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第2章 王都へ
96 盗賊団⑨
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「では、盗賊一味を回収したあと、そのクラウジア殿を私たちと一緒にフィッツ町まで連れていきたいのだね」
「はい。無理でしょうか?」
アランさんはフェ様たちに今までの流れを話したあと、言いづらそうにクラウジアさんの事を伝える。
「ふむ、良いでしょう。困っているときはお互い様だからね。ただ、乗せる前に必ず身体検査はするように」
「へっ?」
「ん?」
「あ、いえ。ありがとうございます!」
思ったよりもあっさりと了解をもらえたからか、アランさんは呆気にとられた後、慌ててフェ様にお礼を言った。
「盗賊たちは向こうが連れていってくれるんだったね?」
「はい。竜に乗せることはできませんから、そこはあちらに一任してあります」
「君たちはそれで良いのかね?確か冒険者ギルドに連れていけば、賞金がもらえるんじゃなかったかな?」
へぇ!盗賊団を倒して冒険者ギルドに持っていくと賞金がもらえるんだ 。
でも、アランさんはもらう気はないようで、フェ様の質問に首を振って答える。
「いえ。すでに勝手な行動で皆さんにご迷惑をお掛けしている身ですから。これ以上余計な時間をかけて、皆さんの時間を無駄にするわけにはいきませんので!」
フェ様は少し表情和らげると、「そうか」とだけ答えた。
「フィッツ町に到着次第、冒険者ギルドに今回の件を報告します。冒険者ギルドから新たな護衛が選出されますので、それまではこのまま俺たちが護衛をさせていただきます」
「えっ⁉️どうしてですか?」
「アランさんたちじゃなくなるの?」
「何でだよ!」
「このままじゃ、ダメなの?」
思ってもいなかったことを聞いて、私、アミーちゃん、ハル君、キャシーちゃんの順にアランさんに向かって話し出す。
アランさんは私たちの言葉に困ったような顔をしながら、理由を教えてくれた。
「俺たちは護衛の仕事を一度放棄したんだ。このまま護衛の仕事を続ける資格なんてないよ」
「でも、アランさんたちは人助けをしただけなのに」
人助けって良いことなのに、何でそれがいけないの?
「もしそれで俺たちが全滅してたら、君たちは護衛なしでフィッツ町まで行かなくてはいけないところだったんだ」
アランさんに言われて、先程の恐怖を思い出したのか、みんなが体を震わせる。
「怖がらせてごめんね。でも、俺がしたのはそういう事だ。人助けしたことに後悔はしてないけれど、俺は君たちを第一に考えなければならない立場だった。それができなかった俺が護衛を続ける資格はないよ」
「「「「アランさん…」」」」
アランさんの決意は固く、さすがにそれ以上何も言うことができなかった。
「では、大人しくギルドの決定に従うと?」
「はい。ただその件で俺からお願いがありまして」
「お願い?」
アランさんのお願いの言葉に、フェ様の目が鋭く光る。
アランさんは一瞬気圧されたように体を後ろに引くと、すぐに気を取り直してフェ様にお願いする。
「神官長様もご存じのように、今回は俺の勝手が原因で、他の二人は巻き込まれただけなんです。きっと、ギルドから神官長様に今回の件で、聞き取りがあるかと思いますから、その事を神官長様からも伝えていただけませんでしょうか」
「なんだそんな事かね」
フェ様は思っていたお願いと違っていたみたいで、拍子抜けしたようにアランさんを見ている。
「はい。俺からもそう話すつもりですが、俺の言葉では信用されないと思いますし、二人とも自分から話すことはないでしょうから」
「では、もし聞かれたらそう答えよう。本当の事だしな」
「ありがとうございます!良かったっ」
アランさんは二人の事がずっと気にかかってたんだな。
フェ様の言葉に安心したように笑顔を見せる。
「では、これからの事を聞こうか?盗賊一味を回収に行く間、我々はどうすれば良いかね?」
「それなんですが、クラウジアさんにフェリシアに乗ってもらった後、護衛の人たちは馬で、俺たちはフェリシアに乗って置いてきた盗賊を回収に向かいます」
「私たちまで付いていくのは何故だね?」
「サラちゃんに魔法の解除をお願いするためです」
アランさんはそう言うと、私の方をちらりと見る。みんなもつられて、こちらを一斉に見るので、ちょっと居心地が悪い。
「盗賊たちを魔法で拘束してくれたのは、サラちゃんなんです。でも、解除してもらうために、サラちゃんを下に下ろすような事はしたくないので、このままフェリシアに乗ったままで解除してもらおうと思います」
「そう言うことなら、わかった」
フェ様はアランさんの説明に納得したようだ。アランさんはその様子を見て、更に説明を続ける。
「回収作業の目処がついたら、俺たちはこのままフィッツ町に向かいます。少し時間は遅れてしまいましたが、子供たちが観光する時間は十分あるかと」
「えっ⁉️俺たち観光できるの?」
そうだった!フィッツ町で観光ができると喜んでいたのに、色々あってすっかり忘れてた!
私たちは期待に目を輝かせ、フェ様を見る。
そんな私たちを見て、フェ様はおかしそうに笑ってる。
何が面白いのかな?
