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第2章 王都へ
102 観光③
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トトマのお店には行列ができていた。
「わぁ!すごい人気のお店なんだね」
「早く並ぼうぜっ」
みんなでお店の最後尾に並ぶ。
「シーラさんたちはこのお店に行ったことがありますか?」
「実は私たちも初めてなの。だから、とっても楽しみなのよね。マーヴェイもこんな外見だけど、甘いものは大好きなのよ」
「えっ!そうなんですか?」
「ああ 」
マーヴェイさんは相変わらず、言葉少なに答える。
でもよく見ると、顔が微かに赤くなっていて、照れていることがわかった。
戦闘中の時は普通にしゃべっていたし、マーヴェイさんともっと仲良くなって色々とお話ししたいなぁ。
「あっ」
キャシーちゃんが何かを見つけて、ハル君の後ろに隠れる。
「キャシー、どうしたんだ?」
「あそこ…」
突然のキャシーちゃんの行動に不思議に思っていると、キャシーちゃんがハル君の後ろから顔だけ出して、ある場所を指差す。
その場所は飲食店で、お店の前にはテラス席があり、冒険者が数名で食事をしていた。
「冒険者の人がどうしたの?」
視線を冒険者からキャシーちゃんに戻すと、なぜかハル君も驚いた顔で冒険者たちを凝視している。
「二人ともどうしたのよ?」
アミーちゃんもわからないみたいで、二人で首をかしげていると、シーラさんには心当たりがあるようで、笑いながら私たちに教えてくれた。
「二人とも獣人を初めて見たんじゃないかしら」
確かに冒険者の中に一人だけ、獣人の男性がいた。
獣人は動物の耳と尻尾が特徴で、それ以外は人間とほぼ変わらない外見をしている。
他の特徴としては獣人は人間よりも魔法が得意ではなく、その代わりに身体的能力が優れている。
でも、初めて会っただけで、あんなに驚くものなのかな?
「悪いことする子は獣人の国に連れてかれて、二度と戻ってこれないんでしょう?」
「初めて聞くわよ、そんな話」
キャシーちゃんがハル君の後ろに隠れた理由を教えてくれる。
ハル君はキャシーちゃんの言葉に頷いている。
そんな話初めて聞くけど、アルム村ではそれが普通だったのかな?
アミーちゃんも初めて聞く話だったみたいで、驚いていた。
「ふふっ。それは全くの迷信よ。ラーミル国は獣人の数が少ないから、そんな迷信を信じる村もあるのね」
「じゃあ、連れてかれないの?」
「ええ」
「良かったー」
二人ともシーラさんの言葉にようやく安心したのか、強張っていた体から力が抜ける。
「アミーちゃんとサラちゃんは驚いていなかったけれど、獣人に知り合いがいるの?」
「あたしの家は宿屋を経営しているから、獣人が泊まりに来ることもあるんです」
「私は村に住んでたから」
「そうだったの。じゃあ、驚かないのも不思議ではないわね」
シーラさんは納得したように頷くと、キャシーちゃんたちに話しかける。
「ここには港があるから、人間以外の種族もやって来るのよ。王都にも色々な種族が暮らしているわよ」
「それって、エルフとかドワーフとかですか?」
物語ではよく出てくるけど、一度も会ったことはないので、会えるかもしれないと知って、嬉しくなる。
「ええ。ただ、先程のように自分が真実だと思っていることが、全くの迷信だったりすることもあるから、初めての種族に対面するときは迂闊に口にしないこと」
「「「「はいっ」」」」
シーラさんにみんなで元気よく返事する。
シーラさんは私たちの返事に満足そうに頷いている。
「王都に行くまでの間に、色々と聞いてもいいですか?」
「ええ、いいわよ」
「「「「やったーっ!」」」」
いつの間にか行列が少なくなっていて、ついに私たちも呼ばれる。
みんなでドキドキしながら、お店の中に足を踏み入れた。
---
1/12 文章を一部修正しました
誤:初めての種族に《体面する》ときは迂闊に口にしないこと
