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第4章 王立魔法学校一年目
224 言っちゃダメ!
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「ま、間に合った」
本当にギリギリのところだった。
モスが私ならできるって言ってくれたから、自分の周りに結界を張ってみたけれど、壊されなくってよかったー!
ぶっつけ本番で、しかも至近距離からの攻撃は心臓に悪いよ。
うぅっ!まだ、心臓がばくばくいってる!
まだ落ち着かない心臓を手で押さえながら、深呼吸。
こう言うときにこそ、冷静にならないとね。
『『なにっ!!我らの一撃を結界で受け止めたのかっ!』』
ケルベロスは自分の攻撃を受け止められるとは思わなくて、驚いたみたい。
攻撃の手を止め、こちらを驚愕の眼差しで見ていた。
これってチャンス、だよね?
ケルベロスの意識が私に向いているうちに先生達とジャスパー君の周りにも結界をはってと…、これでよし!
あとはケルベロスをどうするかなんだけど…
「あの、ジャスパー君は気絶しちゃったわけだし、このまま帰ってもらえないですか?」
『ふざけるなっ!』
「きゃっ!」
『我らは唯一にして無二の存在なのだ。その我らをさんざん虚仮にした者達をそのままにして帰れと?』
ダメもとで言ってみた言葉は、案の定ケルベロスに一蹴されてしまった。
どうやら、取るに足らない存在だと思っていたレベッカ先生達とフルートに散々邪魔をされ、ついには怪我まで負わされたことに相当ご立腹みたい。
『我を邪魔する奴は、全て皆殺しにしてやるっ!』
ケルベロスは私の結界を壊そうと大きな口を開く。
わわっ!噛みつくのは牙が見えて怖いから、やめてー!
『キャン!』
あっ!結界に弾かれて、牙がしびれたみたい。
左の首から思わずと言うように出た悲鳴は、意外にも可愛らしい。
でも、どうしよう。
すんなり帰ってくれるとは思ってなかったけど、まさか皆殺し宣言までされてしまうとは。
やっぱり、ケルベロスと戦うしかないの?
けれど戦ったことのない私が、先生達のようにケルベロスと戦うことができるのか、不安になる。
『サラ様、私がおります』
すると私の不安を察したのか、姿を隠していたモスが私のそばに来てそう励ましてくれた。
『お前、加護持ちかっ!』
突然のモスの登場に、ケルベロスが驚きの声をあげる。
警戒するように、少し後方に下がるとこちらをまじまじと見つめる。
『精霊が人間に敬称をつけるとはな。ん?そう言えば闇の精霊が…』
「っ!?」
何かを思い出したように、不穏なことを言うケルベロス。
もしかして、マーブルの存在に気がついたのっ!?
『懐かしい気配に、複数の精霊の気配…。もしや、そなた精霊が言っていた…』
「それ以上、言っちゃダメ~っ!」
あとから思えば、あの時の行動は事態を悪化させて当然の行動だったと思う。
でも、この時の私はケルベロスにマーブルのことを言われまいと必死だった。
だから、仕方がなかったのだ。
ケルベロスの頭上に巨大な岩が出現し、ケルベロスの頭めがけて落下する。
『『ギャイィィンッ』』
ケルベロスの悲痛な悲鳴が校庭に響き渡る。
『サラ様、お見事です!』
「ど、どうしよう!」
とんでもないことをしてしまったと、今更ながら青ざめる私をよそにモスはなぜか誇らしげだ。
と、とりあえず、ケルベロスの様子を見ないと!
『くそっ!話の途中で、攻撃してくるとは卑怯なやつめ!兄弟、いつまで気絶しているんだ!さっさと、起きろっ!』
よかった!
とっさの魔法では、ケルベロスに怪我をおわせることはできなかったようだ。
真っ二つに割れた岩から這い出ると、ケルベロスの中央の首が気絶していた左の首を叩き起こす。
『はっ!うぬぅ!ひどい目にあったわっ』
「ご、ごめんなさいっ!攻撃するつもりはなかったんです」
『言い訳甚だしいぞ!あんな巨大な岩を我らに落としよって。ちょっと、ビックリしただろうがっ!』
本当にビックリしたのだろう、左の首は少し涙目だ。
『まずはお前から片付けてやろう!』
ケルベロスはそう叫ぶと、再び私に向かって飛びかかってくるのだった。
---
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
この度、この『私がいつの間にか精霊王の母親に⁉️』が書籍化することになりました。
これも、皆さまの応援があったおかげです。
ありがとうございます!
