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第2章 王都へ

104 観光⑤

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「さあ、お土産屋さんに行くわよ!」

ずっと楽しみにしていたお土産屋さんに行くとあって、キャシーちゃんは嬉しそうだ。今にもスキップしそうな足取りで、お土産屋さんに向かう。

「張り切るのは結構だけど、自分のものを買うのは、クラウジアさんたちのお土産を買ってからよ」
「あ、アミーに言われなくても、ちゃんとわかってるわよ」
「本当ぉ?」
「本当よ!あ、あれ何て良いんじゃない?」

みんなで色々なお土産屋さんで、クラウジアさんたちへ渡すお土産を探す。
最終的にクラウジアさんには、キャシーちゃんの選んだ白い木綿を買った。ハンカチは縁に青い糸でステッチがされていて、アクセントに貝殻の刺繍がしてあった。

「わぁっ!すごく素敵だと思うっ!」
「悔しいけど、確かに良いわね」
「ふふんっ!」

クラウジアさんの息子さんのお土産は難航した。何せ会ったこともない相手だし、男の子が何を贈れば喜ぶのかわからなかったのだ。
そんなとき活躍したのが、ハル君だ。

「なあ、なあ。これなんてどうだ?」

ハル君が選んだのは、手のひらサイズの船の玩具だった。

「これ、水に浮かばせると進むんだぜ!かっこいいよなぁ?」
「そ、そうだねっ!」
「サラちゃんは、かっこいいと思う?」
「う、うーん」

私たち女の子にはそのかっこ良さはいまいちわからなかったけど、贈る相手は男の子なんだし、ハル君の意見を尊重することにした。

「じゃあ、俺これ買ってくるな!」

そう言って、ハル君は沢山ある船の玩具の中から二つを選び出す。

「あれ?二つ買うの?」
「一つは俺の!」

どうやら相当気に入ったようだ。
キャシーちゃんもお土産を探す間に、リボンを買えて嬉しそう。

「サラちゃんは何も買わないの?」
「えへへ。私はこれがあるから」

先程海辺で見つけたピンク色の貝殻をアミーちゃんに見せる。

「ああ!きれいな貝殻見つけてたもんね」
「うんっ!」
「でも、割れないように入れ物が必要じゃない?」
「あっ、そうだね。どうしようかな?」
「ならこれとかは?入れ物の外側に貝殻がついてて、可愛いわよ」

私たちの会話を聞いていたキャシーちゃんが貝殻で可愛く飾り付けられた木箱を見せてくれる。

「わあっ!可愛い!」
「ちょうど三つあるから、三人で買わない?」
「良いわねっ!」

三人で同じ木箱を買って、早速貝殻を木箱の中にいれる。

「良い買い物ができたね」
「わたしに感謝しなさいよ!」
「うんっ!キャシーちゃん、ありがとう」
「まあ、お礼を言っておくわ。ありがとっ」
「うふふっ」

アミーちゃんと二人でキャシーちゃんにお礼を言うと、キャシーちゃんは嬉しそうに笑う。


「そろそろクラウジアさんのお宅に向かいましょうか?」
「「「「はいっ!」」」」 

気づいたら、日はすっかり傾き私たちの観光も終わりを迎える時間となった。
待っていてくれた馬車に乗り込み、クラウジアさんのお宅に向かう。

「クラウジアさんたち喜んでくれると良いね」

みんなで色々探して、お金を出しあって買ったお土産だもん。
喜んでくれると良いなぁ。
クラウジアさんのお家は町外れにあった。
塀に囲まれ、門から広い庭が見える以外、ここからは家が見えない。
門番さんに馬車の御者さんが声をかけると、連絡がいっていたのか門を開けてくれる。
門から続く道を走ると大きな家が見えてきた。私たちの想像するお家とは違って、すごく大きくて、家というよりお屋敷だった。
お母さんも昔はこう言う所に住んでいたのかな?
馬車の御者さんにお屋敷の前で別れを告げる。

「「「「ありがとうございました」」」」
「今日は一日つれ回してごめんない」
「いえ。神父様からお願いされていましたので。では」

私たちを降ろして、馬車が再び走り出す。

「では、私たちも行きましょうか」
「「「「はいっ」」」」

屋敷の入り口の前には、門番さんから連絡を受けたのか、すでに男性が私たちを待っていた。

「本日はお越しいただき、ありがとうございます」

男性は胸に手を当てて、恭しく頭を下げる。

「わたくしはこの家の執事のマットと申します。我が主人の命を救ってくださったこと、心よりお礼を申し上げます」

マットさんは頭を下げた状態で、更にお礼の言葉を重ねる。

「どうか頭をあげてください。クラウジアさんからも十分なお礼はいただきましたから」 

シーラさんの言葉に、マットさんはようやく頭あげてくれた。

「家の外で失礼いたしました。クラウジア様がお待ちですので、ご案内いたします」

私たちは屋敷の中に足を踏み入れた。
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