正:初めての種族に《対面する》ときは迂闊に口にしないこと
「わぁ!すごい人気のお店なんだね」
「早く並ぼうぜっ」
みんなでお店の最後尾に並ぶ。
「シーラさんたちはこのお店に行ったことがありますか?」
「実は私たちも初めてなの。だから、とっても楽しみなのよね。マーヴェイもこんな外見だけど、甘いものは大好きなのよ」
「えっ!そうなんですか?」
「ああ 」
マーヴェイさんは相変わらず、言葉少なに答える。
でもよく見ると、顔が微かに赤くなっていて、照れていることがわかった。
戦闘中の時は普通にしゃべっていたし、マーヴェイさんともっと仲良くなって色々とお話ししたいなぁ。
「あっ」
キャシーちゃんが何かを見つけて、ハル君の後ろに隠れる。
「キャシー、どうしたんだ?」
「あそこ…」
突然のキャシーちゃんの行動に不思議に思っていると、キャシーちゃんがハル君の後ろから顔だけ出して、ある場所を指差す。
その場所は飲食店で、お店の前にはテラス席があり、冒険者が数名で食事をしていた。
「冒険者の人がどうしたの?」
視線を冒険者からキャシーちゃんに戻すと、なぜかハル君も驚いた顔で冒険者たちを凝視している。
「二人ともどうしたのよ?」
アミーちゃんもわからないみたいで、二人で首をかしげていると、シーラさんには心当たりがあるようで、笑いながら私たちに教えてくれた。
「二人とも獣人を初めて見たんじゃないかしら」
確かに冒険者の中に一人だけ、獣人の男性がいた。
獣人は動物の耳と尻尾が特徴で、それ以外は人間とほぼ変わらない外見をしている。
他の特徴としては獣人は人間よりも魔法が得意ではなく、その代わりに身体的能力が優れている。
でも、初めて会っただけで、あんなに驚くものなのかな?
「悪いことする子は獣人の国に連れてかれて、二度と戻ってこれないんでしょう?」
「初めて聞くわよ、そんな話」
キャシーちゃんがハル君の後ろに隠れた理由を教えてくれる。
ハル君はキャシーちゃんの言葉に頷いている。
そんな話初めて聞くけど、アルム村ではそれが普通だったのかな?
アミーちゃんも初めて聞く話だったみたいで、驚いていた。
「ふふっ。それは全くの迷信よ。ラーミル国は獣人の数が少ないから、そんな迷信を信じる村もあるのね」
「じゃあ、連れてかれないの?」
「ええ」
「良かったー」
二人ともシーラさんの言葉にようやく安心したのか、強張っていた体から力が抜ける。
「アミーちゃんとサラちゃんは驚いていなかったけれど、獣人に知り合いがいるの?」
「あたしの家は宿屋を経営しているから、獣人が泊まりに来ることもあるんです」
「私は村に住んでたから」
「そうだったの。じゃあ、驚かないのも不思議ではないわね」
シーラさんは納得したように頷くと、キャシーちゃんたちに話しかける。
「ここには港があるから、人間以外の種族もやって来るのよ。王都にも色々な種族が暮らしているわよ」
「それって、エルフとかドワーフとかですか?」
物語ではよく出てくるけど、一度も会ったことはないので、会えるかもしれないと知って、嬉しくなる。
「ええ。ただ、先程のように自分が真実だと思っていることが、全くの迷信だったりすることもあるから、初めての種族に対面するときは迂闊に口にしないこと」
「「「「はいっ」」」」
シーラさんにみんなで元気よく返事する。
シーラさんは私たちの返事に満足そうに頷いている。
「王都に行くまでの間に、色々と聞いてもいいですか?」
「ええ、いいわよ」
「「「「やったーっ!」」」」
いつの間にか行列が少なくなっていて、ついに私たちも呼ばれる。
みんなでドキドキしながら、お店の中に足を踏み入れた。
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1/12 文章を一部修正しました
誤:初めての種族に《体面する》ときは迂闊に口にしないこと
正:初めての種族に《対面する》ときは迂闊に口にしないこと
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