詳細は近況ボートにてご報告しておりますので、気になる方はぜひそちらを。
これからもよろしくお願い致します。
本当にギリギリのところだった。
モスが私ならできるって言ってくれたから、自分の周りに結界を張ってみたけれど、壊されなくってよかったー!
ぶっつけ本番で、しかも至近距離からの攻撃は心臓に悪いよ。
うぅっ!まだ、心臓がばくばくいってる!
まだ落ち着かない心臓を手で押さえながら、深呼吸。
こう言うときにこそ、冷静にならないとね。
『『なにっ!!我らの一撃を結界で受け止めたのかっ!』』
ケルベロスは自分の攻撃を受け止められるとは思わなくて、驚いたみたい。
攻撃の手を止め、こちらを驚愕の眼差しで見ていた。
これってチャンス、だよね?
ケルベロスの意識が私に向いているうちに先生達とジャスパー君の周りにも結界をはってと…、これでよし!
あとはケルベロスをどうするかなんだけど…
「あの、ジャスパー君は気絶しちゃったわけだし、このまま帰ってもらえないですか?」
『ふざけるなっ!』
「きゃっ!」
『我らは唯一にして無二の存在なのだ。その我らをさんざん虚仮にした者達をそのままにして帰れと?』
ダメもとで言ってみた言葉は、案の定ケルベロスに一蹴されてしまった。
どうやら、取るに足らない存在だと思っていたレベッカ先生達とフルートに散々邪魔をされ、ついには怪我まで負わされたことに相当ご立腹みたい。
『我を邪魔する奴は、全て皆殺しにしてやるっ!』
ケルベロスは私の結界を壊そうと大きな口を開く。
わわっ!噛みつくのは牙が見えて怖いから、やめてー!
『キャン!』
あっ!結界に弾かれて、牙がしびれたみたい。
左の首から思わずと言うように出た悲鳴は、意外にも可愛らしい。
でも、どうしよう。
すんなり帰ってくれるとは思ってなかったけど、まさか皆殺し宣言までされてしまうとは。
やっぱり、ケルベロスと戦うしかないの?
けれど戦ったことのない私が、先生達のようにケルベロスと戦うことができるのか、不安になる。
『サラ様、私がおります』
すると私の不安を察したのか、姿を隠していたモスが私のそばに来てそう励ましてくれた。
『お前、加護持ちかっ!』
突然のモスの登場に、ケルベロスが驚きの声をあげる。
警戒するように、少し後方に下がるとこちらをまじまじと見つめる。
『精霊が人間に敬称をつけるとはな。ん?そう言えば闇の精霊が…』
「っ!?」
何かを思い出したように、不穏なことを言うケルベロス。
もしかして、マーブルの存在に気がついたのっ!?
『懐かしい気配に、複数の精霊の気配…。もしや、そなた精霊が言っていた…』
「それ以上、言っちゃダメ~っ!」
あとから思えば、あの時の行動は事態を悪化させて当然の行動だったと思う。
でも、この時の私はケルベロスにマーブルのことを言われまいと必死だった。
だから、仕方がなかったのだ。
ケルベロスの頭上に巨大な岩が出現し、ケルベロスの頭めがけて落下する。
『『ギャイィィンッ』』
ケルベロスの悲痛な悲鳴が校庭に響き渡る。
『サラ様、お見事です!』
「ど、どうしよう!」
とんでもないことをしてしまったと、今更ながら青ざめる私をよそにモスはなぜか誇らしげだ。
と、とりあえず、ケルベロスの様子を見ないと!
『くそっ!話の途中で、攻撃してくるとは卑怯なやつめ!兄弟、いつまで気絶しているんだ!さっさと、起きろっ!』
よかった!
とっさの魔法では、ケルベロスに怪我をおわせることはできなかったようだ。
真っ二つに割れた岩から這い出ると、ケルベロスの中央の首が気絶していた左の首を叩き起こす。
『はっ!うぬぅ!ひどい目にあったわっ』
「ご、ごめんなさいっ!攻撃するつもりはなかったんです」
『言い訳甚だしいぞ!あんな巨大な岩を我らに落としよって。ちょっと、ビックリしただろうがっ!』
本当にビックリしたのだろう、左の首は少し涙目だ。
『まずはお前から片付けてやろう!』
ケルベロスはそう叫ぶと、再び私に向かって飛びかかってくるのだった。
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