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第2章 王都へ
125 お説教の時間です
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「あー。二人が言っていたことは本当だったようね」
「そうだな」
リチャード先輩とラム先輩は二匹の姿を見て、私たちの言ったことが真実だと信じてくれた。
「本当に申し訳ありませんでした。ほら、マーブルもっ」
マーブルを床に下ろし、二人に謝るように促す。
「にゃん」
「ファムたちにももう一度謝るんだよっ」
「にー」
「声が小さいっ!もう一度っ!」
「に、にゃんっ」
「サ、サラさん?ファムも悪かったのだから、もういいのよ」
「でも…」
「ファムも良いわよね?」
「がうっ」
「ゲオルドも良いな」
「ぐるっ」
ラム先輩たちが優しい人で本当に良かった。ファムたちも先程とは違って、怖がる様子もなくほっとする。
「疑ってしまってごめんなさいね」
「いえ!普通はすぐに信じられないと思います。そ、それに、ファムも突然のことで驚いただけだと思います」
「そうね。ファムもこれで自分より小さいからって侮ると痛い目にあうって思い知ったでしょうから、良い経験になったわね」
「くーん…」
ラム先輩の言葉にファムはしょんぼりしてる。
そればっかりではないと知っている身としては、申し訳ない。
「お風呂の時間もあるし、そろそろ戻りましょうか」
「そうだな」
ラム先輩たちはそう言うと、二匹の体がみるみるうちに小さくなって、大型犬サイズになる。
「わんっ!」
「ピュイっ」
「「「わぁーっ」」」
「ち、小さくなっちゃった」
「ふふ。大型の使い魔は小型化できるのよ。便利でしょ?」
「召喚して契約した時につく特権みたいなもんだな」
まさか二匹が小さくなるとは思わず、びっくりする。
小型化したファムはモフモフしてて、とても触り心地が良さそうだった。
「にー…」
ファムを凝視していると、マーブルが小さな声で私を呼び掛ける。
マーブルを見ると、とても寂しそうな顔でこちらを見ていた。
「マーブル、おいで」
膝をつき、マーブルを呼ぶと恐る恐る近づいてくる。
マーブルを抱き上げ、額をくっつけあう。
「ちゃんと謝れて偉かったね」
「にー…」
「もう怒ってないよ。さあ、私たちも部屋に戻ろう?」
「にゃんっ」
マーブルはほっとしたように私に額を擦り付ける。
私の態度もマーブルが嫉妬しちゃう理由なんだろうなと、反省する。
話し合いでマーブルが一番だってことをわかってもらおう。
「サラちゃん、帰ろう」
「うんっ」
アミーちゃんの声に振り向くと、みんなはすでに部屋の外にいた。
マーブルにはポシェットに入ってもらい、アミーちゃんたちを追いかける。
「マーブルって強いんだね」
「にゃー」
アミーちゃんがポシェットにいるマーブルに話しかける。
「先輩方が許してくれて、本当に良かったよ」
「ふふ、そうね。マーブルもあんまり無茶しちゃダメよ」
「にゃんっ」
食堂を出て途中でハル君たちとお別れする。ハル君はヒューイ先輩たちや
リチャード先輩とすっかり打ち解けて楽しそうだ。
「寮の規則を読んだかもしれないけど、一、二年生は就寝時間が22時なの。だから、早めにお風呂に入っておいた方が良いわよ」
「「「はいっ!」」」
ラム先輩たちとは二階で別れ、タオルなどを取りに一旦部屋に戻る。
「必要なものをとったら階段のところで集合ね」
「うん」「了解っ」
部屋の中にはいるとタオルや肌着などを用意する。
落とすと嫌なので、お守り袋は机の引き出しにしまうことにした。
「今からお風呂にいってくるから、リードとマーブルはここで待っていて」
『了解。何かあったら、すぐに呼べよ』
「うん!マーブルも部屋に戻ったらブラッシングしてあげるね」
「にゃんっ」
