私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第4章 王立魔法学校一年目

208 みんなの召喚獣 (レイラ編)⑥

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「みなさん、時間は有限でしてよ」

騒ぎの中であっても、レベッカ先生の落ち着いた声ははっきりと聞こえた。

──ご自分の召喚獣は必要ないのかしら?

レベッカ先生のそんな心の声が聞こえてくるようだった。

「「「「「ご、ごめんなさいっ!」」」」」

どんな召喚獣が自分のもとに来てくれるのかと、みんなすごく楽しみにしていたのだ。
ここに来て召喚中止は辛すぎると、レベッカ先生に一斉に謝る。
効果はてきめんだった。

「ははっ。ジェームズ様見てください。一般科のやつら、全員で怒られてますよ」
「ふんっ。あれしきのことで騒ぐからだ。だから庶民と一緒の授業は嫌なんだ」

ここぞとばかりにジェームズ君達に嫌みを言われるけど、授業中に騒いでしまったのはこちらなのでなにも言えない。
でも、そんな彼らもレベッカ先生から同じように注意を受けることとなる。

「そこの生徒達も同じてしてよ。授業中は無駄口を叩かない。何度も同じことを言わせないでくださいな」
「「「「なっ!」」」」

まさか注意を受けるとは思っていなかったのだろう。
勝ち誇った顔でこちらを見ていたジェームズ君達の顔は、今や屈辱に染まっていた。
お前らのせいだとばかりにこちらを睨んでくる。

「レベッカ殿、それは厳しすぎるのではないだろうか。彼らは一般科の生徒達のようにばか騒ぎをしていたわけではないのですよ」

それまでずっと黙ったいたレーガン先生がジェームズ君達を庇うように前に進み出る。

「これはわたくしの授業です。その判断はわたくしがいたしますわ。何があろうとも授業中に私語をしたものは注意させていただきます」
「彼らは貴族のご子息達ですよ」
「それが何か?」
「なっ!」

二人の間にバチバチと火花が飛んでいるかのようだった。

ごくりっ

自分の唾を飲み込む音がとても大きく聞こえる。
先生達の緊迫した雰囲気に、私も含めこの場にいる生徒全員はすっかり萎縮してしまっていた。
そんな私達を助けてくれたのはモニカ先生だった。

「二人とも落ち着いてください。生徒達が怯えています」
「…モニカ教諭の言う通りね。もうよろしいかしら?」
「ふんっ」

そう言って二人の間に割り込んでくれたお陰で、ようやく授業が再開することとなった。

「これから一人ずつ魔方陣の前にたってもらい、召喚獣を呼び出してもらいます。基本的にあなた達と相性の良い召喚獣が呼び出されますが、だからといって必ずしも契約できるとは限りません。その場合は別の日に機会をもうけますので、ダメだったからと言って決して召喚獣に暴言や危害を加えようなどと思わないように。その場合の命の保障はできませんよ?」

レベッカ先生から脅しのような説明を受ける。
場合によっては死の危険があると言われ、少し浮かれがちだったみんなの気持ちが引き締まる。

「では、始めましょうか。最初はそうね…、一番前に並んでいるそこのあなたから」
「はいっ!」

一番最初に呼ばれたのは、なんとレイラちゃんだった。

「まずは魔方陣にあなたの魔力を込めてちょうだい」
「はい」

レイラちゃんは少し緊張した様子で魔方陣の前に立つと、両手をかざして魔方陣に魔力を込める。

「わたくしが今から話すことをそのまま繰り返してちょうだい」

レベッカ先生はそう言うと、私の時とは別の呪文を詠唱し始めた。

「我は契約を望むものなり」
「我は契約を望むものなり」

「我の呼ぶ声に応えよ」
「我の呼ぶ声に応えよ」

「我に姿を見せよ」
「我に姿を見せよ」

「我は契約を望むものなり」
「我は契約を望むものなり」

詠唱が終了すると同時に、魔法陣が淡く光る。
すると、魔法陣からぽんっと小さな影が飛び出した!
一体どんな召喚獣が呼ばれたのかな?
ワクワクしながら光が収まるのを待つ。

「え?花?」

レイラちゃんの言葉の通り、魔方陣にはなぜか一輪の蕾が。
あれ、さっき飛び出した影はどこにいったのかな?

「突然呼び出されてビックリしたのね。良く見てみなさい。隠れているだけで彼女も立派な召喚獣よ」

レベッカ先生の言葉を裏付けるように、つぼみが突然プルプルと震え始め、徐々に開き始める。
すると、花の中から小さな女の子が姿を表した。

『わたしはアルラウネ。わたしを呼んだのはだあれ?』
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