106 / 278
第3章 王立魔法学校入学編
147 入学式①
しおりを挟む
「はぁーっ」
「サラちゃん大丈夫?」
「う、うん」
ついに入学式当日の朝を迎えて、私の緊張はピークに達していた。もしかしたら、謁見の時と同じぐらいの緊張かもしれない。それは何故かと言うと。
「加護持ちの子って、噂では10歳らしいよ。能力鑑定の時にわかったんだって!」
「えっ?私は15歳だって聞いたわよ。成人の義でわかったって」
「お触れで未成年っていってたじゃないか。15歳はないだろう」
「加護も複数授かったらしいぜ」
「凄いな!それに絶世の美少女だって噂だぜ!」
「私は美少年って聞いたわよ?」
この噂の数々が原因だ。
「国からお触れが出てから、みんなの憶測がすごいわね」
キャシーちゃんが呆れたように周りを見ている。
「何せ未成年だからって理由で、名前も性別も年齢も秘密だからな。気になるのは仕方がないんじゃないか?」
ハル君はそう言うけれど、納得がいかない。
「でも、何で美少女や美少年って噂があるのかな。今日の入学式の時のみんなの反応がすごく怖いんだけど…」
私はテーブルに上半身を突っ伏して、そのまま顔を隠す。お行儀が悪いのはわかってるけれど、そのまましばらくじっとしていたら、アミーちゃんが頭を撫でてくれた。
「よしよし。サラちゃんはすっごく可愛いよ。何か言うやつがいたら、あたしがぶっとばしてあげる!」
「わたしだって!と、友達だからね!」
「俺もなっ」
「みんな、ありがとうっ」
三人の優しい言葉に感動していたら、膝の上にいるマーブルが私の腕をたしたしと叩いてくる。どうやら、マーブルも僕もだよと言いたかったようだ。
「ふふっ。マーブルもありがとう」
「にゃふん♪」
『えへへ、だそうです』
(モスも通訳ありがとう)
『はっ』
モスが律儀にマーブルの言葉を私に教えてくれる。謁見の終了後、少し早いけれどマーブルは精霊様たちと世界の調整のため次元の狭間に戻り、モスはリードと交代して私のもとに残った。
モスは精霊様たちの中で、一番生真面目で、無表情な所が少し取っ付きにく感じて、最初はとても緊張したけれど、慣れてくるとちょっとした表情から感情がわかるようになって、今はちょっと怖い精霊様から、頼れる精霊様に見方が変わった。
今は喜んでいる表情だな、とモスの顔を見ていたら、リチャード先輩が食堂の中央で食堂にいる全員に聞こえるように声を張り上げる。
「おーい!一年生たち、そろそろ学生寮から出るぞ!15分後に学生寮の出入り口に集合なっ!」
「「「「「「はいっ!」」」」」」
リチャード先輩の号令で、慌ててみんなが食堂から動き出す。
出入り口に向かうとラム先輩がいた。
「全員揃ったら講堂に向かうから、外で待っててね」
「「「「はいっ」」」」
みんなで外に出るとそこには十数人の四、五年生がいて、私たち一年生の名前を確認したあと二列に整列させていた。
「名前を僕が聞いてない子はこっちに来て」
四年生に言われて、そちらに向かう。
先輩は名前リストのようなものを持っていて、そのリストで誰が来ていないか確認しているようだ。
「名前は?」
「サラです」
「ん?もしかして、出身はクルル村かな」
名前を伝えると、先輩の名前をリストにチェックをつけようとした手が止まる。
「そうですけど…」
「じゃあ、君は先頭に並んでくれるかな?」
突然の先輩からの指示に驚くけれど、どうやらリストに書き加えられた指示だったようで、先輩もどうしてかはわからないみたい。
もしかして、入学式の際に私のことを伝えると言ってた事と関係あるのかな?