「そう言えばそうだったね。こんなに楽しみにしてるのに中止にするのはかわいそうだ。町についたら観光に連れていってあげてくれ」
「はい」
「「「「やったー!」」」」
「にやんっ♪」
私たちはフェ様の言葉に大いに喜ぶのだった。
「はい。無理でしょうか?」
アランさんはフェ様たちに今までの流れを話したあと、言いづらそうにクラウジアさんの事を伝える。
「ふむ、良いでしょう。困っているときはお互い様だからね。ただ、乗せる前に必ず身体検査はするように」
「へっ?」
「ん?」
「あ、いえ。ありがとうございます!」
思ったよりもあっさりと了解をもらえたからか、アランさんは呆気にとられた後、慌ててフェ様にお礼を言った。
「盗賊たちは向こうが連れていってくれるんだったね?」
「はい。竜に乗せることはできませんから、そこはあちらに一任してあります」
「君たちはそれで良いのかね?確か冒険者ギルドに連れていけば、賞金がもらえるんじゃなかったかな?」
へぇ!盗賊団を倒して冒険者ギルドに持っていくと賞金がもらえるんだ 。
でも、アランさんはもらう気はないようで、フェ様の質問に首を振って答える。
「いえ。すでに勝手な行動で皆さんにご迷惑をお掛けしている身ですから。これ以上余計な時間をかけて、皆さんの時間を無駄にするわけにはいきませんので!」
フェ様は少し表情和らげると、「そうか」とだけ答えた。
「フィッツ町に到着次第、冒険者ギルドに今回の件を報告します。冒険者ギルドから新たな護衛が選出されますので、それまではこのまま俺たちが護衛をさせていただきます」
「えっ⁉️どうしてですか?」
「アランさんたちじゃなくなるの?」
「何でだよ!」
「このままじゃ、ダメなの?」
思ってもいなかったことを聞いて、私、アミーちゃん、ハル君、キャシーちゃんの順にアランさんに向かって話し出す。
アランさんは私たちの言葉に困ったような顔をしながら、理由を教えてくれた。
「俺たちは護衛の仕事を一度放棄したんだ。このまま護衛の仕事を続ける資格なんてないよ」
「でも、アランさんたちは人助けをしただけなのに」
人助けって良いことなのに、何でそれがいけないの?
「もしそれで俺たちが全滅してたら、君たちは護衛なしでフィッツ町まで行かなくてはいけないところだったんだ」
アランさんに言われて、先程の恐怖を思い出したのか、みんなが体を震わせる。
「怖がらせてごめんね。でも、俺がしたのはそういう事だ。人助けしたことに後悔はしてないけれど、俺は君たちを第一に考えなければならない立場だった。それができなかった俺が護衛を続ける資格はないよ」
「「「「アランさん…」」」」
アランさんの決意は固く、さすがにそれ以上何も言うことができなかった。
「では、大人しくギルドの決定に従うと?」
「はい。ただその件で俺からお願いがありまして」
「お願い?」
アランさんのお願いの言葉に、フェ様の目が鋭く光る。
アランさんは一瞬気圧されたように体を後ろに引くと、すぐに気を取り直してフェ様にお願いする。
「神官長様もご存じのように、今回は俺の勝手が原因で、他の二人は巻き込まれただけなんです。きっと、ギルドから神官長様に今回の件で、聞き取りがあるかと思いますから、その事を神官長様からも伝えていただけませんでしょうか」
「なんだそんな事かね」
フェ様は思っていたお願いと違っていたみたいで、拍子抜けしたようにアランさんを見ている。
「はい。俺からもそう話すつもりですが、俺の言葉では信用されないと思いますし、二人とも自分から話すことはないでしょうから」
「では、もし聞かれたらそう答えよう。本当の事だしな」
「ありがとうございます!良かったっ」
アランさんは二人の事がずっと気にかかってたんだな。
フェ様の言葉に安心したように笑顔を見せる。
「では、これからの事を聞こうか?盗賊一味を回収に行く間、我々はどうすれば良いかね?」
「それなんですが、クラウジアさんにフェリシアに乗ってもらった後、護衛の人たちは馬で、俺たちはフェリシアに乗って置いてきた盗賊を回収に向かいます」
「私たちまで付いていくのは何故だね?」
「サラちゃんに魔法の解除をお願いするためです」
アランさんはそう言うと、私の方をちらりと見る。みんなもつられて、こちらを一斉に見るので、ちょっと居心地が悪い。
「盗賊たちを魔法で拘束してくれたのは、サラちゃんなんです。でも、解除してもらうために、サラちゃんを下に下ろすような事はしたくないので、このままフェリシアに乗ったままで解除してもらおうと思います」
「そう言うことなら、わかった」
フェ様はアランさんの説明に納得したようだ。アランさんはその様子を見て、更に説明を続ける。
「回収作業の目処がついたら、俺たちはこのままフィッツ町に向かいます。少し時間は遅れてしまいましたが、子供たちが観光する時間は十分あるかと」
「えっ⁉️俺たち観光できるの?」
そうだった!フィッツ町で観光ができると喜んでいたのに、色々あってすっかり忘れてた!
私たちは期待に目を輝かせ、フェ様を見る。
そんな私たちを見て、フェ様はおかしそうに笑ってる。
何が面白いのかな?
「そう言えばそうだったね。こんなに楽しみにしてるのに中止にするのはかわいそうだ。町についたら観光に連れていってあげてくれ」
「はい」
「「「「やったー!」」」」
「にやんっ♪」
私たちはフェ様の言葉に大いに喜ぶのだった。
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