98 / 278
第2章 王都へ
143 謝罪
しおりを挟む
「精霊様たちが申し訳ありません!」
国王様ご家族にひたすら謝罪を繰り返す。ううっ、申し訳なくって、国王様たちを見ることができないよっ。
フェアリス王女様とフェアレイ王子様の話を聞いて、あの時勇気を出して止めれば良かったと後悔する。
しかし、国王様たちが気になっているのは全く別のことのようだ。
「サラはラブュ様のことをどこまで知っているのだろうか?」
「え?」
どこまでって、何を聞きたいのかな?
国王様の質問の意味がわからず首をかしげているとフェ様が私の代わりに答えてくれる。
「なんでも、彼女の精霊様たちとラブュ様はお知り合いらしい。なので、王家には代々同じ精霊様が寵愛を授けてくれていることもご存じだ」
「そうだったのですか」
二人の会話を聞いて思い出す。そう言えば精霊様の存在を知っている人はごく少数なんだっけ。
「私には精霊様の姿を見ることができないので、なんとも言えないが友好を深めていただけではないのか?」
更にフェ様がフォローしてくれるけれど、国王様たちが見た精霊様の様子は友好とはとても言えない状態だったようで、なんとも言えない顔をしている。
「 そもそも、ラブュ様は朝から少し様子がおかしかったのです。なんだか嫌な予感がするから謁見についていくのをやめると言ったかと思ったら、謁見の時間を早めろと言ったり」
「私たちもあんなラブュ様を見るのは初めてで、驚きました」
精霊様の様子がおかしかったのは確実に精霊様たちが原因だろう。
気づいてたのに何故会いに来なかったのかって聞いてたもんね。
それにしても精霊様たちはどこに行っちゃったのかしら?
「私、精霊様たちをちょっと呼んでみます」
「せーれ様たち、いないのー?」
「は、はい。あの、精霊様を追いかけていってしまって…」
私の言葉に国王様たちが微妙なお顔をされている。重ね重ね、ごめんなさいっ!
なんとも気まずい空気が流れる中、精霊様たちを呼び出す。
「アクア!モス!ティナ!リード!」
『『『『はい』』』』
今回はいつもより少し時間がたってから精霊様たちは跪いた状態で現れる。
…跪くのが決まり事なのかしら?
『サラ様、何かございましたか?』
『先程いた場所とは違うのね。もう用事は終わったの?』
「あの、さっき精霊様を追いかけていったみたいだけど…、いじめてた訳じゃないよね?」
まず、精霊様に一番気になっていたことを聞く。すると、私の質問はアクアには意外だったようで、瞳を真ん丸にして驚いている。
『まあ!サラ様違いますわ!わたくしたちはラブュと楽しくお話ししてただけです。ラブュ、そうよね?』
アクアが見つめている視線の先を追うけど、当然のことながら私には精霊様のお姿を見ることができない。
なので、国王様たちにアクアの言葉を伝えると、精霊様のいるであろう場所を見つめた後、「…ラブュ様もそれで間違いないと仰っている」と教えてくれた。
「えー?でも、ラブュ様泣いているのに「フェアリス!お母様とフェアレイと一緒に庭園にお散歩にいきましょう」サラも一緒?」
「サラはまだお父様と話がおありだから、姉様が一緒に行ってあげる」
「姉様!?じゃあ、いく~!サラ、またね」
「ばいばい」
「アマリー、すまないな」
「いえ、わたくしには精霊様のお話はわかりませんから。サラ、話の途中でフェアリスがごめんなさいね。あの子の言ったことは気にしないで下さいな」
「は、はい」
「サラ、またお会いしましょうね」
フェアリス王女様の言葉を王妃様が遮ると、フェアレイ王子様も連れて、ラミエル様と一緒に部屋を出ていく。
扉がしまるところまで見送った後、精霊様たちを見ると、精霊様は一斉に目線をそらす。その表情は何とも気まずげで、一応やましいことをした自覚はあったらしい。でも、嘘はいけないと思うんだ。
「みんな、私の言いたいことはわかるかな?」
『『『『申し訳ありませんでしたっ!』』』』
素直でよろしい。
国王様ご家族にひたすら謝罪を繰り返す。ううっ、申し訳なくって、国王様たちを見ることができないよっ。
フェアリス王女様とフェアレイ王子様の話を聞いて、あの時勇気を出して止めれば良かったと後悔する。
しかし、国王様たちが気になっているのは全く別のことのようだ。
「サラはラブュ様のことをどこまで知っているのだろうか?」
「え?」
どこまでって、何を聞きたいのかな?