私一人だけではなく、みんなで並んでも問題ないと言われたので、私とアミーちゃん、キャシーちゃんとハル君の順に並ぶ。
アミーちゃんたちと別れて並ぶことにならずにほっとしていると、どうやら一年生全員が揃ったみたいで、先輩たちを先頭に講堂に向かうことになった。
---
2/13 一部文書を変更しました。
誤:「名前を聞いてない子はこっちに来て」
正:「名前を《僕が》聞いてない子はこっちに来て」
12/30
誤:全員揃ったら《行動》に向かうから、外で待っててね
正:全員揃ったら《講堂》に向かうから、外で待っててね
「サラちゃん大丈夫?」
「う、うん」
ついに入学式当日の朝を迎えて、私の緊張はピークに達していた。もしかしたら、謁見の時と同じぐらいの緊張かもしれない。それは何故かと言うと。
「加護持ちの子って、噂では10歳らしいよ。能力鑑定の時にわかったんだって!」
「えっ?私は15歳だって聞いたわよ。成人の義でわかったって」
「お触れで未成年っていってたじゃないか。15歳はないだろう」
「加護も複数授かったらしいぜ」
「凄いな!それに絶世の美少女だって噂だぜ!」
「私は美少年って聞いたわよ?」
この噂の数々が原因だ。
「国からお触れが出てから、みんなの憶測がすごいわね」
キャシーちゃんが呆れたように周りを見ている。
「何せ未成年だからって理由で、名前も性別も年齢も秘密だからな。気になるのは仕方がないんじゃないか?」
ハル君はそう言うけれど、納得がいかない。
「でも、何で美少女や美少年って噂があるのかな。今日の入学式の時のみんなの反応がすごく怖いんだけど…」
私はテーブルに上半身を突っ伏して、そのまま顔を隠す。お行儀が悪いのはわかってるけれど、そのまましばらくじっとしていたら、アミーちゃんが頭を撫でてくれた。
「よしよし。サラちゃんはすっごく可愛いよ。何か言うやつがいたら、あたしがぶっとばしてあげる!」
「わたしだって!と、友達だからね!」
「俺もなっ」
「みんな、ありがとうっ」
三人の優しい言葉に感動していたら、膝の上にいるマーブルが私の腕をたしたしと叩いてくる。どうやら、マーブルも僕もだよと言いたかったようだ。
「ふふっ。マーブルもありがとう」
「にゃふん♪」
『えへへ、だそうです』
(モスも通訳ありがとう)
『はっ』
モスが律儀にマーブルの言葉を私に教えてくれる。謁見の終了後、少し早いけれどマーブルは精霊様たちと世界の調整のため次元の狭間に戻り、モスはリードと交代して私のもとに残った。
モスは精霊様たちの中で、一番生真面目で、無表情な所が少し取っ付きにく感じて、最初はとても緊張したけれど、慣れてくるとちょっとした表情から感情がわかるようになって、今はちょっと怖い精霊様から、頼れる精霊様に見方が変わった。
今は喜んでいる表情だな、とモスの顔を見ていたら、リチャード先輩が食堂の中央で食堂にいる全員に聞こえるように声を張り上げる。
「おーい!一年生たち、そろそろ学生寮から出るぞ!15分後に学生寮の出入り口に集合なっ!」
「「「「「「はいっ!」」」」」」
リチャード先輩の号令で、慌ててみんなが食堂から動き出す。
出入り口に向かうとラム先輩がいた。
「全員揃ったら講堂に向かうから、外で待っててね」
「「「「はいっ」」」」
みんなで外に出るとそこには十数人の四、五年生がいて、私たち一年生の名前を確認したあと二列に整列させていた。
「名前を僕が聞いてない子はこっちに来て」
四年生に言われて、そちらに向かう。
先輩は名前リストのようなものを持っていて、そのリストで誰が来ていないか確認しているようだ。
「名前は?」
「サラです」
「ん?もしかして、出身はクルル村かな」
名前を伝えると、先輩の名前をリストにチェックをつけようとした手が止まる。
「そうですけど…」
「じゃあ、君は先頭に並んでくれるかな?」
突然の先輩からの指示に驚くけれど、どうやらリストに書き加えられた指示だったようで、先輩もどうしてかはわからないみたい。
もしかして、入学式の際に私のことを伝えると言ってた事と関係あるのかな?
私一人だけではなく、みんなで並んでも問題ないと言われたので、私とアミーちゃん、キャシーちゃんとハル君の順に並ぶ。
アミーちゃんたちと別れて並ぶことにならずにほっとしていると、どうやら一年生全員が揃ったみたいで、先輩たちを先頭に講堂に向かうことになった。
---
2/13 一部文書を変更しました。
誤:「名前を聞いてない子はこっちに来て」
正:「名前を《僕が》聞いてない子はこっちに来て」
12/30
誤:全員揃ったら《行動》に向かうから、外で待っててね
正:全員揃ったら《講堂》に向かうから、外で待っててね
1
お気に入りに追加
4,597
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。