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第4章 王立魔法学校一年目
211 みんなの召喚獣(ゴブリン?編)⑨
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ローズさんの体がぐらりと傾く。
「「「「「「「きゃーっ!!」」」」」」
「大変っ」
ローズさんに向かって伸ばしたレベッカ先生の手が空を切る。
そのまま地面に倒れこむかに見えたローズさんを助けたのは、彼女の召喚獣となったゴブリンだった。
魔法陣から飛び出し、ローズさんの体を優しく受け止めると、そのままお姫様だっこをする。
ローズさんを見つめるゴブリンの目は武骨な顔に似合わず、とても優しいものだった。
ゴブリンって初めて見るけど、あんな表情もするんだ。
「汚い手でローズ様に触れるなっ!」
「いやぁっ!ローズ様が汚れてしまう」
残念ながら、ローズさんの友達には不評なようだけど。
ローズさんが倒れないように助けてくれたのに、さすがに言い過ぎじゃないかな?
でも、そう考えたのは彼女達だけではないようだ。
若干青ざめた顔でキャシーちゃんが言う。
「あの子にはひどい目に遭わされたけど、さすがにこれは同情しちゃうな。召喚獣がゴブリンで、しかもゴブリンにお姫様だっこされるなんてっ!」
女の子の憧れ、お姫様だっこが汚されたとご立腹だ。
アミーちゃんもキャシーちゃんとは別の理由でゴブリンに否定的なようだ。
「あたしもゴブリンはちょっと…。ゴブリンを連れて実家に帰ったら、絶対に親が家に入れてくれないわね」
ゴブリンは不潔というのが定説だ。
体を綺麗にする習慣がない彼らは、基本的に薄汚れていて、彼らの唯一の衣装である腰布も本来の色が何色であったのかわからないぐらいに汚れているそうだ。
アミーちゃん家は宿屋だから、衛生的な面で受け入れがたいみたい。
スラちゃんの時には感じられなかった忌避感が二人からひしひしと伝わってくる。
うーん。確かに、本来はローズさん達やキャシーちゃん達の反応が正しいんだろうけど…
「でもあのゴブリンは、私の村の神父様から教えてもらったゴブリンとはちょっと違う気がするんだ」
「ちょっと違うってどう言うこと?」
みんなは特に違和感を覚えなかったようで、キョトンとした顔をしたあと、アミーちゃんがみんなを代表して私に質問する。
「あのゴブリン、全然汚れてないんだよね。それに、人を見るとすぐに襲ってくるって、聞いてたのに、ローズさんを助けてくれたし」
「だけど、それは契約したからだろ?」
「でも、ローズさんを見る目がすごく優しいの。それに、あんなにひどいこと言われてるのに怒った様子もないし」
ゴブリンはいまだにローズさんの友達に言いたい放題言われていた。
ゴブリンは彼女達の剣幕に怯るむ様子もなく、少し考え込むようにローズさんと彼女達を交互に見つめる。
そして、ローズさんを壊れ物を扱うような手つきでそっと地面に寝かせた。
すぐにレーガン先生がローズさんを抱きかかえ、ゴブリンから距離をとる。
ローズさんと引き離されたゴブリンがレーガン先生を鋭い目付きで睨み付ける。
「マスターカラ離レロ」
ゴブリンがしゃべった!
ゴブリンの頂点、ゴブリンキングは人語を話すことができると聞いていたけれど、まさか普通のゴブリンがしゃべれるとは思わなかった。
今まで沈黙を守っていたレベッカ先生も、これには驚きの声をあげる。
「まあっ!ゴブリンなのに人の言葉が話せるのね。ひょっとしたらユニークモンスターなのかしら?」
ユニークモンスター!
お父さんに聞いたことがある。
確か、突然変異で生まれたモンスターの総称だったはず。
通常個体よりも能力が高いんだよね。
ゴブリンはユニークモンスターの意味がわからず首をかしげてる。
「彼女にも二匹目の召喚獣をと思っていたのだけれど、ユニークモンスターなら必要はなさそうですわね」
レベッカ先生の言葉にゴブリンが胸を張って答える。
「オレ、マスター守ル。ホカ必要ナイ」
ローズさんの預かり知らぬところで、二度目の召喚の取り止めが決定した瞬間だった。
「頼もしいこと。とりあえず、あなたの名前はローズが目を覚ましてからにいたしましょう。レーガン先生、彼女を保健室へ連れて行ってあげてくださいな」
「オレ、一緒スル」
ゴブリンの言葉に、レーガン先生は嫌悪感もあらわにレベッカ先生に質問する。
「コレも一緒にですか?」
「もちろんですわ。ゴブリンは彼女の召喚獣ですもの」
レーガン先生は不本意だと言わんばかりの表情で、ローズさんを抱き抱えたまま、ゴブリンと共に立ち去る。
ゴブリンはローズさんを自分の手で連れて行きたかったみたいだけど、レーガン先生のかたくなな姿に諦め、後ろから小走りでついていった。
その後ろ姿を見つめていると、レベッカ先生が此方に注目とばかりに手を叩く。
「さあ、授業を再開しますわよ」
授業はまだ始まったばかり、果たして次に召喚されるのはどんな召喚獣なのかな?
---
イケメンゴブリン?の爆誕です(笑)
楽しくてついつい一話分をゴブリンのために使ってしまいました。
長すぎたかと反省です。
でも、楽しかった!
