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第3章 王立魔法学校入学編
165 事情聴取②
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フィリップ先輩はニコラス先輩の薔薇の姫君発言を完全黙殺すると、話を続ける。
「彼女たちが話したこともない内から君を意識していたのはわかった。だが、なぜ彼女たちは話したこともない君をそんなに意識していたのだろう?まさか本当に髪色が気に入らなくて言った訳でもないだろうし…」
フィリップ先輩はローズさんたちがなぜキャシーちゃんたちにひどく当たったのか結局わからず、首をかしげていた。
多分だけど、私には心当たりがある。でも、憶測だし、違っているといけないので話すべきかどうか悩ましいところだ。
「サラ?何か気になることでも?」
そんな私の様子に気づいた王太子様から声をかけられる。
「あ、えっと」
「気になることがあるのなら教えてほしい」
他所様の家庭の事情を話すのは躊躇われるけれど、王太子様に問われて答えないわけにはいかない。
気づくとみんなが私と王太子様の会話に耳をすまして聞き逃さないようにしていた。
「…多分ですけど、キャシーちゃんは兄弟ゲンカに巻きこまれたんだと思います」
「「「「「「兄弟ゲンカ?」」」」」」
王太子様以外の全員が首をかしげる。
エミリちゃんとフィン君とは違い、ローズさんの発言も聞いていたはずのハル君が、首をかしげてるのは何故なのだろう?
「どうしてそう思う?」
「ローズさんのお兄さんのランディ―君と話す機会があって、その時に兄妹仲が良くないって言ってたんです。それに、ランディ―君は薄桃色の瞳なので」
「そう言えば同じ瞳の色なのが不快って言ってたわね。あの時は何の事を言ってるのかわからなかったけど、お兄さんの事を言ってたんだ」
「そんな理由だったなんて」
アミーちゃんはランディ―君に会っていないから、その発言だけでは何のことだかわからなかったのは当然だ。
キャシーちゃんは意外な理由にショックを隠せないようだった。
「なるほど、兄弟ゲンカに巻き込まれたと言うことか」
「兄にも話を聞きますか?」
「いや。取り敢えずは良い。しかし、これが理由なら、やはり彼女たちには全く非がないことになるな」
「そうですね。彼女たちには必要なことは聞き終えましたし、事情聴取は終了しますか?」
「そうだな」
「君たちも他に何か言いたいことはないか?些細なことでも良いので、あれば教えてほしい。なければこれで終わりとするが」
最後にフィリップ先輩が全員に話しかける。
すると、レイラちゃんがフィリップ先輩にではなく、何故かキャシーちゃんに話しかける。
「あなたには話しておくべき事があるんじゃない?」
「っ!」
レイラちゃんの言葉に心当たりがあるのか、キャシーちゃんの顔がみるみるうちに青ざめていく。
もしかして、キャシーちゃんがローズさんの髪を掴んでた事を言ってるのかな?