急いで部屋を出ると、二人はすでに階段のところで待っていた。
「遅れてごめんねっ」
「ううん。あたしたちも今来たところよ」
「じゃあ、行きましょ!」
みんなで一緒にお風呂に入るのは初めてなので、何だかワクワクする。
大浴場は食堂並みに広く、誰も入っていなかったので、貸し切り状態で使えた。
「学校が始まったら、もっと人も増えるだろうから、今だけの特権ね」
「こんなに広いお風呂を三人で使えるなんて、贅沢だね」
「アルム村ではお風呂なんて入ったことなかったのに、村を出てから毎日お風呂に入ってるなんて、不思議な感じ」
「私のところもなかったよ!」
「じゃあ、二人とも普段はどうしてたの?」
「大きなたらいにお湯をためて入ったり、蒸しタオルで体を拭いたりしてたわ」
「今だったら、川で体を洗ったりもするよね」
「そうそう」
キャシーちゃんと二人で村あるあるをアミーちゃんに披露しつつ、浴槽に浸かる。
体がほかほかになったところで、大浴場をあとにする。
「もう時間も遅いから部屋に戻るとして、明日は朝食を食べたあと、学校が始まるまでの間に何をするかを話し合いましょ」
「わたしは王都観光をしたいなっ!」
「私は多分明日には予定がわかると思うから、空いてる日はみんなとお出掛けしたいな」
「じゃあ、明日はどこに行きたいか決めて、サラちゃんの予定で出掛ける日を決めましょうか」
「そうね。せっかくなら四人で遊びにいった方が楽しいし」
「ありがとうっ!」
「ちゃんと謁見の時の様子を教えてよ!」
「うんっ!」
みんなと別れて部屋に戻ると、ベットの上にいたマーブルが嬉しそうに駆け寄ってくる。
「マーブル、リード。ただいまっ」
「にゃんっ♪」
『お帰りー』
夜着に着替えて、マーブルを抱えるとベットの上にあがる。
これで、マーブルも早々には逃げれまい。
「では、マーブル。お説教のお時間です」
「にゃっ!?」
この時のマーブルは今まで見たことのない表情を浮かべていた。
それを見た私は猫ってこんなに表情を変えれるんだと、妙なところで感心してしまった。
「そうだな」
リチャード先輩とラム先輩は二匹の姿を見て、私たちの言ったことが真実だと信じてくれた。
「本当に申し訳ありませんでした。ほら、マーブルもっ」
マーブルを床に下ろし、二人に謝るように促す。
「にゃん」
「ファムたちにももう一度謝るんだよっ」
「にー」
「声が小さいっ!もう一度っ!」
「に、にゃんっ」
「サ、サラさん?ファムも悪かったのだから、もういいのよ」
「でも…」
「ファムも良いわよね?」
「がうっ」
「ゲオルドも良いな」
「ぐるっ」
ラム先輩たちが優しい人で本当に良かった。ファムたちも先程とは違って、怖がる様子もなくほっとする。
「疑ってしまってごめんなさいね」
「いえ!普通はすぐに信じられないと思います。そ、それに、ファムも突然のことで驚いただけだと思います」
「そうね。ファムもこれで自分より小さいからって侮ると痛い目にあうって思い知ったでしょうから、良い経験になったわね」
「くーん…」
ラム先輩の言葉にファムはしょんぼりしてる。
そればっかりではないと知っている身としては、申し訳ない。
「お風呂の時間もあるし、そろそろ戻りましょうか」
「そうだな」
ラム先輩たちはそう言うと、二匹の体がみるみるうちに小さくなって、大型犬サイズになる。
「わんっ!」
「ピュイっ」
「「「わぁーっ」」」
「ち、小さくなっちゃった」
「ふふ。大型の使い魔は小型化できるのよ。便利でしょ?」
「召喚して契約した時につく特権みたいなもんだな」
まさか二匹が小さくなるとは思わず、びっくりする。
小型化したファムはモフモフしてて、とても触り心地が良さそうだった。
「にー…」
ファムを凝視していると、マーブルが小さな声で私を呼び掛ける。
マーブルを見ると、とても寂しそうな顔でこちらを見ていた。
「マーブル、おいで」
