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第2章 王都へ
111 賞金
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停留所に着くと、いつものようにロンさんとフェリシアが待っていた。
すぐに竜籠に上ろうとしたけど、そんな私たちを呼ぶ声が聞こえる。
誰かと思ったら、ハンクさんだった。
「ハンクさん⁉️こんなところにどうしたんですか?」
「アランさん!すれ違わないように、こちらに来て良かった」
ハンクさんはほっとしたように言うと、なにやら布袋をだし、アランさんに渡す。
「これは?」
「盗賊団の賞金です。私共は今朝この町に戻ることができまして。すぐに冒険者ギルドへ盗賊団を引き渡しに言ったんです。賞金を受け取ったあとはクラウジア様から賞金は全てアランさんたちに渡すように言われていたので、ここで待っていたんです」
「俺たちは今回の賞金については最初からもらうつもりはなかったんですが」
アランさんは布袋をそのままハンクさんに返そうとして、断られる。
「ギルドで聞いたかもしれませんが、あの盗賊団はこの辺りで有名な盗賊団で間違いありませんでした。拠点を持たない盗賊団で、なかなか捕まえることができず、賞金額も相当なものでした。これを私たちが受けとるわけにはいけません」
「しかし」
「私共は盗賊をここまで連れてきただけです。このまま賞金を持って帰ったら、クラウジア様に怒られてしまいます」
「ありがたく受け取っておきなさい」
「神官長様っ」
「このままクラウジア殿の元に帰るのだろう?先程、別れの挨拶は済ませているが、よろしくお伝えしてくれ」
「はいっ!皆様も良い旅を。では、失礼いたします。」
「あ、ちょっ」
アランさんが呼び止めたものの、ハンクさんはそのまま走り去ってしまった。
「お金はもらっても困るものではないのだから、貰っておきなさい。そもそも君たちが捕まえた盗賊の賞金なのだからね」
「そう、ですね」
アランさんはまだ少し悩んでいたけど、受け取ることにしたようだ。
そのまま荷物に入れるのかと思いきや、中身を確認し、ぎょっとした顔をしたあと、袋からお金を取り出すと、「はい。これがサラちゃんの分」と言って、私の手のひらに何枚もの金貨をおく。
「え?」
「サラちゃんも活躍したわけだから、正当な報酬だよ。二人もそう思うだろ?」
「そうね。サラちゃんがいなかったら、アランの命はなかったかもしれないし、それでいいと思うわ」
「ん」
「で、でも、こんな大金、受け取れません!」
どう見ても十枚以上の金貨が私の手のひらにある。
今まで銅貨しか持ったことのない私にとって、金貨は未知の貨幣だ。
思わず手が震えてしまう。
これでパンが何個買えるんだろう?
つい余計なことを考えてしまい、慌てて金貨をアランさんに押し付ける。
「えーっ!サラったら、返しちゃうの?」
「うん」
「折角だからもらっておけば良いのに」
「アランさんたちに認められたってことだろう?サラは凄いなっ!」
みんなから返すなんてもったいないと言われて戸惑う。
「僕たちもちゃんと報酬はもらっているから大丈夫。サラちゃんに渡したのはごく一部だから、そのお金はサラちゃんが使って」
「アランもこう言っているのだから、受け取ってはどうですか?」
フェ様からも勧められて、結局受けとることになったけど、金貨なんて使うときがくるんだろうか?
*****************
「フィッツ町がもう見えなくなっちゃったね」
「そうね」
竜籠の中からフィッツ町が遠退くのをみんなでじっと見つめる。
ほんの短い時間だったけど、ルーク君とはすっかり仲良くなれたので、お別れは本当に寂しい。
特にハル君は同性と言うこともあって、私たちの中でも一番寂しそうだ。
見かねたアミーちゃんがみんなに活を入れる。
「クラウジアさんもまた泊まりにおいでって言ってくれたんだから、そんなしょぼくれた顔しない!」
「だってよぉっ」
「しばらくは絶対会えないんだもんっ!寂しいじゃない。サラもそうでしょ?」
「うん。そうだね」
キャシーちゃんに聞かれて、素直な気持ちを言うと、みんなを励ましてくれていたアミーちゃんが「また、すぐに会えるわよ!」と慰めてくれる。
「すぐに会えるって、今別れたばかりよ?」
「ん?まあ、そうね。でも、お別れを悲しむより、次に会える日を楽しみにしてる方が良いじゃない!それにルーク君は元気になったんだから、王都に遊びに来てくれるかもしれないしね」
「そっか!そうだよなっ」
「手紙で王都の事や学校の事を色々書いたら、羨ましがって、きっと会いに来てくれるわよ」
アミーちゃんの言葉に、私たち全員がたちまちのうちに元気になる。
「私も王都についたら、精霊様の話を書こうかなっ」
謁見がすんだあとなら、ルーク君にお話ししても良いはず。
フェ様の様子をうかがいながら、おずおずと切り出すと、フェ様は笑顔で頷いてくれた。
「謁見が終わったあとなら、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます!」
「サラ、良かったね」
「うん!」
ルーク君が手紙を読んだら、きっと驚くよね。ルーク君の驚く姿を想像して、思わず笑顔になる。
「俺はこれからの旅の話を書いて送る!」
「じゃあ、わたしは学校の話を書こうかな」
「アミーちゃんは何を書くの?」
アミーちゃんだけ特に何も言わないので、気になって聞くと「んー、秘密!」と意味深に言われてしまう。
「えーっ!何それっ。教えてくれても良いじゃないっ」