「何かまだ話してないことが?」
「あ…」
「キャシー、後から彼女たちにあることないこと言われるより、自分の口から言った方が良いわ。大丈夫、あれは正当防衛よ」
フィリップ先輩に話しかけられ、口ごもるキャシーちゃんをアミーちゃんが励ます。
「う、うん…。あの、彼女に髪を掴まれた時、わたしも咄嗟に彼女の髪を掴んでしまいましたっ!」
「君が髪を?」
キャシーちゃんの告白にフィリップ先輩とニコラス先輩は驚いたようで、目を真ん丸にして、しばらくは言葉にならないようだった。
「で、でも、すぐにハル君たちが来てくれたから、掴んでた手はすぐに離しました!でも、彼女は離してくれなくって。…わたしは何か罰を受けるんですか?」
「い、いや、先に手を出したのがあちらなら、罪を問われることはない。しかし、本当に?」
「はい。ごめんなさい」
フィリップ先輩は信じられないのか、キャシーちゃんに再度確認している。
青ざめた顔でプルプル震えているキャシーちゃんの今の姿を見たら、先輩たちが信じられない気持ちもよくわかる。
「キャシーは悪くないんだから謝る必要何てないっ。あいつらが謝るべきだろ」
「ハル君っ」
キャシーちゃんが感動したように瞳を潤ませ、ハル君を見つめている。
「先に手を出したのは彼女たちです。もし必要であれば、あたしが証人になります」
「レイラちゃん…」
「はぁ。わかったわよ。…私も証人になります」
エミリちゃんがレイラちゃんの制服の袖を軽く掴み声をかけると、レイラちゃんもアミーちゃんに次いで証人に立候補してくれた。
「その必要はないよ。彼女を罰することはないと私が保証しよう」
王太子様から問題ないとのお言葉をもらい、ほっとする。
「ありがとうございますっ!」
「お礼なら二人に言うと良い。良い友達を持ったな」
「はいっ!アミー、ありがとう!あと、その、レ、レイラも、ありがとう!」
「良かったわね」
「べ、別にあなたのために言ったわけではないから!それに、友達とも思ってないからね!」
レイラちゃんは怒った顔でそう言うと、そっぽを向く。
けれど、こちらから見える耳は真っ赤で、照れているだけなのはまるわかりだ。
「これで、事情聴取は終わりだ。後の事は私たちに任せてくれ。彼女たちが二度と君たちに迷惑をかけないよう、こちらでよくよく言い聞かせておこう。もし、それでも万が一彼女たちが君たちやあるいは別の生徒に同じようなことを繰り返す場合はすぐに君たちの担任の先生に報告してほしい。先生には私の方から今回の件を話しておくから、すぐに何らかの対処をしてくれるだろう」
「「「「「「はい」」」」」」
フィリップ先輩の言葉に全員で返事をする。
フィリップ先輩はそんな私たちに満足げに頷くと、移動した机や椅子を片付け始める。
私たちもお手伝いするべく動き出そうとしたところで、王太子様に声をかけられる。
「サラ、大叔父上から君への伝言を預かっているんだ」
「神官長様からですか?」
フェ様とは国王様との謁見以来、一度も会っていない。といってもあれかは数日しかたっていないけれど、何かあったのかな?
「ああ。今度の休みに君が良ければ大叔父上が会いたいそうだ。返事も聞いてきてほしいと言われたのだが、予定は空いているだろうか?」
フェ様からの伝言は休日のお誘いだった。
「彼女たちが話したこともない内から君を意識していたのはわかった。だが、なぜ彼女たちは話したこともない君をそんなに意識していたのだろう?まさか本当に髪色が気に入らなくて言った訳でもないだろうし…」
フィリップ先輩はローズさんたちがなぜキャシーちゃんたちにひどく当たったのか結局わからず、首をかしげていた。
多分だけど、私には心当たりがある。でも、憶測だし、違っているといけないので話すべきかどうか悩ましいところだ。
「サラ?何か気になることでも?」
そんな私の様子に気づいた王太子様から声をかけられる。
「あ、えっと」
「気になることがあるのなら教えてほしい」
他所様の家庭の事情を話すのは躊躇われるけれど、王太子様に問われて答えないわけにはいかない。
気づくとみんなが私と王太子様の会話に耳をすまして聞き逃さないようにしていた。
「…多分ですけど、キャシーちゃんは兄弟ゲンカに巻きこまれたんだと思います」
「「「「「「兄弟ゲンカ?」」」」」」
王太子様以外の全員が首をかしげる。
エミリちゃんとフィン君とは違い、ローズさんの発言も聞いていたはずのハル君が、首をかしげてるのは何故なのだろう?
