私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

文字の大きさ
上 下
169 / 278
第4章 王立魔法学校一年目

203 みんなの召喚獣①

しおりを挟む
今日は遂に召喚獣との契約の日!
召喚学を受ける生徒達は朝からその話で持ちきりだった。
もちろんそれは私達も同じな訳で。

「サラちゃんはマーブルを召喚獣にするのよね?」
「うん!」
「にゃん♪」

お昼休み中も話すことは召喚学のことばかり。
最終的にはどんな召喚獣が良いのかの話になった。

「わたしはマーブルみたいなかわいらしい召喚獣が良いなぁ」

キャシーちゃんがそう楽しそうに言えば、

「俺は大型獣がいいな!その方がかっこいいじゃん!」

背中に乗せてもらえたら最高だとハル君が言う。

「あたしはレベッカ先生みたいに肩に乗るサイズの召喚獣かしら」

アミーちゃんは飛べる召喚獣だと、家族に手紙を送れてるから助かるわねと嬉しそうに話す。

「逆に俺は鳥以外がいいかなー。ほら、兄貴の召喚獣が梟だからさー」

フィン君はせっかくならお兄さんとは違う召喚獣をとの思いがあるようだ。

「まあ、でも選べるわけではないんだけどねー」

フィン君の言葉に、今まで目を輝かしてどんな召喚獣がいいかと話していたみんなががっくりと肩を落とす。
レベッカ先生からは自分の願い通りの召喚獣じゃなかったとしても、召喚獣から断られない限り、契約はそのまま結ぶと宣言されていた。
もちろんどういった召喚獣が良いのか考えるのは大切だ。
私達の望みと相性、魔力量などから魔法陣が自動的に最適な召喚獣を呼び出してくれるらしい。
それに、救済措置もあるわけで…。

「サラはどうするの?」
「え?私!?」

キャシーちゃんに聞かれてビックリする。
まさか自分が聞かれるとは思わなかった。
驚く私の膝の上で丸くなっていたマーブルの耳がピクリと動くのが見えた。

「そう!今回はマーブルと契約を結ぶのはわかってるけど、マーブルは普通の猫な訳でしょう」
「う、うん」

普通の猫などころか、実際は精霊王様だけど。
でも、そんなこと言えるわけがなく、言葉を濁すしかない私。

「後半の授業はほとんど実戦練習が主になるっていってたし、魔力を持たないマーブルじゃ授業についていけないんじゃないかしら?レベッカ先生からもマーブルとは別に召喚獣と契約した方がいいって言われてたでしょう?」
「う、うん」

召喚した召喚獣は多かれ少なかれ魔力を持っている。
だから、最初から魔法を使うことも可能だ。
でも、召喚ではなく魔力を持たない生き物と直接契約した場合、契約主の魔力を糧に召喚獣は魔法を使うことになるんだけど、中々すぐには魔法が使えないことが多いらしい。
だからこそ直接契約する場合でも、魔力を持たない生き物と契約することは滅多にないみたい。
そのため、レベッカ先生にマーブルと契約を結ぶと伝えた際に、新たな召喚獣を召喚した方が良いと提案されていた。
今回の契約で最弱の個体を召喚した生徒にたいしても、救済措置として新たに召喚獣を召喚する機会をもうけるそうで、その際に私も召喚してみないかと言われているのだ。
その話を聞いていたからこそ、キャシーちゃんも私にマーブル以外にも召喚獣と契約した方が良いと助言してくれたんだろう。

「それに、こんなにかわいいマーブルに戦えなんて、かわいそうじゃない!」

普通ならキャシーちゃんの言う通りなんだろうけど、私が心配しないといけないのは別のことなんだよね。
実は精霊様達に存在を隠す必要がなくなったおかげで、マーブルは今や猫の姿のままでも魔法が使えたりする。
猫の姿のままだと使えるのは簡単な魔法のみみたいだけど、召喚獣のファムやゲオルド達のあの怯えた姿を思い出すと、かわいそうなのは誰なんだろうって話になるような…。
そう思うと、新しく召喚獣と契約するのも考えた方が良いのかな?
このままでは、第二第三の被害者が出る可能性があるかもと思うと、キャシーちゃんの提案も一理あるような気がしてきたよ。
マーブルが私の考えを察したのか、僕だけじゃダメなのとうるうるのおめめでこちらを見てくる。
うぅっ。そんな顔されたら、やっぱりやめようかなって思ちゃうよっ。

「マーブルとの契約も終わっていないんだから、まだ考えるのは早いんじゃない?レベッカ先生も例え話として教えてくれただけなんだし、すぐに次の召喚獣をとはならないと思うわよ」

アミーちゃんの一声で、私とマーブルの見つめ合いは早々に終了した。

「でもっ」

キャシーちゃんは納得できなかったようで、反論しようと口を開く。
でも、そんなキャシーちゃんを止めたのはハル君だった。

「キャシーは考えすぎだって。それに、ラム先輩やリチャード先輩の召喚獣をあっさり撃退して見せたマーブルなら、もしかしたら実戦でも即戦力になるかもしれないぞ。なぁ、マーブル」
「にゃん♪」

ハル君がマーブルに話しかけると、マーブルは任せてっと言うように鳴いた。

「待って、待ってー!ラム先輩とリチャード先輩の召喚獣をって、どう言うことだよ!?」

フィン君は私達がここに来た初日の出来事を知らなかったから、すごく混乱していた。
説明をしたら、驚いた様子でマーブルを見つめていた。
そして、あっという間に昼休みは終了したのだった。

---
8/17 誤字を訂正しました。
誤:私とマーブルの《見つめ会い》は早々に終了した。
正:私とマーブルの《見つめ合い》は早々に終了した。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果

あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」 ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。 婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。 当然ながら、アリスはそれを拒否。 他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。 『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。 その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。 彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。 『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。 「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」 濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。 ······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。 復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。 ※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください) ※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。 ※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。 ※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。