私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第3章 王立魔法学校入学編

167 レイラからの質問

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「さあ、寮に戻ろうか」

ニコラス先輩がこちらに微笑みかけると、私たちを促す。
素直に従い歩きだす私たち。

「しかし、君たちはすごいね」
「「「「「「「?」」」」」」」

歩き出してすぐにニコラス先輩に話しかけられ、みんなで首をかしげる。
何がすごいのかな?

「だって、今までの生活で貴族と関わる機会なんてなかっただろう?なのに授業初日から貴族のレディたちに、極めつけは殿下だよ。本来なら緊張でろくに話せないところだろうに、君たちはレディたちに立ち向かい、その後の事情聴取にも落ち着いた様子で話してくれた。親元離れてすぐの君たちがだよ?普通に考えてたらあり得ないことだよ。特にそこのレディたち!」

突然の大絶賛に戸惑う私たちを余所に、ニコラス先輩はキャシーちゃんとアミーちゃんに近づくと二人の頭を撫でる。

「きゃっ」「な、なにっ?」
「よく頑張ったね」

真っ赤になって慌てる二人に構うことなく、そのままなで続けるニコラス先輩を止めたのはフィリップ先輩だった。

「そこまでだ。彼女たちが困ってるだろう」

フィリップ先輩がニコラス先輩の手を掴み、二人から引き離す。

「お前はもう一人で先頭を歩け」
「え?まだ話足りないんだけど」
「早く行け」
「痛っ!わかったよ。まったく、乱暴なんだから」

フィリップ先輩がニコラス先輩を足蹴にして先頭にたたせると、私たちに近づけさせないようニコラス先輩のすぐ後ろを歩き出す。

「今、わたしたち頭を撫でられた?お貴族様に?」
「貴族科の生徒にもあんなフレンドリーな人もいるのね…」
「二人とも大丈夫?」

呆然とした様子の二人が心配になって話しかけていると、前を歩いていたフィリップ先輩がこちらを振りかえる。

「ニコラスがすまなかったな。あれでも君たちの緊張をとこうとした結果の行動なのだろうが。それで驚かせていたら世話がない」
「あ、驚いたのは少しだけですから。ね、キャシー」
「うん」
「あー!フィリップだけレディたちと話して、ずるいぞ」
「うるさい。前を向け」

ニコラス先輩に聞こえないよう、小声でニコラス先輩のフォローを口にするフィリップ先輩を意外な思いで見つめる。
仲が悪いのかと思ってた二人だけど、そんなこともなかったみたい。
それから寮にたどり着くまでの間、少し歩いてはこちらを振りかえって私たちに話しかけようとするニコラス先輩と、その度に無言でニコラス先輩の背中を叩くフィリップ先輩の攻防を眺めながら歩くこととなった。

「遅くまですまなかったな。早く寮の中に入りなさい」
「初日から疲れただろう?みんな今日は早く寝た方が良いよ。明日も授業があるんだからね」
「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」

先輩たちにここまで一緒にいてくれたお礼を言い、学生寮の中にはいる。

「「「「「「「はぁーっ」」」」」」」

思わず、全員で大きなため息をつく。
授業が終わってから目まぐるしい展開ばかりで、ようやく肩の力が抜けた気がした。

「二人とも今日は災難だったね」
「宿屋の娘としてはあれしきの事、簡単にあしらえるんだけど、さすがに貴族科の生徒にはね。みんな、色々とありがとう。ほら、キャシーも」
「わ、わかってるわよ!みんな、ありがとう」
「既に礼は聞いてるから。もう、気にすんな」
「そうだよぉ、気にしないでぇ。それに私はフィン君についていっただけでぇ、何もできなかったからぁ」
「俺も先生を呼びにいくつもりが、なんだか大事にしちゃったからなー。いや、ありがたいことなんだけどねっ!」
「まさか、王太子様が来るとは思わなかったよな」
「本当にビックリしたよね」
「ちょっと聞きたいんだけど」

緊張感から解放され、みんなで玄関の前でわいわい騒いでいると、ずっと黙っていたレイラちゃんに話しかけられる。
レイラちゃんに話しかけられるのは昨日以来だ。
これはもしかして、仲良くなれるチャンスかも!

「何かな?」

ワクワクしながら、レイラちゃんからの質問を待つ。
後から考えるとレイラちゃんが気になるのは当然の事だったのだけど、その時の私は全然思い付きもしなかった。

「何で王太子様とあんなに親しげなの?」


---
2/10 名前の訂正をしました。
誤:《ニコラス先輩》が《フィリップ先輩》の手を掴み、二人から引き離す。 
正:《フィリップ先輩》が《ニコラス先輩》の手を掴み、二人から引き離す。 
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