「どうしてそう思う?」
「ローズさんのお兄さんのランディ―君と話す機会があって、その時に兄妹仲が良くないって言ってたんです。それに、ランディ―君は薄桃色の瞳なので」
「そう言えば同じ瞳の色なのが不快って言ってたわね。あの時は何の事を言ってるのかわからなかったけど、お兄さんの事を言ってたんだ」
「そんな理由だったなんて」
アミーちゃんはランディ―君に会っていないから、その発言だけでは何のことだかわからなかったのは当然だ。
キャシーちゃんは意外な理由にショックを隠せないようだった。
「なるほど、兄弟ゲンカに巻き込まれたと言うことか」
「兄にも話を聞きますか?」
「いや。取り敢えずは良い。しかし、これが理由なら、やはり彼女たちには全く非がないことになるな」
「そうですね。彼女たちには必要なことは聞き終えましたし、事情聴取は終了しますか?」
「そうだな」
「君たちも他に何か言いたいことはないか?些細なことでも良いので、あれば教えてほしい。なければこれで終わりとするが」
最後にフィリップ先輩が全員に話しかける。
すると、レイラちゃんがフィリップ先輩にではなく、何故かキャシーちゃんに話しかける。
「あなたには話しておくべき事があるんじゃない?」
「っ!」
レイラちゃんの言葉に心当たりがあるのか、キャシーちゃんの顔がみるみるうちに青ざめていく。
もしかして、キャシーちゃんがローズさんの髪を掴んでた事を言ってるのかな?
「何かまだ話してないことが?」
「あ…」
「キャシー、後から彼女たちにあることないこと言われるより、自分の口から言った方が良いわ。大丈夫、あれは正当防衛よ」
フィリップ先輩に話しかけられ、口ごもるキャシーちゃんをアミーちゃんが励ます。
「う、うん…。あの、彼女に髪を掴まれた時、わたしも咄嗟に彼女の髪を掴んでしまいましたっ!」
「君が髪を?」
キャシーちゃんの告白にフィリップ先輩とニコラス先輩は驚いたようで、目を真ん丸にして、しばらくは言葉にならないようだった。
「で、でも、すぐにハル君たちが来てくれたから、掴んでた手はすぐに離しました!でも、彼女は離してくれなくって。…わたしは何か罰を受けるんですか?」
「い、いや、先に手を出したのがあちらなら、罪を問われることはない。しかし、本当に?」
「はい。ごめんなさい」
フィリップ先輩は信じられないのか、キャシーちゃんに再度確認している。
青ざめた顔でプルプル震えているキャシーちゃんの今の姿を見たら、先輩たちが信じられない気持ちもよくわかる。
「キャシーは悪くないんだから謝る必要何てないっ。あいつらが謝るべきだろ」
「ハル君っ」
キャシーちゃんが感動したように瞳を潤ませ、ハル君を見つめている。
「先に手を出したのは彼女たちです。もし必要であれば、あたしが証人になります」
「レイラちゃん…」
「はぁ。わかったわよ。…私も証人になります」
エミリちゃんがレイラちゃんの制服の袖を軽く掴み声をかけると、レイラちゃんもアミーちゃんに次いで証人に立候補してくれた。
「その必要はないよ。彼女を罰することはないと私が保証しよう」
王太子様から問題ないとのお言葉をもらい、ほっとする。
「ありがとうございますっ!」
「お礼なら二人に言うと良い。良い友達を持ったな」
「はいっ!アミー、ありがとう!あと、その、レ、レイラも、ありがとう!」
「良かったわね」
「べ、別にあなたのために言ったわけではないから!それに、友達とも思ってないからね!」
レイラちゃんは怒った顔でそう言うと、そっぽを向く。
けれど、こちらから見える耳は真っ赤で、照れているだけなのはまるわかりだ。
「これで、事情聴取は終わりだ。後の事は私たちに任せてくれ。彼女たちが二度と君たちに迷惑をかけないよう、こちらでよくよく言い聞かせておこう。もし、それでも万が一彼女たちが君たちやあるいは別の生徒に同じようなことを繰り返す場合はすぐに君たちの担任の先生に報告してほしい。先生には私の方から今回の件を話しておくから、すぐに何らかの対処をしてくれるだろう」
「「「「「「はい」」」」」」
フィリップ先輩の言葉に全員で返事をする。
フィリップ先輩はそんな私たちに満足げに頷くと、移動した机や椅子を片付け始める。
私たちもお手伝いするべく動き出そうとしたところで、王太子様に声をかけられる。
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フェ様とは国王様との謁見以来、一度も会っていない。といってもあれかは数日しかたっていないけれど、何かあったのかな?
「ああ。今度の休みに君が良ければ大叔父上が会いたいそうだ。返事も聞いてきてほしいと言われたのだが、予定は空いているだろうか?」
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