私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第2章 王都へ

106 新しい友達②

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「俺はハル!」
「わたしはキャシーって言うの」
「アミーよ」
「サラです」

みんなで、ルーク君に自己紹介する。

「僕はルーク、です。今回はお父様を助けてくれて、ありがとう」

ルーク君は私たちに向かって、ペコリと頭を下げてくれる。

「俺たちは何にもしてないけどなっ!頑張ったのは冒険者のアランさんたちとサラだよな」
「サラさんが?」
「私は少しお手伝いしただけで、頑張ったのはアランさんたちだよ!」

誤解されるといけないので、ちゃんと訂正しておく。

「でも、すごいなぁ。僕なんてほぼベットの中で毎日を過ごしてるから、誰かを手伝うなんて夢のまた夢だよ」
「これから元気になれたら、何でもできるさっ! 」
「うん。そうだね」

ハル君の言葉にルーク君は何故か寂しそうに返事する。
何か気になることでもあるのかな?

「ねえ、ハル君。そろそろお土産を渡そうよ」 
「あ、そうだなっ!」
「お土産?」
「そう!ルークに俺が選んだんだ」
「僕に?」 
「選んだのはハルだけど、みんなからのプレゼントよ」
「気に入ってくれると良いなっ」

ハル君が船の玩具の入った紙袋を渡すと、ルーク君は驚いたように紙袋を見つめるだけで、中を見ない。

「ルーク、せっかくだから開けてみてみたら?」
「うんっ」

見かねたマーガレットさんが声をかけ、ようやく紙袋から船の玩具を取り出す。

「それ、水に浮かばせると進むんだぜ!俺とお揃いなんだ!」
「ハル君と?」
「ああっ」

ハル君がルーク君に自分の船の玩具を見せると、ルーク君は自分の船とハル君の船を見比べた後、「僕、お揃いなんて初めてだ」と嬉しそうに笑った。

「まあ、素敵なお土産っ。ルーク、良かったわね」
「うん!みんな、ありがとう」
「そうだわっ。せっかくだから桶を持ってくるわね。水に浮かべてみたらどうかしら?」
「お母様、ありがとう!」

マーガレットさんが桶を取りに席をはずすと、この部屋には私たちだけとなる。

「ね、サラちゃん。ルーク君にマーブルを見せてあげたら?」
「マーブルを?」
「うん!マーブルは可愛いから、きっと喜ぶわよ」
「マーブルって?」

私とアミーちゃんの会話が耳に入ったのか、ルーク君が不思議そうに首をかしげている。
なのでルーク君のそばに行き、マーブルを見せてあげる。

「この子がマーブルって言うの」
「にゃん!」

マーブルがポシェットの中から顔を出し、元気よく挨拶する。

「わぁ!猫だっ。さ、触っても大丈夫かな?」
「にゃん♪」
「マーブルが良いって」

ルーク君のベットにマーブルをのせてあげる。

「ふわふわだぁっ!」
「あっ!ルークだけ良いなぁ!俺も触りたいっ」
「わ、わたしもっ」

キャシーちゃんとハル君もマーブルにずっと触りたかったみたいで、ここぞとばかりに私にマーブルを触って良いか聞いてくる。
マーブルはルーク君に触ってもらいながら、そんな二人の様子をジーっと見つめている。

『ハルは良いけど、キャシーは断ったらどうだ?』
(リードっ!)

リードは相変わらず、キャシーちゃんには当たりがきつい。
もしかして、マーブルもまだキャシーちゃんが私にきつく当たったこと、許してないのかも。

「マ、マーブル、みんなで順番にさわっても構わない?」

恐る恐る、リードにお伺いをたてる。マーブルは少し考えてたけど、「にゃーん♪」と可愛らしく鳴いた後、仰向けになって、お腹をびろーんと見せてくれた。

『ちぇっ。俺だけが大人げないみたいじゃねぇか』

どうやら、マーブルは許してくれたらしい。

「マーブル、ありがとう」
「にゃん♪」
「マーブルが触って良いって」
「「やったー!」」

みんなでマーブルを触りながら、ルーク君に旅の話をしてあげる。
フェリシアの話や、ここにはいない竜操士のロンさんの話、マール町の神官長様の話など、ルーク君は楽しそうに聞いてくれる。
一番盛り上がったのは、盗賊団を倒した時の話だった。
みんなにせがまれてその時の事を話すと、みんなは目を輝かせて聞いていた。

「俺、決めたっ!学校を卒業したら冒険者になる!」
「えっ⁉️怪我したら危ないよっ」
「そしたら、キャシーが治してくれよ」
「わたしがっ⁉️う、うん♪」

ハル君は最初っから冒険者に興味があるようだったけど、今回の件でその思いは強くなったようだ。

「あの子達、もう付き合っちゃえばいいのにね」
「付き合うってどこに?」

アミーちゃんの言うことがよくわからなくって質問すると、思いっきりため息をつかれる。

「サラちゃんはもうちょっと、恋愛について勉強した方が良いわよ」
「う、うん?」
「あははっ。みんな、仲良しだね」

そんな私たちの会話をルーク君は楽しそうに聞いていた。
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