「「「「「「「きゃーっ!!」」」」」」
「大変っ」
ローズさんに向かって伸ばしたレベッカ先生の手が空を切る。
そのまま地面に倒れこむかに見えたローズさんを助けたのは、彼女の召喚獣となったゴブリンだった。
魔法陣から飛び出し、ローズさんの体を優しく受け止めると、そのままお姫様だっこをする。
ローズさんを見つめるゴブリンの目は武骨な顔に似合わず、とても優しいものだった。
ゴブリンって初めて見るけど、あんな表情もするんだ。
「汚い手でローズ様に触れるなっ!」
「いやぁっ!ローズ様が汚れてしまう」
残念ながら、ローズさんの友達には不評なようだけど。
ローズさんが倒れないように助けてくれたのに、さすがに言い過ぎじゃないかな?
でも、そう考えたのは彼女達だけではないようだ。
若干青ざめた顔でキャシーちゃんが言う。
「あの子にはひどい目に遭わされたけど、さすがにこれは同情しちゃうな。召喚獣がゴブリンで、しかもゴブリンにお姫様だっこされるなんてっ!」
女の子の憧れ、お姫様だっこが汚されたとご立腹だ。
アミーちゃんもキャシーちゃんとは別の理由でゴブリンに否定的なようだ。
「あたしもゴブリンはちょっと…。ゴブリンを連れて実家に帰ったら、絶対に親が家に入れてくれないわね」
ゴブリンは不潔というのが定説だ。
体を綺麗にする習慣がない彼らは、基本的に薄汚れていて、彼らの唯一の衣装である腰布も本来の色が何色であったのかわからないぐらいに汚れているそうだ。
アミーちゃん家は宿屋だから、衛生的な面で受け入れがたいみたい。
スラちゃんの時には感じられなかった忌避感が二人からひしひしと伝わってくる。
うーん。確かに、本来はローズさん達やキャシーちゃん達の反応が正しいんだろうけど…
「でもあのゴブリンは、私の村の神父様から教えてもらったゴブリンとはちょっと違う気がするんだ」
「ちょっと違うってどう言うこと?」
みんなは特に違和感を覚えなかったようで、キョトンとした顔をしたあと、アミーちゃんがみんなを代表して私に質問する。
「あのゴブリン、全然汚れてないんだよね。それに、人を見るとすぐに襲ってくるって、聞いてたのに、ローズさんを助けてくれたし」
「だけど、それは契約したからだろ?」
「でも、ローズさんを見る目がすごく優しいの。それに、あんなにひどいこと言われてるのに怒った様子もないし」
ゴブリンはいまだにローズさんの友達に言いたい放題言われていた。
ゴブリンは彼女達の剣幕に怯るむ様子もなく、少し考え込むようにローズさんと彼女達を交互に見つめる。
そして、ローズさんを壊れ物を扱うような手つきでそっと地面に寝かせた。
すぐにレーガン先生がローズさんを抱きかかえ、ゴブリンから距離をとる。
ローズさんと引き離されたゴブリンがレーガン先生を鋭い目付きで睨み付ける。
「マスターカラ離レロ」
ゴブリンがしゃべった!
ゴブリンの頂点、ゴブリンキングは人語を話すことができると聞いていたけれど、まさか普通のゴブリンがしゃべれるとは思わなかった。
今まで沈黙を守っていたレベッカ先生も、これには驚きの声をあげる。
「まあっ!ゴブリンなのに人の言葉が話せるのね。ひょっとしたらユニークモンスターなのかしら?」
ユニークモンスター!
お父さんに聞いたことがある。
確か、突然変異で生まれたモンスターの総称だったはず。
通常個体よりも能力が高いんだよね。
ゴブリンはユニークモンスターの意味がわからず首をかしげてる。
「彼女にも二匹目の召喚獣をと思っていたのだけれど、ユニークモンスターなら必要はなさそうですわね」
レベッカ先生の言葉にゴブリンが胸を張って答える。
「オレ、マスター守ル。ホカ必要ナイ」
ローズさんの預かり知らぬところで、二度目の召喚の取り止めが決定した瞬間だった。
「頼もしいこと。とりあえず、あなたの名前はローズが目を覚ましてからにいたしましょう。レーガン先生、彼女を保健室へ連れて行ってあげてくださいな」
「オレ、一緒スル」
ゴブリンの言葉に、レーガン先生は嫌悪感もあらわにレベッカ先生に質問する。
「コレも一緒にですか?」
「もちろんですわ。ゴブリンは彼女の召喚獣ですもの」
レーガン先生は不本意だと言わんばかりの表情で、ローズさんを抱き抱えたまま、ゴブリンと共に立ち去る。
ゴブリンはローズさんを自分の手で連れて行きたかったみたいだけど、レーガン先生のかたくなな姿に諦め、後ろから小走りでついていった。
その後ろ姿を見つめていると、レベッカ先生が此方に注目とばかりに手を叩く。
「さあ、授業を再開しますわよ」
授業はまだ始まったばかり、果たして次に召喚されるのはどんな召喚獣なのかな?
---
イケメンゴブリン?の爆誕です(笑)
楽しくてついつい一話分をゴブリンのために使ってしまいました。
長すぎたかと反省です。
でも、楽しかった!
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