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第4章 王立魔法学校一年目
232 真夜中の密会②
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「愛し子?」
『あれ?違った?精霊達が精霊王が人の子にとんでもない称号を授けたと噂していたから、てっきり寵愛でも授けたのかと思ったんだけど』
「ち、違います!」
慌てて否定すると、『では、なんの称号を授かったのだ?』と中央の首に聞かれてしまう。
でも、あの称号を口に出すのは少し恥ずかしい。
困ってしまって、思わずモスとポシェットの中にいるマーブルを交互に見る。
そんな私の行動がケルベロスの注意を引いたみたい。
『そこにいるんだろう?』
「にっ」
右の首からそう言われ、マーブルがポシェットからひょっこりと顔を出した。
『ふふっ。随分かわいらしい姿になったものだね』
「にぎっ!」
『ごめん、ごめん。気に入ってるんだね。で、寵愛を授けたんじゃないの?』
「にー、にゃん!」
『そんなありきたりの称号何て授けないだって?ははっ、すごいことを言うね。じゃあ、何を授けたんだい?』
『にゃふんっ!にゃ、にゃん!』
『ぶっ!き、君、すごい称号を考えたねっ』
マーブルとケルベロスのなんとも気安げな会話に、何を言われるのかと戦々恐々としていた私は呆気にとられる。
実はマーブルとケルベロスって仲良しさんなのかな?
そうとしか思えない光景にほっとすると同時に、前もって教えてくれたらと思ってしまう。
あの時は時間がなかったにしても、部屋に戻ってきてからなら話す時間もあったと思うのだ。
そんな気持ちも込めてモスを見上げれば、意外にもモスは硬い表情のままだ。
どうやら、安心するのは少し早かったようだ。
『それで?僕達が真面目に門番を務めていると言うのに、君はここで何をしているの?まさか、自分の使命を忘れた訳じゃないよね?』
右の首は相変わらず軽い言い方なのに、恐ろしく聞こえる。
「にゅぐっ!に、にゃ、にゃごにゃん」
『ふーん。一応忘れてはいないみたいだね。でも、歴代の精霊王は人に称号を授けたことはないはずだけど?』
「んにゃん……。にゃにゃにゃん、にゃごにゃご!」
『孤独で辛いって、君ねぇ。一匹なのは僕も同じだし』
「ににゃっ!にゃんにゃにゃにゃん!」
『兄者達のことを言うなら、君にだってお付きの精霊がいるじゃないか』
「に、にー……」
孤独なのは自分達も同じだと言われ、言葉もないようだ。
そして、右の首の追及はマーブルだけにとどまらなかった。
『そこの土の精霊の君もだよ。見たところ守役の精霊だよね?なのに、精霊王をいさめるどころかなんで人間に加護を与えているのさ』
『そ、それは精霊王様のご意思があまりにも固く……。であるなら我ら守役達で問題が起こらないようサポートをしようと』
『でも、嫌々加護を与えているようには見えなかったけれど?』
『サラ様は素晴らしいお方で』
『精霊である君がなんで人間に敬称をつけてるのさ。さっきなんて精霊王のことよりもこの子のことしか目に入らないって感じだったし……。君が使えるべき相手は精霊王で、人間の女の子じゃないよ』
『それは……』
『君達、少し平和ボケしてるんじゃない?』
「にー……」
『……』
他の首も同じ意見なのか、追従するように深く頷いている。
反論する余地もないとはこのことかと言うような見事な正論に、マーブルもモスもぐうの音も出ないようだ。
モスは沈痛な面持ちでうなだれ、マーブルはポシェットの中に隠れてしまう。
私はオロオロと見ていることしかできなかった。
そんなマーブル達を左の首と右の首がざまぁみろと言うように鼻で笑っている。
そしてついに私の番がやって来た。
『それで、君の言い分はどうなの?』
さっきまでの友好的な態度が嘘のように、右の首は冷めた目を私に向ける。
「言い分、ですか?」
