退けたのだが、身内が調べては公平性にかけると言われては、アシュトンの意見に従うしかなかった。
そんな思惑もあり、魔法陣の検証は後日となっていた。
「あの魔法陣で本来ケルベロスが召喚されるはずがないのです。今後のためにもなぜあの魔法陣で召喚されたのか検証することを提案いたしますわ」
「は、話のすり替えだっ!それに聞いた話によると、本来なら一緒に詠唱すべきだった所を生徒一人に言わせたそうじゃないか。手順通りにしなかったことが、今回の原因なんじゃないのかねっ!?」
これ以上魔法陣の件を突き詰めるのは得策ではないと判断したアシュトンは、すぐに話を切り替えることにする。
アシュトンにとっては幸運なことに、レベッカを問い詰める材料はまだまだあった。
しかし、そこに待ったをかける相手が現れた。モニカだ。
「レーガン先生にも言いたいことがあるのではないですか?」
既に我慢の限界だったモニカは、責められるべき相手は別にいるとばかりにレーガンに話しかける。
「私がですか?」
モニカの発言にピクリとも表情を変えることなくレーガンが答える。
そのぬけぬけとした態度に、モニカの表情が変わる。
「生徒が勝手な行動をした原因はレーガン先生にもあるはずです!」
「私は生徒の自主性を重んじただけです。それに、最終的な判断はレベッカ先生が決めたはず」
レーガンは悪びる様子もなく、あっさりと答えた。
しかも、どんなに屁理屈に聞こえようが、実際にレベッカが許可を出したのは事実であり、授業の責任者は彼女であるのだから、レーガンをこれ以上責めることはできなかった。
悔し気に唇をかみしめるモニカの手を、レベッカが机の下からポンポンと優しく叩く。
「生徒を止めれなかったのは、わたくしの責任です。その件についてはどんな罰でも受けましょう」
言い訳をする様子もないレベッカの態度は見事なものだった。
「では、自分の非を認めるわけだねっ」
言質は取ったと喜ぶアシュトン。
彼の頭の中には、失意の中、学校を去るレベッカの姿が浮かんだ。
「その生徒の件だけどね、とても有力な情報を手に入れることができたんだ」
「……は?」
浮かれ喜ぶアシュトンにガストがニコニコと笑いながら話しかける。
しかし、よく見ると彼の目元は決して笑ってはいなかった。
その情報を事前に聞かされていなかったアシュトンは突然のことに反応が遅れる。
どういうことかとガストに問いかけようとしたところで、会議室の扉が外側から勢いよく開かれた。
そんな中でもレベッカは冷静だ。
レベッカを庇おうとするモニカを眼差し一つで止めると、口を開いた。
「まず初めに申し上げておきますが、わたくしは間違いなく初級の魔法陣を用意いたしました」
「見苦しい言い訳を……」
「副校長は言い訳とおっしゃいますが、魔法陣を確認したうえでの発言なのでしょうか?」
「うっ。そ、それは……」
痛いところを突かれたアシュトンは言葉に詰まる。
実のところ、魔法陣の確認はまだとれていなかった。
魔法陣専門の教師はレベッカと親しかったため、圧力をかけても無駄だと考えたアシュトンは第三者機関に頼むことにしたのだ。
検証が始まる前にどこの機関に頼むかをそれとなく生徒の親に伝えれば、あとは親が勝手にいいように情報を改ざんするだろう。
アシュトンは貴族に恩が売れて、レベッカを学校から追い出せる。まさに一石二鳥だった。
ガストは生徒を安心させるためにも早急に確認する必要があるとアシュトンの意見を一度は退けたのだが、身内が調べては公平性にかけると言われては、アシュトンの意見に従うしかなかった。
そんな思惑もあり、魔法陣の検証は後日となっていた。
「あの魔法陣で本来ケルベロスが召喚されるはずがないのです。今後のためにもなぜあの魔法陣で召喚されたのか検証することを提案いたしますわ」
「は、話のすり替えだっ!それに聞いた話によると、本来なら一緒に詠唱すべきだった所を生徒一人に言わせたそうじゃないか。手順通りにしなかったことが、今回の原因なんじゃないのかねっ!?」
これ以上魔法陣の件を突き詰めるのは得策ではないと判断したアシュトンは、すぐに話を切り替えることにする。
アシュトンにとっては幸運なことに、レベッカを問い詰める材料はまだまだあった。
しかし、そこに待ったをかける相手が現れた。モニカだ。
「レーガン先生にも言いたいことがあるのではないですか?」
既に我慢の限界だったモニカは、責められるべき相手は別にいるとばかりにレーガンに話しかける。
「私がですか?」
モニカの発言にピクリとも表情を変えることなくレーガンが答える。
そのぬけぬけとした態度に、モニカの表情が変わる。
「生徒が勝手な行動をした原因はレーガン先生にもあるはずです!」
「私は生徒の自主性を重んじただけです。それに、最終的な判断はレベッカ先生が決めたはず」
レーガンは悪びる様子もなく、あっさりと答えた。
しかも、どんなに屁理屈に聞こえようが、実際にレベッカが許可を出したのは事実であり、授業の責任者は彼女であるのだから、レーガンをこれ以上責めることはできなかった。
悔し気に唇をかみしめるモニカの手を、レベッカが机の下からポンポンと優しく叩く。
「生徒を止めれなかったのは、わたくしの責任です。その件についてはどんな罰でも受けましょう」
言い訳をする様子もないレベッカの態度は見事なものだった。
「では、自分の非を認めるわけだねっ」
言質は取ったと喜ぶアシュトン。
彼の頭の中には、失意の中、学校を去るレベッカの姿が浮かんだ。
「その生徒の件だけどね、とても有力な情報を手に入れることができたんだ」
「……は?」
浮かれ喜ぶアシュトンにガストがニコニコと笑いながら話しかける。
しかし、よく見ると彼の目元は決して笑ってはいなかった。
その情報を事前に聞かされていなかったアシュトンは突然のことに反応が遅れる。
どういうことかとガストに問いかけようとしたところで、会議室の扉が外側から勢いよく開かれた。
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