「キャシーには絶対に言いたくないわね」
「ひどーいっ!」
「冗談よっ。まだ特に決めてないだけ」
アミーちゃんはそう答えると、その後はどんなに聞いても教えてくれなかった。
すぐに竜籠に上ろうとしたけど、そんな私たちを呼ぶ声が聞こえる。
誰かと思ったら、ハンクさんだった。
「ハンクさん⁉️こんなところにどうしたんですか?」
「アランさん!すれ違わないように、こちらに来て良かった」
ハンクさんはほっとしたように言うと、なにやら布袋をだし、アランさんに渡す。
「これは?」
「盗賊団の賞金です。私共は今朝この町に戻ることができまして。すぐに冒険者ギルドへ盗賊団を引き渡しに言ったんです。賞金を受け取ったあとはクラウジア様から賞金は全てアランさんたちに渡すように言われていたので、ここで待っていたんです」
「俺たちは今回の賞金については最初からもらうつもりはなかったんですが」
アランさんは布袋をそのままハンクさんに返そうとして、断られる。
「ギルドで聞いたかもしれませんが、あの盗賊団はこの辺りで有名な盗賊団で間違いありませんでした。拠点を持たない盗賊団で、なかなか捕まえることができず、賞金額も相当なものでした。これを私たちが受けとるわけにはいけません」
「しかし」
「私共は盗賊をここまで連れてきただけです。このまま賞金を持って帰ったら、クラウジア様に怒られてしまいます」
「ありがたく受け取っておきなさい」
「神官長様っ」
「このままクラウジア殿の元に帰るのだろう?先程、別れの挨拶は済ませているが、よろしくお伝えしてくれ」
「はいっ!皆様も良い旅を。では、失礼いたします。」
「あ、ちょっ」
アランさんが呼び止めたものの、ハンクさんはそのまま走り去ってしまった。
「お金はもらっても困るものではないのだから、貰っておきなさい。そもそも君たちが捕まえた盗賊の賞金なのだからね」
「そう、ですね」
アランさんはまだ少し悩んでいたけど、受け取ることにしたようだ。
そのまま荷物に入れるのかと思いきや、中身を確認し、ぎょっとした顔をしたあと、袋からお金を取り出すと、「はい。これがサラちゃんの分」と言って、私の手のひらに何枚もの金貨をおく。
「え?」
「サラちゃんも活躍したわけだから、正当な報酬だよ。二人もそう思うだろ?」
「そうね。サラちゃんがいなかったら、アランの命はなかったかもしれないし、それでいいと思うわ」
「ん」
「で、でも、こんな大金、受け取れません!」
どう見ても十枚以上の金貨が私の手のひらにある。
今まで銅貨しか持ったことのない私にとって、金貨は未知の貨幣だ。
思わず手が震えてしまう。
これでパンが何個買えるんだろう?
つい余計なことを考えてしまい、慌てて金貨をアランさんに押し付ける。
「えーっ!サラったら、返しちゃうの?」
「うん」
「折角だからもらっておけば良いのに」
「アランさんたちに認められたってことだろう?サラは凄いなっ!」
みんなから返すなんてもったいないと言われて戸惑う。
「僕たちもちゃんと報酬はもらっているから大丈夫。サラちゃんに渡したのはごく一部だから、そのお金はサラちゃんが使って」
「アランもこう言っているのだから、受け取ってはどうですか?」
フェ様からも勧められて、結局受けとることになったけど、金貨なんて使うときがくるんだろうか?
*****************
「フィッツ町がもう見えなくなっちゃったね」
「そうね」
竜籠の中からフィッツ町が遠退くのをみんなでじっと見つめる。
ほんの短い時間だったけど、ルーク君とはすっかり仲良くなれたので、お別れは本当に寂しい。
特にハル君は同性と言うこともあって、私たちの中でも一番寂しそうだ。
見かねたアミーちゃんがみんなに活を入れる。
「クラウジアさんもまた泊まりにおいでって言ってくれたんだから、そんなしょぼくれた顔しない!」
「だってよぉっ」
「しばらくは絶対会えないんだもんっ!寂しいじゃない。サラもそうでしょ?」
「うん。そうだね」
キャシーちゃんに聞かれて、素直な気持ちを言うと、みんなを励ましてくれていたアミーちゃんが「また、すぐに会えるわよ!」と慰めてくれる。
「すぐに会えるって、今別れたばかりよ?」
「ん?まあ、そうね。でも、お別れを悲しむより、次に会える日を楽しみにしてる方が良いじゃない!それにルーク君は元気になったんだから、王都に遊びに来てくれるかもしれないしね」
「そっか!そうだよなっ」
「手紙で王都の事や学校の事を色々書いたら、羨ましがって、きっと会いに来てくれるわよ」
アミーちゃんの言葉に、私たち全員がたちまちのうちに元気になる。
「私も王都についたら、精霊様の話を書こうかなっ」
謁見がすんだあとなら、ルーク君にお話ししても良いはず。
フェ様の様子をうかがいながら、おずおずと切り出すと、フェ様は笑顔で頷いてくれた。
「謁見が終わったあとなら、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます!」
「サラ、良かったね」
「うん!」
ルーク君が手紙を読んだら、きっと驚くよね。ルーク君の驚く姿を想像して、思わず笑顔になる。
「俺はこれからの旅の話を書いて送る!」
「じゃあ、わたしは学校の話を書こうかな」
「アミーちゃんは何を書くの?」
アミーちゃんだけ特に何も言わないので、気になって聞くと「んー、秘密!」と意味深に言われてしまう。
「えーっ!何それっ。教えてくれても良いじゃないっ」
「キャシーには絶対に言いたくないわね」
「ひどーいっ!」
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