膝をつき、マーブルを呼ぶと恐る恐る近づいてくる。
マーブルを抱き上げ、額をくっつけあう。
「ちゃんと謝れて偉かったね」
「にー…」
「もう怒ってないよ。さあ、私たちも部屋に戻ろう?」
「にゃんっ」
マーブルはほっとしたように私に額を擦り付ける。
私の態度もマーブルが嫉妬しちゃう理由なんだろうなと、反省する。
話し合いでマーブルが一番だってことをわかってもらおう。
「サラちゃん、帰ろう」
「うんっ」
アミーちゃんの声に振り向くと、みんなはすでに部屋の外にいた。
マーブルにはポシェットに入ってもらい、アミーちゃんたちを追いかける。
「マーブルって強いんだね」
「にゃー」
アミーちゃんがポシェットにいるマーブルに話しかける。
「先輩方が許してくれて、本当に良かったよ」
「ふふ、そうね。マーブルもあんまり無茶しちゃダメよ」
「にゃんっ」
食堂を出て途中でハル君たちとお別れする。ハル君はヒューイ先輩たちや
リチャード先輩とすっかり打ち解けて楽しそうだ。
「寮の規則を読んだかもしれないけど、一、二年生は就寝時間が22時なの。だから、早めにお風呂に入っておいた方が良いわよ」
「「「はいっ!」」」
ラム先輩たちとは二階で別れ、タオルなどを取りに一旦部屋に戻る。
「必要なものをとったら階段のところで集合ね」
「うん」「了解っ」
部屋の中にはいるとタオルや肌着などを用意する。
落とすと嫌なので、お守り袋は机の引き出しにしまうことにした。
「今からお風呂にいってくるから、リードとマーブルはここで待っていて」
『了解。何かあったら、すぐに呼べよ』
「うん!マーブルも部屋に戻ったらブラッシングしてあげるね」
「にゃんっ」
急いで部屋を出ると、二人はすでに階段のところで待っていた。
「遅れてごめんねっ」
「ううん。あたしたちも今来たところよ」
「じゃあ、行きましょ!」
みんなで一緒にお風呂に入るのは初めてなので、何だかワクワクする。
大浴場は食堂並みに広く、誰も入っていなかったので、貸し切り状態で使えた。
「学校が始まったら、もっと人も増えるだろうから、今だけの特権ね」
「こんなに広いお風呂を三人で使えるなんて、贅沢だね」
「アルム村ではお風呂なんて入ったことなかったのに、村を出てから毎日お風呂に入ってるなんて、不思議な感じ」
「私のところもなかったよ!」
「じゃあ、二人とも普段はどうしてたの?」
「大きなたらいにお湯をためて入ったり、蒸しタオルで体を拭いたりしてたわ」
「今だったら、川で体を洗ったりもするよね」
「そうそう」
キャシーちゃんと二人で村あるあるをアミーちゃんに披露しつつ、浴槽に浸かる。
体がほかほかになったところで、大浴場をあとにする。
「もう時間も遅いから部屋に戻るとして、明日は朝食を食べたあと、学校が始まるまでの間に何をするかを話し合いましょ」
「わたしは王都観光をしたいなっ!」
「私は多分明日には予定がわかると思うから、空いてる日はみんなとお出掛けしたいな」
「じゃあ、明日はどこに行きたいか決めて、サラちゃんの予定で出掛ける日を決めましょうか」
「そうね。せっかくなら四人で遊びにいった方が楽しいし」
「ありがとうっ!」
「ちゃんと謁見の時の様子を教えてよ!」
「うんっ!」
みんなと別れて部屋に戻ると、ベットの上にいたマーブルが嬉しそうに駆け寄ってくる。
「マーブル、リード。ただいまっ」
「にゃんっ♪」
『お帰りー』
夜着に着替えて、マーブルを抱えるとベットの上にあがる。
これで、マーブルも早々には逃げれまい。
「では、マーブル。お説教のお時間です」
「にゃっ!?」
この時のマーブルは今まで見たことのない表情を浮かべていた。
それを見た私は猫ってこんなに表情を変えれるんだと、妙なところで感心してしまった。
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