国王様の質問の意味がわからず首をかしげているとフェ様が私の代わりに答えてくれる。
「なんでも、彼女の精霊様たちとラブュ様はお知り合いらしい。なので、王家には代々同じ精霊様が寵愛を授けてくれていることもご存じだ」
「そうだったのですか」
二人の会話を聞いて思い出す。そう言えば精霊様の存在を知っている人はごく少数なんだっけ。
「私には精霊様の姿を見ることができないので、なんとも言えないが友好を深めていただけではないのか?」
更にフェ様がフォローしてくれるけれど、国王様たちが見た精霊様の様子は友好とはとても言えない状態だったようで、なんとも言えない顔をしている。
「 そもそも、ラブュ様は朝から少し様子がおかしかったのです。なんだか嫌な予感がするから謁見についていくのをやめると言ったかと思ったら、謁見の時間を早めろと言ったり」
「私たちもあんなラブュ様を見るのは初めてで、驚きました」
精霊様の様子がおかしかったのは確実に精霊様たちが原因だろう。
気づいてたのに何故会いに来なかったのかって聞いてたもんね。
それにしても精霊様たちはどこに行っちゃったのかしら?
「私、精霊様たちをちょっと呼んでみます」
「せーれ様たち、いないのー?」
「は、はい。あの、精霊様を追いかけていってしまって…」
私の言葉に国王様たちが微妙なお顔をされている。重ね重ね、ごめんなさいっ!
なんとも気まずい空気が流れる中、精霊様たちを呼び出す。
「アクア!モス!ティナ!リード!」
『『『『はい』』』』
今回はいつもより少し時間がたってから精霊様たちは跪いた状態で現れる。
…跪くのが決まり事なのかしら?
『サラ様、何かございましたか?』
『先程いた場所とは違うのね。もう用事は終わったの?』
「あの、さっき精霊様を追いかけていったみたいだけど…、いじめてた訳じゃないよね?」
まず、精霊様に一番気になっていたことを聞く。すると、私の質問はアクアには意外だったようで、瞳を真ん丸にして驚いている。
『まあ!サラ様違いますわ!わたくしたちはラブュと楽しくお話ししてただけです。ラブュ、そうよね?』
アクアが見つめている視線の先を追うけど、当然のことながら私には精霊様のお姿を見ることができない。
なので、国王様たちにアクアの言葉を伝えると、精霊様のいるであろう場所を見つめた後、「…ラブュ様もそれで間違いないと仰っている」と教えてくれた。
「えー?でも、ラブュ様泣いているのに「フェアリス!お母様とフェアレイと一緒に庭園にお散歩にいきましょう」サラも一緒?」
「サラはまだお父様と話がおありだから、姉様が一緒に行ってあげる」
「姉様!?じゃあ、いく~!サラ、またね」
「ばいばい」
「アマリー、すまないな」
「いえ、わたくしには精霊様のお話はわかりませんから。サラ、話の途中でフェアリスがごめんなさいね。あの子の言ったことは気にしないで下さいな」
「は、はい」
「サラ、またお会いしましょうね」
フェアリス王女様の言葉を王妃様が遮ると、フェアレイ王子様も連れて、ラミエル様と一緒に部屋を出ていく。
扉がしまるところまで見送った後、精霊様たちを見ると、精霊様は一斉に目線をそらす。その表情は何とも気まずげで、一応やましいことをした自覚はあったらしい。でも、嘘はいけないと思うんだ。
「みんな、私の言いたいことはわかるかな?」
『『『『申し訳ありませんでしたっ!』』』』
素直でよろしい。
13
お気に入りに追加
4,597
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。