私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第3章 王立魔法学校入学編

161 貴族令嬢の言い分

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アミ-ちゃんを見つける事ができたのが嬉しくって、ローズさんを無視する形になってしまった。
無視してないよアピールをしていた手前、とっても気まずい。隣のハル君もさすがに今はキャシーちゃんじゃなくて、ローズさんたちの方を気まずそうに見ていた。
ローズさんは全身をプルプル震わせて、今にも涙がこぼれ落ちそうな瞳でこちらを睨み付けていた。──キャシーちゃんの髪を掴んだまま。

「いい加減に髪を放してっ!」
「二人は私たちが心配だっただけです。それに、最初に理不尽なことでちょっかいをかけたのは、そちらじゃないですか。こちらが悪者扱いされるのはおかしい、と思います」

はっ!そうだった!
キャシーちゃんとアミーちゃんの言葉に我に返る。思わず謝りそうになってたけど、ローズさんたちだってキャシーちゃんの髪を掴んだり、アミ-ちゃん一人を集団で取り囲んだりと十分に酷い事をしている。
アミ-ちゃんを囲っていた貴族科の生徒たちがローズさんの元に向かったことで、アミ-ちゃんは私たちの元へ戻ってくることができた。
でも、キャシーちゃんはローズさんに髪を掴まれたままだったため身動きがとれず、更には先程のアミ-ちゃんのように集団で取り囲まれてしまったため、容易には手が出せない状況だ。

「わたくしの言うことを素直に聞かないからよっ!こんな髪ッ!」

アミ-ちゃんは刺激しないようにするためか、落ち着いた声でローズさんに話しかけるけど、ローズさんはまなじりをつり上げて、更にキャシーちゃんの髪を力一杯引っ張りあげるのだった。

「きゃあっ!」

ブチブチッ!

キャシーちゃんの髪が抜ける音が聞こえたような気がした。

「キャシーっ!」
「ひどいっ!」

痛みのためか、キャシーちゃんの目にも涙が浮かんでいる。思わず非難するけど、ローズさんの周りの子たちはローズさんの行動をもてはやし、ローズさんはそれを嬉しそうな顔で聞いていた。

「何であなたのために髪の色を変えなきゃいけないのよ!わたしの髪なのに!」
「まあっ!礼儀作法の授業を受けた後とはとても思えない言葉使いだことっ!」
「ローズ様が望まれてるのですから、喜んで叶えるのが当然の事ですわ!」
「平民の分際でローズ様に口答えするなんて、恥を知りなさいっ」

キャシーちゃんの言葉にローズさんの側にいる子達が一斉に反論するけど、その内容はとても理不尽なものだった。

「つまり、あのローズって言う貴族の子がキャシーに髪の色を明日から変えて来いって言ったのがそもそもの発端なの」

状況をあまりわかっていない私とハル君にアミ-ちゃんが教えてくれる。

「授業中も私たちのミスを笑ったり、わざわざ聞こえるように嫌みを言ったり、感じが悪くって。極めつけがそれでしょ?キャシーが断って教室を出ようとしたら髪の毛を掴まれて今に至る訳なんだけど」
「そこのお前っ!ローズ様を呼び捨てにするなど不敬ですわよ!」

ランディ―君やフィン君の話の通り、貴族科の生徒たちは言葉使いにはとても厳しいようで、ローズさんの側にいる金髪の少女が憤慨したようにアミ-ちゃんをなじる。
んー、話を聞いているとキャシーちゃんとアミ-ちゃんに非はないと思うんだけど、この場合どうすればキャシーちゃんの髪色を変えることなく解放してくれるのかな。

「貴女の髪と瞳の色がの瞳を連想させて不快なの!特にその瞳が本当にそっくりで嫌になるわ。その瞳でわたくしを見ないでちょうだい!瞳はどうしようもないから譲歩するとして、髪の色は染め粉で簡単に変えれるのに何を嫌がっているのかしら」
「ローズ様、もしかしたらですけれど、染め粉を買うお金がないのかもしれませんわ」
「まさかっ!そんなことが?」
「きっとそうですわっ。恥ずかしくて言えなかったのかもしれませんわね」
「馬鹿にしないでっ!わたしはこの髪色が気に入ってるの!何であなたのために変えなくちゃいけないのよ」

言いたい放題のローズさんたちに自分の目が据わってくるのがわかった。
仲が悪いとは聞いていたけれど、ランディ―君の瞳の色と似ているのが気に入らないってことなの?もしそうなら、そんな勝手な理由でここまでするなんて酷すぎるよ!

『サラ様、私があれらをこらしめてやりましょうか?』
(ううん、大丈夫っ!気持ちだけもらっておくね。ありがとう)

私の姿に思うところがあったみたいで、モスが協力を申し出てくれる。その気持ちはとても嬉しいのだけど、モスに任せたらもっと大変なことになる予感しか感じられないのは何故だろうか。
でも、モスのお陰で冷静を取り戻すことができた。私たちが何を言ってもきっと聞き入れてはくれないだろうから、ここはランディ―君の名前を出すしかない。ローズさんはもしかしたらもっと激昂するかもしれないけれど、周りの子が止めてくれるのを期待しよう。
──止めてくれるよね?
今までの態度から不安になるけれど、私には他に思い付く手はなく、ハル君の方を見ると同じ気持ちなのか、こくりと頷き返してくれる。
ローズさんたちの方に向かい、一歩踏み出す。

「サラちゃん?」

不思議そうな顔をしているアミ-ちゃんへの説明はハル君に任せて、こちらを睨み付けているローズさんに話しかけようと口を開く。


「あの「これは一体何事だ」」


しかし、私の話は誰かに途中で遮られてしまった。
誰なのか疑問に思って声のした方を見ると、何故かフィン君とエミリちゃんと一緒に王太子様がこちらを見ていた。


  
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