『そう。精霊王や守役の精霊の力を独占していることをどう思っているのかな?』
私の答えによっては容赦しないとケルベロスの目が伝えていた。
『あれ?違った?精霊達が精霊王が人の子にとんでもない称号を授けたと噂していたから、てっきり寵愛でも授けたのかと思ったんだけど』
「ち、違います!」
慌てて否定すると、『では、なんの称号を授かったのだ?』と中央の首に聞かれてしまう。
でも、あの称号を口に出すのは少し恥ずかしい。
困ってしまって、思わずモスとポシェットの中にいるマーブルを交互に見る。
そんな私の行動がケルベロスの注意を引いたみたい。
『そこにいるんだろう?』
「にっ」
右の首からそう言われ、マーブルがポシェットからひょっこりと顔を出した。
『ふふっ。随分かわいらしい姿になったものだね』
「にぎっ!」
『ごめん、ごめん。気に入ってるんだね。で、寵愛を授けたんじゃないの?』
「にー、にゃん!」
『そんなありきたりの称号何て授けないだって?ははっ、すごいことを言うね。じゃあ、何を授けたんだい?』
『にゃふんっ!にゃ、にゃん!』
『ぶっ!き、君、すごい称号を考えたねっ』
マーブルとケルベロスのなんとも気安げな会話に、何を言われるのかと戦々恐々としていた私は呆気にとられる。
実はマーブルとケルベロスって仲良しさんなのかな?
そうとしか思えない光景にほっとすると同時に、前もって教えてくれたらと思ってしまう。
あの時は時間がなかったにしても、部屋に戻ってきてからなら話す時間もあったと思うのだ。
そんな気持ちも込めてモスを見上げれば、意外にもモスは硬い表情のままだ。
どうやら、安心するのは少し早かったようだ。
『それで?僕達が真面目に門番を務めていると言うのに、君はここで何をしているの?まさか、自分の使命を忘れた訳じゃないよね?』
右の首は相変わらず軽い言い方なのに、恐ろしく聞こえる。
「にゅぐっ!に、にゃ、にゃごにゃん」
『ふーん。一応忘れてはいないみたいだね。でも、歴代の精霊王は人に称号を授けたことはないはずだけど?』
「んにゃん……。にゃにゃにゃん、にゃごにゃご!」
『孤独で辛いって、君ねぇ。一匹なのは僕も同じだし』
「ににゃっ!にゃんにゃにゃにゃん!」
『兄者達のことを言うなら、君にだってお付きの精霊がいるじゃないか』
「に、にー……」
孤独なのは自分達も同じだと言われ、言葉もないようだ。
そして、右の首の追及はマーブルだけにとどまらなかった。
『そこの土の精霊の君もだよ。見たところ守役の精霊だよね?なのに、精霊王をいさめるどころかなんで人間に加護を与えているのさ』
『そ、それは精霊王様のご意思があまりにも固く……。であるなら我ら守役達で問題が起こらないようサポートをしようと』
『でも、嫌々加護を与えているようには見えなかったけれど?』
『サラ様は素晴らしいお方で』
『精霊である君がなんで人間に敬称をつけてるのさ。さっきなんて精霊王のことよりもこの子のことしか目に入らないって感じだったし……。君が使えるべき相手は精霊王で、人間の女の子じゃないよ』
『それは……』
『君達、少し平和ボケしてるんじゃない?』
「にー……」
『……』
他の首も同じ意見なのか、追従するように深く頷いている。
反論する余地もないとはこのことかと言うような見事な正論に、マーブルもモスもぐうの音も出ないようだ。
モスは沈痛な面持ちでうなだれ、マーブルはポシェットの中に隠れてしまう。
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そしてついに私の番がやって来た。
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「言い分、ですか?」
『そう。精霊王や守役の精霊の力を独占していることをどう思っているのかな?』
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