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第2章 王都へ
140 謁見③
しおりを挟む今日は少し短めです。
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「ゴホンッ!」
王座の近くで立っていた男性の咳で国王様は我に返ると、何事もなかったかのようにフェ様に話しかける。
「叔父上殿が後見人になったと伺ったが」
「はい。私が能力鑑定に立ち会ったものですから、これも何かの縁と思いまして」
「そうか」
何事なかったかのように話し出す二人、さすがです。
「彼女は四属性の精霊様の加護を授かっただけではなく、能力も非常に優れております」
「事前に見せてもらったが、確かに素晴らしい能力だな」
「この国に新たな加護持ちが誕生するとは喜ばしいことですわね」
「うむ。王妃の言う通りだ」
王妃様は王族の中で唯一の金髪碧眼のたおやかな美女で、王子様や王女様たちは国王様に似たのか全員が青銀の髪に青銀の瞳だった。
国王様と王妃様の和やかな雰囲気にほっとする。
これで後は国王様と二言三言話したら退出の挨拶をして、謁見の間を出れば良いんだよね。
精霊様たちもどこかに行ってしまったいま、これ以上の騒動は起こるまいと思っていた私を嘲笑うかのように、新たな火種が謁見の間にいた貴族から投下された。
「恐れながら、偉大なる国王陛下に申し上げたき義がございます」
ある一人の貴族が進み出て、国王様に直訴する。
「ダフィル伯爵、謁見の最中ですよ!口を慎みなさいっ!」
「この少女も関わる話でございますれば」
予定にはなかった事だったようで、国王様のそばにいる男性が叱責するも、その伯爵様はどこ吹く風と聞き流し、国王様をまっすぐに見つめている。
不思議なのは他の貴族たちからは特にその伯爵様をとがめるような発言がでなかったことだ。謁見の間は静まり返り、この場にいる全員が国王様がどう返すのかを息を潜めて見守っていた。
ちなみに、自分に関係あると言われた私は予想もしなかった事態に、すでに虫の息でフェ様にほぼ支えられるようにして立っている状態だった。
精霊様たち、お願いだから早く帰ってきて~!
「…許す。申してみよ」
国王様は少し考えた後、伯爵様に発言の許可を与える。
「ありがとうございます」
伯爵様は国王様に一礼すると、こちらに目を向ける。
伯爵様は錆色の髪に緑色の瞳の少しふくよかな体格の持ち主だった。
緑色の瞳が意地悪げにフェ様を見つめている。
その瞳を見て、フェ様にも関係があることなのだとわかった。
伯爵様は直ぐには発言せず、謁見の間にいる全員の注目が自分に向かっているのを確認した後、ようやく話し始める。
しかし、その内容は驚くべきものだった。
「私は彼女の後見人にフェビラル殿は相応しくないと考えます」
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2/2 一部文章を訂正しました。
何ヵ所か伯爵を男爵と誤って記載していたので、訂正しました。
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